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my sister circleが語る、満身創痍のロックンロールと目指す音楽スタイル

Rolling Stone Japan / 2021年9月4日 12時0分

my sister circle

大阪を拠点に活動するバンド・my sister circleが、2021年3月~7月に隔月で3曲のシングルを配信リリースした。

シンセとギターの響きと疾走するリズムに乗せた歌声が心象風景を描き出す「midnight city」、セカンドラインのビートから始まるメロウヒップホップチューン「dancehall feat. 高木一成 from Re:name」、夏らしく爽やかなポップソング「Blue Hawaii」。”ジャンルに囚われない”をコンセプトにした音楽スタイルを目指しているというだけあって、どの曲も作り込まれた個性的なメロディ、アレンジが際立っている。

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そんな楽曲の真ん中にブレない軸を作っているのが、作詞作曲を手掛けるsawaco(Vo.Gt)の歌声と瑞々しい感性で綴られた歌詞だ。バンドを代表してsawacoにインタビューを行い、音楽への思い、my sister circleが目指すものを語ってもらった。

―my sister circleはどんな成り立ちで結成されたバンドなんですか。

sawaco:私と元ドラマーが高校2年生、ギターとベースが高校1年生の頃、2017年12月に大阪で結成しました。私が去年まで通っていた専門学校の先生がボランティアで高校生に教えていた音楽サークルにメンバーが全員通っていたんです。私はそのときまだ弾き語りで活動していたんですけど、サークルの先生に「バンドをやった方がいいよ」って勧められて、サークルの生徒で集まってできたバンドなんです。

―それでバンド名がmy sister circleになったということ?

sawaco:そうです。サークルの先生が名付け親になってくれて。



―sawacoさんご自身はバンド結成前から弾き語りで活動していたのでしょうか。

sawaco:通っていたサークルが、年に何回か高校生だけの大会を催していて、先生に「どんな形でもいいから、とりあえずステージに立て」って言われて弾き語りをしていたんです。曲もその頃から作っていました。

―もともと、音楽をやるようになったのはどんなきっかけがあったんですか。

sawaco:歌手になりたいなと思ったきっかけが、小学校6年生の頃なんです。小学校って、総合的な学習の時間みたいな授業があるじゃないですか? その頃の担任の先生が沖縄が好きで、沖縄の戦争のこととか基地問題とか、そういうシビアな面も授業で習ったりしていて。その過程で、沖縄にしおり(現・金城しおり)さんというシンガーソングライターの方がいらっしゃって、しおりさんの曲を音楽の授業で歌ったりしていたんです。そのうちに、担任の先生が「しおりさんを学校に呼ぶぞ!」って言い出して。たまたまそのときにしおりさんが全国の小学校をまわるイベントをやっているときで、応募したら偶然私の通っていた小学校に来ていただけることになって、ライブをしてくださったんです。私もそのときにしおりさんが歌った歌に元気をもらったんですけど、そうやって誰かを勇気づけられるような歌を歌える人になりたいなと思ったのが、最初のきっかけです。

―そのときのしおりさんの歌が、余程印象に残ったんですね。

sawaco:そうですね。今でもずっと覚えています。

―そこから徐々にいろんな音楽を聴くようになったんですか。

sawaco:中学3年間はとくになにもしてなかったんですけど、中学卒業のタイミングで親にアコースティック・ギターを買ってもらって、そこからちょっとずつ弾き語りをやるようになりました。ちゃんとバンドを聴き始めたのは高校生の頃からです。高校1年生の頃が2016年になるので、THE ORAL CIGARETTESとかMrs. GREEN APPLEとか、そのときの邦ロック!っていう感じのところから入りました。



―そういうバンドを聴きつつ、ギターの弾き語りで歌い始めた?

sawaco:高校の軽音部の部員数が限られていて、1学年に3バンドしか入れなくて、バンドを組んでから抽選に参加する形だったんですけど、外れちゃって入れなかったんです。それでどうしようかなと思っていたときに、中学のときの友だちから教えてもらったのが、最初に話したサークルなんですよ。そこで結構、歌い方とかリズムの勉強をしました。歌の裏拍でリズムを取るとか。

―そういう勉強もしつつ、その頃からオリジナル曲を書いていたんですか。

sawaco:ぼちぼち作り始めてはいました。ちゃんとバンドを組んで活動し始めたのが、高校2年生の頃、2017年の冬なので、弾き語りをし始めたのはほんまにその直前からです。

―オリジナル曲は最初、どういうイメージで書いたんですか。誰か好きなアーティストをお手本にしたとか?

sawaco:誰かの曲を、というよりは自分の気持ちを書いたというか。私は今21歳なんですけど、10代の頃って、大人になることへの葛藤とか、夢を追いかけてる自分だったりとかを歌詞にしやすい年頃だと思うんです。だから、昔はそういう歌詞が多かったなと思います。

―それらの曲は完成したら最初からバンドのメンバーに聴かせていたんですか。

sawaco:いや、最初はサークルの大会に出るために組んだバンドだったので、とりあえずコピーでも出なさいって言われて、最初にコピーしたのがHump Backだったんです。

―へえ~! Hump Backもそれほど上の世代のバンドじゃないですよね。

sawaco:そうですね。自分以外の3人が同じ高校なんですけど、Hump Backがそこの学校の卒業生なんです。その繋がりもあって、Hump Backの曲をコピーしたんです。

―最初は結構ロックな感じでやっていたんですね。

sawaco:今とは全然違う感じのスタイルでした。最初、私はギターを持たずにHump Backの曲もピンボーカルで歌っていたんですよ(笑)。でもピンボーカルって、ステージでの動き方とか立ち振る舞いが大事になってくるじゃないですか? だから、ギターを持った方がいいなと思ってコピバンを2回やった後に次のライブからはギターを持つようになりました。そこからちょっとずつオリジナルも増やしていって、コピー1曲とオリジナル2、3曲でオープニングアクトでライブハウスに出たりすることが最初の頃は多かったです。



―my sister circle は”「ジャンルに囚われない」をコンセプトにした音楽スタイルを目指している”そうですが、これは具体的に言うと? メンバーが好きな音楽は結構バラバラだったりするんですか。

sawaco:ここ1年ぐらいで、作る音楽の感じがガラッと変わったんですよ。それに合わせてもっといろんな曲を作って行きたいなと思ったので、「ジャンルに囚われない音楽」をコンセプトにしているんです。メンバー3人で共通して好きなものはあんまり少ないかもしれないんですけど、イギリスのバンド、ペール・ウェーブスはメンバーもみんな好きで、最近は意識して作るようにしています。

―アレンジは、みんなでセッションして作って行く感じなんですか?

sawaco:アレンジは、ほぼ私がパソコンでだいたいの基盤を作っています。最近のやり方は、そこにベースとギターが、家で弾いたものを私に送ってきて、それをまた私がアレンジし直す感じです。

―今年の3月~7月まで隔月で配信シングル3曲を続けてリリースしましたが、これはどんな思いが込められた3曲でしょうか。

sawaco:この3曲は、2020年に緊急事態に入ったぐらいのタイミングで作っていたんですけど、自粛期間とか今まで私が聴いてインプットしてきた音楽たちを、しっかりアウトプットできた3作になったなと思っています。2ndシングル『知らない街まで』(2020年)までは、結構バンドのスタイルも曖昧になりながら作っていたものが多かったんですけど、この3曲は自分がやりたい音楽スタイルをしっかり表すことができた3作になったと思います。

―バンドのスタイルが曖昧だったというのは、my sister circleとしてどういう個性でどんな音楽をやっていけばいいか定まってなかったということですか。

sawaco:その時期は、自分自身とかmy sister circleというバンドを客観的に見ることができてなかったと思うんです。でも最近になってマイシスっぽさというか、こういうアレンジでこういう曲を作ったら私っぽくなるかなっていうのが、ちょっとずつ、言葉にするのはむずかしいですけど、感覚でわかってきました。

―その感覚を、ジャンルに囚われずに曲にしたのがこの3曲?

sawaco:そうですね、はい。



―では3月にリリースされた「midnight city」について伺います。MVも発表されていてすごく素敵な作品でした。

sawaco:ありがとうございます。



―メロディ、歌詞、疾走感のある演奏などで心象風景が浮かんでくる楽曲です。sawacoさんの内面も反映された曲なんじゃないかと思いますが、どんなときにできた曲ですか。

sawaco:家に出ることができない時期、去年の4~5月頃に作った曲です。結構気持ちが落ち込んでいるときに曲を作ることが昔は多かったんですけど、「midnight city」もその1つです。軽々しく言葉にしてはいけないけど、「死にたい」とか「消えてしまいたい」とか、誰しも思うことがあると思うんです。私は「人は死んだら星になる」という言い伝えを信じてるところがあって、それをそのまま歌詞にしたいと思って。サビの歌詞の通りなんですけど、星になったら、人の目を気にも留めずに何も考えずにただ輝いていられるなと思って。そういうのがすごく素敵だなと思って、1人で寂しくて「死んでしまいたいな」とか「消えてしまいたいな」とか思っている人のちょっとした支えになれたらいいなと思って作りました。

―そういう曲であることは、メンバーさんにも話したりするんですか?

sawaco:あんまり訊いてこないんで、言わないかもしれないです(笑)。

―(笑)。それぞれが感じ取って演奏しているんでしょうね。アレンジはどんなイメージで作りましたか。

sawaco:3曲共、1年前に専門学校に通っているときに作った曲なんですけど、専門学校でアンサンブルという授業があったんです。そのときに、自分たちの曲を先生にアレンジしてもらうという授業があって、そのときに先生たちに「ここはこうした方がいいんじゃない?」って手伝ってもらって、スタジオで自分たちで構築していった感じです。



―5月にリリースされた「dancehall feat. 高木一成 from Re:name」は3ピースバンドRe:nameの高木一成さんが参加していますね。

sawaco:最初はとくにフィーチャリングとかは考えていなかったんです。コンセプトとしては「midnight city」と似ていて、部屋の中に閉じこもっているときの気持ち、歌詞にも自粛期間の鬱憤が表れていると思いますし、そういう気持ちをそのまま曲にしました。フィーチャリングは、男女混成のバンドがすごく素敵やな~ってずっと思っていたんですけど、それでいつか男性のコーラスを入れた曲をリリースしたいなと思っていて、「dancehall」が曲の雰囲気的にもフィーチャリングとしてリリースしやすい曲だなと思ったんです。自分の頭の中で、男の人の声を浮かべたときに一番ハマったのがRe:nameのベース・ボーカルの一成君だったので、今回お声掛けさせてもらいました。

―この曲はヒップホップ的なアプローチをしていますが、そこは当初からかなり意識したんですか?

sawaco:そうですね。フレンズの「夜にダンス」という曲にインスパイアされて作りました。フレンズも男女2本のボーカルということもあって、インスピレーションを受けました。

―これは、ドラムの音、リズムパターンから先に作ったんですか?

sawaco:この曲は、ライブでやる曲がないときに、「間に合わない!」って、急いで作ったんですよ(笑)。なので、弾き語りをボイスメモで録ってメンバーに送ったんです。ドラムについては考えてもらいました。

―フィーチャリングという形でやってみていかがでしたか?

sawaco:めちゃくちゃ楽しかったです。やっぱり、今の時代フィーチャリングの楽曲が多いと思うんですよ。だから、もっといろんなアーティストと一緒にやっていきたいと思いましたし、男性だけじゃなくて女性のシンガーの方ともフィーチャリングとして一緒に作品を作りたいと思いました。何年か後にはフィーチャリングだけのアルバムも作ってみたいなと思っています。

―それは面白いですね。洋楽チャートを見てもフィーチャリング楽曲ばかり並んでますもんね。

sawaco:そうですよね、結構多いですよね。



―「Blue Hawaii」は、天気の良いときに窓を開けて聴くとすごく気持ち良い曲です。これは、ラブソングですよね。

sawaco:ラブソングですね。私の経験談とかではまったくないんですけど、マイシスには季節の曲がなくて、夏の曲を作りたいなと思って夏を連想させるキーワードを探していたんですよ。そのときに、かき氷のブルーハワイがピンと来て、この曲はタイトルから決めました。ブルーハワイのかき氷を食べて、何年か先にそのときの夏のことを思い出してもらえたらいいなと思って作りました。

―かき氷のブルーハワイってすごい昔からありますけど、いまだに何の味かわからないです(笑)。

sawaco:わからないですね。私も好んでは食べないんですけど(笑)。私はかき氷食べるならメロンです。

―ギターの音とか、サウンドも夏の乾いた感じを表現している感じですか。

sawaco:トロピカルな感じというか、爽やかな感じにしました。

―3曲とも、色が違うサウンドというのは意識しているんですね。

sawaco:そうですね。



―アレンジは手伝ってもらったりしたとのことですが、ご自分でDTMである程度作れるということは、例えば「dancehall feat. 高木一成 from Re:name」も完全にヒップホップのトラックにすることもきっとできると思うんです。ただ、ジャンルに囚われないと言いつつもやっぱりバンドサウンドにはすごくこだわりがあるんじゃないでしょうか。

sawaco:確かに、ヒップホップに完全に寄せることもできたというのは、その通りだと思うんですけど、2、3年前まではギターロックのシーンがあって、マイシスもどちらかというとそっちの方面にいたんです。でもやっぱりおしゃれな方に寄っていきたいなと思って、ここ1年ぐらいシフトしたんですけど、マイシスはどっちのシーンにもいたいんですよね。例えば、羊文学とかHomecomingsとか、そういうバンドのシーンにもいたいし、邦ロックのシーンにもいたくて、その間を確立できるバンドになりたいんですよ。対バンのバリエーションがたくさんあるみたいなバンドになった方が面白いなと思っていて。サウンドは、完全にロックというよりは、ちょっとロックの名残を感じさせて、尚且つおしゃれな感じも欲しいというのを、上手いこと混ざるようにしてやってます。

―そこがこの1年で方向性としてはっきり変わったということですね。確かに1stシングル『アオニサイ』を聴くと今より骨太なロックテイストを感じました。タイトル曲「アオニサイ」の中で、”満身創痍のロックンロールは 完璧主義の君には届かない”という一節がすごく印象的でした。どんな思いが込められた歌詞ですか。

sawaco:”満身創痍のロックンロール”という歌詞は、ズバッと降りてきました(笑)。そのときの自分を表した言葉やなあ~と思っていて。そのとき、”満身創痍”っていう言葉の意味がわからなかったんですけど、フッとこの4文字が降りてきたんです。それで調べてみたら、傷だらけとか完璧じゃない意味ということがわかって、今の自分にぴったりやなと思って。音楽をやってる身としてまだまだ未熟やし、そう思って曲を書いていたときに降りてきた言葉です。

―この曲で歌われている未完成な自分というのが、今やろうとしているバンドの方向性、ジャンルに囚われない音楽スタイルを目指す、というところに繋がっているということですよね。

sawaco:そうですね。まだまだ全然途中ではありますけど。



―バンドを組んだとき、「こういうところでライブをしたい」みたいな目標があったりすると思うんですけど、今は目標にしているものってありますか?

sawaco:バンドを結成して2年目の年に「MINAMI WHEEL」に出るというのがサークルの先生との約束であり目標だったんですけど、去年がちょうど2年目の年で、「MINAMI WHEEL」が中止になってしまったんです。だけど今年の「MINAMI WHEEL 2021」は出演が決まったので、1つ目標が達成できるなと思って、それはすごく嬉しいです。

―今後はどんな活動をしていきますか。

sawaco:もっとたくさんの人にmy sister circleというバンドを知ってほしいですし、そのためにどういう活動をしていけばいいかということを今模索中ではあります。私は音楽という形で人に発信している側なので、聴覚にしか訴えかけることしかできないんですけど、視覚的な伝え方もしていきたいですし、今後いろんな業界のクリエーターの方々とも色々なことをやっていきたいなと思っています。


<リリース情報>



my sister circle
シングル『midnight city』

配信リンク:https://linkcloud.mu/e4fb039b 



my sister circle
シングル『dancehall』

配信リンク:https://linkcloud.mu/2c9f7676

 

my sister circle
シングル『Blue Hawaii』

配信リンク:https://linkcloud.mu/adb138f3 

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