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金原ひとみとMy Hair is Bad椎木知仁が語り合った、互いの表現と嗜好品

Rolling Stone Japan / 2021年9月13日 20時0分

左から、金原ひとみ、椎木知仁(Photo by 大童鉄平)

オンライン・トークイベント「Coffee&Cigarettes Talk Live〜椎木知仁&金原ひとみ」が、2021年8月26日、配信ライブとして実施された。

本イベントは、Rolling Stone Japanの連載コラム『Coffee & Cigarettes』のスピンオフ的トークライブイベントの第三弾。芥川賞作家・金原ひとみと、ロックバンドMy Hair is Badのギター/ボーカル・椎木知仁による対談が4月15日に代官山蔦屋書店で有観客開催される予定だったが、新型コロナウィルスの影響により開催延期。配信型のトークイベントとして無観客で実施されることとなった。

音楽ライターの黒田隆憲がMCを務め、約1時間にわたり行われたトークセッションの様子をレポートする。

MCの黒田に迎えられステージに登壇した2人。My Hair is Badのファンだという金原と、生まれて初めて小説を全部読みきったのが金原の『蛇にピアス』だったという椎木は、それぞれのルーツを語りあったのち、お互いの作品における男性の表現について語った。

金原:私はデビュー当時、男性の描き方にあまりリアリティがないと言われることがあったんです。対談した批評家の方に「なんかこんなごぼうみたいな男」と言われたりして。私の中では自分に見えている男性を書いているつもりだったので、ちょっと意外だったんです。でも椎木さんの歌詞を読んで「こういう男性もいるじゃないか!」と思って。やっぱり男性らしさみたいなものが変わりつつある時代だと思うので、その中で(椎木さんの楽曲や歌詞は)時代の先駆けなんじゃないかなと思います。


金原ひとみ(photo by 大童鉄平)

椎木:逆に僕は金原さんの書く男性たちに救われていたと言うか、すごく共感をしていました。特に『憂鬱たち』という作品が自分の詞を書くきっかけにかなりなっていて。あんなに自分の暗い部分とかダメな部分を書き切っていいんだって。男子たちのだらしなさというか、性のだらしなさみたいなところにも、たくさん共感したり、ちょっと救われたりしました。



そんな2人の共通点はお酒とタバコの嗜好品。金原は小説を書いているとき「浮遊するぐらい飲んで、ちょうどいいところで漂い続ける」と語った一方、椎木は「1缶飲んだら本当に馬鹿になっちゃうので何も思い出せなくなっちゃうんです」と作詞時にはお酒を飲まないと、それぞれのスタンスを語った。

また、タバコに関して金原は「起きてすぐだったり、ご飯の後とか小説を書いていて煮詰まった時は一瞬ちょっと席を立って外や換気扇の下で吸ったりする」と語り、椎木も「要所要所、特に制作中とかで煮詰まったときは、外で吸いますね」と創作時の気分転換に嗜好していると語った。

そして、先日第57回谷崎潤一郎賞を受賞した金原の小説『アンソーシャル ディスタンス』について話題が及んだ。「ライブがどんどんなくなっていった去年の3、4月頃に自分が感じたショックをもとにして書いているんです。あの時は本当に屍のようで、あらゆるものを溜め込んでいましたね。音楽好きな人とか、ライブによく行く人にぜひ読んでもらいたいです」と語った。

その後も椎木がコロナ禍に自炊を始めた話や、椎木がお笑い芸人のスタッフになりたかった話など、やわらかい空気感の中でトークは進んでいった。トーク終了直前、それぞれ訊いてみたいことを問われると、金原から椎木への質問が投げられた。

金原:「フロムナウオン」がすごく好きなんですけど、あれって事前にどのくらい歌うことを考えているんですか?


椎木知仁(photo by 大童鉄平)

椎木:「フロムナウオン」は、僕がライブの時に4分間即興して歌う曲なんですけど、事前に考えていくと言葉が出なくなっちゃうんですよ。

金原:えー! じゃあ、あれは本当に即興なんですか?

椎木:ある程度テーマみたいなものを、「フロムナウオン」を演奏する3、4曲前くらいから思い浮かべ始めていて、曲中に一気に出てくるんです。

金原:それであんなにダーって滝のように言葉が出てくるんですね。

椎木:もう10年ぐらいやっているんですけど、一度大きな舞台に立つとき、ビビって全部台本を書いてみたんですけど、3行目ぐらいまでいったら何も出てこなくて。やっぱり書いちゃダメなんだって思ってから即興にしてますね。

金原:私、あれを全て集めて一冊の本にしてほしいぐらい好きなんです。



だいぶ打ち解けた様子でトークを繰り広げるも、あっという間にトーク終了の時間に。最後はMCの黒田から「今後挑戦してみたいこと」が質問され、くだけた雰囲気の中、2人は挑戦したいことを語ってトークイベントは幕を閉じた。

椎木:最近、あまりドキドキすることが少なくなってきて。初めてのことをやっても「こんな感じか……」って思うことが多くなってきたので、ありきたりなんですけど、バンジーをやってみたいですね。

金原:本格的に考えているんですか?

椎木:いや、まず富士急から始めようかなと思っています。車で高速とか走っているとき見えるでかいジェットコースターからスタートしようかなって(笑)。なんかドキドキしたいなって強く思ってますね。


左から、黒田隆憲、金原ひとみ、椎木知仁(photo by 大童鉄平)

金原:ドキドキしようぜって言ってますもんね。ドキドキさせてもらっているんですけどね、こっちは。

椎木:ありがとうございます。私生活をドキドキさせていきたいなって。

金原:私は次の小説を粛々と書いていくことをずっと続けていこうと思っています。バンジーは私もいつかやってみたいです。

椎木:ほんっとっすか!!

金原:いつかは……ですけどね(笑)。


<ライブ情報>



My Hair is Bad「フラッシュホームランツアー」

2021年11月17日(水)、18(木)愛知・Zepp Nagoya 
2021年11月24日(水)、25(木)福岡・Zepp Fukuoka
2021年12月2日(木)北海道・Zepp Sapporo
2021年12月8日(水)、9(木)大阪・Zepp Osaka Bayside
2021年12月15日(水)16日(木)東京・ Zepp Haneda
時間:OPEN 18:00  / START 19:00 ※時間は変更の可能性がございます。
料金:全席指定 前売 5000円 + 1Drink 600円
詳細:https://www.myhairisbad.com/news/85727710-154a-4929-9713-b503a68995d1

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