性的暴行罪で収監中のワインスタイン被告「まるで独房のよう」 取り消された告訴を検察側が再提出
Rolling Stone Japan / 2021年9月22日 6時45分
現地時間20日、すでに強姦罪で有罪判決を受けている米ハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン被告が、カリフォルニア州の刑事訴訟で再提起された内容にあらためて無罪を主張した。この日検察側は時効を理由に不起訴処分となった案件、いわゆる「過去の悪行」を今後の裁判で証拠として採用するよう申し立てた。
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起訴内容は、訴訟の対象となる被害者5人のうち1人が関与する1件のみで、7月にすでに時効を理由に棄却されていた。検察はこの問題を解消する文言を加えた新たな起訴状であらためて大陪審にかけ、起訴内容を復活させた。オスカーも受賞した映画界の元実力プロデューサーはまたもや形勢不利となった。
失墜した映画界のドンは、知名度と健康衰弱の理由から、現在LAのダウンタウンにあるツイン・タワー拘置所で事実上隔離状態におかれている。この日は手錠をかけられ、茶色の囚人服に身を包み、車いすを押されて出廷した。顔は青白く無精ひげだらけで、感染予防のマスクで口元を覆っていた。ワインスタイン被告が口を開いたのは期日放棄と後半に知事の確認だけ。5人の匿名女性に対する性的暴行11件の公判は、最長で来年4月まで延期される。
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審問を終えた被告弁護人のマーク・ワークスマン氏は、ワインスタイン被告が「複数の」不起訴となった行為や被害者の証拠採用に対抗するつもりであると述べた。
「我々は同氏が公平な裁判を受けられるよう全力を尽くします。ですが厳しい状況ですね」と、ワークスマン氏は報道陣に語った。「あちらは矢でも鉄砲でも投げてこようとしています。我々は公平のために証拠の制限に努めます」
ワインスタイン被告のニューヨーク州での裁判でも、衣装デザイナーのドーン・ダニングさんとモデルのタレル・ウルフさんの強烈な証言を含む不起訴事件の証拠採用が大きなカギとなった。裁判の結果、被告は第3級強姦罪と第1級性的暴行罪で有罪判決を受け、懲役23年を言い渡された。
カリフォルニア州では、ワインスタイン被告は2004年から2013年にかけてビバリーヒルズ近辺のホテルで行われた事件で、女性3人に対する強姦と女性2人に対する性的暴行で起訴されている。被告は7月21日当初、ロサンゼルス郡で11件の起訴内容に対し無罪を主張したが、弁護団は時効を理由に訴因5に対してただちに異議を申し立てた。
被告は収監で「明らかに苦しんでいる」
これは2010年5月、ビバリーヒルズのホテルで女性が性的暴行を受けたとする事件で、検察は2020年4月に提起された修正起訴のまま手続きを進める代わりに、この春に新たな訴訟番号で司法大陪審への起訴を決定したため、その時点ですでに10年の時効が成立していた、というのが弁護側の主張だ(慎重を要し、かつ注目を浴びるの裁判では、検察は予審を省略して大陪審にかけることができる)。
7月29日にリサ・レンチ判事が訴因5を棄却すると、ワークスマン弁護士は勝利を宣言し、ロサンゼルス地方検事局は5つの訴因のうちひとつで敗訴したと発言した。だがレンチ判事は検察に再提起を認め、月曜日には8月18日に提出された第3修正訴状に対する被告答弁を行った。新たな起訴状には、大陪審が事項の問題を理解した上で、訴因5をこれまでの起訴の一環であると同意した旨の文言が明記されている。
審問の後ワークスマン弁護士がローリングストーン誌に語ったところでは、弁護側はあらためて妨訴抗弁を申し立て、訴因5の棄却を請求する可能性があるようだ。「時効の問題はいまだに残っています」とワークスマン氏。「我々は今度こそ問題が正されるかどうか、慎重に見届けてゆくつもりです」
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地方検事局が1回目の起訴を行ったのは2020年1月6日。のちに#MeToo運動から有罪判決に至った画期的な事件となるニューヨーク州での刑事訴訟で、ちょうど陪審員選出が行われていた時期だ。2020年2月24日、陪審はワインスタイン被告が若手女優のジェシカ・マンさんを2013年にミッドタウンのマンハッタン・ダブルツリー・ホテルで強姦し、2006年にソーホーの自宅アパートで制作アシスタントのミリアム・ヘイリーさんにオーラルセックスを強要したとして、2件の重性犯罪で有罪と判断した。量刑判決は2020年3月11日、全米でCOVID-19のロックダウンが敷かれる数日前に言い渡された。ワインスタイン被告は4月、ニューヨーク州の訴訟判決に対して上訴したが、その2か月後にカリフォルニアに送検された。
ワークスマン弁護士は月曜、ワインスタイン被告は収監で「明らかに苦しんでいる」と指摘した。「歩くこともできなければ、外を見ることもできません……まるで独房のような状態で拘束されています。同氏にとっては非常につらい状況です」
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