引退発表のデイヴィッド・リー・ロス、スティーヴ・ ヴァイとの共演劇を振り返る
Rolling Stone Japan / 2021年10月13日 19時15分
ヴァン・ヘイレンのフロントマン、デイヴィッド・リー・ロスがあと数回公演したら引退することを発表。彼のソロ活動のスタートを振り返る。
【動画を見る】デイヴィッド・リー・ロス、スティーヴ・ ヴァイを交えて歌った「ジャンプ」
デイヴィッド・リー・ロスは先ごろ、来たるラスベガス公演が音楽人生最後のショウになると発言し、ファンを驚かせた。「もう潮時だ」と、ロスはラスベガスレビュー・ジャーナル紙に語った。「引退する……残り時間の短さをいよいよ目の当たりにしなければならなくなった。おそらく俺に残された時間はずっと短いだろう」
ロスはそれ以上、引退の決意について説明しなかったが、昨年ラスベガスでの常設公演とKISSの引退ツアーの前座でソロ活動を再開したばかりだった。パンデミック前にいくつかショウをこなしたが、明らかに声の調子は万全とはいえなかった。
「確かにデイヴの全盛期、あいつと同じことができるやつはいなかった」 8月、KISSのジーン・シモンズはローリングストーン誌にこう語った。「あいつは究極のフロントマンだった。(ロバート・)プラントも、ロッド・スチュワートも、誰も敵わなかった。あいつはフロントマンであることを何よりも大事にした。それが、一体何が起こったのか知らんが……何かあったんだろうな。現代版デイヴの登場さ。俺は絶頂期のエルヴィス・プレスリーの姿を記憶にとどめていたいね。唇をニヤリとさせた、メンフィス時代の頃のエルヴィスをさ。ぶよぶよに太って、裸でバスルームの床に横たわる姿なんて考えたくもない」
最終的にシモンズはこのコメントを撤回し、ロスに謝罪したが、死亡時にグレースランドの浴室で発見された「ぶよぶよに太った裸のエルヴィス」と比較されたことに少なからず傷ついたようだ。病名は明かしていないが、昨年ツアーに出た際にロスも病を抱えていた。
「コロナにかからなかった、というはっきりした確信はない」と、2020年7月に彼はニューヨークタイムズ紙に語った。「昔は月に着陸できそうなほどのプレドニゾンを処方されたんだぜ! 後に残ったのはグルーピーとがれきの山、そして燦然たる音楽評。だが、そういうのをまた経験するのは勘弁だ」
ロスは10代の頃にRed Ball JetsというR&Bグループでキャリアをスタートしたが、才能が開花したのは1974年にエディ・ヴァン・ヘイレンやアレックス・ヴァン・ヘイレンと組んでからだった。10年後、彼はバンドと決別。ちょうどヴァン・ヘイレンが『1984』の爆発的ヒットでMTV時代の最大級バンドとしての地位を確立したころだ。2年後にはギタリストのスティーヴ・ヴァイを迎えたソロLP『Em and Smile』をリリースした。
2人は1986年8月、ベーシストのビリー・シーン、ドラマーのグレッグ・ビソネット、キーボード奏者のブレット・タグルとともにツアーを敢行。ステージはソロ楽曲満載で、ヴァン・ヘイレン時代の楽曲は少なかったが、それでも「アンチェインド」「パナマ」「エヴリバディ」「エイント・トーキン・アバウト・ラヴ」「ジャンプ」を披露した。今回紹介するのは、1986年9月デトロイトのコボ・アリーナ公演でファンが撮影した「ジャンプ」の映像だ。
ツアーは大成功に終わったが、彼の勢いは90年代初頭に急停止し、2007年にヴァン・ヘイレンに再加入するまで回復しなかった。この時点で真剣に引退を考えていたかどうかは知る由もないが、彼がラスベガスのステージでキャリアに幕を下ろすのは残念だ。1年前にギタリストの代名詞エディ・ヴァン・ヘイレンが他界して以来、特大追悼コンサートのうわさが流れている。もし実現すれば、現存する新旧バンド全員が顔をそろえることになるだろう。もしその頃デイヴィッド・リー・ロスが「引退」していたとしても、一夜限りの復活を果たすしかなさそうだ。
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From Rolling Stone US.
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