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CHUNG HA、スペイン語も操るシンガーが体現するK-POPの未来

Rolling Stone Japan / 2021年10月18日 19時35分

CHUNG HA(Courtesy of MNH Entertainment)

2010年代にラテンポップが世界中で人気を獲得したように、K-POPシーン屈指の楽曲はジャンルや言語の壁、そして国境を軽々と飛び越える。今のK-POPは出自や背景ではなく、そのユニークな視点によって定義されるのだ。米ローリングストーン誌の特集「K-POP NOW」より注目アーティストを紹介する(※本記事は2021年7月初出)。


CHUNG HA
韓国語、英語、スペイン語の
3カ国語を操るシンガー

K-POPが世界的ムーブメントであるという見方に懐疑的なリスナーは、今年レゲトンの要素を取り入れた「Demente」でその名を世界に知らしめたシンガー兼ダンサー、そして振り付け師でもあるCHUNG HAの曲を聴いてみるといい。K-POPのアーティストとしては初となる全編スペイン語で歌われる同曲は、発表と同時に世界中の新旧のファンから賞賛を集めた。



韓国ソウルで生まれ、米ダラスで育った現在25歳のChung Haにとって、暮らしている場所や言語、そしてジャンルに関係なく愛されるアーティストになることは幼い頃からの夢だった。彼女のデビューアルバム『Querencia』は、ハードなEDMからハウス、ヒップホップ、フラメンコ・ポップ、カリビアンなムードを漂わせるビート、そしてグライムまでを網羅した、まさにポップの一大絵巻だ。過去にはガールグループに所属していた彼女は、2017年にソロとしてのキャリアをスタートさせる時に、様々なスタイルのミクスチャーにインスピレーションを感じていたという。「私は昔から文化の異なる国々の音楽が好きで、どんなプロジェクトにも積極的に挑戦してきました」。彼女はそう話す。「同じコンセプトに固執するのは退屈なので」

CHUNG HAの人生には変化がつきものだった。幼少期の大半をアメリカで過ごした彼女は、パフォーマーとしてのキャリアを追求すべく韓国へと戻り、大学でダンスを学んだ。ヒップホップ的なボディアクションと独創的な振り付け(彼女のフリースタイルをコンパイルしたYouTube動画は何千万回と再生されている)を武器に、彼女は11人組のガールグループI.O.Iに加入し、リードダンサー兼リードシンガーを務めた。同グループが短命に終わった後、彼女はソロアーティストとしての道を歩み始める。

今年2月にリリースされた『Querencia』は高く評価され、多様なスタイルとメロディセンスはファンと評論家の両方から賞賛された。CHUNG HAのシンガーとしての表現力はK-POPのシーンにおいても突出しており、彼女は繊細なウィスパーヴォイスから誘惑するような声色、ディーヴァ級の圧倒的な歌声を、韓国語と英語のみならず、スペイン語まで駆使しながら使い分けている。彼女によると、それは文化の坩堝たるアメリカでの暮らしの中で自然に培われたという。

「幼少期の大半をアメリカで過ごした私は、文化やバックグラウンドの異なる友達に囲まれていたので、アメリカのポップカルチャーだけでなく、ラテンポップやスペイン語に日常的に触れていました」。彼女はそう話す。「私が様々な言語で歌うのは、自分自身へのチャレンジなんです。それによって壁が生じることを恐れてはいません」

パンデミックによって彼女のツアー予定は延期を余儀無くされたが、CHUNG HAはコンサートが安全に開催できるようになった際には、ダイナミックなショーをしてみせると意気込んでいる。「Demented(発狂した)」という言葉はインパクト大だが、CHUNG HAにとってそれはポジティブな意味を持っている。言語やダンスを次々に変化させていく彼女から、ファンは片時も目が離せずにいる。彼女が次にどんな行動に出るのか、それは誰にも分からない。

From Rolling Stone US.



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