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NFTアート作品がAIパートナーになる日も近い?

Rolling Stone Japan / 2021年10月26日 19時12分

Source of photo:Pixabay

現在、NFT市場は新たに開拓されつつあるフロンティアだ。新たな市場が誕生すれば、その価値はバブル的な様相を呈し、露骨に詐欺を働こうとする者、トロイの木馬を仕込もうとする者も当然現れるだろう。そんな中でSolanaブロックチェーン上に突如として現れた「AIパートナー」のAikoプロジェクトを見てみよう。

Aikoプロジェクトは9月末、突如Twitter上にアカウントが誕生し、プロジェクトの詳細がまるで明らかでない中、すでに数千のフォロワーを獲得している。現在、aiko.io というウェブサイトを通じ、「Aikoビルダー」を用いて誰でも自由にAikoの静止画をデザインできるようになっている。巨乳でウエストの細い、脚を広げたキャラクターのアバターに、自由な髪色、衣装、タトゥー、ピアス、肌の色など、いくつかのカスタマイズを行うことができる。

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また、ランダムに生成された10000種類のAikoたちを公開するNFTアート作品のIM Aikoコレクションが10月26日と11月9日にプリセールス、正式発売は11月16日の予定となっている。開発チームの計画によると今後は、自身のデザインしたAikoのAIとコミュニケーションを取れる「Aiko Master」というアプリが2022年の初めにリリースされる予定とのことだ。



NFTアートとは、使用権をそのアート自体が保持する単なるデータに過ぎない。Aikoプロジェクトの場合、今後公開される予定のアプリ「Aiko Master」にアクセスするために必要な所有権の証明書として機能するものとなる。

現在所有することができるAikoには、友人、モチベーションを起こさせるガイド、ガールフレンドの3タイプがある。友人となるAikoは「どんな状況でも自分の隣にいてくれ」、「成功を分かち合い」、「人生のどん底でも気にかけてくれる」とされる。一方でガイドとなるAikoは、人生のコーチやセラピストとして振る舞うとされているが、開発チームがメンタルヘルスのプロに監修を依頼しているかは定かではない。

そして最後に ガールフレンドとして機能するAikoだ。このAikoに搭載されるAIは公式サイトによると、「レディット上の投稿、エロ小説や、NSFWのデジタル素材を参考に」開発されているという。要するに、SiriやAlexaのような音声のみのAIパートナーに、エロ漫画風のイラストを加えたAIガールフレンドだと言える。 ガールフレンドAikoは、男性の欲望や恐怖などについて、あるいは、ただその日にした事を一緒に話し合うことを望んでおり、彼女にとってタブーとなる話題は存在しないようだ。公式サイトにはさらに、Aikoの「性格」は「日毎に成長し向上していく」と書かれている。ローリングストーン誌から開発チームに何度もコンタクトを試みたが、連絡はつかなかった。

エロ要素を含むNFTは真新しいものではない。こうしたコンテンツの販売に専念するNafthArtやXXXNiftyといったマーケットプレイスがすでに存在している。そこで今回Aikoプロジェクトの問題となるのはこうしたコンテンツの性質ではなく、AIパートナーがそのユーザーをさらに孤立させる可能性があるということだ。性的不品行の専門家であるジェームズ・フォーリー氏は、性的な要素を含むAIのパートナーが出現することで、それに依存する人々の活力を削ぐような事態になりかねないと警鐘を鳴らす。彼は、このようなアプリを四六時中使用することで孤独感が強調され、現実世界でのあらゆる体験の質が下がる可能性があると語る。

さらにフォーリー氏は、こうしたアプリが「理想の女性はすぐにアクセスでき、使い、片付けることができるという歪んだ考えを植え付けてしまう可能性がある」、「インセル的活動の多くは孤独感や社会からの排除に原因がある」とも語る。こうした問題の一部としてsexがあるが、彼が語るより重大な問題は「エコーチェンバー現象」である。各種SNSやネット掲示板上で、同じ趣味や思想の人とばかり繋がることにより、同じような思想のみを見聞きし続け、自分の意見が強固になってしまうことを指す。

Aikoの公式サイトには「あなたの個性を反映することで、あなたとのつながりを築き」、「孤独を感じたくない」「人生の空白を埋めたい」と考える人々のために設計されていると書かれている。フォーリー氏は「現実世界のパートナーは、自身の個性を反映させるものではない。パートナーがあなたの好みにただ従うのではなく、あなた自身をパートナーに順応させることを学ぶ必要がある。現実世界からの分離を促すものが商業化されることにより、こうした傾向は悪化してしまう。これが性的不品行の原因ともなる」と語る。また彼は、公式サイト上にAIの開発にあたりセックスセラピストの監修を受けたかについての言及がないことに加え、そもそも開発チームに女性が存在したのかどうか疑問を呈している。



Aikoプロジェクトを掘り下げていくと、さらに別の問題が浮き彫りになってくる。開発チームは、今後Aikoにカスタマイズコンテンツを追加することを発表しているが、公式サイト上にはそれに関する具体的なビジョンや時期の詳細はない。また、最終的にはAikoの対となる男性版を開発すると書かれているが、それは「現時点での優先事項」ではないとある。

ISolana上のマーケットプレイスには、確かにIM Aikoというページが存在するが、現時点では「未確認のコレクション」として掲載されており、誰もが自由に設定できるページに過ぎない。金銭を要求する、青いチェックマークのないTwitterアカウントを誰が信用するのだろうか?

さらに掘り下げると、購入者は理想の女性パートナーを手に入れることを期待して数百ドルを費やすことになるだろうが、その一方で最終的なリターンはAikoの静止画だけである可能性すらある。利用規約の下部に埋め込まれた免責事項によると「Aiko開発チームは、このコンテンツの将来の発展を保障するものではありません」とある。

プリセールスの段階で、1000種類のAikoから1種類を生成しようとすると1.5 SOL、つまり300ドル近くの費用がかかることになる。正式発売の後は残りの9000種類が解放されると同時に単価が2倍になり、最低料金もアプリのリリース前に値上がりすることになっている。当然だが、最終的な販売価格は売り手と潜在的な買い手により決められることになる。加えて、常に価値の変動する仮想通貨の一つであるSolanaは、仮想通貨コミュニティ上では比較的近い将来に価値が急上昇する可能性があるものとして考えられている。

公平な立場から言うと、例え購入者が静止画というアート以上のものを手にすることができなくとも、Aikoの価値が完全になくなるというわけではない。AikoのNFTオーナーとなった購入者たちには、Aikoの肖像権が渡されるため、それをプリントしたTシャツなどの販売などは行うことができるだろう。

何らかの問題が発生した場合にはカスタマーサービスに連絡することになるだろうが、幸運を祈る。ローリングストーン編集部が唯一発見できた連絡先は、公式サイトのプライバシーポリシー内に埋もれていた上、メッセージを送信してもすぐに返送されるため、実際には存在すらしていないだろう。プレス向けの資料に記載されていた電話番号も繋がらない。さらに、Telegramのリンクもどこにもつながっていないようだ。

仮にIM Aikoコレクションが全て売り切れた場合、その製作者は550万ドル(約6億2500万円)ほどの利益を得ると考えられる。

From:AI Girlfriends Are Coming (In the Form of Sexualized Anime NFTs)

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