ダイアナ・ロスが語る、22年ぶりの新作『Thank You』への想い
Rolling Stone Japan / 2021年11月17日 18時0分
オリジナル作品としては実に22年振りとなるニュー・アルバム『Thank You』をリリースした歌姫、ダイアナ・ロス。主にダイアナ自身の自宅スタジオでレコーディングされ、ジャック・アントノフやトロイ・ミラー、トライアングル・パークといった錚々たるプロデュース陣を迎えて制作された本作は、往年の楽曲を彷彿とさせつつも現代のサウンドとしても広く受け入れられる巧妙なバランス感覚を備えた1枚となっている。現在77歳のダイアナが久々の新作に込めた想いとはいったい何だったのか。本人自らニュー・アルバムについて語った貴重なインタビューをお届けする。
―待望の新作『Thank You』ですが、制作のきっかけを教えていただけますか?
ダイアナ:今回のアルバムの曲は、皆さんへの感謝と愛を形にしたものよ。こんな状況の中でこの素晴らしい作品を作ることが出来て、とても嬉しいわ。(新曲「カム・トゥギャザー」歌詞の一節を引用して)”私は私の道を歩く。私の前をあなたが歩く。私たちはひとつ”ということね。これらの曲たちは私の心からの贈り物で、皆さんとシェア出来ることにとても喜びを感じているわ。
―今回のレコーディングは、あなたにとってどんなものでしたか?
ダイアナ:私のホーム・スタジオでレコーディングしたんだけど、そのおかげでとてもパーソナルな体験となった。毎朝起きてすぐに歌い始める、という感じだったわね。私はいつも音楽を愛しているし、その感情が新しい作品に繋がったということがとても嬉しいの。歌うことが大好きだし、歌詞やメッセージに強い力があることを信じている。今回生まれた曲はそういった愛の結晶で、聴いてくれる皆さんがそういったことを感じてくれることを願っているわ。
―あなたのこれまでの楽曲には愛についてのメッセージが多く含まれています。今回の作品にもそれが受け継がれているのでしょうか。
ダイアナ:”Love”は「愛する」という意味の動詞。そしてこのアルバムは「愛する」こと、共にいることに対する力強いメッセージなの。この愛のソングブックを、私は感謝をもってリスナーたちに贈りたい。このアルバムを皆さんに届けることができてとても光栄よ。私がこの作品を作っていた時に感じた喜びを皆さんにも感じてもらえれば嬉しい。皆さんが愛と素晴らしい思い出に満ちた人生を送れますように。
―ソングライティングのやり方について、少しお話をいただけますでしょうか。
ダイアナ:机に向かって日記を書く時に、自分がどうなりたいか、みんなが幸せになるために自分がどうあれば良いか、といったことについて書き留めていたわ。
そしてインスピレーションは全てのものから受け取っていた。例えば空ね。エネルギーはそこら中に満ちているし、自分の中にも存在する。今回の曲のタイトルは、人生という美しい旅のどこに私が立っているか、ということを表現しているわ。「カム・トゥギャザー」、「ビューティフル・ラヴ」、「レッツ・ドゥ・イット」、「アイ・スティル・ビリーヴ」、「イフ・ザ・ワールド・ジャスト・ダンスド」、そして「オール・イズ・ウェル」といった風にね。
―あなたの楽曲を素晴らしいものにしている要素は何だと思いますか。
ダイアナ:人々の心に残るメロディと、心の奥から生まれてくる歌詞。音楽は記憶を持つヴァイブレーションであり、美しい香りのようなものよ。
―曲を選ぶ時のポイントはありますか。
ダイアナ:心と感情を大切にするようにしているわ。時には曲の方が私を見つけてくれることもあるわね。
愛のメッセージ、伝説的なキャリアについて
―参加アーティストやプロデューサーはどのように決められたのでしょうか。
ダイアナ:彼ら無しにこのアルバムは存在しなかった。今回は音楽的に素晴らしいだけではなく、感謝や愛について同じビジョンを共有できる人たちと作業を行いたかったの。そして皆で今この瞬間にフォーカスしたかった。音楽を作るだけじゃなく、思いも一つにする必要があったの。そしてそうすることで、喜びに満ちた作品が出来上がったというわけ。
アルバムに参加して、美しい思い出をたくさん残してくれた皆にお礼を言いたいわ。ソングライター、プロデューサー、ミュージシャン、アレンジャー、そしてエンジニアの皆にありがとうを贈りたい。たくさんの友人ができてとても幸せだった。ありがとう!
―プロデューサーのジャック・アントノフ(テイラー・スウィフト、ラナ・デル・レイ、ロードなど)との制作作業はどうでしたか。
ダイアナ:彼はとても思いやりのある素晴らしい人。友だちになったわ。人生や家族、キャリアといった大切なことについてたくさんの話をしたの。彼と取り組んだのは「アイ・スティル・ビリーヴ」。特別な歌よ。
―『Thank You』を特別なものにしているのは何だと思いますか。
ダイアナ:これは私のこれまでの作品全てがあって生まれたもの。全てのオーディエンス、ツアー、そして愛……全てよ。それらがこのアルバムを形作っているの。今回の歌詞にも出てくるけど「私は私の道を歩く。私の前をあなたが歩く。私たちはひとつ」ということよ。とにかく愛を持つこと、そうすればすべては後からついてくるわ。
―このアルバムを聴いていると、あなたの心から生まれたメッセージが基になっているように感じます。
ダイアナ:その通りよ。とても幸せなことだと思うわ。朝起きて、夜ベッドで眠るまでの間ずっと感謝の気持ちでいっぱいなの。今、ここにいられることへの感謝よ。それをいつも感じているわ。私はとても恵まれた人生を送っていることを知っていて、いつもそのことについて思いを馳せている。素晴らしい子どもたちにも恵まれ、オーディエンスとの時間を過ごすこともできる。本当に感謝しているわ。
今回の作品は単なるアルバムではないの。これは私についてのアルバムじゃない。全ての人々に、全てのものについての作品なの。そして過去、現在、未来についての作品でもある。私の心に触れた全ての人々への感謝の気持ちを表現したアルバムよ。
―ご自身が長年第一線で活躍を続けていることについて、どう感じていますか。
ダイアナ:音楽業界は昔と比べて変わってきていると感じるけど、音楽を作るという根本の部分は何も変わっていないと思うの。全てはアイデアから始まる。それが創造へと繋がっていく。私の場合は始まりのアイデアがハーモニーや愛についてのことが多いわ。キャリアを通じて良いものを作り続けてられるよう心掛けてきたつもりよ。
コロナ禍に見つけたもの、この世界に望むこと
―コロナ禍が蔓延し始めてから約15カ月が経ちましたが、どのような生活を送っていましたか。
ダイアナ:私にとって一番大切なものは何か、毎日考えていたわ。「タオのプーさん」という本を読んだんだけど、そこではクリストファー・ロビンが「きみがこの広い世界で一番したいことはなんだい?」とプーさんに問いかけているの。そこでそれを自分でも考えてみることにしたのよ。私は希望の光を見つけたい。感謝の気持ちをみんなへ伝えたい。そしてこの特別なアルバムを作ることに決めたの。言葉や考えの全てがここでは重要。愛や感謝を伝えることについての作品なのよ。愛さえあれば、きっとうまくいく。時の流れに身を任せれば、きっと大丈夫。
―コロナ禍の不安定な状況で、ご自身のバランスをどのように取っていますか?
ダイアナ:人生とは常に移り変わっていくもの。このような状況の中で今回の曲たちが生まれたの。自分の考えを通してフィジカルやメンタル面も常に変わっていきたいと思っているわ。「自分は今何を考えているんだろう」「何について思いを巡らせたいんだろう」といったことを考えているうちに、今回の曲たちが生まれたというわけよ。
―このコロナ禍で、自分にとって何が大切で、価値があるのかについて多くの人々が深く考え、答えを見つけたのではと思います。あなたにとってはどうでしたか。
ダイアナ:ええ、私にとって大切なのは家族で、子どもや孫たちと一緒にいることが何より重要。一緒にいられない時でもZoomやFaceTimeで顔を見ていたわ。写真もたくさん送ってくれたし、それ無しではこの恐ろしい時間をやり過ごすことは出来なかったと思う。自分はとても恵まれているということを何度も感じる日々だったわ。日々の多くの「ありがとう」や「感謝」が、人生における変化にも上手く対応させてくれるんだと思う。
―来年ツアーなどは予定していますか? ライヴ・パフォーマンスで最も喜びを感じるのはどんな時でしょうか。
ダイアナ:その話はよく聞かれるわね。来年の夏頃にはツアーに出られるんじゃないかと思っていて、それを楽しみにしているわ。オーディエンスのみんなに会えるのはショウの中でもとてもエキサイティングな瞬間。ステージにあがるたびに、みんなと繋がっているという感覚があるわ。みんなの顔を見渡すのがとても好きなの。みんなが私の顔を見ているとき、私もみんなの顔を見ているということ。全てはあなたと私のギヴ・アンド・テイクなのよ。私たちは一つで、決して一人ではない。ミュージシャンは皆ファミリーだし、この仕事は素晴らしいといつも思っているわ。
ステージに戻ることが出来ることはとても嬉しい。あのエネルギー、オーディエンスとの繋がり……これらの魔法が私を勇気づけるの。体が浮かび上がってみんなに近づいているように感じることもあるわ。パフォーマンスする曲はどれも大好きだし、それを聴いているみんなを見るのも大好きよ。
―今この世界に対して、あなたが望むことは何でしょうか。
ダイアナ:私が常に変わっているように、世界も常に変わっている。何か望むことがあるとすれば……団結、喜び、感謝、笑顔、そして愛かしら。愛があれば全てを成し遂げることが出来ると学ぶことが大切だと思う。毎日が宝物で、心の中に常に歌を持っておくことね。
ダイアナ・ロス
『Thank You』
発売中 SHM-CD ¥2,860(税込)
視聴・購入:https://lnk.to/diana_thankyou
日本公式ページ: https://www.universal-music.co.jp/diana-ross/
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
待望のソロアーティストデビューアルバム!前島亜美『Determination』リリース記念インタビュー
アニメ!アニメ! / 2024年11月21日 18時30分
-
BE:FIRST・SOTA「ありのままの僕たちの雰囲気が映像になっていて嬉しかった」 映画第2弾舞台あいさつにメンバー登壇
クランクイン! / 2024年11月16日 17時15分
-
BE:FIRST、ライブドキュメンタリー海外上映決定に喜び BESTYへの感謝も語る【BE:the ONE -MEANT TO BE-】
モデルプレス / 2024年11月16日 15時37分
-
メロディ・ガルドーが総括、「常にロマンチックで大胆不敵」な音楽人生を語る
Rolling Stone Japan / 2024年11月7日 19時0分
-
アンダーワールドが語る、テクノへの愛と創作意欲「僕らは今が一番エキサイティング」
Rolling Stone Japan / 2024年10月28日 17時40分
ランキング
-
1美しいと思う「50代の女性芸能人」ランキング! 「天海祐希」を抑えた1位は?【全国約1万人調査】
オールアバウト / 2024年11月26日 8時35分
-
246歳になった「国民的美少女」にネット仰天「雰囲気変わりましたね」出産、離婚経て女優復帰
スポーツ報知 / 2024年11月26日 11時15分
-
3斎藤工の“びしょ濡れセクシー”が後押しに?「海に眠るダイヤモンド」に上がる「水も滴るいい男」
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月26日 9時26分
-
4吉高由里子、茶髪変貌の〝サイン〟大河主演終え長期の充電期間突入か 昨年6月の熱愛報道もありプライベートに注目
zakzak by夕刊フジ / 2024年11月26日 6時30分
-
5【韓国スターの招聘に失敗】チョン・ヘインがTBS大作ドラマへの出演を辞退、企画自体が暗礁に乗り上げる危機 W主演内定の坂口健太郎も困惑
NEWSポストセブン / 2024年11月26日 7時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください