つばきファクトリーが語る、各々の個性をメンバー自身で徹底分析、つばきの本質とは?
Rolling Stone Japan / 2021年11月24日 18時0分
つばきファクトリーがトリプルA面シングル『涙のヒロイン降板劇 / ガラクタDIAMOND / 約束・連絡・記念日』をリリースした。収められているのは河西結心、八木栞、福田真琳、豫風瑠乃という4人の新メンバーが加入してから初となる新曲だが、新人離れした繊細な表現で4人はグループに新たな風を吹かせている。
【写真】つばきファクトリーの岸本ゆめの、秋山眞緒、河西結心、福田真琳
つばきファクトリーはこれがRolling Stone Japan初登場。そこで、グループの根本を探るべく事前にとある質問をインタビューの参加メンバー4人、岸本ゆめの、秋山眞緒、河西結心、福田真琳に投げかけた。そして、時間をかけてじっくり考えてもらった上でインタビュー当日に回答してもらうという形をとった。結果として、今回の新曲をきっかけに彼女たちに興味を持ったような新規リスナーにとって入り口になるような内容になったと思うので、じっくり読んでもらえるとうれしい。
―まず、とんでもない実力を持った新メンバーが加入しましたね。
岸本ゆめの:いやぁ、本当にそうなんです! 新メンバーオーディションの開催中からメンバー同士で「すごい子が入ってきてほしい」っていう話はしてたんですよ。
秋山眞緒:うん。
岸本:ソロパートとか歌割りを新メンバーに全部持っていかれてもいい、私たちの歌割りがゼロになってもいいって思えるぐらいの子が入ってきてくれたらうれしいって話をしてて、本当にそのとおりになったというか、ポテンシャルの高い4人が入ってきてくれたので、もちろん焦りはめちゃくちゃあるんですけどうれしいです。
秋山:最初に会ったときのイメージはみんなおとなしくて、「あまり声も出ないのかな?」と思ってたんですけど、リハーサルで歌を聴いたら「こんなに歌えるの……!?」みたいな。一般応募で加入した子が3人いるんですけど、「どこでそんな歌を覚えてきたの? 私にも教えて!」っていうぐらいの実力があって、「もっと頑張らなきゃ」って火がつきました。
―じゃあ、今はグループ内が活性化している状態ですか。
岸本:つばきファクトリーは結成からメンバーの追加なしで活動してきたので、よくも悪くもちょっとなあなあになってた部分があったと思うんですよ。メンバー間のライバル心が薄れてるというか。でも、新メンバーが入ってきてくれたことによってみんなメラメラできてると思います。
―さっきから新メンバーのおふたりは先輩たちの言葉に恐縮して首を振りっぱなしですけど。
岸本&秋山:あはは!
河西結心:先輩方がそういうふうに思ってくれていたというのがうれしいですし、新メンバー同士でも先輩方に負けないように歌やダンスを成長させていきたいねっていう話はしているので、みなさんに追いつけるように頑張りたいなと思いました。
福田真琳:私もそういうふうに新メンバーを見ていただいていたことがうれしいですし、グループの雰囲気を高められるような力をもったメンバーになれるように努力したいと思います。
―歌が上手いのはもちろん、いい声をしていますよね。
岸本:4人とも本当に声がステキで、おしゃれというか、なんて言い表したらいいのか難しいんですけど、現代寄りというか、一人ひとりがアーティストの声をしていて、それだけで楽曲の完成度が上がってると思います。今回のシングルで言うと、「涙のヒロイン降板劇」の洋楽っぽいメロディに最初からついていける声を持っているし、しっかりアプローチできていて。この曲はこれまでのつばきファクトリーじゃ歌えなかったと思うし、新メンバーが入ったことで大人っぽい曲が歌えるようになるってなかなかないことじゃないですか。それがすごいと思います。
―たしかに。秋山さんはどう感じていますか?
秋山:私も新メンバー4人の歌声が入った完成版を聴いたときに、最初のひと声から「え!? この声、誰?」と思ったら新メンバーで、表現の仕方でこんなに驚いたことは今まであまりないですね。
繊細な表現から生まれる大胆さ
―新メンバーのおふたりは今回のレコーディングでどういったところを意識したんですか?
河西:「涙のヒロイン降板劇」はおしゃれな曲なので、おしゃれに歌うためにリズムを意識しました。あと、最初は音程がうまく合ってなかったので、どう合わせるか意識しながら頑張りました。
福田:私は今回の3曲それぞれに違う女性像がある気がして、その女性像に合わせて歌い方をちょっとでも変えることを意識して練習しました。
―その女性像を簡単に説明するとどういう感じですか?
福田 そうですね……まず、「約束・連絡・記念日」からはタイトルにもあるように約束と連絡と記念日を大事にするちょっと重たい女性が見えたし、「ガラクタDIAMOND」の主人公はか弱い女性なのかなと思ったので優しく歌うことを意識しました。「涙のヒロイン降板劇」は前に進もうとする女性が見えたので、聴いてる人が前向きになれるように明るく歌うように気をつけました。
―という解釈だそうですが、いかがでしょう?
岸本:バッチリですよ。私は初レコーディングのときにそこまで楽曲を噛み砕けなかったので、本当にすごいと思います。尊敬します。
―今回のシングルは随所で繊細な表現が重要な役目を果たしているように感じました。
秋山:新メンバーの歌を聴いて、語尾の息の抜き方とかで歌の切なさを表現するのが上手いなと思いました。自分は音程とか歌を意識しすぎるので、歌に感情を乗せられるのはすごいと思います。
岸本:私はこれまでに比べてミュージック・ビデオ撮影で、カメラやスタッフさんの前でも恥ずかしがらずにすべてを出し切れるようになったと思っていて。
―これまでは照れがあったんですか?
岸本:曲に入り込むというよりも、「こういう表情をしよう」とか「ここはこうやって手を動かしたらいいかな」みたいに考えながらやってたんですよ。「こういう動きのほうが使われやすいかな?」とか(笑)。でも、そうじゃなくて、曲に入り込んだ状態で表現するほうがいいんだなって。
―なるほど。
岸本:だから、「約束・連絡・記念日」の歌詞はこれまでで一番主人公と自分が遠いと思っていたんですけど、ミュージック・ビデオ撮影では気づいたら涙が出そうになるぐらい曲に入り込んで曲の主人公になりきることができたと思います。前よりも恥ずかしがらずに今の自分を100で表現できるようになりました。
―今作のミュージック・ビデオを3本すべて拝見して思ったんですけど、たしかに皆さんの表情が素晴らしいですよね。ミュージック・ビデオを観ることで楽曲の理解がより深まりました。
秋山:表情に関してはファンの方からも「目線の使い方が上手くなったね」とか「こんな表情初めて見た」というコメントを頂きました。あと、私は新メンバーが入るまでグループでは最年少だったので、「新メンバーが入ってちょっと先輩になったことで顔つきが変わった」と言っていただけて、自分では気づかなかったけど「あ、そうなのかな?」ってちょっとうれしくなったりしました。
歌割りから生まれる効果
―楽曲の話に戻りますが、レコーディングでは各メンバー全曲フルで歌ったと思います。新メンバーの皆さんは、完成版を聴いて自分たちの歌が重要なパートに割り振られていて驚きませんでしたか?
河西:私は3曲のなかで「ガラクタDIAMOND」を最初にレコーディングしていて、アドバイスをたくさん聞きながら頑張ったので、出だしのパートをいただいたときはびっくりしたけどすっごくうれしかったです。でも、重要なパートだからこそライブで歌うときにもっともっと成長していかないといけないと思います。
福田:私は3曲とも個人的に好きなパートをいただけました。でも、「これが使われるんじゃないかな」と思っていたのと違うテイクが採用されているのを聴いて自分の解釈とは違う雰囲気を感じたので、これからは違う歌い方にも挑戦しながらレコーディングをしていけたらと思いました。
―今回、歌割りが細かいパートがあったりして、コンサートで歌うときの難易度が高そうだと思いました。短いパートを歌いつないでいくって実はすごく難しいんじゃないですか?
岸本:「約束・連絡・記念日」のAメロは10人のソロでつないでいて、そこは歌のリレーでもあり、気持ちのリレーでもあって、その気持ちをメンバー全員一度も崩しちゃいけないし、私の出番はすごく人を惹きつける真琳の声のあとにくるので、真琳の声を聴きながら若干緊張してスタンバってます。
秋山:あとは一番最後のパートもだよね。
岸本:そう、そこで新メンバーが単語をひとつずつ歌ったあとに先輩メンバーが7人一文字ずつ歌っていくんですよ。
秋山:あそこはもう、音程をとるのが難しくて。
岸本:たしかに。
秋山:一文字のソロパートってなかなかないし、私が担当している歌詞は<どれも>なんですけど、そこに音程をパーン!と合わせてつなげていくのがすごく難しいと思いました。
―それは全体での念入りな練習が必要になってきますね。
岸本:だから、武道館前のリハーサルでは、メトロノームを使ってディレクターさんと一緒にそこだけリズムの練習をめちゃくちゃしました。
―新メンバーにとってはなおさらハードルが高かったんじゃないですか?
河西:私も「音程とれないじゃん!」って思ったし、短いフレーズでどうやってファンの皆さんにアピールするか、どうやって曲のイメージを伝えるかがすごく難しかったので、武道館のコンサートではそこが一番緊張しました。
岸本&秋山:へぇ~。
福田:「ガラクタDIAMOND」の最初のAメロも新メンバーで歌いつぐんですけど、私は歌が苦手ですし、他の新メンバー3人に比べて、表現力もないほうだと思っているので……。
―何をおっしゃいますやら!
福田:いや、違います! 本当に本当に……そう思ってるので、表現力で負けないように短いパートでも惹きつけられるように練習したんですけど、そこが一番緊張しました。あと、「約束・連絡・記念日」と「涙のヒロイン降板劇」では2番サビの入り口のパートを歌わせていただいたんですけど、1番サビの入り口と同じフレーズだし、1番との違いを見せないと曲自体が面白くならないのですごく悩んだし、難しかったです。
岸本:ここはめっちゃステキなパートで、「涙のヒロイン降板劇」のサビに入るパートは1番を八木栞ちゃん、2番を真琳ちゃんが歌っているんですけど、ファンの方にピックアップされがちなのは栞ちゃんのほうなんです。それはたぶん、栞ちゃんの歌は表に出るエネルギーがあるし、ファンの方がすぐに食いつくような力があるからだと思うんですけど、2番の真琳は想いを内に秘めるような歌い方をするので、陰と陽、太陽と月みたいに、対象的な表現で私はステキだと思ってます。
新メンバー二人の自己評価
―すばらしい解説です! では、ここからは事前にこちらから出していた宿題に対する回答をお聞きしていきたいと思います。宿題の内容は、『つばきファクトリーを構成する3つの要素は「歌」、「ダンス」、もうひとつは何か』。さらに、『その3つの要素の重要度に合わせて持ち点10点を割り振る』というものでした。4人の回答から、「つばきファクトリーとはなんなのか」というところに迫っていけたらと思います。みなさん、回答は決まっていますか?
4人:決まってます。
岸本:カブるかな?
秋山:ね、ちょっとカブりそう。
―では、河西さんからお願いします。
河西:はい。歌=3、ダンス=3、食=4、です。
岸本&秋山:食=4!(笑)
岸本:間違ってはいない!(笑)
秋山:けど、意外な答え!(笑)
―(笑)。では、食=4の理由からお聞きしてもいいですか?
河西:はい。つばきファクトリーのメンバーは先輩方も同期も食べるのが大好きで、お弁当争奪戦があるんです。ゆっくり支度をしてからお弁当を取りに行くともう残りが少なくなってて。
岸本:1種類しか残ってなかったりね(笑)。
河西:それぐらい食べることが好きで、楽屋に置いてあるお菓子も先に来た方が食べたいものを取っていくので、私が行くと「わ! なくなってる!」っていうことがよくあります。
―理由はわかりましたが、食が歌やダンスよりも高い4点なんですね。
河西:先輩方も含めて、大口でお弁当を食べているメンバーの姿が一番かわいらしいのでポイントを高くしました。
―今、秋山さんは河西さんの話を聞きながら岸本さんのことを指差してましたね。
秋山 岸本はつばきファクトリーの中でトップレベルで食にうるさいタイプで、最初はやさしかったんですけど、今は新メンバーのことを気にせず自分の好きなお弁当をとっていくし、そもそも彼女はお弁当を一番最初に取っていくので、私は毎回唐揚げ弁当を取られるんですよ。
岸本:お弁当が運ばれてくるまで廊下で待ってたりします。それで、先に自分が食べたいのを取ってからほかのメンバーにお知らせします。
―あはは!
岸本:「お弁当、来てたよ~」って。考えてみると、普段メンバーと話してるのって9割が食べ物の話ですね。
―なるほど(笑)。河西さんは歌とダンスをそれぞれ3点にしていますがこれはなぜですか?
河西:新メンバーはダンスをやったことのない人が多かったので、武道館公演の前には先輩方がお休みの日なのに教えに来てくださりました。同じ点数にしたのは、歌が得意な先輩とダンスが得意な先輩がどちらもいらっしゃるからです。
―今、ご自分のなかでは歌とダンスどちらも同じぐらいできていますか?
河西:私はチアダンスをやっていたので、個人的にはダンスは4で、歌が2ですね。
―わかりました。では、続いて福田さん、お願いします。
福田:はい。歌=3、ダンス=3、柔和さ=4です。
岸本:にゅうわ?
秋山:初めて聞いた(笑)。
―(笑)歌とダンスよりも柔和さが上なんですね。
福田:そうですね。つばきファクトリーの先輩方と初めて会ったときからグループの雰囲気が穏やかで安心感があったし、つばきファクトリーにはいろんなタイプの楽曲があって、それぞれの楽曲の女性像に合わせて先輩方が歌ってらっしゃる姿を見て、曲に対する柔軟性があるなと思ったし、そういう意味でも柔和だなと思いました。
―柔和だそうです。
岸本:頭いいね。
秋山:頭いい!
岸本:私たち、<柔和>なんて言葉使ったことないよ。自分たちのことはこれまで<カメレオン>って言ってきてたから。
―あはは!
秋山:たしかに。これから私たちの代わりに全部しゃべってほしい(笑)。
―福田さんも歌とダンスは3なんですね。
福田:そうですね。(河西)結心ちゃんと理由は似てるんですけど、ダンスに強い先輩もいれば、歌に強い先輩もいることでグループのバランスがすごく保たれてると思うのでどちらも3点にしました。
ダンス表現のさらにその先を目指すために
―おふたりとも表に見えるパフォーマンス以外の要素に多く点数を割り振っていますが、これはつばきファクトリーというグループからそれ以上のものを感じているということですか?
河西:BSスカパー!さんで「行くぜ!つばきファクトリー」という番組をやらせていただいているんですけど、先輩方の番組内での姿と楽屋での姿が同じで、みなさん仲がいいんです。つばきファクトリーはパフォーマンスでの表現力がすごいグループなので、最初はそこに魅力を感じていたんですけど、それ以上に一人ひとりの人間性に惹かれるものがあることがわかりました。あと、見えないところで努力していたり、そういうところもカッコいいなと思います。
―そういう表に出てこない部分って、ステージで見えたりするんですか?
福田:こないだの武道館公演で感じたんですけど、パフォーマンス中に先輩方と何度か目が合う機会があって、そのときに緊張をほどいてくれるような明るい笑顔してくださって、そういうところにグループの温かさを感じました。
―というお話ですがいかがですか。
岸本:こんなにしっかりとグループのことを見れているのがすごい。あと、謙遜してるのかもしれないけど、つばきファクトリーというグループ内での自己評価が低いと思いました。つばきの結心、つばきの真琳としてはもっと自己評価が高くていいのかなって。「先輩方が」っていうことをたくさん言ってくれたけど、私はお互いイーブンで高め合えるぐらいの存在だと思ってるし、パフォーマンス面ではビジネスパートートナーというか、上下関係なくやれる4人だと思ってます。
河西&福田:(恐縮しながら)ありがとうございます……。
岸本&秋山:あはははは!
―では、続いて秋山さん、お願いします。
秋山:はい、歌=3、ダンス=3、表現=4、です。
―なるほど。
秋山:表現に関して最近思ったことがあって、ダンスの正確さとか歌の音程やリズムももちろん大事なんですけど、「気持ちを伝える!」みたいな姿勢のほうがグッと来ると思っていて。たとえリズムが取れてなくても、ただ歌うだけじゃなくて何かしら自分の気持ちを伝えて表現することで見てくださっている方を惹きつけられるんじゃないかと思いますし、それが一番大事なのかなと思いました。たとえば、私は岸本ゆめのちゃんの歌を聴きながら、毎回泣きそうになるんですよ。自分もそういう表現をしたいという思いも込めて表現を4にしました。
―でも、ダンスが得意な秋山さんがダンス=3というのは意外でした。
秋山:前は「ダンスが一番好き! ダンスがあれば十分!」って感じだったんですけど、やっぱり歌って踊る職業だしメンバーには歌が上手い子がたくさんいるので、自分も歌で勝負したい、歌でも好きになっていただきたいっていう気持ちが強くなってきて、最近はあまりダンス踊ってないです(笑)。
―そうなんですね。
秋山:苦手だから嫌になるんじゃなくて、それを楽しいと思えるように最近は頑張ってます。
―つばきファクトリーとして活動する上で、ダンスはこれまで思っていたほど重視する必要はないんじゃないか、ということですか?
秋山:うーん、ダンスはダンスで昔よりも自分の表現が強くなったというか、表現しやすくなったというか。基本はできていると思うので、そのさらに上の表現、ひとつひとつの動きでも魅せられる人間になりたいと思ってます。
秋山眞緒(Photo by Rika Tomomatsu)
―それもあっての表現=4なんですね。
秋山:はい、そうですね。
―話を伺っていると、次のステップに向かっているように見えます。
秋山:昔よりは上を見ているような気がします。
―自然とそうなったんですか?
秋山:メンバーからの影響が大きいかもしれないです。私はダンスよりも歌でメンバーから刺激を受けやすくて、リハーサルのときに「うわぁ、ここ痺れるなあ!」って思ったり、パフォーマンス中に岸本ゆめのちゃんのフェイクで鳥肌が立ったりするし、「自分もこうなりたい!」ってすごく思うんですよ。なので、歌をもっと頑張りたいです。
「個性があるからこそいろんな楽曲を表現できている部分もある」(岸本)
―今の話を聞いてどうですか?
岸本:幼い頃からダンスをやりながら育ってきて、つばきのなかでもダンス面で引っ張ってくれている秋山眞緒ちゃんがこういう割り振りにしたっていうのが大人だなというか、ちゃんとグループのことを考えているんだなと思いました。自分の得意なジャンルだけじゃなくて、すべてを身につけて表現することを選んでいることがグループの一員としてカッコいいと思います。
秋山:……うれしい。
全員:あはは!
秋山:がんばろっ!
―マスクをしているので目しか見えないですけど、ニッコニコなのが伝わってきますよ。
秋山:もう、めっちゃ笑ってます! ほっぺたの筋肉、めっちゃ痛いです(笑)。
―あはは! では、ラスト、岸本さんお願いします。
岸本:私、こうでありたいという理想と現状の2パターンを考えていて。
―では、現状からお願いします。
岸本:現状は、歌=2、ダンス=1、個性=7、です。
秋山:おお~。
―個性=7。
岸本:はい。歌はファンの方から褒められることが増えてきたんですけど、まだまだ足りてないなと思っています。あと、今、ダンスは時代的に注目されていて、ダンスに重きを置いているグループやアーティストもいっぱいいらっしゃって、全体的にダンスのレベルが上がっている中で考えると、自分たちのレベルは低いのかなって。特に私はダンスが苦手だし、まおぴん(秋山)はつばきファクトリーでは自分のダンスを表現しきれてないんだろうなっていつも申し訳なく感じているから、周りがもっと追いつかなきゃいけないと思っていて。
秋山:いやいやいや。
岸本:あと、つばきファクトリーはハロー!プロジェクトの中でもパフォーマンスが一番に求められるグループではなかったんですよ、新メンバーが入るまでは特に。どっちかというと、ファンの方もそれぞれの個性とかキャラクターを好きになって、ついでに曲を聴く、みたいな人の割合が高くて。本当はもっと歌とダンスの点数を上げたいんですけど、個性があるからこそいろんな楽曲を表現できている部分もあるんです。歌が上手いというのとは違うんですけど、すごくかわいい歌声で曲を引っ張っていけるメンバーがいたり、これまでの楽曲も切なさとかロックっぽさとかエモーショナルな感じを各メンバーの個性で表現してくれてたので、個性の点数を高くしました。
岸本ゆめの(Photo by Rika Tomomatsu)
―今の話はどうですか。
秋山:私的にはめちゃめちゃ納得というか、これが今の現実だなと思いました。
―では、理想をお願いします。
岸本:理想は、歌=4、ダンス=4、個性2、です。
―その心は?
岸本:ここから個性が下がることはないという前提で、それを歌とダンスが超えてくれたらいいなと思っています。ダンスが流行ってるから、K-POPが流行ってるからそのマネをしたいわけではなくて、歌とダンスのレベルは常にみんなで上げていかないといけないと思ってます。
秋山:私も理想としては歌とダンスのパフォーマンスで見せられるグループになれたらいいなとはずっと思っています。これからできることは本当に山ほどあるし、「今日は疲れたし何もやりたくない」っていう日もいっぱいあるんですけど、それに負けちゃいけないし、どれだけ弱い自分に勝てるかがこれからは大事になってくると思います。
「カメレオン」の強み
―新メンバーが加入して、初の武道館公演も終えて、新体制初となる新曲もリリースした今、自分たちの今後について考えるタイミングなのかなと思ったんですが、この先、みなさんはどこへ向かっていきたいですか?
岸本:どこへ向かっていきたいんだろう……。
秋山:考えちゃう……。
岸本:もっと多くの方につばきファクトリーを知っていただいて、好きになっていただくことが常に目標ではあるんですけど、好きになっていただくきっかけが歌やダンスがトップじゃなくてもいいと思っていて。どこかでしゃべることだったり、文章を書くことだったり、そういう個性をそれぞれのメンバーがいろんなところで発揮していけるようになりたいです。だけど、キャラクターはよくてもパフォーマンスがいまいちっていうのも嫌だし、歌とダンスで知っていただけてもしゃべりを見てるのは飽きるって思われるのも嫌だし、全部のジャンルでつばきファクトリーの輪を広げていけたらと思ってます。
―ベーシックな技術を磨くのは大前提で、それぞれの個性を様々な場所で発揮していけるような力を身につけたいと。
岸本:そうですね。自分はグループ内では年上で、今後も新メンバーが入ってくるとしたら自分は先に抜ける人間になると思うんですけど、長く続くグループにしていけるように自分ができることをやっていきたいです。
河西:私も岸本さんと似ているんですけど、一人ひとりの得意なことを伸ばしていって、歌とダンスは基本として、そのほかの部分でも一人ひとりが活躍できるようなもっと魅力あふれるグループにしたいと思います。あと、また武道館でコンサートをしたいし、もっと大きいステージでもパフォーマンスを披露したいなって武道館でのコンサートを通じて思いました。
河西結心(Photo by Rika Tomomatsu)
―個性を発揮していきたいという言葉がありましたけど、言い換えると、今の自分たちにはそういう個性を発揮する上での発信力が足りないということなんですかね。
岸本:それぞれが少しずつSNSとかで発信しようとしている感じは見えるんですけど、うまく広がっていないのが現状なので、一人ひとりがもっと自分の好きなことを突き詰めないといけないのかなと思います。
―今日話したことをまとめると、つばきファクトリーってなんなんでしょうか。
岸本:いい意味で、つばきファクトリーには決まったグループカラーがないと思っていて、楽曲や衣装に対して「つばきファクトリーらしいね」って言われることもあるんですけど、それを感じるポイントが人によって違うんです。今回もこれまでにないジャンルの新曲を通じて新しいつばきファクトリーを見ていただけると思いますけど、それが次にも続くのかというとそうではなくて、表現の引き出しが増えたという感覚なんです。ひとつの色に決まっていないからこそ、何色にもなれるのがつばきだと思います。
秋山:メンバーの個性がバラバラで、表現の仕方が真逆の子もいたりするぐらいなので、これからもどんな顔でも見せられるようになれたらいいなと思います。
―それがさっき口にしていた「カメレオン」ということなんですね。
岸本:そうだと思います。つばきファクトリーに12個の色があるとしたら、それぞれのメンバーが各色のリーダーを担えているというか。すっごいかわいくて、全体を引っ張ってくれる子、感情系で引っ張ってくれる子、クール系で引っ張ってくれる子……バラバラの12色が揃ってると思います。
―今の先輩方の話を聞いてどうですか?
福田:今回、つばきファクトリーを構成する要素という質問に対する答えが4人それぞれ違っていたことからも、つばきファクトリーはどんな目標にも進めるし、どんな路線でもやっていけるグループなのかなって改めて思いました。
福田真琳(Photo by Rika Tomomatsu)
―素晴らしいまとめです。
秋山:(拍手)
岸本:言葉がもう、すごいわ!
左から、河西結心、秋山眞緒、岸本ゆめの、福田真琳(Photo by Rika Tomomatsu)
<INFORMATION>
【初回生産限定盤A】
8thシングル
『涙のヒロイン降板劇 / ガラクタ DIAMOND / 約束・連絡・記念日』
つばきファクトリー
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