LiSA武道館ライブレポ、「10年前のわたし」に向けた最高のプレゼント
Rolling Stone Japan / 2021年12月14日 19時30分
LiSAのソロデビュー10周年を記念した全国アリーナツアー『LiVE is Smile Always〜LADYBUG〜』が12月8日、日本武道館にて幕を下ろした。本ツアーは7月9日の大阪城ホールからスタート。追加公演の武道館2DAYを含む全国6都市12公演を完遂した。
【もっと写真を見る】LiSA『LiVE is Smile Always〜LADYBUG〜』
本ツアーは今年5月にリリースされたソロデビュー10周年を記念したミニアルバム『LADYBUG』を携えたものだが、昨年10月に発売されたフルアルバム『LEO-NiNE』収録曲や大ヒットシングル「炎」、そして約半年におよぶツアー期間中に発表されたCDシングル『HADASHi NO STEP』『明け星 / 白銀』や配信楽曲「往け」なども加えた、非常にバラエティ豊かな選曲で展開。10年間を総括するというよりも、ソロデビューから10年を経てここにたどり着いたLiSAの現在を示すような内容と言えるものだった。
会場が暗転すると、アリーナ中央に設置された円形ステージ上のスクリーンに「10年後のわたしへ」と題された、10年前のLiSAから今のLiSAへの手紙が映し出される。デビュー目前で不安を抱えていた2011年のLiSAの思いを晴らすかのように、ライブは「dawn」から勢いよくスタート。バンドメンバーのエッジの効いた演奏に乗せて、LiSAは360度オーディエンスに囲まれた形で力強い歌声を響かせていく。そのまま「全部楽しむ準備はいい? 最高に楽しんでいきましょう、ピース!」を合図に「白銀」へと突入すると、LiSAとバンドの勢いはさらに加速し、続く「ADAMAS」では早くもクライマックスと呼ぶにふさわしい盛り上がりを見せる。この曲ではLiSAがリズムに乗せてフロアタムを力強く叩きつけ、そのビートにあわせて観客が拳やペンライトを高らかに掲げる。まだまだ声を出したり一緒に歌ったりして楽しむことは難しい状況だが、それでも普段のLiSAのライブと寸分違いない熱さが伝わってきた。
Photo by Viola Kam (Vz Twinkle)
その後は「ViVA LA MiDALA」「GL」と、ミニアルバム『LADYBUG』からの楽曲を連発。後者ではチャイナドレス風衣装に身を包んだLiSAが、ダンサーたちと息の合ったパフォーマンスを見せていく。パワフルな歌と演奏以外にも、こうして視覚面でもじっくり楽しませてくれるのがLiSAのライブの魅力であり、そのエンターテイメント性の高さは現在のような”観客の声を奪われた”状況でより強く発揮しているように映る。外周が回転する仕組みの円形ステージや煌びやかな照明、曲中や幕間に用意された映像演出もその一環であり、会場でライブを体験した者は一緒に歌えない、声援を上げられないことに対する不満は一切なかったのではないだろうか。
Photo by Viola Kam (Vz Twinkle)
本編ラストに披露された「ハウル」の感動
ドレスを脱ぎ捨て、露出度の高い衣装で艶かしいパフォーマンスを見せた「わがままケット・シー」、曲にあわせてカラフルでポップな衣装で披露した「ノンノン」、観客がハンドクラップやフットスタンプで演奏に加わる「妄想コントローラー」と緩急に富んだ選曲でオーディエンスを魅了するLiSAだが、MCでは「私、今日緊張してます。(バンドメンバーに向けて)ソワソワしてない、私?」と本音を吐露する一面も。バンドメンバーとの和気藹々としたトークに続いて、LiSAは「不安定な世界で、不安になったり臆病になったり、特にこの2、3年はいろんなことに気持ちを期待したり、それがなくなったり、いろんな思いを重ねながら、それでもいつかこうやってまたみんなと集まって楽しめる日が来るんだと信じながらやってきました。そして、今日迎えたファイナルです」と武道館でツアーファイナルを迎えられた喜びを噛み締め、「いつも私をこのステージに、どんなことがあってもこのステージに立たせてくれたのは、目の前に、この瞳に映るみんながいてくれたからです」と感謝の言葉とともに「シルシ」をアカペラで歌い始める。途中からピアノやアコースティックギターなどが加わり、柔らかなアレンジで披露されたこの曲中では、感極まったLiSAが瞳を潤ませる瞬間が何度もあった。それは客席側も同様で、このかけがえのない瞬間を会場で共有できた幸せを噛み締め、涙をこぼす観客の姿も多数見受けられた。
Photo by Viola Kam (Vz Twinkle)
この余韻を抱えたまま最新ナンバーのひとつ「往け」へとなだれ込むと、さらに前進していこうとする強い意志が伝わってくる歌詞とポジティブなサウンドにハッとさせられる瞬間が何度もあった。その後もバンドメンバーのPABLO(Gt)のヴォーカルをフィーチャーしたビートの強い「play the world! feat.PABLO」、疾走感の強いサウンドに乗せてポールに掴まったLiSAがステージ外周を高速回転する「RUNAWAY」と、耳でも目でもオーディエンスを楽しませ続ける。そして、和装スタイルの衣装に着替えたLiSAは「炎」で会場の空気を一変。続く「明け星」で壮大な世界観を展開し、ダメ押しの「紅蓮華」でさらなるクライマックスに突入。アニメ『鬼滅の刃』テーマソング3連発というキラーチューン連発の豪華構成に、観る者すべてが圧倒されたはずだ。
Photo by Viola Kam (Vz Twinkle)
Photo by Viola Kam (Vz Twinkle)
このクライマックスはまだまだ終わらない。ライブ終盤の盛り上げには欠かせない「ROCK-mode18」を経て、初めてこの日本武道館でのライブを経験したことで歌詞が生まれた代表曲「Rising Hope」へと流れると、会場の熱気は最高潮に到達。LiSAの口からは「サイコーや、武道館!」と、自然に喜びの言葉がこぼれる。そして、ファンへの感謝を込めてライブ本編ラストに披露されたのは「ハウル」。開放感の強いサウンドに乗せて歌われるサビの歌詞は、まさにこの日のために用意されたのではないかと錯覚するほど、今この瞬間と重なるものがあり、いつもよりも強く胸に響いたことは特筆しておきたい。最後にLiSAが放った「どんな日も、今日を越えていけ! 今日を、今日を、今日を越えていけ! ピース!」の言葉どおり、この曲を聴けばいつでも2021年12月8日のあの瞬間が思い浮かび、この先どんなことがあっても今日を越えていけるはず……そう信じてやまない。
「10年後のわたし」へつなぐバトン
ライブ本編が終わると、スクリーンには「10年前のわたしへ」と題した、オープニング映像へのアンサーが上映される。”アーティストLiSA”はじまりの1曲である「Believe in myself」が流れる中、今のLiSAが10年前を振り返っていくと、「Believe in myself」やソロデビューミニアルバム『Letters to U』への”10年後のアンサー”である「Letters to ME」からアンコールに突入。LiSAは大切な思いが込められた「Letters to ME」をステージ中央で歌うも、途中で込み上げるものがあり、涙を拭いながら歌で思いを届けていく。最後はピースサインを高らかに掲げると、場内にはこの日一番の盛大な拍手が鳴り響いた。
Photo by Viola Kam (Vz Twinkle)
深々とお辞儀をしたLiSAは、「10年、最高の日ばかりじゃなかったけど、120点の、200万点の、300万点の、『今日もいい日だ!』と言える完璧な日ばかりじゃなかったけど、その1つひとつを、最低かもしれない1つひとつを、みんなが会いにきてくれたこの1回1回を、大切に作った1曲1曲を、毎日生きている1日1日を、最高じゃなかったなんて思いたくなくて。みんなと生きている今日は最高なんだって、『今日もいい日だ!』って唱え続けてきました。うまく言えないけど、10周年『LADYBUG』ツアー、今日ここ日本武道館でみんなと迎えられたことを、今日は本当に本当に、最高に『今日もいい日だ!』と言えます」と涙ながらに挨拶。続けて、「みんなが一緒に信じてくれた今日のように、私もみんなと生きている今日を信じています。だから、思い切り走っていっていいよ。そして、また10年後も一緒に遊ぼうね!」と新たな決意を胸に、正真正銘のラストナンバー「Another Great Day!!」を武道館を飛び越えるほど力強く歌い上げ、10周年を祝福するアリーナツアーを大成功のうちに締めくくった。
この10年間、ライブを通してLiSAの最高の瞬間を、そして失敗した瞬間を数々目にしてきた。そんな彼女が武道館のステージで見せたこの日のライブは、間違いなくキャリア最高峰と呼べるほどの完成度だったと確信している。単にベスト選曲で10年を総括するのではなく、最新ナンバーの数々で今を見せることが「10年前のわたし」に向けた最高のプレゼントであり、ここから先の「10年後のわたし」へつなぐバトンでもあるのだから。
2022年4月には、早くも次のライブ『LiVE is Smile Always〜Eve&Birth〜』も控えており、4月20日のソロデビュー11周年記念日には再び日本武道館のステージに立つことも決定している。充実した作品/楽曲を連発したLiSAだが、来年はその創作意欲がさらに加速するのか。そして今回のツアーを超えるライブをどれだけ見せてくれるのか。今から楽しみでならない。
【関連記事】LiSAが語る2010年代「10年貫いてきたからこそ、仲間に入れてもらえた」
『LiVE is Smile Always〜LADYBUG〜』(2021.12.8)セットリスト
01. dawn
02. 白銀
03. ADAMAS
04. ViVA LA MiDALA
05. GL
06. わがままケット・シー
07. ノンノン
08. 妄想コントローラー
09. シルシ
10. 往け
11. play the world! feat. PABLO
12. RUNAWAY
13. 炎
14. 明け星
15. 紅蓮華
16. ROCK-mode18
17. Rising Hope
18. ハウル
--ENCORE--
19. Letters to ME
20. Another Great Day!!
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
imaseが初のホールツアーで見せたポップスターの矜持
Rolling Stone Japan / 2024年11月25日 22時10分
-
Juice=Juice 日本武道館で白熱ライブ! 江端妃咲「ツアーの最初はもうアザだらけだったんですよ」
東スポWEB / 2024年11月19日 21時4分
-
BEYOOOOONDSが武道館でツアー千秋楽で全員号泣?DJ KOO登場で会場大盛り上がり
日刊スポーツ / 2024年11月18日 21時50分
-
とんねるず、“29年ぶり”日本武道館ライブで計1万8千人動員 サプライズ演出に会場どよめく
モデルプレス / 2024年11月10日 16時47分
-
BALLISTIK BOYZ、念願の初武道館 “NEXTステージ”に向かうための一歩に
ORICON NEWS / 2024年11月6日 21時48分
ランキング
-
1私立恵比寿中学・星名美怜、突然の「契約終了」 残るメンバーは謝罪...ファン衝撃「本当にちょっと待って」
J-CASTニュース / 2024年11月26日 12時55分
-
2辻希美&杉浦太陽の長女、芸能事務所入り たった2時間でフォロワー8・5万人!両親も宣伝「おめでとう」
スポニチアネックス / 2024年11月26日 15時11分
-
3テレ朝 松本人志の裁判終結で吉本興業幹部から“報告とお詫び”も…「今後のことはまだ決まってないと」
スポニチアネックス / 2024年11月26日 14時28分
-
4「また干されるよ」ヒロミが「もう辞めるか?」のボヤキ、視聴者が忘れないヤンチャ時代
週刊女性PRIME / 2024年11月26日 11時0分
-
5美しいと思う「50代の女性芸能人」ランキング! 「天海祐希」を抑えた1位は?【全国約1万人調査】
オールアバウト / 2024年11月26日 8時35分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください