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錦鯉が語る、ブレない生き様「漫才には一生かけて恩返しする」

Rolling Stone Japan / 2021年12月18日 12時30分

錦鯉(Photo by 相澤宏子)

いまや年末の風物詩となり、今年で17回目を迎える漫才コンテスト『M-1グランプリ2021』(以下、『M-1』)。その決勝進出者9組の中でも、優勝候補と言われているのが2012年に結成されたコンビ、錦鯉だ。ボケの長谷川雅紀が「こーんにーちわーー!!」と大声で挨拶すれば、舞台上で繰り広げられるのは昭和の少年マンガを彷彿とさせるギャグのオンパレード。「うるせーよ!」と、相方のスキンヘッドを遠慮なく引っ叩く渡辺隆のツッコミも痛快で、2020年に「M-1史上最年長ファイナリスト」として決勝の舞台に立つと、長谷川がパチンコ台に扮するネタで一躍お茶の間の人気者に。結果は惜しくも4位に終わったものの、その後1年間の活躍と無双っぷりは言うまでもないだろう。彼らの半生を対談形式で綴った初の自叙伝、『くすぶり中年の逆襲』も大きな話題となった。

Rolling Stone Japanでは、『M-1』準決勝を終えた直後の錦鯉をキャッチ。『M-1』にかける想いはもちろん、2人の音楽ルーツや今後の野望まで語ってもらった。

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ーまずは2年連続の『M-1』決勝進出、おめでとうございます!

長谷川雅紀(以下、長谷川):ありがとうございます! なんとか……行けました。

ー他のコンビもランジャタイ、モグライダー、真空ジェシカなど、ずっと地下で一緒に戦ってきた顔ぶれですよね。「なかの芸能小劇場」がそのまま地上波にやってきたというか。

渡辺隆(以下、渡辺):1000円で観れるメンツですよ(笑)。

長谷川:ビックリしましたよね。今回の決勝進出者9組を予想できた人っているのかな?

渡辺:ホントにそうで、有力候補に目された芸人たちが残っていないですからね。



ーそのいっぽうで、敗者復活戦のラインナップがえげつないことになっていて。

長谷川:敗者復活の方でもう1個『M-1』できるって言われてるくらい豪華ですよね。

渡辺:決勝より視聴率よかったらどうすんの?って感じですよ(苦笑)。

ー実際のところ、準決勝でも「これ行ったな!」っていう手応えはあったんじゃないですか?

長谷川:正直、手応えはなかった……というより、わからなかったですね。やることはやれたし、お客さんにもウケてたとは思います。でも他のコンビの様子も見られなかったし、全組爆笑だったという話を聞いていたので、結果がどう転んでもおかしくないかなって。

渡辺:僕らのできる限りという意味では手応えありましたけど、それこそ雅紀さんが言ったようにマジで全組ウケていたんで……。あんな良いライブは他にないんじゃないかと思いますよ(笑)。

ー今年は東京のライブビューイングが開催されなかったこともあり、当日はTwitterからの現場レポートだけが頼りでした。

渡辺:お客さんにとっては最高のライブだったかもしれないけど、出ている僕らにとってはもうヒヤヒヤしかなかったです。

長谷川:でも、出場した芸人はみんな同じ気持ちだったんじゃないですかね?

ー2020年の決勝は9番手でしたけど、いつまでも笑御籤(えみくじ)で引かれないから、待機ルームの光景が『そろそろ にちようチャップリン』のスタジオかと思いましたよ(笑)。

長谷川:アッハッハ!!

渡辺:ウエストランドと僕らだけポツンと残っててね(笑)。

ー今年は何番手だったら良いなって思いますか?

長谷川:僕は5番目より前がいいなって。まあ僕らならトップバッターでも大丈夫かな。2020年はファーストラウンドで敗退だったから、暫定ボックスにすら行けなかったんですよね。

渡辺:普通、4位って座れてる順位じゃないですか。後半に札が引かれるとそういうこともあるし、最終的にはもう何番手だろうと優勝するしかないんですよ。



ーお2人が所属するSMA(ソニー・ミュージックアーティスツ)は、『キングオブコント』(2012年のバイきんぐ)と『R-1グランプリ』(2016年のハリウッドザコシショウ、2017年のアキラ100%)でチャンピオンを輩出しているので、錦鯉さんが『M-1』を獲ったら最強の事務所になるかもしれませんよね。

渡辺:そうなんですよ。それもオリンピック・イヤーにSMAからチャンピオンが生まれていて、去年はコロナ禍でオリンピックが開催されなかったから、僕らも優勝を逃したのかなって(笑)。だから今年はイレギュラー的に優勝できねえかなって思っています。楽しみで仕方ないですよ。

ー決勝当日にやるネタって、ギリギリで変える可能性もあるんですか?

長谷川:今まさに考え中ではあるんですけど、去年マヂカルラブリーがファーストラウンド直前で「つり革」から「フレンチ」のネタに急遽変えたって言ってたじゃないですか?あんなこと僕らはできないと思うし。

渡辺:まあホントかどうかはわからないですけどね(笑)。あの2人のことですから。

ー2020年は絶対に「パチンコ台」のネタをやるって決めていたそうですね。

長谷川:そうですね、去年はその一択しかないなって思ってました。前のコンビのウケ具合によってネタを変えるなんて、1ミリも考えてなかったです。

ーところで、M-1の予選を勝ち進んでいく中で、特に気になった芸人はいますか?

長谷川:今回はじめて知ったんですけど、ダウ90000は面白いなあって。出番終わってから検索して、普段やられている舞台のコントとかもYouTubeで何本か見ちゃいましたもん。なんかワクワクしますよね。東ブクロ(さらば青春の光)のラジオにもゲストで呼ばれていて。



ー主宰の蓮見翔さんは、東京03、かが屋、虹の黄昏にも脚本を書き下ろしてますね。錦鯉さんは2019年の『キングオブコント』で準々決勝に進出されてましたし、コントの脚本をオファーしてみてはいかがですか。

長谷川:いやいやいや、恐れ多いですよ(笑)。最近はなかなかコントをやる機会もないですからね。

ー渡辺さんはいかがですか?

渡辺:僕、他の芸人のネタあんまり見ないんですよね(笑)。『M-1』期間なんかは特に、影響されちゃうと良くないかなと思って。でもモグライダーは面白かったですよね、地下でずっと一緒にやってきたコンビですけど、「やっぱおもしれーなあ」って再確認しました。

ーツッコミの芝大輔さんは男前ですし、平場のトークも回せますもんね。

渡辺:スゴイっすよ、あいつは。

長谷川:恐ろしいですよね。メイプル超合金のカズレーザーも、「俺らはモグライダー芝さん待ちだから」って言ってたじゃないですか?お笑い界の勢力図が変わるんじゃないかっていう期待感もあります。


※ゆにばーす川瀬名人がモグライダー芝について語るのは17分頃から



ー2021年は本当に多忙だったと思うんですが、「忙しすぎて自分が今どこにいるかわからなくなる」みたいな瞬間はありますか?

渡辺:ありますね。ロケで車に乗ってるときとか、「これ何の番組だっけ?」「どこ行くんだっけ?」って考える瞬間がありますし、酷いときにはさっきの仕事の内容も忘れちゃったり(笑)。あと同じ日に何本も収録が重なってたりすると、行った現場で「アレ?思っていたのと違うな」って思ったら、「これ、次の仕事じゃん!」とか。



ーテレビといえば、渡辺さん憧れのダウンタウンさん(『ダウンタウンDX』)にも会えましたし、長谷川さんはくりぃむしちゅーのお2人とも共演されましたよね。もう会いたかった芸能人には全員会えたんじゃないですか?

長谷川:そうですね、タモリさんにも先日『タモリ倶楽部』の収録でお会いできましたし、関根勤さんとも収録でご一緒しまして。個人的に、まだお会いできていないのは木梨憲武さんですかね。我々が会えるような番組があればいいんですけど、「食わず嫌い王決定戦」(『とんねるずのみなさんのおかげでした』)にも出たかったなあ。

ー今でも続いている番組だと、いつか『徹子の部屋』に出たいともお聞きしました。

長谷川:そうです。あとは黒柳徹子さんにお会いしたいという想いが強いですね~。

渡辺:テレビ出たがりなんですよ、雅紀さん。ちょっと怖いくらい(笑)。

ー以前は斉藤由貴さんのファンクラブにも入っていたそうですけど、斉藤さんとはまだ?

長谷川:それこそめったにお会いできる機会がないじゃないですか。コンサートに行って楽屋挨拶するしかないかな(笑)。なんたってファンクラブの会員証とか会報もまだ持っていますから! 【芸人芸人芸人ライブ】

たくさんサインして、たくさんハイタッチして楽しかったです!
僕が斉藤由貴のファンだったのを知っていたらしく出囃子に卒業がかかって、びっくりしました!!
めちゃくちゃテンション上がりました!!
ありがとうございました!!!#芸人芸人芸人 pic.twitter.com/YMNbpLSkqj — 長谷川まさのり 錦鯉 (@norinorimasa2) January 27, 2020 渡辺:まだ使えんのかな?持っていったほうがいいよ。

長谷川:(RSJの表紙を見つめながら)そうそう、ローリング・ストーンズで思い出したんですけど、僕、X JAPANが好きなんですよ。北海道でやったコンサートで、泣きながらXジャンプしてましたもん。

ーあ、「ズ」はいらないんです(笑)。X JAPANといえば、『錦鯉の人生五十年』(ラジオアプリGERAで配信中)でも語っていましたね。お2人は楽器を演奏したり、バンドを組んだ経験ってあるんですか?

渡辺:楽器は全然やってないですねー。

長谷川:僕、高校のときに友だちからギターを借りて、BOØWYの「Marionette -マリオネット-」の間奏部分だけひたすら練習したことがありますね。今はもう弾けないですけど(笑)。ハッハッハッ!!

渡辺:男子がみんなギターを持つ思春期に、僕はもうお笑いの方にハマっちゃってましたね。

ーでは、はじめて行ったコンサートって何でしたか?

長谷川:僕はやっぱり、中学生のときに行った斉藤由貴さんかな。で、さっきのX JAPANが19歳か20歳の頃。それと、ここ最近は米米CLUBのコンサートに行ったぐらいで……。たぶん人生でその3組しかコンサートには行ったことないかも。

ー「熱血教師」のネタでは、校歌がレッド・ツェッペリンの「移民の歌」だというくだりがあるじゃないですか。あれって渡辺さんのアイデアですか?

渡辺:いや、あれは2人で「何歌ったら一番おもしれぇかな?」って話し合って。ブルーザー・ブロディの入場曲だったというのは後付けです(笑)。だから音楽はそこまで詳しくないんですけど、コンサートといえば、芸人になってから永野さんや野沢ダイブ禁止(虹の黄昏)と一緒に「ロッケンロー☆サミット」へ遊びに行ってましたね。ギターウルフとか見ましたよ。



ー永野さんといえば、ロックについて語ったYouTubeチャンネル(永野CHANNEL)が話題ですよね。

渡辺:あの人はホントに音楽マニアだから。永野さんは自分のこと、芸人じゃなくてアーティスト、もしくはスターだと思ってますからね。芸人扱いするとたまに怒られますもん。

ーいっぽう長谷川さんは、マッサジル(錦鯉の前に組んでいたコンビ)時代に「ロックミュージシャン」というネタもやっていました。錦鯉さんのネタってリズムやテンポも含めて、すごく音楽的だと思っているんですが、ご自身ではいかがですか?

長谷川:あー、どうなんですかね。漫才とかお笑いって、その芸人の好きな音楽とかが影響してくるって話をよく聞くんですよ。たとえば、ハリウッドザコシショウやナイツの塙(宣之)くんはテクノが好きで、その要素がネタにも入っている……みたいな。で、バイきんぐの小峠(英二)なんかはパンク好きですよね。あのシャウトしながらのツッコミとか。じゃあ錦鯉の場合は何だろう?って考えたんですけど、僕はやっぱり歌謡曲が好きなんです。『ザ・ベストテン』をずっと見てきた世代ですし、今どきの言葉だと「ポップ・ミュージック」って言うのかな?そう、錦鯉はポップ・ミュージック。

渡辺:ねーよ(笑)。

長谷川:でも、わかりやすさとかポップさで言えばさ!

渡辺:ウチはボーカルとドラムだけでやっております(笑)。

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ー(笑)。小峠さんってザ・ダムドの来日公演とかで普通に客席にいますからね。歌謡曲といえば、「トイレ掃除」のネタでは長谷川さんが、唐突にTM NETWORKの「Get Wild」を歌い出すじゃないですか。あの由来が少しわかったような気がします。

長谷川:だからもう、お客さんを完全に無視してますよね(笑)。若い人にはわからないし。

渡辺:でもさ、「Get Wild」はもうみんな知っている有名な曲でしょ。



ー最近はライブの本数もかなり減っているそうですが、今年1月の「雑音フェティッシュ」(板橋の芸能事務所「げんしじん」が主催するライブ)でも直前で錦鯉さんの出演がキャンセルになって、「あー、売れてる!」って嬉しくなる反面、もう地下では見られないのかな……と寂しくなりました。

渡辺:社長(げんしじんこと小森信幸氏)にも会いたいねえ。売れない時代からずっとお世話になってきましたから。

長谷川:そうだね、ちゃんと報告できてないもんね。

ー地下ライブが恋しくなるときってありますか?

長谷川:なんだかんだ言って、あそこが原点ですよね。目も当てられないほどスベったりとか、予想外のハプニングが起きたりとか、あそこで出会った仲間とくだらない話をしたりとか……。「なかの芸能小劇場」の通路で着替えているところを、お客さんに見られたりとかも懐かしいね(笑)。

ーそんな中、10月29日に初の単独ライブ「錦鯉独演会『こんにちわ』」を池袋HUMAXシネマズで開催しました。幕間のVTR含め、構成はお2人で考えられたのですか?

長谷川:そうですね、ディレクターさんともアイデアを出し合いながら。料理コーナーとか、僕の部屋とか、結構バラエティに富んだ内容になっていて、すごく良い構成だったんじゃないかな。ネタも錦鯉のベスト的なものだけじゃなく、最近のライブではやらないレアなネタも久々に見てもらって。

ー個人的には「クリーニング屋」のネタを初めて生で見られて感無量でした。

長谷川:ホントですか! 僕らのネタって掛け合いというか、目を合わせてやるパターンがあまり無いので、僕的にも面白いなあって思います。

渡辺:あのネタも汚えからなあ……(笑)。でも、汚えのが一番面白いんですから。

ー全部でネタを9本披露されましたが、「サファリパーク」のネタでヌーに跳ねられる時間が異様に長くて長谷川さんの体力が心配になりました(笑)。あれは渡辺さんの気分しだいで泳がせてるんですか?

渡辺:そうですね、雅紀さんの動きから予測する、僕に見えるヌーの量でやってます(笑)。だからあの日はめちゃくちゃ多かった。

長谷川:隆が止めるまで僕はやめちゃダメという状況ですから。

渡辺:ヌーがいっぱい見えたんだよなあ……。

ーサンドウィッチマンさんみたいに、いつか単独ツアーで全国を周りたいという願望はあります?

渡辺:もちろん、やれたらやりたいですねえ。

長谷川:僕もです。47都道府県回ってみたいっていう憧れはありますよ。ちゃんと泊まりでね、温泉入って美味しいもの食べて……。錦鯉単独で回りたいっていうのもあるし、SMAの事務所ツアーで回ってみたいという気持ちもありますね。ハリウッドザコシショウ、バイきんぐ、AMEMIYA、アキラ100%とかいっぱい面白い芸人がいるわけですから。スケジュール合わせるのがなかなか大変そうですけどね。



ー11月には新潮社から初の自叙伝『くすぶり中年の逆襲』が発売されました。タイトルはどのように決まったんですか?

長谷川:僕が去年の『M-1』記者会見で「人生大逆転!」って言ったのを、新潮社の編集者の方が気に入ってくれてたみたいで、そこを出発点に候補を出しました。あとは隆がインタビューで言ってた「くすぶっている僕たち」もヒントにして。「大逆転」というにはまだおこがましいというか。

渡辺:大逆転は全然してないもんね。まだまだマイナスもいいところですよ。

長谷川:人生のトータルで言ったらね。収入だってまだ同世代には追い付けてないですし。

渡辺:死ぬときにやっとトントンになるんじゃない(笑)。

長谷川:よく「睡眠時間が少なくて大変でしょ?」って言われるんですけど、今までいっぱい寝てきたから帳尻を合わせている感じですね~。

渡辺:おじさんだからすぐ目が覚めちゃうし、ちょうどいいかなって(笑)。



ー単独のVTRでは、長谷川さんが頭とヒゲをキレイに剃り上げるモーニングルーティンも流れてましたが、やっぱり身だしなみも気をつけるようになりましたか?

長谷川:でも今年からですよ! それまではバリカンの一番短いやつでテキトーに剃ってたんですけど、白髪が生えてくるとゴマ塩みたいで。おにぎりと間違って食べられたらイヤだから、ちゃんとT字で剃るようになりました。

渡辺:誰が食うんだよ。

ーそれによって、渡辺さんの叩き心地とか音も変わるんですか?

渡辺:うーん、僕はあんまり気付かなかったですね(笑)。よく手入れした野球グローブと同じで、手の吸い付きは良くなりました。

長谷川:ドラマーとしても大事だね。

ーたくさんテレビに出られるようになったからか、お2人とも芸能人の顔というか、シュッとした印象がありますよね。

長谷川:ホントですか!? 僕なんて今年に入ってから10キロは太りましたよ。前のスーツは2着持ってたんですけど、あまりにもお腹が大きくなったせいで、ズボンのチャック閉めたらパーン!って2着とも壊れちゃった。

渡辺:ボタンならまだしも、「チャックって弾けるんだ」って思いましたもん。

長谷川:それでスーツを買い替えまして、10年ぶりに健康診断にも行ったんですよ。そしたら身長が1.2センチ縮んでいたんですよね。縮むにはまだ早いだろってビックリしたんですけど。

渡辺:神様も「うるせー! 縮んどけ」って思ったんだろうね。

ー(笑)。渡辺さんが叩き過ぎて縮んだという説もあったり?

長谷川:いや、ホントにその可能性もあるんですよ。

渡辺:1.2センチでしょ?結成してもうすぐ10年だから、なんかリアルな数字ですよね(笑)。

長谷川:だから身体測定に2回……じゃなくて健康診断ね。身体測定って! 小学生じゃないんだから(爆笑)。ガッハッハ!!

渡辺:テメーが言ったんだよ(笑)。

長谷川:健康診断に2回行って、2回ともしっかり1.2センチ縮んでましたからね~。柱のキズで身長測るやつの逆バージョンをやってみようかな。こんなに太ったのも、ついついロケ弁を食べすぎちゃうんだよなあ。現場でも家でもロケ弁生活なんで。

渡辺:まあでも、前までが異常だったんですよ。単純に貧乏で食べられなくて痩せてただけだから。

長谷川:勝手に「食べられないダイエット」をやってました。

ー著書ではそんな極貧時代も、ご家族のことも赤裸々に記されていますが、現時点で語るべきことはすべて語り尽くせましたか?

渡辺:そうですね、これを読んでいただければ僕らのネタもさらに入りやすくなるんじゃないかなと。

長谷川:錦鯉の取扱説明書じゃないですけど、入門書としては良いんじゃないですかね。ただ僕としてはまだ言い足りないこともあるんで、早く第2弾も出したいなって思っています。

ー単独のエンディングでは、『くすぶり中年の逆襲』を映画化するなら長谷川さんをニコラス・ケイジ、渡辺さんを細木数子先生に演じてほしいとおっしゃっていました。しかし細木先生が亡くなってしまったので、キャスティングを考え直さないといけませんね。

渡辺:そうなんですよね。誰だろうな。

長谷川:今だったら松坂大輔がいいんじゃない?

ー引退したばっかりだからスケジュールも空いてそう(笑)。

渡辺:僕の2個下だから年齢も近いですしね。

長谷川:それならいいかも! ニコラス・ケイジと松坂大輔のW主演だったら話題性は抜群ですよ。

渡辺:監督はもちろんスティーヴン・スピルバーグでね。雅紀さんがUFOから降りてくる(笑)。



ー錦鯉さんの活躍以降、5GAP、TOKYO COOL、野田ちゃんといった「おじさん芸人」たちが注目されているじゃないですか。当事者として思うところはありますか?

長谷川:よく「中年の星」とか言っていただくんですが、その反面、芸人を辞めるタイミングを逃させてしまった部分もあるというか。「あ、まだ俺らも行けるじゃん!」みたいな。そういう罪……じゃないけど(笑)、変に希望を与えてしまったという責任は感じてますよね。

渡辺:でもそれはね、やる奴しだいですから。この世界そんなに甘くないよって。

長谷川:収録の合間で関根勤さんとお話ししたんですけど、「この年齢でブレイクできるって夢があるよね」って言っていただけて感動しました。ずんの飯尾(和樹)さんとか、ルー大柴さんとかも遅咲きではありましたけど、売れる前からちょこちょこテレビには出てらっしゃいましたから。僕はもし芸人を辞めていたら、この1年間が存在しなかったんだなって考えると……人生って不思議ですよねえ。



ーお2人の生き様というか、ずっとブレずに芸人を続けてこられた理由ってどこにあると思われますか。

長谷川:やっぱり僕の場合は、「何も考えてこなかったから」に尽きますね。

渡辺:でもホント、それですよ。僕もブレるブレないとか以前に、何も考えてこなかったですから(笑)。

長谷川:ちゃんと将来のこととか、親のこととか、結婚とか、色々考えていたら続けられないですよ。良くも悪くも何も考えてこなかったせいでここまで来ちゃったというか。

渡辺:考えられていたら、もっとマトモに生きてきたと思いますしね。

ー著書でも、長谷川さんが弟のパソコンを質屋に入れたというエピソードで爆笑しました。

渡辺:いやあ、どうかしてますよ。

長谷川:危うく犯罪者になるところでしたよ!

渡辺:犯罪者なんだよ(笑)。しかもそれをクルマで売りに行ってますからね。まずオメーのそのクルマ売れよ!って。

長谷川:しかもデスクトップでしたからね。あの時はパニックになっていたとはいえ、我ながらどうかしてますよね。

渡辺:弟さんの二度見が見たかったなあ(笑)。

長谷川:PCのあった場所に点点点点…ってマンガみたいにね(笑)。

ー長谷川さんが56歳になるラストイヤーまで『M-1』には出場すると公言されていますが、お2人の今後の野望を聞かせてください。

長谷川:冠番組とは言わずとも、レギュラー番組は持ちたいですね。同じ番組で準レギュラー的に何度か呼んでいただくことはあるんですけど、毎週同じスタッフさんや共演者さんと一緒に番組を作っていくっていうのをまだやったことがないので。で、オンエア見てあーだこーだ言ったりね。ライブの延長線上を地上波でやるというか。

渡辺:僕はテレビの仕事をやりつつ、漫才も続けていきたいと思っています。漫才やらなくなったらマジで普通のおじさんになっちゃうし、おじさんがテレビで喋ってるだけなのはみっともねえなーって。こうやってテレビに出られるようにしてくれたのも『M-1』のお陰ですし、漫才には一生かけて恩返しをしなきゃなって感じています。


<書籍情報>


ⒸSHINCHOSHA

錦鯉(長谷川雅紀・渡辺隆)
『くすぶり中年の逆襲』
発売中
体裁:四六判・176 ページ
価格:1430 円(税込)
発行・発売:株式会社 新潮社
『くすぶり中年の逆襲』

目次
[まえがき]長谷川雅紀
[第1章]2021 年の錦鯉
コンビ結成10年目で、歯が10本ない!/『M-1』決勝の舞台裏/激動の2021年/あの番組に出たい!/街を歩けない!?/家族の反応
[第2章]それぞれの生い立ち
子供のころ/隆の謎/長谷川家の苦難/影響を受けた「笑い」/グレなかった理由/思春期の頃/隆の青春時代
[第3章]芸人になる!
高校卒業時の二人/渡辺家の悲劇/タカアンドトシとの出会い/東京 NSC/雅紀、デビュー/笑いは「気づき」と「築き」/「前に出ない」二人/ 雅紀、東京へ/他人と比較しない
[第4章]売れない! 三人で始まった東京生活/お笑いに年齢制限!?/極貧生活の日々/雅紀の食生活/笑いは「伝わる」こと/二度目の解散
[第5章]くすぶり中年の逆襲
二人の出会い/錦鯉、誕生/バカになれ!/確立した錦鯉スタイル/ダメだから分かること/突然の悲報/同じ景色を見よう!/悔しい!/ 錦鯉、これから
[あとがき]渡辺隆

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