the GazettEがこだわった“生”のライブ、有観客ツアー最終日振替公演
Rolling Stone Japan / 2021年12月30日 12時0分
the GazettEのライブ『LIVE 2021 -DEMONSTRATION EXPERIMENT- BLINDING HOPE』振替公演が2021年12月23日(木)、東京ガーデンシアターにて行われた。
2019年9月の横浜アリーナ公演以降、バンドにとって約2年ぶりとなる今回の有観客ツアー。9月26日の大阪オリックス劇場公演、10月19日の愛知県芸術劇場大ホール公演を経て、本来は11月1日に東京ガーデンシアターにて行われる予定だったが、メンバーの体調不良により公演当日に開催中止が発表された。今回はその振替公演ということもあり、バンドにとっても、会場に集ったファンにとっても待望のライブとなった。
定刻が過ぎ、大声での会話や声援の禁止、不織布マスクの着用など、公演開催における新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインが客席に向けてアナウンスされた。熱のこもったアナウンスからも、バンド、ファン、スタッフが一体になって今回のライブ、ツアー最終日を成功に導きたいという気概が伝わってくる。
アナウンスが終わると、バンドを待ちわびるファンの手拍子が始まった。暗転し、ステージと観客席を区切る紗幕に緑色のレーザー光でゆっくりと円が描かれた後に、白い照明が焚かれ、RUKI(Vo.)、麗(Gt.)、葵(Gt.)、REITA(Ba.)、戒(Dr.)のシルエットが現れる。オープニングナンバー「BLINDING HOPE」のイントロが演奏される中、曲が始まると同時に紗幕が落とされ、ライブの幕が開かれた。
今回のツアーの旗印ともなる楽曲「BLINDING HOPE」が意味する”目が眩むような希望”を指すかのように、眩いばかりの照明と輝度の高いレーザー光の中で、RUKIは艶めく歌声を会場に響かせ、時に地の底を蠢くようなグロウルを発した。バンドのヘヴィーなパフォーマンスに応えるようにファンも時に頭を激しく振り、「飛べよ東京!」とRUKIの煽りに対して手を振り上げ、床を振動させるほどのジャンプで応える。間髪を入れずに、激しいギターの高速ストロークと低くうねるようなベースラインが印象的な「ROLLIN」を演奏。今年5月にリリースした10枚目のアルバム『MASS』において隣り合う2曲を畳み掛けるように演奏し、会場のボルテージを上げていく。
the GazettE(Photo by Keiko Tanabe)
オープニング2曲の演奏が終わった瞬間、また今回のセットリストの各曲の合間においても、観客の鳴り止まないばかりの拍手が印象的だった。1ヶ月以上の延期を経て実現したツアー最終日の振替公演。2019年のライブ以来、2年以上ぶりに体験するバンドのヘヴィなライブパフォーマンス。声援は送れずとも、会場にいたファンそれぞれがthe GazettEに対する強い想いを抱えながら、拍手の手を緩めずに、バンドの1曲1曲の熱量高い演奏を受け止めているようだった。
MCにてRUKIは「待たせたなお前ら。心配をかけました。見ての通りピンピンしているから安心しろ」と万全の状態であることをファンに伝えると、「NOX」「CLEVER MONKEY」「裏切る舌」「HOLD」など新旧譜交えた楽曲を披露していく。久しぶりのライブと言えど、バンドのグルーヴは寸分の隙もなく仕上がっているのが伺えた。
熱狂続くフロアが鎮まりを見せると、「DRIPPING INSANITY」に始まるメロディアスな楽曲たちが披露される。夜空に瞬く星のように煌々と光るレーザーの元で演奏されたのは「THE PALE」。東京ガーデンシアターの高い天井だからこそ、奥行きを生かした照明の演出が映える。幻想的な空間の中で、麗、葵のツイン・アコースティックギターのアルペジオが印象的な「LAST HEAVEN」へと繋がり、会場にいるファンをthe GazettEが奏でる重厚で耽美な世界感へと導く。
本編も終盤、「ガンジスに紅い薔薇」「INCUBUS」と再度会場のボルテージを上げていくナンバーを投下する。「ついてこれるのか! 来いよ!」というRUKIの言葉と共に、「UGLY」「ABHOR GOD」を演奏。メンバーの煽りに呼応するかのように、ファンもヘッドバンギングや力強い拍手、ジャンプで応えていく。そして本編のラスト「UNFINISHED」では、<掛け替えのない 君の手を引いて>と歌いながら強く手を引く素振りを見せたRUKIの姿が印象的で、バンドとファンを引っ張っていくフロントマンの存在感を強烈に見せていた。
アンコールになると、ステージへ戻ってきた戒が「この空間に戻ってこれたのはみんなのおかげです。2021年最後のライブなのできる範囲で暴れて帰っていってね!」というMCと共に戒のドラムから「INSIDE BEAST」が始まる。フロントにいるメンバーたちは上手や下手に思いのまま移動をしつつ、時にお立ち台に立って演奏し、戒のタイトで重量感のあるドラムが楽曲の土台を支える。
そして定番曲ともいうべき「Filth in the beauty」、「TOMORROW NEVER DIES」を披露し、アンコールを締めくくった。「TOMORROW NEVER DIES」の楽曲終盤で自然につけられた客電の光が、the GazettEメンバーとファン、お互いがライブという空間を何よりも大切にしてきたこと、そしてライブという空間を共有できる喜びを祝うかのように降り注いでいた。
アンコールのMCではメンバー各々が会場に集った / 集うことが叶わなかったファンに対して感謝の思いを伝えた。公演が終了し、メンバー全員がステージ上から捌けると会場が再度暗転、紗幕に2022年3月10日に国立代々木競技場 第一体育館にて20周年記念ライブ『20th ANNIVERSARY -HERESY-』の開催を発表するティザー映像が流された。
コロナ禍において活動が満足に行えなかった2年の中で、2021年は『MASS』という作品を発表し、コロナ禍以前のペースとはいかないが、”生”のライブの開催にこだわり、歩みを止めずに進んできたthe GazettEが満を辞して放つ20周年公演。ファンクラブの名称でもあるHERESYを冠した公演というのも、彼らと共に歩み続けてきたファンにとっては感慨深いだろう。結成から20年の月日を駆け抜けてきたthe GazettEのこれまでの軌跡を祝すとともに、これから先の眩い未来を真っ直ぐに見据えているバンドの今後の飛躍に注目したい。
text by コイズミリナ
<ライブ情報>
「20th ANNIVERSARY -HERESY-」
2022年3月10日(木)国立代々木競技場 第一体育館
時間:OPEN 17:30 / START18:30
チケット:全席指定 前売り 9600円(税込)
※未就学児童入場不可
※諸サービス手数料別
《FC.HERESY最速先行受付》
お申し込み受付期間:2021年12月23日(木)22:00~2022年1月10日(月・祝)23:59
最速先行受付に関する詳細はコチラ https://fc-heresy.com/
チケット一般発売日:2022年2月26日(土)
the GazettE OFFICIAL SITE:https://the-gazette.com/
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