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黒人女性の「死」は白人女性に比べて軽視されている 遺族が警察を提訴 米

Rolling Stone Japan / 2022年1月21日 6時45分

2021年12月に亡くなったローレン・スミス-フィールズさん(Lauren Smith-Fields/Instagram)

昨年12月、米コネチカット州ブリッジポートの自宅アパートで遺体で発見されたローレン・スミス-フィールズさん。事件発覚後、ソーシャルメディアで広く注目を浴びつつも、死因は以前謎のままだ。遺族はブリッジポート警察が継続する捜査方法に苛立ちと不満を募らせている。市当局の不手際は黒人の命――それも黒人女性の命を世間が重要視していないとし、現地時間16日の記者会見で同警察を提訴することを発表した。

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アメリカ国内で多くの人が比較対象に挙げているのが、白人女性のギャビー・ペティートさんだ。ペティートさんは恋人と長期ドライブ中に行方が分からなくなり、全米のニュースで連日のように報道されたが、のちに遺体で発見された。

「この世界、この国では、黒人女性が行方不明になるといつもこうです。誰も何も言いません」。遺族の弁護士、ダニエル・クロスランド氏はこう述べた。「白人女性が行方不明になったら、こうはなりません。こんな風に貶められるのはうんざりです」

「我々はブリッジポート警察を職務怠慢、および憲法修正第14条にもとづくこの家族に対する保護怠慢で訴えます」とクロスランド弁護士。憲法修正第14条は南北戦争後に追加された条項で、全ての市民――それまで奴隷だった黒人も含むすべての市民を、法の下で平等に保護することを目的としている。

スミス-フィールズさんは、出会い系アプリBumbleで知り合ったマシュー・ラファウンテンという男性と落ち合った後、自宅のアパートで遺体で発見された。

クロスランド弁護士が入手した事件の報告書によると、スミス-フィールズさんの遺体を発見したのはラファウンテン氏だった。ちなみに彼は白人男性だ。報告書によれば、スミス-フィールズさんはネイル代40ドルを貸してくれとラファウンテン氏に頼み、2人はブリッジポートの自宅で落ち合って「テキーラをショットで」飲んだ。男性が警察に語ったところでは、スミス-フィールズさんは具合が悪くなり、浴室へ行って嘔吐した。具合が悪くなった後に彼女が戻ると、2人はテキーラをソーダ等で割って飲み続けた。ゲームをして、食事をとり、映画を見始めたところでスミス-フィールズさんの携帯にメールが入ったそうだ。報告書によれば、彼女は家の外で兄から何かを受け取り、部屋に戻るなり浴室に直行して10~15分間出てこなかった。「男性はおかしいと思ったが、彼女をそれほどよく知らないので、自分はとやかく言う立場ではないと感じた」と、警察官は記述している。

遺族は警察の報告書に数々の疑問を投げかけている。スミス-フィールズさんの母親シャンテルさんと兄のラキーム・ジェッターさんによれば、彼女のネイルはその週の初めに整えたばかりでまったく損傷はなく、葬儀の際も手を加える必要はなかったという。また、その夜にスミス-フィールズさんの姿を最後に見た親族の話とも食い違う。

「12月4日以降、妹に携帯メールは送っていません」と兄のジェッターさんも言い、12月11日の夜については、洋服を取りに行くから外に持って来てくれとスミス-フィールズさんに電話した、と語った。「中に誰かがいたとは知りませんでした。妹は外に出て、10~15分ほどしたら家の中に戻っていきました。いたって普通でした。具合が悪かったり、疲れていたり、酔っ払っていたようには見えませんでした。僕は上から2番目の兄ですが、仮に妹が酔っ払っているように見えていたら、『何をしているんだ?』……『顔色がおかしいぞ?』と言っていたはずです」


血まみれのシーツ、中身のわからない錠剤

ブリッジポート警察はローリングストーン誌のコメント取材に返答しなかったが、NBCコネチカット支局に次のような声明を発表した。「2021年12月12日、ブリッジポート緊急指令センターは、不慮の死に関する救助要請の通報を受けました。警察が駆けつけると、(スミス-フィールズさんが)亡くなっていたことが確認されました。今回の事件はブリッジポート警察署刑事課が現在捜査を行っています。スミス-フィールズさんの死因や死亡過程については検視局の最終報告を待っているところです。ブリッジポート警察署は、ローレン・スミス-フィールズさんのご遺族とご友人に心からお悔やみを申し上げます」

報告書の記述によれば、スミス-フィールズさんと男性は映画観賞を続け、テキーラを1瓶開けた。その頃には彼女はカウチでうとうとしていた。男性は彼女を寝室へ運び、そこで一緒に眠ったという。男性は午前3時にトイレに立ったが、その時彼女はいびきをかいていたそうだ。午前6時30分、男性の話では彼女は右向きに横たわり、右の鼻から血が出ていたという。彼女が息をしていなかったので、男性は緊急電話をかけた。

警察の到着後、スミス-フィールズさんの大家が連絡を受けたが、大家は家族の連絡先を知らなかった。それから数日後、家族からの再三の電話や携帯メールに返事がないので母親シャンテルさんが様子を見に娘のアパートを訪ね、そこで初めて大家が残したメモを見つけた。メモには「ローレンをお探しでしたら、こちらの番号にご連絡ください」と書かれていた。母親が娘の死を知ったのはその時だった。

スミス-フィールズさんを生前最後に見たのはラファウンテン氏であるにも関わらず、報告書には警察官が彼を拘束して尋問したという記述はどこにもない。兄のジェッターさんは記者会見で、警察からは「善良」そうに見えたから尋問に呼ばなかったと言われた、とローリングストーン誌に語った。警察は報告書に、男性が「取り乱していた」と記述している。

報告書によれば、警察官は12月12日にスミス-フィールズさんの携帯電話、現金1340ドル、鍵、パスポートを押収した。彼女の葬儀から3日後の12月29日、遺族がアパートを整理したところ、ゴミ箱の中に精液のついた使用済みコンドームがあった他、潤滑剤、血まみれのシーツ、中身のわからない錠剤が見つかった。

遺族はスミス-フィーリズさんが死亡した後のブリッジポート警察の対応やプロ意識についても苦情を申し立てている。

12月13日、スミス-フィールズさんの死を知った家族はクローニン刑事に電話をかけた。刑事は30分で向かうと言った。1時間以上待たされた後、家族は再び電話をかけたが、もうかけてくるなと言われたそうだ。「警察の口調には腹が立ちました」と母親のシャンテルさん。「もう電話してくるなと言われて、電話を突然切られたんです。クローニン刑事は辞めさせるべきです」


ブリッジポート警察署は組織内の汚職が問題に

クロスランド弁護士によれば、現在クローニン刑事は警察の内部調査を受けており、事件はガルシア刑事に引き継がれたという。その週の後、ガルシア刑事は遺族を訪問した。遺族の話では、警察が犯行現場の捜査に足を運んだのはこの時が初めてだったそうだ。だが食器や血痕のついたシーツなど、証拠の大半はすでに片付けられていた。

「初めて行った夜には、カップやひっくり返った皿や潤滑剤がありました。警察はアルコールの検査用にカップをひとつも押収していませんでした」とジェッターさん。「ベッドの真ん中には大きな血痕があって、右側に流れた後がありました」

ガルシア刑事は訪問中、「プロらしくなかった」と遺族は語る。

「彼は『クローニンのばか野郎。事件を投げ出しやがって。ふざけた奴だ』と言っていました」とシャンテルさんは振り返る。「それから私を安心させようと、自分はプエルトリコ系だからあなたの味方ですよ、自分にも娘がいるんです、と言いました」

遺族はようやくブリッジポート警察に話を聞いてもらうことができたが、それは取調室の中だった。ガルシア刑事と向かい合わせに座らされ、遺族は居心地が悪い思いをした。「取調室であのこと(『クローニンのばか野郎』)のことに触れると、刑事は怒りだしました。『私は同僚のことを決して悪くいったりしない』というので、私も『あなたは嘘つきだ』と言いました」とシャンテルさんは言った。

クロスランド弁護士によれば、現在まで証拠はしかるべき経路で提出されておらず、科学捜査班のもとにも届いていない。

アプリ会社Bumbleはクロスランド弁護士の会社CroslandLawGroupに連絡し、遺族を支援すると言ってスミス-フィールズさん名義の慈善団体を設立すると申し出た。今後、クロスランド弁護士と、彼とともに調査するスタムフォードのデヴィッド・ウォールマン氏がBumbleのCEOと面会し、スミス-フィールドさんの死に関してブリッジポート市および/またはBumbleが全面的責任を負うか否かを協議することになっている。

この数年、ブリッジポート警察署は組織内の汚職で非難にさらされている。アルマンド・J・ペレス元警察署長は2018年、署長の地位を守るために職務評価表を改竄し、市から金をだまし取ろうとした計画に加担したとして昨年4月に禁固12カ月を言い渡された。

「この街で生まれ育った人間にしてみれば、ブリッジポートは汚職まみれです。周知のとおり警察署長は刑務所行きになりましたし、5人の公務員が連邦政府から起訴されました。市長は連邦刑務所送りです」と、マリア・ペレイラ市議会議員は記者会見で語った。「警察は4~5年もお粗末な状態です。現在ブリッジポート警察署には100人以上の欠員が出ています」

1月23日はスミス-フィールズさんの24回目の誕生日にあたる。生きていれば、祖母とのギリシャ行きの空の旅にむけて準備を整えているはずだった。代わりに遺族は彼女の死を悼み、市の対応を求めて、ブリッジポート警察署から市庁舎までデモ行進を計画している。一方GoFundMeでは、独立機関による検視など、スミス-フィールズさんの捜査を独自に進めるための募金活動が行われている。そうした捜査費用は遺族が自費で賄わなくてはならない。

「ブリッジポート市にほんの少しでも人間性があれば、『ああ、こうしたことは起きるべきではなかった』と言えたはずです」とクロスランド弁護士。「なのに誰も電話をかけてこなかった。何も行動せずに済ませようとしています。正義が果たされるまで、我々はあきらめません」

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