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NFTアートの新たな未来「The Heart Project」、クリエイターによるクリエイターのためのコミュニティ

Rolling Stone Japan / 2022年2月3日 8時30分

右から、エイデン・カレン、ギャレット・グティエレス(Photo by Nate Guenther)

新しいアートのあり方として、また、新たな資産価値を持つ投資先として急速に注目を集めているNFTアート。その可能性に目を向けて数多くのNFTプロジェクトが立ち上がる中、2021年9月24日、LAで「The Heart Project」というNFTプロジェクトがスタートして、大きな注目を集めている。ハートのキャラクターのアート自体、かわいらしくて、人気が出るのはわかるのだが、このNFTプロジェクトは、単なるNFTアートを超えたところに新しさがある。

【写真】The Heart ProjectがドロップしたNFTアート

NFTというテクノロジーを使って、音楽、映像、アート、ファッション、カルチャーのジャンルで、クリエイターが自由にモノ作りをして、クリエイターに還元していくというコミュニティ。それがThe Heart Projectの本質である。このプロジェクトを手がけるエイデン・カレンとギャレット・グティエレスに話を聞いた。

―The Heart Projectはどのようにスタートさせたのですか?

エイデン 僕はLAで写真、映像などのクリエイティブ・ディレクターをやっているんだけど、画家のステファン・マイヤーと知り合ったのがきっかけになるね。友達を介して知り合ったんだけど、ステファンの作品を好きで集めていたし、彼のアートをリスペクトしてたんだ。ある時、このプロジェクトの元となるアイデアを思いついて、彼に電話をしたところ、すぐに僕の家に来てくれて。そこから4日間でThe Heart Projectが生まれたんだ。

―The Heart Projectのアイコンである「ハート」のアートはどのように生まれたのですか?

エイデン ステファンはいろんな絵を描いてるから、その中からこのプロジェクトに合うキャラクターを探してみたんだ。その中にハートのキャラクターがあって、スゴく惹かれたんだよ。モノ作りをする僕たちクリエイターにとって、ハートを込めることはスゴく大切だから、プロジェクトの主旨にもピッタリ合うと思ったんだ。そこからステファンがハートのキャラクターをいろいろ描き始めたんだ。



―最初にThe Heart ProjectのNFTアートを、NFTのオンライン・マーケットプレイスの最大手であるOpenSeaで公開した時、いきなり26位という人気でしたね。立ち上げの時は何か特別なことをやりました?

エイデン 反響はスゴかったね。僕たちがやったことは、とにかく友達に連絡をしまくって、ツイートしてもらったり、Instagramに投稿してもらったりしたことだね。「アーティストが恩恵を受けられるようなプラットフォームを作ってるんだ。だからみんなに参加してほしい」っていうことも強調したよ。メッセージのプラットフォームである「Discord」でバズたったのも大きかった。Discordには立ち上げから2~3週間で5万人もの人が来てくれたんだ。あと、僕たちは元々、音楽、ファッションの業界には詳しかったから、ブランディングやマーケティング、プレスリリースなどのやり方は知ってたんだ。そしたら自然と動き始めたんだよ。NFTは1万個作ったんだけど、スタートから1分も経たないうちにすべて売り切れてしまった。

ギャレット USドルで言うと、350万~400万ドルの価値になるね。

エイデン The Heart ProjectのNFTアートのオーナーのことを「ハート・ホルダー」って呼んでるんだけど、ハート・ホルダーが参加できるイベントも開催したし、キャラクターを使ったアニメーション、デジタル・コンテンツも作った。最初にNFTアートを買えなかった人に向けての無料配布も行った。DiscordとTwitterではいろいろ活発にやったよ。

ギャレット Discordはコロナ禍でものスゴく人気が出てきたプラットフォームなんだ。僕はゲーマーだから、Discordには詳しくてね。Discordは時間制限がないから、友達とずっとハングアウトできるんだ。The Heart ProjectでこのDiscordを使うと、コミュニティのコミュニケーションに透明性が出てくる。毎日アップデートもできるし、みんなからの質問にも答えられるし、僕らの選曲でラジオをやったり、カラオケ・パーティやムービー・ナイトをやったりすることもできる。


「メタバースのパーティだと世界中からみんなが集まれる」

―The Heart Projectはパーティを主催することでも知られていますが、リアルなパーティも、メタバースでのパーティもやっていますよね。

エイデン リアルなパーティの時は、来てくれた人たちの年齢層が幅広かったね。パーティだから21歳にならないと入れないんだけど、30代の人たちもいた。まあ、男が多かったんだけど(笑)。

ギャレット 女性もいたけど、大体は僕たちの友達だった(笑)。

エイデン CryptovoxelsやDecentralandというメタバースでパーティを企画したよ。そこではマーチャンダイスやキャラクターが買えるようにした。新しい世界で友達もコミュニティも広がっていく感じがスゴく面白いし、ハート・ホルダーは世界中にいるから、メタバースのパーティだと世界中からみんなが集まれるのもいいんだ。


メタバース・イベントのフライヤー

―アメリカで最大規模のアートフェアである、マイアミのアート・バーゼルでは、「MIAMI HEART BASEL」というイベントを主催して、いろいろ面白いことをやりましたよね。

エイデン デジタルのアート・ギャラリーをやった。そこでNFTアートに触れられるような機会を作ったんだ。Nifty GatewayというNFTのプラットフォームとパートナーになって、アートを落札して買えるようにもした。リアルなパーティも開催して、Gunna、Aminé、A$AP Nast、D33J、Pedro、Tjaniなどのアーティスト、DJが出演してくれた。僕もギャレットも音楽とファッションのカルチャー出身だから、今までと同じことをごく自然にWeb 3.0の世界でやってるだけなんだよね。何よりも、ハート・ホルダーや友達に対して、思い出になるような一夜を作りたかったっていうのが大きいね。


アート・バーゼルの時に主催したイベント「MIAMI HEART BASEL」

―The Heart Projectが面白いのは、ハートのキャラクターをNFTアートとして売るだけでなく、クリエイティブな人たちとの交流の場にしているところだと思うのですが。

エイデン まず第一に、The Heart Projectはコミュニティ主導のクリエイティブ・スタジオなんだ。多くの人たちにアートを作るプラットフォームを提供したいっていうのがあるんだ。そのアートというのは、音楽、映像、アート、ファッション、何でもいいんだよ。

ギャレット 単なる資産的な価値を持ったNFTアートではないね。NFTにテクノロジーを加えることによって、やりたいことがいろいろできるようになるんだから。クリエイターに還元するという部分は、今までになかった新しい要素だと思うんだ。例えば僕たちが音楽レーベルや映画スタジオの仕事をする時、ギャラが支払われるまでに、3カ月とか6カ月、長いと12カ月も待たされることになる。だけどNFTだとスマートコントラクトによってすぐに支払われるようになる。これ一つをとっても、新しいアイデアが活かされることになるよね。

エイデン 僕自身もフリーランスで働いてきたから、ギャラの支払いは永遠にやってこないような感覚を味わったよ。家賃を払えないことだってあったし。ギャレットとよく話してたのは、ビジネスの構造がどれだけ時代遅れなのかっていうことなんだ。誠実さと透明性が欠けてるって思うんだよね。だからそういう部分も改善したかったんだ。


「コラボレーションをしてオーナーシップを持てるというのは、面白い実験」

―The Heart Projectはどのようなクリエイティブ・スタジオになるんですか?

エイデン このプロジェクトの中で、クリエイティブな人たちとコラボレートして、新しい楽曲やミュージックビデオ、本、アパレルなどを作ることができる。出来た作品をリリースしたり、売ったりして、そこで得られる利益をコミュニティのウォレットに貯めて、さらにクリエイティブなプロジェクトに取り組むという感じだ。アーティストやクリエイターにとっては全く新しいプラットフォームになると思うよ。僕たちが信じているのはただ単純に良いアイデアであって、チャンスになるようなアイデアがあった時に、それを実現できるプラットフォームが欲しかったんだ。そのプラットフォームをみんなに提供して、楽しいことをやってもらって、そこから得られる利益の恩恵を受けてほしいんだ。


The Heart Projectが公開しているロードマップ

―ハート・ホルダーになるためにはどうしたら良いのですか? また、ハート・ホルダーになったら何ができるのですか?

エイデン ハート・ホルダーになるためには、僕らがドロップしたハートを1個でも保有してくれればいい。そうすればこのプロジェクト、このコミュニティにアクセスできる。ハート・ホルダーになったら、いろいろなことができるよ。いろいろなマーチャンダイズにアクセスできるし、世界中で行われるリアル・イベントにも、メタバースのイベントにも参加ができる。だけど、もっと重要なのは、クリエイティブに参加ができるということなんだ。僕たちは音楽も作るし、ミュージックビデオも作るし、アパレルもシューズも作る。その時に、これから出てくるような新進気鋭のアーティストともコラボレーションができるし、僕たちのコミュニティには世界的にもビッグなアーティストも参加してるから、彼らとのコラボレーションもできるし、彼らのモノ作りのやり方を学ぶこともできる。ブランドとのコラボレーションだってできるよ。それに、自分からコミュニティにプロジェクトを売り込むことだってできる。もしコミュニティがそのプロジェクトを気に入ったら、ちゃんと形になるように協力もしてくれるんだ。

コミュニティの協力で作った初のミュージックビデオ。アーティストはPrentiss

―プロジェクト内のクリエイティブに関われるということですね。

ギャレット 例えば、Benny Blanco、Lil Dickyと楽曲を作るコラボレーションでは、ハート・ホルダーがメロディ、ビートのループ、ギター、何でもいいんだけど、楽曲の制作に貢献できた場合、楽曲の原盤権と出版権の一部を持つことができるんだ。さらに例えば、その楽曲をTV局がライセンス使用した場合、オーナーシップを持つハート・ホルダーにはブロックチェーンですぐに報酬が支払われるという、今までにはなかったようなことが起こる。ある意味、コラボレーションをしてオーナーシップを持てるというのは、面白い実験みたいなものになるね。


「異なるカルチャーの架け橋のような存在になりたい」

―The Heart Projectをやっていく中で、立ち上げ当初には予想がつなかったような展開はありますか?

エイデン スゴく面白いのは、数多くの重要人物に出会えたことだね。多くの音楽アーティストから連絡をもらうし、ビッグ・アーティストや成功してる人たちからも連絡をもらうんだ。みんな興味津々なんだと思うね。今でも「NFTとは何か?」を友達に説明するのは難しいんだけど、立ち上げから4カ月経った時に、どれだけ周りがこのアイデアを受け入れてくれてるのかがわかって驚いてるよ。

ギャレット NFTの世界のビッグネームで、ハイテク業界の未来を担うような人たちも、僕たちのイベントに来てくれて、いろいろ教えてくれてるのも面白いね。今は多くのクリエイティブな人たちが、NFTにどう関わっていこうかということを考えてる。僕たちのゴールは、僕たちの友人、アーティスト、クリエイター、ブランドなどのすべてをインターネットの次の時代に連れていくことなんだ。同時に、すでにテクノロジーの世界に深くハマってる若者たちも、ハイテク業界の人たちも、僕たちのファッション、音楽、アートのカルチャーに連れていきたい。だから僕たちは、そういう異なるカルチャーの架け橋のような存在になりたいね。

―今後の活動で今考えていることは?

エイデン DAO(自律分散型組織)の第1フェーズをローンチしたばかりなんだ。プロジェクトにお金がどれだけ残ってるのか、みんなが知ることができて、スナップショットというNFTを使った投票で、お金の使い方もクリエイティブなことも決めていく。エディソン・チェンのEmotionally Unavailableとのコラボレーションも控えてる。CULT & RAINとのコラボレーションでは、100個のNFTのシューズをリリースするんだけど、1カ月後にそのNFTをRedeem(実物と交換)すれば、リアルなイタリア製のラグジュアリーなシューズが届く。Fred Segalとのコラボレーションではポップアップをやるんだけど、DeadFellaz、Letters by Vinnie Hager、Drought Delinquentzといった他のNFTプロジェクトとコラボレーションをやる。コミュニティが手がける初のミュージックビデオの撮影も控えてるね。Prentissという若いアーティストのビデオを作るんだ。マーチャンダイズのポータルもローンチして、ハート・ホルダーはどのマーチャンダイズも無料でもらえるようにする。ハイエンドのファッション・ブランドも考えてるところだ。あと、コミュニティ向けの雑誌を作ったんだ。発売日にはハート・ホルダーの全員がエアドロップでデジタル・マガジンを受け取ったよ。さらに2カ月後にRedeem(実物と交換)すれば、製本された雑誌が送られてくるんだ。


1月10日にリリースした雑誌の創刊号

ギャレット 僕たちは新しい業種も確立したいと思ってる。例えば、僕たちが音楽レーベルを立ち上げた場合、ブロックチェーンを使うから、アーティストとの契約は新しい形態になると思うんだ。映画のプロジェクトもやっていくことになると思う。まあこれは大きなアイデアではあるんだけど、The Heart Projectのコミュニティにおけるオーナーシップについても考えていきたいね。結局はコミュニティがあるからこそ、すべてが可能になってくるわけだから。

エイデン 今取り組んでるのが「Heart Labs」というエージェンシーなんだ。アーティスト、ミュージシャン、ブランドが自分たちのNFTプロジェクトをローンチする時に、その手助けをする。そこで得た利益は、さらにいろいろプロジェクトを立ち上げるためのお金としてファンドに回していく。これからの2~3カ月で、いろいろ発表していくことになると思う。The Heart Projectは、今後、何百万人ものアーティストを助け、アイデアを集め、クリエイティブの透明性を高めていくプロジェクトにしていきたい。

https://www.heartnfts.io
OpenSea: https://opensea.io/collection/heartnfts
Discord: https://discord.gg/t5qjBWZnjU
Instagram: @heartnfts
Twitter: @HeartNFTs

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