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性的暴行罪で21人から告発された極悪ポルノ男優、弁護団が「秘策」で申し立て

Rolling Stone Japan / 2022年2月10日 6時45分

2021年12月1日、米カリフォルニア州ロサンゼルスで法廷に姿を現したロン・ジェレミー・ハイアット被告(Photo by Michael Buckner for Rolling Stone)

30件以上の性的暴行罪で告発・起訴され拘留中の米ポルノ俳優、ロン・ジェレミー被告が現地時間7日、性的暴行を訴える21人を1人ずつ分けて、別々の裁判を行うようロサンゼルス裁判所の判事に請求した。

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68歳のジェレミー被告(本名:ロナルド・ハイアット)の主張は、未成年への暴行から薬を使用した性交、さらには強制わいせつにまでおよぶ数々の起訴内容をひとくくりにして裁かれれば、正当な裁判を受ける自らの権利が脅かされる、というもの。「ハイアット氏は、匿名の告発者1人につき1度ずつ陪審裁判が行われるよう、起訴内容の分割を求めます」と、申し立てには記載されている。

ジェレミー被告の弁護団は、裁判の報道によって陪審の意見が左右される可能性も危惧した。「ハイアット氏は世間の評判ではなく、自らの行いについて裁かれるべきです」と、弁護団は申し立ての中でこう記している。「2021年11月8日付の検察の報告書にはハーヴェイ・ワインスタインやローリンストーン誌、YouTube、DailyMail紙の記事、ハイアット氏の『おちゃらけた悪ふざけ』に関する言及が盛り沢山ですが、このことからも検察がハイアット氏を本法廷ではなく、世論の裁きにかけようとしているのは明らかです」

いまも刑務所の医療棟に拘留されていると思しきジェレミー被告は、審問の間ずっと無言だった。白銀の髪を長く伸ばし、ひげは伸び放題だった。

ジェレミー被告が出廷する直前、弁護団のスチュアート・ゴールドファーブ氏とケイト・ハーディー氏はジョージ・ロメリ判事との非公式に協議し、報道陣からの写真提供申請に反対した。「1カ月間、裁判所でひげを剃らせようとしたんですが」とゴールドファーブ氏は言い、次の出廷までには必ずひげを剃るよう看守に要請した、と付け加えた。判事はメディアの写真申請を却下し、次回の審問では申請を認めると述べた。

申し立てに対してポール・トンプソン地方検事補は、同僚のマーリーン・マルティネス地方検事補と申し立てに対処するために猶予が必要だ、と主張。ロメリ判事は3月3日の次の審問まで裁定を延期すると述べた。


告発の内容は「偏見を抱かせ、陪審員を過度に刺激する」

2021年8月、ジェレミー被告――毛むくじゃらの外見から愛称「ハリネズミ」――は21人の告発により、34件の性的暴行罪(このうち12件は強姦罪)で起訴された。起訴内容には15歳から51歳までの女性が絡んでおり、古くは1996年にまでさかのぼる。被告は全ての起訴内容で無罪を主張した。

裁判資料によれば、ジェレミー被告は「誰からも愛されるポルノ業界の大物」といった立場を利用して女性の警戒を解き、ホテルのトイレなど人気のない場所に誘い込んだとみられる。暴行容疑の多くは、ジェレミー被告も常連だったと言われるウェスト・ハリウッドの飲食施設Rainbow Bar and Grillで行われた。

ジェレミー被告の弁護団は申し立ての中で、起訴内容の数と範囲がとにかく膨大であることから、それぞれ別個に裁判を行って、各事件の事実をひとつずつ検証していく必要があると主張した。「ハイアット氏は24人の告発者と、40年近くにわたって行われた25件の事件に対して弁護しなくてはなりません。この事実だけを見ても、被告の弁護が毎回同じであるとは限りません」と、申し立てには記載されている。

被告弁護団がとくに懸念しているのが、暴行があったとされる当時未成年だった2人の告発者の陳述だ。当時15歳だった女性はレイヴ会場で被告から暴行され、当時17歳だった女性は寝室で被告からレイプされたと主張している。「ハイアット氏が未成年の被害者を暴行したという主張を聞いた後では、本件の陪審員が未成年の関与していない容疑について正当な判断を下すことは困難でしょう」

被告弁護団は、ジェレミー被告から薬を盛られて性的暴行を受けたと主張する2人の匿名女性に対しても同じ主張をした。そのうちの1人匿名女性10番は、Rainbow Barで被告からドリンクを奢られた後に具合が悪くなり、その後被告の友人宅のカウチで被告から同意なく性行為をされた、と主張している。「ハイアット氏が(匿名女性に)薬または毒を盛ったという推測は偏見を抱かせ、陪審員を過度に刺激する可能性は極めて高くなります」と、被告弁護団は申し立ての中で主張した。「したがって、これらの陳述は他とは分離するべきです」

ローリングストーン誌は2017年、ジェレミー被告から強制わいせつ行為、同意なき性交を受けたと主張する女性十数人の話を掲載した。「私との交流が誰かに不愉快な思いをさせたのであれば、心から謝罪します」。自らに向けられた容疑について、当時ジェレミー被告はローリングストーン誌にこう語った。「私の意図とは全く違います。胸が張り裂ける思いです」

2020年、ローリングストーン誌は同じような被害を受けたとする別の女性十数人の話を掲載した。記事が掲載される直前、ジェレミー被告は2014年までさかのぼる女性4人への性的暴行罪で起訴されたが、やはり全ての起訴内容を否認した。

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