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米俳優の性的暴行事件、再審理却下 告発した女性たちの怒り

Rolling Stone Japan / 2022年3月10日 6時45分

左:ビル・コスビー 右:リリ・バーナードさん(Photo by Dennis Van Tine/STAR MAX/IPx; Marcus Ingram/Getty Images)

米俳優のビル・コスビー氏が性的暴行罪で実刑判決を受け服役。しかし昨年6月、有罪評決破棄で釈放された。これを不服とした検察側は米連邦最高裁にすぐに上訴したが、現地時間7日に却下された。コスビー氏を告発した女性たちは「吐き気がする」と怒りのコメントを寄せている。

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ニュースを知った時、リリ・バーナードさんは「吐き気」をもよおさずにはいられなかったそうだ。

「がっかりですし、憤りも覚えます――ですが、驚きはしません。これが私たちの国の傾向です」と言うバーナードさんは、1990年にアトランティックシティ・ホテルでコスビー氏からレイプされたとして、現在ニュージャージー州の連邦裁判所で訴訟を起こしている。

最高裁の再審理却下のニュースの直後、ローリングストーン誌はコスビーを告発した女性3人に話を聞いた。そのうちの1人がロサンゼルスを拠点に活動するアーティスト兼女優のバーナードさんだ。ちなみに9人の最高裁判事のうち男性2人は、性的不適切行為で告発された過去を持つ。

「アメリカのいわゆる”司法制度”は、いまだに女性や性的暴行の犠牲者に偏った見方をしていることの証です。はらわたが煮えくり返りそうです。吐き気がします」とバーナードさん。

同じくコスビーを告発していたアンジェラ・レスリーさんは、最高裁の判断に失望しているものの、この一件があったからといってコスビー氏の名誉挽回になるとは思っていない、とローリングストーン誌に語った。「彼がしたことを変えることはできません。単に法律の規定の問題だと思います。陪審は彼を有罪だと判断しました。容疑が晴れたわけではありません」

レスリーさんは駆け出しの女優だった1992年、キャリアの手伝いをするという前提で、コスビーからラスベガスのホテルのスイートルームに誘われたそうだ。彼は即興オーディションとして、髪を濡らして酔った演技をするよう彼女に指示した。彼はドリンクを渡したが、彼女はほとんど口を付けなかった。すると彼はいきなり彼女の手を掴んで、無理やり性行為におよんだ。

レスリーさんはコスビー氏を名誉棄損で訴えた7人の女性のうちの1人だ。彼は容疑を否認したが、女性たちは和解を勝ち取った。「彼の行いは明るみにされました。今度は彼自身が、自分の行いが受け入れがたいものだったと気づく番です。私は最初からコスビー氏に、罪を認めて謝罪するよう要求していましたが、実現することはありませんでした」とレスリーさん。


「人種が理由で標的にされた」というコスビーの主張はおかしい

元プレイボーイバニーのP.J.マステンさんは、最高裁の決定を聞いた後「ひたすらショック状態だった」とローリングストーン誌に語った。「私は毎日PTSDと重度の不安障害に悩まされています――来る日も来る日も、人生ずっとです。私は終身刑も同然なのに、彼は無罪放免だなんて」

マステンさんは1979年、シカゴのプレイボーイ・クラブでバニーガールのマネージャーとして勤務していた時に、コスビーから薬を盛られてレイプされた。彼女のこの時の経験は、A&Eのドキュメンタリーシリーズ『Secrets of Playboy(原題)』の最新話で語られる予定だった。

【写真を見る】P.J.マステンさんとビル・コスビー

最高裁の決定により、収監からほぼ3年後にコスビーを釈放するというペンシルベニア州最高裁が昨年6月に下したまさかの決定は、そのまま維持される。賛否両論を呼んだこの決定は、裁判前に地方検事が内密に不起訴を約束していたことを理由に、そもそもコスビーは2004年のアンドレア・コンスタンドさん暴行容疑で裁かれるべきはなく、有罪判決も言い渡されるべきではなかった、と結論づけた。

コスビーの広報を担当するアンドリュー・ワイアット氏は声明を発表し、依頼人に代わって「最高裁判事に心からの感謝」を述べた。ワイアット氏はコスビー氏の有罪判決には人種が絡んでいたと再三主張してきたが、バーナードさんはこうした解釈を一蹴する。

「コスビーの犠牲になった私たちの1/3以上が黒人女性です。黒人女性の命も大事でしょう」とバーナードさんはローリングストーン誌に語った。「人種が理由で標的にされたという彼の主張はばかげています。彼の弁護団は私たちを――被害者を――リンチ集団になぞらえています。ばかばかしい」

バーナードさんもまた、襲撃を受けた後遺症でPTSDを抱えて暮らしているそうだ。「私たちは犠牲者です。私たちは打たれ強いですが、日々苦しんでいます。ビル・コスビーは私の顔に枕を押し付け、『やめて』と叫ぶのを黙らせようとしたんですよ。彼がなんだかわからない薬を私のスパークリング・シードルにこっそり混ぜたせいで、身体を動かして彼を押しのけることもできなかった。息ができなくて死ぬかと思いました。今でも毎晩寝る時に、枕を見ると記憶がよみがえります。周りは理解してくれませんが、私たちは毎日そういったことに対処しなきゃいけないんです」

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from Rolling Stone US

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