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歌うだけのガールズ・バンド mzsrzが語る、5人を繋ぐ「歌声」という絆

Rolling Stone Japan / 2022年3月18日 20時0分

mzsrz(Photo by Jumpei Yamada)

『エイベックス × テレビ東京』によるオーディション『ヨルヤン』から誕生した5人組ガールズグループmzsrz(ミズシラズ)が、1stアルバム『現在地未明』を2022年3月16日に発売する。全曲DECO*27がプロデュースを手掛けた今作には、多感な時期ならではの焦燥や不安、自身の存在証明を渇望する心境が、エッジの鋭いサウンドと共に描かれている。

その楽曲たちは、1人ひとりが持つ圧倒的な歌唱力によってより一層ピュアで儚く、二度と戻らない今を苦さと美しさの両面から映し出しているが故、あらゆる世代の胸に響くはずだ。結成から1年あまりを経て世に送り出すデビューアルバムについて、それぞれの想いを語ってもらった。

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―みなさんはオーディションを経て結成、2021年1月にデビューしたわけですが、ここまで約1年間どんな思いを持って活動してきて、どんな変化がありますか?

ゆゆん:私はオーディションを受けたときは自分の歌に自信がなくて、受かると思っていなかったんです。もともとネガティブ思考なので、自分の考え方を自分で否定しちゃうことがあるんです。でもこの1年の活動を通して考え方が変わっていって、「自分の努力があってこそ、この場に立てているんだな」って、ちゃんと自分を認めることができるようになりました。歌い手としても前を向いていかなきゃいけないなって、mzsrzの楽曲に背中を教えてもらうことで今こうして頑張れてるのかなって、自分でも成長を感じています。


ゆゆん

実果:私は、幼稚園の頃は歌手になりたいという夢があったんですが、そこから成長するにつれてまわりの意見とかを聞いて、「自分は公務員を目指すんだ」と思っていたんです。でもmzsrzの活動を通じて、「私はやっぱり歌手になりたい」という想いが強くなって、以前よりも歌うことが楽しくなりました。



作山由衣(以下・作山):mzsrzは、この1年間の活動で表現力の幅が広がったなと思っています。最初の2曲、1st シングル「夜明け」と2nd シングル「ノイズキャンセリング」までは、内気な普通の5人の女の子として、内側に自分の気持ちを引っ込めて、その中で葛藤とか不安とかを叫ぶような歌のアプローチだったんです。ただ、3rdシングルの『アンバランス』からちょっと自分の考えを外に主張するような、内側だけじゃなくて外側にも発信していく歌の表現を求められるようになって。そこからはみんなどんどん、自分の考えを外に出すとか、殻を破って歌で表現することができるようになったと思うんです。そこは本当にみんなのことを尊敬していますし、自分も恥ずかしさとか怖さを全部吹っ切って歌えるようになれたかなと思います。



大原きらり(以下・大原):デビューするまでは、人に聴かせることを意識せずに、自分のためにカラオケとかで歌っていました。でもデビューしてからは、まだ私たちのことを見ず知らずでこれから聴いて下さる方、もう聴いてくださっている方、いろんな方たちのために、この5人の多様声があるんだなって感じるようになりました。そのためには今のままじゃいけないので、個人の活動で頑張っているTikTokとかで、最新の歌い方、流行の歌い方とかを分析して取り入れて、尚且つ自分の歌声の強みを極めていくようにしています。「自分のために」から「人のために」って、気持ちがシフトチェンジできるようになりました。


大原きらり

よせい:私の中の変化としては、mzsrzの楽曲をこういう表現、伝え方で発信していくんだっていう中で、音楽に対する視野が広がりました。その音楽を伝えていくにあたって、言動も自分でしっかり責任を持つようにしないといけないということは、この1年間で感じたことですね。グループで活動しているので、自分の発する言葉とか行動でグループの印象も変わってくると思うんです。それは、みんなで1つになって、音楽を作って行く上でとても大事だなと思いました。

―「しっかり責任感をもってやろう」みたいな話って、5人でしたりするんですか?

全員:……あまり、しないですね(笑)。

―そうですか(笑)。1人ひとりが自覚を持っているということですね。ちなみに、リーダーの方っていらっしゃるんですか?

よせい:いや、mzsrzは5人の”多様声”を持ったグループとして、リーダーやセンターという立ち位置はないんです。

―踊らない"歌うだけのガールズ・バンド”というキャッチフレーズがあります。これは歌声が最大の武器ということだと思うんですが、みなさんの中ではどう捉えていますか。

作山:ダンスってもともと振付が決まっているじゃないですか? 私たちは、今の自分たちの感情とかを等身大で届けることをテーマとして活動しているので、作られたダンスを踊るとかではなくて、歌いながら、その時々で歌の表現がどんどん変わっていくのがmzsrzだと思っています。そういった、決められた振り付けやダンスという表現ではない、自然な表現で音楽を届けたいと思っています。



―2021年に東京WALL&WALLで行われた無観客ライブの映像を拝見したのですが、アルバムで聴いた印象よりも想像以上に感情が激しく表現されているように感じました。ライブではより感情を出そうと考えて歌っていたのか、それとも自然に感情が溢れ出てきたのか、どちらでしょう?

ゆゆん:私は、考えてもいるし無意識でもあるというか、半分半分という感じです(笑)。オーディションのときに、「すごく表情が良かった」と言っていただいたので、それも意識としてあったのかもしれませんが、、自分のパートじゃないところも含めて、曲の主人公になりきっていました。それと、身振り手振りをすることで、自然に感情がバッと出てきた感じです。

実果:私は、ライブで歌っているときに楽しくなっちゃって(笑)。その場にいる人全員と一緒に楽しもうという気持ちで、自然に感情が出ていました。無観客だったことは、すごくさみしいなと思ったんですが、カメラの向こうには観てくださっている人もいるし、その場で撮ってくださっているスタッフさんもいるので、その1人ひとりに向けて歌う気持ちでやっていました。


実果

作山:私は、シンプルに楽しいのと、感謝の気持ちも込めて自然と動きが出てきたんですけど、少しだけ意識していた部分もありました。このライブはオンラインでしか観てもらえないので、その中で何を伝えるかを考えたときに、「ここではこうしよう」とか、自分なりにこういう表現をしようとかを事前に考えておきました。ライブを観たファンの方からいただいたコメントとかを見て、喜んでくださっていたり、繊細な動き1つであっても、心を揺さぶることができるんだという実感を持つことができました。

―バンド編成だったこともあって、演奏はかなりロックな感じでしたよね。「アンバランス」の間奏で、お客さんがいたらヘドバンしそうな場面もありましたけど、自分も思わず激しく踊りたくなったりしませんでした?

作山:それはあるんですけど、ステージが狭かったので(笑)。


作山由衣

一同:ははははは(笑)。

作山:もっと大きなステージに立てるように、これからも頑張りたいなって思いました。



大原:レコーディングのときは、演じているような気持ちで繊細に繊細に、聴いてくれる人がその気持ちに浸れるように想像して歌っていて。ライブはこのとき初めてでスタート地点に立ったばかりで右も左もわからないし、パフォーマンスも自分の感情で動くのがむずかしくて。練習期間は、由衣ちゃんに最後の最後までずっと付き合ってもらったんです。でもやってもやっても全然上手くできなくて。私のソロの曲の練習をしていたときに、由衣ちゃんが泣いちゃったんです。私はそれを見て、「あんなに練習に付き合ってくれてたのに、私が全然できないからこんなに泣いてるんだ」と思って落ち込んだんですけど、終わった後に由衣ちゃんが、「歌に感動して泣いたんだよ」って言ってくれて。自分はこんな感じでも、頑張れって言ってくれたり感動してくれる人がいるのなら、深く考えこまずに一生懸命やろうと思いました。意識、無意識、いろんなものがごちゃまぜになったライブ本番で、もう記憶がないです(笑)。

よせい:私はメンバーのみんなの表現力を身近に見てきて、自分の中ではみんなのように良い表情とか、歌詞に沿った動きのようなものはそんなにはできなくて。でも、リハーサルをしてきた中で、メイクさんに「よせい、すごく良いよ」って言ってもらったことがあったんです。そのときに、自分は歌が好きで始めたわけだし、初心を忘れずにまずはライブを楽しもうって思えたんです。本番は無観客だったんですけど、目の前にお客さんがいる体で、1人ひとりに届けたいという一心で楽しみながら歌いました。なので、お客さんを想像しながらが五分、無意識が五分ぐらいの気持ちでした。


よせい

―ちなみに、ライブではよせいさんはゆゆんさんのソロ曲のときに横でアコースティックギターを弾いてましたよね。今後もライブではこういうことはやっていくんですか?

よせい:ギターはまだまだ嗜む程度ですけど、今後もやっていきたいと思います。ソロに私も一緒に参加することで、絆を育みたいなって(笑)。

ゆゆん:ははははは(笑)。



―絆という意味では、5人を結束させているものって言葉にすると何でしょうか?

よせい:「歌声」だと思っています。それぞれがお互いを尊敬できるような良い歌声を持っているので。だからこそ、こうして1枚のアルバムという形で残せたのかなと思います。

大原:私も「歌声」が一番に思い浮かびました。みんな地方に住んでいるので、コロナ禍もあるし、プライベートで集まれたことがないんです。それもあって、やっぱりお互いを尊敬しあえる歌声が絆を作っているんじゃないかなと思います。



―1stアルバムのタイトルは『現在地未明』。これはどんな意味で付けられたタイトルなのか教えてもらえますか?

作山:このタイトルは、「未明」という言葉がついている通り、夜がまだ明けきらないという意味を持っていて。今自分がどこにいるのかわからないという焦燥や不安を歌っているんです。そういう気持ちを特に10代の思春期の子たちはすごく感じていると思いますし、私たちも10代で……。

よせい:(挙手して)あ、1人20代になりました (笑)。お姉さんです。

作山:お姉さんもいるんですけど(笑)、10代の少女として、不特定多数じゃない、誰かに一人一人に寄り添うようなミクロな感情”micro music(ミクロ・ミュージック)”を届けることを大切にしているので、焦燥とか不安とかに寄り添うような楽曲とか自分たちの叫びとかを詰め込んだアルバムという意味で『現在地未明』というタイトルになっています。



―アルバムの10曲で、それぞれが思い入れのある曲や、聴いて欲しいところを教えてください。

ゆゆん:私は「パンデモニウム」という曲を聴いて欲しいです。このアルバムの中でも、ダークな表情をした私たちを見ることができる曲です。mzsrzらしい楽曲というのが、「フェーダー」とか「Repeat」とか、ちょっとゆったりした透明感のある曲だと思うんですけど、「パンデモニウム」はそういう楽曲とは真逆なんです。自分の中での解釈なんですけど、苦手な相手への皮肉を 〈ノイズ様〉っていう歌詞で煽りのように歌っているのかなと思います。それと、この曲を通じて自分の中の表現力がすごく上がったと思っていて。私が憧れているアーティストの1人がAdoさんなんですけど、歌い方を参考にして良い感じで歌えたなと思っています。あと、〈同情するわ〉っていう歌詞があるんですけど、そこの部分も語りのような表現をできたので、個人的にすごく満足している楽曲です。

実果:私は「パントマイム」です。この曲は誰か1人がソロで歌っているのに対して、他の4人が声をかけるような構図が続くんですけど、できた音源を聴いたときに「なんだこの透明感!」って思ったんです。4人の声が合わさっても透明感があるし、1人1人が歌っても透明感があるメロディなんですけど、歌詞は〈触んないでよ〉とか強めなんです。カッコイイ感じ、繊細な感じもありつつ、いろんなmzsrzが見ることができる曲だと思いますので、とにかく聴いて欲しいです。

作山:私は「エコー」です。mzsrzの楽曲は、繊細な歌詞やメロディが多いんですが、「エコー」は、その中でも明るい曲調なんです。とくに(実際に口ずさみながら)〈聞かせてよ Woah〉という部分など、ライブでコール&レスポンスをできる楽曲だと思っていて、隣にいて寄り添って応援するような楽曲として、アルバムの中ではちょっと違った曲なのでおすすめです。





大原:私はデビュー曲の「夜明け」が一番好きです。今まで自分は、身近な目線に立ったりとか、弱い自分とか逃げたくなるような感情を認めてくれるような曲に出会えたことがあんまりなかったんですけど、それが「夜明け」には詰まっていると思うんです。サビに〈ここで泣いていいよ 違ってもいいよ〉という歌詞があるんですけど、こういう歌詞に出会ったことがなかったので、衝撃を受けたというか。自分たちが歌う曲なんですけど、自分にとっては新しい目線から歌ってくれている曲です。そういう、誰かから認められることが、悩んでいる子には一番必要なんじゃないかなって。今不安なこととか投げ出したくなる状況を抱えている人たちに、是非聴いて欲しいです。あと、デビュー曲なので自分たちの歌声もすごく未熟なんです。だけど、そんな未熟さを聴けるのもこの1stアルバムしかないので、是非「夜明け」を聴いてから他の曲も聴いて、成長を感じてほしいです。



よせい:私は「フィルター」を聴いて欲しいです。この曲は、ちょっと背伸びをした曲というか、苦味のある大人な恋愛の曲かなと思っていて。恋に仕事にと天秤にかけている感じとか、この曲を聴くとキュンキュンするんです(笑)。みなさんにも是非、歌詞を見ながら聴いて欲しいです。ドラマParavi「部長と社畜の恋はもどかしい」のエンディング主題歌にもなっている曲なので、ドラマを見てから曲を聴くともっと、「うわっムズキュン!」ってなると思うので、そこにも注目して聴いて欲しいと思います。





―1stアルバム『現在地未明』をどんな人に聴いて欲しいですか? また、これからはどんな夢を持って活動していきたいか聞かせてください。

ゆゆん:mzsrzの楽曲は、アルバム『現在地未明』というタイトルとリンクしていて、世界中のどこにいるかもわからない不特定1人ひとりに歌っているので、楽曲の中の主人公はもしかしたら今聴いているあなたなのかもしれないと思っています。もし本当に苦しいときには、このアルバムを聴いていただいて、刺さる曲があればたくさん聴いて、少しでもその人のそばに寄り添うことができたらいいなと感じています。これからグループとしてもお仕事が増えていくと思うので、より気持ちを高めて成長していけたらいいなと思っています。

実果:楽しいときでも苦しいときでも、いろんな人の生活の一部になれたらいいなって思っています。どんなときでも、聴きたいと思った人にたくさん愛される曲になったら良いなと思います。夢は、やっぱり有観客でお客さんの顔を見てライブができたらいいなと思っています。

作山:大きくても小さくても、どんな悩みでもいいので何か1人で抱え込んでいる人に、是非mzsrzの楽曲を聴いて、心穏やかにハッピーに過ごしてほしいと思います。グループとしては、実果ちゃんが今言ったように、有観客ライブをしたいですし、その夢を持ってもっと5人で努力して頑張って行こうと思います。

大原:聴いて欲しい人は、「全員」っていう感じです。仕事に疲れて「もう辞めたい」と思ったら、「夜明け」を聴いて逃げ出したい自分を認めてもらってもいいし、SNSに疲れたんだったら、「ノイズキャンセリング」を聴いてほしいですし、誰かを応援したい、誰かに応援されたいときは「エコー」を聴いてほしいです。



大原:そういう風に、このアルバムはいろんなジャンルと歌詞と、いろんな状況が曲になっています。思春期の人がとくに刺さりやすいとは思うんですけど、大人の方たちとかどんな世代の人でも共感できると思うので、全世代に聴いてほしいです。グループの目標・夢は、いつも聴いてくださっていたり応援してくださっている方の顔や雰囲気を、私たちは知らないまま過ごしてきているので、実際にファンの方に会って確かめたいです。有観客ライブを開くことができたら、その空気感を楽しみたいです。

よせい:全曲、自信をもってオススメしたいので、本当に老若男女、生きとし生けるすべての方々に聴いていただきたくて。どの曲でも必ず当てはまる状況があると思っているので、自分の気持ちが当てはまる曲を、是非このアルバムから見つけてもらって、リピートしてくださったら嬉しいです。グループとしては、(コロナ禍でもありますし)それこそ仕事のときしかメンバーのみんなと会う機会がないので、今年は新たなステップとしてみんなともっと会って、音楽に対する考え方とか、何を目指しているかを改めて、mzsrzとして今後どうやって成長していくかを考えていきたいです。mzsrzの世界観を、私たち自身でもっともっと確立していきたいですね。


<リリース情報>


mzsrz
『現在地未明』
発売日:2022年3月16日

=収録曲=
1. 夜明け
2. ノイズキャンセリング
3. エコー
4. インベーダー
5. パンデモニウム
6. フェーダー
7. アンバランス
8. パントマイム
9. フィルター
10. Repeat

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