1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 音楽

久保あおいが語る、素顔を出す覚悟をした理由「今度は私の歌で救いたい」

Rolling Stone Japan / 2022年3月24日 19時0分

久保あおい(Photo by Jumpei Yamada)

足立区出身、現在16歳のシンガー・ソングライター、久保あおい。2021年2月にリリースした早口すぎて誰もカバーできないと謳われている「反面教師為貴方覇本日怒上昇中乃巻」のMVがYouTubeチャンネルで約100万回再生されるなど、Z世代のネット発信系アーティストとして注目を集めてきた。

これまで顔出しをしてこなかった彼女だが、自身が初めて作詞作曲した楽曲「独り言」のリリースとともに素顔を出して活動をしていくことを決断。その背景には、これまで彼女が経験してきた辛い過去を歌にして届けること、その歌をより深く伝えること、そして悩んでいる人や苦しい思いをしている人に寄り添いたいという一貫した強い気持ちがあった。まだインタビュー経験もほとんどない久保のルーツや考えについて、ざっくばらんに話を訊いた。

関連記事:Anonymouz、初のホールワンマンで魅せた匿名性と身体性の融合

ー久保さんは、どのような環境で音楽を聴いてきたんでしょう?

YouTubeもそうなんですけど、お母さんが台所で歌っている音楽を聴いていました。

ーお母さんはアカペラで歌っていたってことですか?

そうですね。かなりの声量で歌っていました(笑)。いろんな曲を歌うんですけど、浜崎あゆみさんとか倖田來未さん、演歌も歌ったりしていて。

ー歌手をやられていたんですか?

いや、何もしてなかったんですけど、歌が大好きで。それが私にも受け継がれたのかなと思います。



ーお母さんが歌っているのを聴いて音楽を知るって、なかなか珍しいというかおもしろいですね。スマホとかパソコンはいつぐらいから触るようになったんですか。

小6ぐらいです。最初はキッズケータイだったんですけど、そのうちちゃんと連絡できるようにスマホを持たされて。そこからYouTubeで曲を聴き始めました。最初はそのとき流行っていたYouTuberさんだったりを観ていたんですけど、友だちから教えてもらった曲を調べて聴いたり、あとはLINEで送ってくれた曲とかを聴くようになりました。

ーその中でもよく聴いていた曲はありますか?

傘村トータさんの「贖罪」って曲の歌詞がドンピシャで、よく聴いていました。泣きたいときに我慢したこととか、今日も少しずつ生きていこうとか、苦しかった時期に聴いたらすごく共感する曲で。歌詞が本当にいいなって思いました。



ー久保さん自身が歌手になりたいと思ったきっかけはなんだったんでしょう?

カラオケでお母さんや友だちの前で歌ったときに、感動して泣いてくれたのがうれしくて。自分も歌で救われたことがあったので、今度は救ってみたいと思ったのがきっかけでした。

ー周りの人はどの曲で泣いたか覚えていますか?

お母さんは中村つよしさんの「愛のカタチ」という曲でした。認知症のおばあちゃんの曲なんですけど、うちのおばあちゃんが認知症だったこともあってすごく感動して泣いていて。友だちとかは心が苦しかったときに共感する曲を歌った時に泣いてくれました。

ー歌った後に涙を流しているのを見たとき、びっくりしたんじゃないですか?

びっくりしましたね。途中でヒクヒク聴こえるから何かと思ったら、泣いていて。

ーそれまで、歌が得意だと感じたことはあったんですか? 音楽の授業で褒められたり。

歌の部分だけ褒められたことはありました(笑)。あとは、カラオケで点数の計測をやるんですけど音程バーが結構合っていたりして。もっと練習すればどうなるのかなとか思って歌っていました。



ーこれまで久保さんは顔を出さず活動してきました。このタイミングで顔を出されて活動していくことを決めたそうですが、不安だったりプレッシャーはありますか?

今までは、曲を純粋に楽しんでもらいたかったので顔出しをしていなかったんです。でもこれからは自分自身のことを歌にしていこうと決めて、そのために顔出ししていこうかなと話し合って決めました。今までは楽曲も作ってもらっていたんですけど、これからは自分も楽曲を作っていくので、何を伝えていけばいいのか悩むんですけど、自分の過去の言いづらいことだったり、今までとはちょっと違った形のものを作れたらなと思います。



ー別のインタビューで、「自分にあまり興味がない。それよりも人のことを救いたい」と発言をされていました。なんで自分のことより他の人を助けたい気持ちの方が強いんでしょう。

自分が苦しい経験をしたので、他の人が同じような気持ちになっていると、すごく分かるんです。自分よりも周りの方を救ってあげられた方が、自分も楽になるかもしれません。

ー久保さんは、つらい過去などに対して上手く折り合いをつけて、自分自身は救われた感覚はありますか?s

YouTubeでコメントとかが来たときに、「あ、聴いてくれているんだな、うれしい」と思うし、これからも頑張ろうって前向きになるので、そういう部分から心が救われています。

ー一方で、Twitterで「「楽」を求めてるのに、不安が無いと怖くなったり。矛盾してる自分が嫌だなって」と書かれてました。救われたいと思っているけど、なくなってしまったら不安になる。そんな矛盾した気持ちもあるんでしょうか?

「楽」を求めてるのに、不安が無いと怖くなったり。矛盾してる自分が嫌だなって。 — 久保あおい (@kuboaoi_desu) January 23, 2022
矛盾した気持ちしかないです。自分でも分からないほど矛盾しているのに、先に進もうとするので、結局またよく分からなくなっちゃうんです。そういう気持ちだったりをノートに書いて、いつか自分がその意味が分かったときに読み返せるようにしています。

ー矛盾した気持ちが歌う理由だったり、曲を作る理由になっていると思いますか?

はい。自分でも何か分からない答えをいつか見つけられればなと思っています。



ー今回リリースされる「独り言」は、久保さんの作詞作曲の楽曲です。作詞をする上で、まず散文を時間ごとに書かれています。どうしてそのような方法を取ることにしたんでしょう。

いつもの日々の1日を切り取っただけなんですけど、1日1日で思っていることがたくさんあって、それを曲にできるんじゃないかなと思って提案したんです。この曲は何気ない1日を描いています。

ーいきなり歌詞にするのではなく、散文にした理由は?

今回初めて歌詞を書いたんですけど、自分がそういう文章を書いて、まとまった中から歌詞を書くほうがやりやすかったんです。これからもそうしていこうかなと思っています。

ー歌詞を書くにあたって、何気ない1日をテーマにしたいと思った理由は?

私の思っている何気ない1日が、周りから見ると全然別の1日だと思ったんです。あ、そうなの? みたいなことが結構多くて。それで、いつも自分の心の中で思っていることを独り言でつぶやいている感じにして歌詞を書きました。こうやって自分で文章にしたときに、こんなに考えていることがあったんだって初めて気づくんです。

ーそれぞれのストーリーから歌詞にするのは難しくないですか?

どうすれば情景が浮かぶのか、悩みながら書きましたね。1番は、生きる意味が知りたいってことを伝えたかったので、それをサビに持ってきて。あとは時系列順に書きました。

ー生きる意味を知りたいというのは、久保さん自身が思っていること?

そうですね。気づいたときには、ずっと疑問に思っていました。最初は言葉にできない感情だったんですけど、少しずつ分かってきて言葉にできて、それを歌詞にしています。

ーはっきりした答えってないと思うんですけど、久保さんが思う生きる意味はなんだと思いますか?

歌でしょうか。あとは、人を救いたいとか、寄り添いたいという気持ちが、今の私の生きる意味だと思います。



ー「独り言」は、作曲も久保さんが手掛けられています。どうやって楽曲は作っていったんでしょう?

スタッフさんに簡単なコードを作ってもらって、それに合わせてメロディを弾いていきました。アレンジが加わったら、ピアノ一本のときと全然違って、やさしい感じの曲になって、自分が思っていた感じの曲ができたなって思いました。

ーちなみに、楽器は何かできるものはありますか?

完全にこれができるというわけではないんですけど、少しだけできるのはピアノとギターです。ギターは部活でやっていて、ピアノはほとんど独学で始めました。左手1本ですが(笑)。

ー部活は何部だったんですか?

何部なんだろう? ギターとマンドリンとマンドラが組み合わさっている部活だったんですけど、ちょっとサボりすぎていて……。

ー(笑)。学校はあまり好きな場所ではなかった?

好きではあったんですけど、周りと同じことをやっているのが嫌で、わりと違うことをしていましたね。決まった時間に行ったり帰ったりするのがいやで、遅れていったり、早めに早退したり、違うことをしていました。授業中って、自分のしたいことができないじゃないですか。私的には授業中に別のことをするのが好きだったし、普通とはちょっと逸れた雰囲気や特別感が好きでやっていました。

ー授業中は、どんなことをしていたんでしょう?

ノートに模様を描いたりしていました。先生が来たらパッてページ変えたり。あと、教科書を見る振りして、歌詞帳を見ていたり、本当にくだらないことばかりしていました。

ーそういうときに散文みたいなものも書いたりしていたんですか?

少しだけ。ただ、周りに見られると恥ずかしかったので、あまり書いてなかったです。周りと違うことは自分でも分かっていたので、まだ恥ずかしいかなみたいな気持ちがあって。散文に関しては、先生と交換日記をやっているときは書いていました。

ー先生と交換日記してたんですね。どんなことを話していたんですか?

1番環境が荒れていた時期だったんですけど、相談に乗ってくれたりして。歌ったこともありましたし、本当に仲が良かったですね。なんであんなに仲が良かったんだろう。

ーそれこそ、その先生も久保さんの救いになっていたんじゃないですか。

そうですね。その先生に会いに行くために学校行っていました。

ーさっき言っていた自分は他の人とちょっと違うんだという部分を、自分ではどう思っていたんでしょう? やだなーとか、それともそれが誇らしいとか。

両方ありますね。そこもちょっと矛盾しちゃっているんですけど、過去はつらかったんですけど、この過去があったからこそこんなことができたとか、両方思えるというか。そのおかげで、今の自分がいるとか結構考えたりします。



ー別インタビューで、お母さんに幸せになってほしいってことも言っていましたが、どうしてそこまで大切に思ってらっしゃるんでしょう。

えーなんでだろう……アーティストになりたいという夢をお母さんも一緒に応援してくれたからこそ、恩返しをしたいなと思って。親孝行したいんです。

ーお母さんとはあまり喧嘩とかしない?

今はあまりしないんですけど、くだらないことで喧嘩します(笑)。本当にお友だち感覚なので。最近お化粧をしているときに「テルーの唄」をよく流しているんですけど、お母さんがリラックスモード入っていると、子守唄になっていると思いますね(笑)。

ー過去リリースしている「反面教師為貴方覇本日怒上昇中乃巻」は、歌ってみたが流行っていたので敢えて誰も歌えないであろう曲を作ってみたそうですね。さっき言っていた他の人と違うことをやりたいという部分に繋がっているのかもしれないですね。

繋がっているのかな? 私も初めてこんなに難しい曲を歌ったんです。もともと考えるのは嫌いだけど、漢字を書くのが好きで。そしたら漢字だけの曲ができて、リリースしたらみんな聴いてくれて。頑張って歌ったかいがあったなと思いました。



ー歌おうと思っても本当に難しいですけど、ライブでできるんですか?

いや、避けたいですね(笑)。

ーあははは。今後、お客さんの前でライブしたい気持ちはありますか?

してみたいです。でも大きいライブ会場で歌いたいとかそういう気持ちはなくて。人を少しでも救えればというのが1番の願いなんです。会場の大きさとかは関係なく、心に響けばなと思っています。

ー終始一貫して、自分のことより、他の人のことが第一なんですね。

あまり自覚はないんですけど、そうなんだと思います。



ー有名になりたいとか、承認欲求を満たしたいって気持ちはない?

あまりないですね。もしかしたら私の歌で命が救われるとか、そういうことがあるかもしれないじゃないですか。私も救ってもらった側なので。その気持ちをずっと心の中に入れておいて、今度は私が救いたいなって思っています。

ーこれまでで久保さんが1番歌に救われた瞬間って、どんなときだったんですか?

気持ちがめちゃめちゃ落ちちゃったときに、いつも一緒にいる友だちがさっき話した「贖罪」を教えてくれたんですけど、その曲で救われたんです。命がすごく重く感じたときに共感する曲を聴いて、気持ちが楽になって。歌って本当にすごいなと思った瞬間でもあったので、いつか自分もそういう歌が書けたり、歌えたりしたらいいなと思います。

ーこの先、どんなアーティストになっていきたいと思いますか?

同じ話になっちゃうんですけど、私も同じような経験があったからこそ、悩んでいる方とか、心が苦しい方に向けて作れる曲をいっぱい作って、少しでも寄り添えられたらいいなと思っています。


<リリース情報>



久保あおい
「独り言」
2022年3月25日配信リリース

久保あおいTwitter  https://twitter.com/kuboaoi_desu
オフィシャルInstagram  https://www.instagram.com/kuboaoi_official/
久保あおいTikTok  www.tiktok.com/@kuboaoi

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください