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子役へのセクハラ疑惑、米俳優「性的意図なかった」

Rolling Stone Japan / 2022年3月24日 6時45分

写真左から原告のアンソニー・ラップ、被告のケヴィン・スペイシー(Photo by Greg Allen/Invision/AP; Roy Rochlin/FilmMagic)

性的暴行疑惑の米俳優、ケヴィン・スペイシーに関する裁判に新たな動きがあった。30年以上前にスペイシーに暴行されたと訴えていた俳優、アンソニー・ラップについて、未成年者被害者法(CVA)を適用するほどの内容ではないとして、スペイシー側が訴訟の終結を求めた。ラップはこの請求に反論している。

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現地時間3月4日の略式判決でスペイシーと弁護団が申し立てた主張は、原告が未成年者被害者法(CVA)を行使して、すでに成立している時効を覆すには、性的悦楽または性的暴行の意図で「陰部またはその他プライベートな箇所を握る、掴む、またはつねる」行為があったことを主張していることが「必須条件」だ、という内容。

ラップはブロードウェイ・ミュージカル『レント』のオリジナルキャストで、『スタートレック:ディスカバリー』にも出演したことでも知られている。彼が事件から数十年後に訴訟を起こすことができたのは、2019年に未成年者被害者法(CVA)が2年間の「遡及適用期間」を設けたためだ。これにより未成年時に性的暴行を受けた者は、不適切行為の責任を負う人物や組織を相手取って民事訴訟を起こすことが可能となった。

ラップが最初にスペイシーを訴えたのは2020年9月。2017年にはBuzzFeedで自ら名乗り出て、自らの経験を語っている。注目を集めたBuzzFeedの記事の中で、当時14歳のラップはブロードウェイの同じ舞台に出演していた際にスペイシーと親しくなり、社交的な集まりに誘われた後、マンハッタンのアパートで暴行されたと主張した。見るからに酩酊していたスペイシーはラップを誘い、ベッドに横たわらせた後、性行為に及ぼうとしたが、ラップは「身をよじらせて」逃れることができたそうだ。

当時、スペイシーもラップの告発を受けて声明を発表し、問題の事件は思い出せないものの、「彼の言うような行為をしたのであれば、泥酔時の不適切な行為によるものでしょう。心からの謝罪をするべきだと思います。彼がそのような気持ちを今までずっと引きずっていたことに対し、お詫びします」と述べた。そして、これまで男性とも女性とも関係を持ったことがあるが、自分は「ゲイ」だと認識している、と初めて公言した。

しかしスペイシーはラップの訴えに対する反対陳述書で立場を変え、告発は「虚偽であり、このようなことは決して起きなかった」と発言した。そして先日、仮にこうした出来事があったとしても、未成年者被害者法(CVA)に基づいて法的効力を復活させるほど重大ではない、と主張した。

「原告の告発は、被告が彼を誘い、ベッドに横たえ、のしかかって彼の不意をついた、という主張に尽きる。その後、原告は抵抗することなく『身をよじった』と。原告によれば、この出来事はものの1分もかからなかった。だが原告自身も認めているように、愛撫、接吻、脱衣、服の下から手を入れる行為は一度もなく、性的な意思表示や説明もなかった」とスペイシー側は申し立てている。

これに対してラップの弁護人は反論状を提出し、文脈を見ればスペイシーの意図は容易に「推論できる」と主張した。「被告人はラップ氏と寝室に2人きりの状態であり、ラップ氏を誘って彼の臀部に触れ、彼をベッドに横たえ、ラップ氏の両肩を掴んで自分の脚と股間をラップ氏の腰に、自分の胸をラップ氏の胸に押し付けた」と、新たな申し立てには記載されている。


その他の告発者たちの主張

書面には、スペイシーが「他の人物にも働いた」と思われる「身勝手な同意のない性行為」も取り上げられている。とくに注目なのが、同じくスペイシーを告発しているジャスティン・ドーズさんのケースだ。彼は1988年、スペイシーからコネチカットの自宅でのパーティに招待されたと主張している。ドーズさんはこの時16歳、スペイシーは29歳だった。

ドーズさんはラップの裁判でも証言することに同意し、昨年12月にはZoomでの証言録取にも応じた。裁判所に提出された証言録取の抜粋によれば、ドーズさんは宣誓下で次のように証言している。彼は友人とともにスペイシーに誘われたが、大規模な社交的な集まりだと思っていたものの、実際は自分たち3人だけだった。近くのテレビでゲイポルノが流れる中、スペイシーは2人にアルコール入りのカクテルを2杯ずつ渡したという。友人がトイレに行こうと部屋を出ると、スペイシーが近づいきてソファに座り、ドーズさんの身体に触った、と彼は証言した。

「途中で彼の手が僕の足の上に置かれました。少し気持ちが悪いなと思いました」 録取によれば、ドーズさんはこのように証言した。「なんとなくですが、性的目的でさぐりをいれるというか、僕が気にするかどうか確かめているようでした。自分がどんな反応をしたのかはよく覚えていません。僕は――ただなんというか、固まっていました」。他にパーティの客が現れないことに気づいたドーズさんと友人は、すぐにその場を立ち去ったという。

ラップの申し立ては、USA Today誌で最初に報じられた別の告発者アンドリュー・ホルツマンさんのケースにも触れている。これまでのホルツマンさんの主張によれば、1981年夏ニューヨークのシェイクスピア・フェスティバル公開劇場の事務室にいた時に、スペイシーから無理やり触られたそうだ。ラップの申し立てによれば、スペイシーはホルツマンさんの股間を掴み、「自分の性器をこすりつけ」始めたそうだ。

「まともな人間なら、ホルツマン氏やドーズ氏に対する被告人の性的行為からも、ラップ氏に対する被告人の行為も性的快楽を満たすことが目的だったと推測できる」と、略式裁判に対するスペイシーの申し立てに弁護人は反論した。

先月、裁判所はドーズさんの証言の差し止めを求めるスペイシーの請求を却下した。裁判所いわく、ドーズさんが当初BuzzFeedの記事でスペイシーが膝の上に手を乗せたことには言及していなかったのは事実で、ドーズさんの友人の話も「ドーズ氏の告発を裏付けるとは思われない」ものの、証言を除外するべきか否かの裁定を下すには「時期尚早」だと述べた。

本件の公判は10月に開始される予定。

【関連記事】性的暴行疑惑のケヴィン・スペイシー、ドラマ降板で35億円の賠償命令

from Rolling Stone US

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