「神使轟く、激情の如く。」が理想を叫び続け、デビュー4年で叶えた初武道館公演
Rolling Stone Japan / 2022年4月4日 18時30分
”神使轟く、激情の如く。”(以下、神激)が2022年3月30日、日本武道館にて単独公演「-宣戦布告-」を開催した。結成3年半にして立った武道館公演をレポートする。
会場近くには、開花した桜を眺める多くの人たちが集う中、”神使轟く、激情の如く。”のアドトラックが光り輝き、武道館へ向かう観客たちを出迎えた。定刻を5分ほど過ぎた19時5分、客電が落ちた会場に色とりどりのサイリウムが光ると、赤い照明とともにサイレンの音が鳴り、オープニングムービーが流れる中、白い衣装に身を包んだ、二日よいこ、生牡蠣いもこ、三笠エヴァ、TiNA、涙染あまね、実久里ことのの6人が1人ずつ登場した。
オープニングは、公演タイトルにもなっている「宣戦布告」。マニュピレーターのGODちゃんが音出しをし、バンドサウンドをベースに、シンセサウンド、ヴォーカル、デスボイスが組み合わさったメロディアスな爆音の楽曲が会場を包む。実久里ことのが「この曲は、私たちが初めて出した楽曲です。声を出し続けて、サイレン鳴らし続けて、この曲は武道館に届いたぞ!」と想いを載せると、観客たちはサイリウムを揺らしてその想いに応えた。
「3月30日、俺たちみたいな異端児についてきてくれた歌舞伎者がこんなにいることを嬉しく思います。ありがとう! 他じゃ味わえへんものがあるからここにおるんやろ? 純度100%のオリジナル」と三笠エヴァがアジテートし、ドラムンベースが地を揺らす「神奏曲:テンペスト」、高速テクニカルなギターリフが加わる「青瞬螢詠」と駆け抜けた。
二日よいこが「東京に出てきたとき、都会は冷たいところだよって言われた。けど、この場所で生きていて思う。全然そんなことねえじゃん!って。冷たいとか言っているやつらって、ライブハウスのことを知らないだけじゃないの、うちらのこと知らねえだけなんじゃねえの、って思う。東京は夢を追うやつで溢れている最高の場所だって。この6人の熱が、お前に届くまで、君に届くまで、この場所から叫ぶ」と語り、ジャジーな雰囲気からヘヴィなサウンドへ展開する「神奏曲:アブソルートゼロ」、8bit調のデジタルサウンドとメタルサウンドの融合した「オキシバギー」を爆音とともに歌った。
コロナ禍で声が出せないこともあり、メンバーが先導し拍手でコール&レスポンスを行うと、「今日ここにきてくださって本当にありがとうございます」と感謝を伝えた。「ここにきたからには後悔したくないから、全部、全部、ここに置いていきます」と、続けてメロディアスで疾走感あるポップソング「夏声蝉時雨」へ。サビではタオル回しのようにサイリウムを回して観客は盛り上がりを見せた。
「この時世、うちらみたいな暑苦しいやつらがいてもいいと思うんですよ。たった一回きりの人生。どうせなら好きな人のために、君のために鳴らせ」と二日よいこが語ると、シャウトと激しいドラムサウンドで空間が埋め尽くされる「神奏曲:インフェルノ」へ。音の装飾が少なく、歌詞とメンバーの歌声がダイレクトに伝わってくる「生まれ変わっても自分になりたい」では、生牡蠣いもこが「過去があったから今がある。陰キャだったし、教室の隅にいるタイプだったから、諦めてきた。でもそんな過去があったから今の私がいる。神使轟く、激情の如く。がある。私は生まれ変わっても自分になりたい。これは1人じゃ思えなかった。君たちがいてくれたから。神激以外の人生なんて考えられない。君が教えてくれたからできた曲。いつか、いつか生まれかわるとしたら」と熱い想いを載せて歌い切った。
エヴァが「普通に考えて大人になってから夢を追いかけるのは遅いし、叶うはずないって言われた。そんな誰かの普通を信じなくてよかったって思うよ。女の子なんだからもっと普通の格好しとけばいい、って何度も言われてきた。大人のくせに、女のくせに、男のくせに。そんな枠に嵌めたがる。そんな枠に当てはまる必要ないって、いまなら補償してやれる。それでも誰かの言ったそんな言葉に引きずられそうになったとき、大きな壁に感じてしまったとき、どうかこの曲を、この場所を思い出してほしい。誰かの言う普通なんて、常識なんて、俺らがいつだってこの曲で、この音でぶっ壊してやるから」と「神奏曲:ガイア」へ。実久里ことのが「ライブはいつだって私と君の一対一です。愛する君と2人で生きた証を、この日本武道館という場所に刻んでいこう」と語り、ストレートでメロディアスなギターロック「喪失のカタルシス」を6人のユニゾンしたダンスとしなやかなダンスでじっくり聴かせた。
「せっかくの武道館なので、待っているやつがあるんじゃない?」とTiNAが実久里ことのへ振ると、SNSでおこなっている「じっくり妄想」を披露。妄想相手にいざ告白しようとした瞬間、「お時間になります!」とTiNAに突っ込まれ、「とびっきりのデザートをお届けしたいと思います!」と、「BAD CAKE」へ。アカペラで二日よいこが、「うちらの人生そのまま音にした。今日の景色もまた音にしよう。そうやって一個一個……」と語るパートとともに歌い切った。
「まさに、ここはライブハウス武道館です。こうやって本気でぶつかり合う時間が好きです。だからこそもっと遊びたい。今残っているものあるんだったら全部吐き出せ! まだ遅くない。目を覚ませ。なあ武道館。本気でやろうぜ!」と涙染あまねが叫ぶと、デジタルハードコア曲「自己都合主義メタモルフォーゼ」へ。ぐるぐるぱんという振りや「神激万歳」というフレーズとともに、振り付けを観客たちも一緒に行い、一体感を生んだ。リズミカルなラップとシャウト、跳ねるドラムが小気味いい「合法トリップ:ボイルハザード」を歌い切ると、実久里ことのが、「全力を尽くすほどにフロアの熱量を感じるたびに、やっぱり声が聞きたい。あんたらと一緒に私は歌いたい。だからさ、武道館。もう一回やろうよ」と未来を見据えた言葉を発した。さらに、「武道館よりやばいところでもやろうよ。なくなっちゃった47都道府県ツアーもやろう。憧れているフェスも出よう。そして、毎週サウンドピースに、ホームに集まろうよ。私たち、武道館が決まって、一個壁を作りました。全てを込めて全開の曲を作りました。いまが、その限界を壊すときなんじゃないの? あんたと歌い、その未来を掴むために。私たちがやってきたのはいつだって一番険しい未知だったって、てめえが証明してるだろ。あんたらとだったら越えていけるよ。限界突破!」と、J-ラウドを神激流に昇華した「神奏曲:ライトニング」を、この日一番の爆音とエネルギーで届け切った。
そして、生牡蠣いもこが、自分達の歌詞がモニターに映し出される感慨深さを語った。
「今日の歌詞は全部、私が作詞させてもらっています。こうやって歌詞書いていると、勇気もらったって言ってくれたり、いろんな嬉しい言葉をもらう。でも、最初は強がりだった。本当に思えているかっていったらわからなかった。ずっと弱くて、自信がなくて、強がりでしか言葉が言えなかった。だから自分の理想を歌詞に映した。そんな自分自身の言葉を叫び続けた。歌い続けた。いつの日にか、それが現実に変わっていったんだよな。デビューして4年。当時はメンバーよりもお客さんのほうが少ないときもあった。それでも私は、神激は武道館に立つって言葉にしてきた。そしたら今、武道館に立っている。最初は弱くたっていいんだよ。なりたい自分言葉にしてみてよ。その強がりで吐いた言葉がいつか、君の見てる世界変えていくからさ。君の未来を世界で2番目に信じてるよ! そして自分の未来は自分自身が1番信じてやれよ! いつだって未来はその手の中にあるんだから。これが強がりで不器用な生牡蠣いもこから君へのメッセージ」
そう語り、「不器用HERO」をステージ上のメンバーたちとともに歌い、ときには2ステップを踏みながら、そしてマイクを繋ぎながら、力強く歌いきった。
そして、実久里ことのが目一杯の笑顔とともに「武道館ありがとう! 今日まで私たちを育ててくれたあなたたちがいて、ゼロから神激を作り上げてくれたあなたがいて、どんなときも諦めなかったあなたがいて、そうしてそんな私たちを見つけてくれたあなたがいて、そして私たちはやっとこの場所に立てました。世間はこれをラブソングとは言わないかもしれない。でもこの想いは、いま胸の中にあるこの想いは、確かにあなたに向けたラブソングです」と語ると、6人はステージを目一杯使って、メンバー全員作詞の「Supernova」を歌い上げた。最後はメンバー6人で肩を組みながら、観客たちもサイリウムを一緒に振りながら、多幸感に包まれながら大団円を迎えた。
メンバーがステージを去り、大きな余韻が残る中、スクリーンには9月11日に豊洲PITでライブが行われること、2023年5月28日に幕張メッセ国際展示場でワンマンが行われることが表示され、大きな拍手とともに、初の神激の武道館公演は幕を閉じた。
日本武道館 単独公演 -宣戦布告-
セットリスト
01. 宣戦布告
02. 神奏曲:テンペスト
03. 青瞬螢詠
04. 神奏曲:アブソルートゼロ
05. オキシバギー
06. 夏声蝉時雨
07. 神奏曲:インフェルノ
08. 生まれ変わっても自分になりたい
09. 神奏曲:ガイア
10. 喪失のカタルシス
11. BAD CAKE
12. 自己都合主義メタモルフォーゼ
13. 合法トリップ:ボイルハザード
14. 神奏曲:ライトニング
15. 不器用HERO
16. Supernova
神使轟く、激情の如く。official website
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