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胎児の遺体を冷蔵庫に保管していた反中絶活動家「100体以上持ち帰った」 米

Rolling Stone Japan / 2022年4月7日 6時45分

反中絶活動家のローレン・ハンディ氏(中央)とテリサ・ブコヴィナック氏(左)(Photo by Manuel Balce Ceneta/AP)

米ワシントンD.C.で反中絶活動家のローレン・ハンディ氏の自宅から5体の胎児の遺体が発見された。現地時間5日、ハンディ氏は記者会見を開き、遺体を保管することになった経緯を話した。

【写真を見る】中絶胎児の遺体が入っていたと主張する箱

Progressive Anti-Abortion Uprising(PAAU)という団体で抗議活動の指揮を執るハンディ氏は、3月25日、ワシントンD.C.警察署に通報、自宅から5体の胎児を回収してほしいと要請。ハンディ氏とPAUU創設者のテリサ・ブコヴィナック氏は、胎児の遺体は地元の診療所で違法な中絶手術が行われている証拠だと主張し、警察に捜査を求めた。だが警察はハンディ氏が遺体をどこで手に入れたのか、調査を始めた。

ハンディ氏とブコヴィナック氏の言い分はこうだ。問題の日、ハンディ氏とブコヴィナック氏はワシントン・サージ・クリニックに向かった。患者にピンクのバラを配って中絶を思いとどまらせるのが目的だったが、そこで2人は5体の胎児の他、110体の胎児の遺体を収めた箱を持ち去ることになった、と主張している。

「診療所の前に着くと、カーティスベイ医療廃棄物処理サービスと表示されたトラックが停まっていました」とブコヴィナック氏はローリングストーン誌に語った。「トラックの周りを歩いていると、ちょうど運転手が危険物のシールを張った箱をトラックに積んでいるところでした」 ブコヴィナック氏の話では、自分たちが1箱持ち帰ったら「困ったことになるか」と運転手に尋ねたところ、1つなら持って帰ってもいいと言われたそうだ。ハンディ氏はその箱を持ち上げて、車まで運んだ。箱は大きめの引っ越し用段ボールほどで、重かったという。「呼吸が速くなっていきました。こんなことが本当に起きているなんて信じられず、パニックになっていました」

2人の記者会見で公開された動画には、カーティスベイ医療廃棄処理サービスのロゴが入ったトラックの隣に、カーティスベイ電力のラベルが張られた箱の画像が映っていた。2人が同じものと思しき箱を開ける場面もあった。箱の中には数十個の医療コンテナが収められており、それぞれに中絶手術による胎児の遺体が入っていた、と2人は主張している。

「私たちは袋から115体の未出生児を取り出しました」とブコヴィナック氏はローリングストーン誌に語り、そのうち5体は他のものよりも発育が進行していた、と主張した。「とくに大きな容器が5つありました」。公開された動画には、顔と手足がはっきりした胎児が映っていたとみられる。2人の活動家はこの胎児を「クリストファー」と名付け、発育段階からも診療所が中絶法に違反していることは明らかだ、と述べた。

診療所はコメントを控えた。カーティスベイ医療廃棄処理サービスは活動家の主張に反論する声明を発表し、診療所が胎児の処理に同社のサービスを利用することは社内規定で禁じられている、と述べた。同社は3月25日に従業員1名がワシントン・サージ・クリニックから3つの荷物を集荷したことを認めたが、3つとも全て同社の火葬施設に運ばれたという。「カーティスベイ社の従業員が、これら荷物のひとつでもPAAUや外部団体に手渡すことは絶対にありません。これに相反する主張はいずれも虚偽です」と声明を発表した。声明には、社内規定により「ワシントン・サージ・クリニックをはじめとする同社の顧客は、カーティスベイのサービスを介して胎児や人間の遺体を処理することが禁じられている」ともある。同社は警察の捜査に全面的に協力しているそうだ。


中絶反対派は遺体の解剖を要請

ワシントンポスト紙によれば、警察はハンディ氏の自宅から胎児を押収した後、胎児の中絶手術は「D.C.の条例にしたがって行われており、この住居に行きついた経緯を除けば、事件性は一切見られない」と述べた。さらにポスト紙は、中絶反対派から遺体の解剖要請があるものの、解剖が行われる見込みはない、という2人の匿名職員の見解を報じている。

D.C.の条例は、一定の妊娠週を過ぎてからの中絶をとくに禁じていない。プランド・ペアレントフッドのワシントンD.C.支部のWEBサイトには、妊娠19週までは診療所内で中絶手術を行う、とある。ワシントン・サージ・クリニックのWEBサイトによれば、同クリニックでは「妊娠27週ごろまで」中絶手術を行っているそうだ。

ハンディ氏は記者会見で、実際に箱がその場にあり、運転手が同社の端末に情報を入力していたと述べ、持論を曲げなかった。会見にはハンディ氏と並んで、ローリングストーン誌が1989年に特集した長年反中絶派として活動するランデル・テリー氏も出席した。テリー氏は、医療廃棄物処理会社の社内規定が本当に遵守されていたのか、と疑問を呈した。「中絶クリニックから医療廃棄物処理を委託された同社が、中絶された遺体があるという明らかな事実に気づかないなど、私には到底信じられません」とテリー氏。「バカげています。他に何があるというのです?」

活動家が――本人たちも認めているように――胎児の遺体を診療所の前で盗み、自宅に持ち帰ったことに加え、その後の展開もやはり不可解で、穏やかではない。

ハンディ氏とブコヴィナック氏の話では、2人はとくに大きな5体の胎児をハンディ氏のアパートの冷蔵庫に5日間保管していたという。胎児を保管している間、ハンディ氏はアパートで寝泊まりしなかった、ともわざわざ付け加えた。「私たちはその場所を墓場として扱いました」とハンディ氏。2人はカトリック教の聖職者を呼んで、全ての胎児のために葬儀と命名式を執り行ってもらったそうだ。2人が持ち帰ったと主張する残る110体の胎児は、おそらくカトリック教の聖職者によって墓地に埋葬されたのだろう。2人は記者会見で、まずは110人分の胎児の名前を彫った墓碑を手に入れるのが先決で、その後何をしたのか詳しく公表したい、と述べた。

中絶クリニックから胎児の遺体を収めた箱を持ち去ったという主張に関し、ハーディ氏はこれまでのところ起訴されていない。だが彼女は以前にも警察沙汰を起こしている。2020年にD.C.の中絶クリニックを妨害した事件で連邦起訴されている。

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from Rolling Stone US


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