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RIP SLYMEが語る再始動の理由 3人の「楽しい」を作っていきたい

Rolling Stone Japan / 2022年4月14日 12時0分

RIP SLYME:左からFUMIYA、RYO-Z、ILMARI

RIP SLYMEが、RYO-Z、ILMARI、FUMIYAの3人体制で音楽活動を再開。約5年半ぶりとなるニューシングル「Human Nature」を4月15日に配信リリースし、それを皮切りに5カ月連続で配信シングルをリリースすることを発表した。

【写真を見る】「Human Nature」アートワーク

2018年からの休止期間、メンバー脱退を経て、2MC+1DJ体制でリスタートを切るRIP SLYME。今回、Rolling Stone Japanでは3人への独占インタビューが実現した。「インタビュー自体が4、5年ぶり」「話し方を忘れちゃったかも」とソワソワしながら取材の場にやってきた彼らだが、話し始めれば和気あいあいと止まらない饒舌ぶり。再始動までの経緯、曲作りにおける変化、各々のアーティスト活動、そしてこれからの意気込みを存分に語ってくれた。

ー今日は、活動再開にあたっての思いを聞かせていただければと思います。

RYO-Z ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、我々いろいろありまして、言えることと言えないことがあって、ファンの人たちに事情を説明することがなかなかできませんでした。それでも待ってくれていた方たちに、まず「申し訳ございませんでした。お待たせしました」という気持ちですね。これからまた、音源やチャンスがあればライブなど、楽しく前向きに活動していきたいなと思っている次第です。

ILMARI はい、そうです。

ー休止中から新曲リリースに至るまでの流れを追うと……この1年ほど、3人でインスタライブやYouTubeで発信をしていたので音楽活動再開への布石はあったわけですが、再始動についてどういうふうに話し合っていたんですか?

RYO-Z だいたい僕ら、休止はしてないんですよ。活動休止なんて発表してないんですけど、メンバーが辞めるということがあったりして、どんなふうにやっていこうか結構悩んだり、なかなか動くことができなかったという状態でした。ただそんな中でも、とにかく曲だけは作っていたんです。で、停止から2年ほどした年の暮れに、いよいよ動き出していこうとなって、まずイベントに出てみたんですね。その時にもう「Human Nature」はできてたんですよ。原宿のモントークでやったんですけど、お客さんが店に入りきらないほど来てくれて、お待たせして本当にごめんよっていう感じでした。よし、これでがっつりやってくぜ!って思った翌年が、コロナだったんですよね。

ILMARI 2020年の4月にワンマンイベントを打とうとしていたんですけど、コロナの影響でできなくなって。コロナ禍も長引く中で、今はデジタルでいろいろ発信できるなということで、試行錯誤しながらもインスタライブやYouTubeに挑戦してみたっていう。未だに全然やり方わからないけど(笑)。それで、そろそろ普通にライブができるんだったら、僕たち3人だけでやるっていうのはなかなか厳しいのかもしれないけど、仲間のアーティストを呼んでイベント形式のものを今後できたらなと思っている状態ですね。

FUMIYA デモはとにかく作ってたね、3〜4年。すごい量あります。

ILMARI その中でも特に良いものをここから5カ月連続で出して、その間に新しい曲も作りつつ、次のステップにしていきたいなと。

ー自主リリースで?

ILMARI そうです。今は配信でフットワーク軽くバンバン出せるじゃないですか。とりあえずそういう形態で今はやってみようと。

RYO-Z 3人でリスタートするなら新しい名前にしようかっていう案も出て一時考えたけど、別にグループ解散したわけじゃないし、僕らはRIP SLYMEだよねっていうことで変える必要はないという結論に至りました。


3人体制になってからの音楽スタイル・方向性

ー数年がかりで再始動の計画を進めていたんですね。3人体制となって、音楽スタイルや方向性についてはどう考えたのでしょうか。

ILMARI 曲作りは以前のやり方と変わりました。5人でやってる時は、FUMIYAのオケが来て、みんなでさっと話してそれぞれのパートを書いてきて、持ち寄って完成させてたんですね。僕ら3人になってからは他の人の歌詞にも突っ込んで、全体的にちゃんと仕上げようということに。

RYO-Z 例えば、全部僕が書く曲、全部イルくんが書く曲もあって。以前は「この曲に対してこういうふうに俺は思ってる」って、1つのテーマに対してそれぞれの見方が集まったような感じ。それよりもっとテーマにグッと入ってくるようなアイデアをFUMIYAも出してくれるようになって。

ILMARI 「この連呼よくないですね」とか「もうちょっと言葉変えませんか」とかね。そういう形、やっていそうでやったことなかったんですよ。

FUMIYA 3人になって初めの頃はガタガタ震えてたんで、女性ボーカリストに入ってもらった曲とか歌モノを作ってたんですけど、「Human Nature」はシンプルに3人だけで作った曲で。

RYO-Z 当時、前の事務所の方達と会議しながらデモを聴いてたんだけど、ほぼほぼ厳しい評価をもらう中で、唯一褒められたのが「Human Nature」だったんですよね。

ILMARI ということは悪くないのかなって判断して。

FUMIYA この曲は、サンプリングベースで、シンプルにラップをしてもらうオケっていうイメージで作りました。2人にはどうぞ自由にやってって感じでしたね。ライブで映える、ノリやすい曲だと思います。

RYO-Z まさにイベントでこれをパフォーマンスした時も、やっぱりいいなあと手応えを感じましたね。

ILMARI そうだね。今までいろいろトライしてみたけど、うちらはやっぱりこういう曲調が一番やりやすいなって感覚があるよね。

RYO-Z まあ、急にディーバがブワーッと歌い上げる曲で「RIP SLYME新曲です!」っていうのもちょっと「えーっ」てなるでしょ?(笑)

ーそれはそうですね(笑)。「Human Nature」を聴いたおそらくほとんどの人が「リップらしい曲」という印象を持つと思うんですが、歌詞は赤裸々というか正直に書かれてるなと思いました。一度暇になってぐうたらした日々を過ごして、これからはわからないところもあるけど、とにかくやるぜっていう。

RYO-Z そうそうそう。当時の俺の日常みたいなことを書きましたよ。俺たちもそうだし、もうみんなも勝手にやろうぜ!みたいな。

ーお話を聞いていて、ライブを想定して曲を作っていたり、ライブ活動への意欲が大きいようですね。

FUMIYA そうですね。早くライブをやりたい。5人の時の曲作りでも「ここで間を空けたほうが絶対お客さんは上がるよな」とか、頭のどこかでライブの想像をしてて、そのほうが作っていて楽しいんですよ。

RYO-Z ライブも真新しくなるから、どうしましょうね。体力落ちてるからしっかり練習しとこう。

ー5カ月連続リリースではどんな楽曲が出てくるんでしょう?

ILMARI 次に出す曲はRYO-Zくんのテーマソングみたいな曲ですよ。三茶を歩いてるRYO-Zくんが目に浮かぶ曲。あとはフィーチャリングの曲もあるし、夏に似合う曲も、メロウなのも。

ー今後はフィーチャリングゲストを迎えた曲もどんどん作っていく?

ILMARI その可能性はあります。


各自のソロ活動について

ー楽しみです! 最近気になってるアーティストとかいますか?

RYO-Z 俺が最近一番再生した曲、何だと思う? スピッツ。

ILMARI あはは!(笑)。 聴くイメージないんだけど、どうしたの?

RYO-Z 「大好物」っていう曲があって。それが主題歌になってる映画(「劇場版 きのう何食べた?」)がね、すごいよくてずーっと聴いてた。いい曲なのよ……。なんでカノン(進行)なんだろうと思ったら、「そうか、日本人が”大好物”だからだ! さすが亀田誠治とスピッツだ」と思ったわけ。

ILMARI でもさ、スピッツと一緒にやりたいなと思っても、非現実感があってなかなか声かけられないと思うんだよね。そこをKREVAはいくじゃん。すごいよね。だからRYO-Zくんもいけばいいんだよ。

RYO-Z いこっかな? これからはそんな躊躇してたらだめだよね。「厚かましいくらいが本当のタフネス」(「Human Nature」の歌詞)だから厚かましくいこう。

ILMARI 確かに、うちら3人になってフィーチャリングはやりやすくなったかもしれないね。

RYO-Z そうだね。だからFUMIYAのイメージとオケにぴったりのボーカリスト、ラッパーはじゃんじゃん誘っていきたい。ここで言っといたほうがいいよ!

FUMIYA えー誰だろう。声がきれいな人がいいですね。

RYO-Z 例えば?

FUMIYA ……草野(マサムネ)さん?

RYO-Z・ILMARI あははは(笑)!

RYO-Z でも、何年か前にSTUTSくんのトラック(「マジックアワー」)にBIMとフィーチャリングさせてもらった時、若い子とスタジオ入ってセッションするの、すっげえ楽しいとも思ったよ。今の若い子はほんといいヤツばっかりだよね。



ーその流れでソロ活動の近況も聞きたいのですが、RYO-ZさんとILMARIさんはTERIYAKI BOYZとして12年ぶりとなる新曲「Morë Tonight」が3月に出ましたね。ファレル・ウィリアムスプロデュース……って文字面にすると改めてすごいです。

RYO-Z すごいよね。今回は一緒にスタジオ入ったわけじゃなくて遠隔だったけど。

ILMARI 去年の3月ぐらいにNIGOさんから「Victor Victorと契約したからアルバムを出すんだけど、テリヤキどうですかね?」っていう連絡が来て、その後音沙汰がなかったんですよ。そしたら10月後半にいきなり「ファレルからトラックが届いたから3日か4日で作って」ときて。

RYO-Z 「TOKYO DRIFT(FAST & FURIOUS)」の時と全く同じだーっていう。

ILMARI 急遽みんなで集まって3日くらいでラップを入れて送り返したんですけど、最初に、Zoomでテリヤキメンバー4人でミーティングしたんです。その時、Zoomの画面がそれぞれの家にいる姿だったから、「俺たちおっさんになったな。全然盛れてねえな」って話になったんですよ。ファレルのトラックだし、俺らもっと盛っていこう!ということで、Morë Tonight(盛れてないと)っていう曲になりました。



ーファレルから何か指導はありましたか?

ILMARI 実は当初、全然違うテイクだったんですよ。それを送ったらファレルに、「今までのテリヤキっぽい作り方もいいんだけど、俺が作ったメロをそのままなぞって作り直して」って言われて全部書き直したんですよね。

RYO-Z 「ここはラップのシークエンス」っていう目印でハミングしてるわけじゃなくて、このハミング通りに入れてくれっていうことだったんだ、って。

FUMIYA 譜割りまで指示するってことね。

ILMARI テキトーに歌ってる鼻歌なのに、これでいいじゃんってくらいカッコいいんだよね。

RYO-Z 天才ですからね。まあ、うちにもFUMIYAという天才がいますけど。

FUMIYA いやいや……でも、俺の曲は盛ってくれないのね。

RYO-Z 盛る盛る! いつも盛ってるよ?

FUMIYA そう?


CHICO CARLITOから中居正広まで

―FUMIYAさんの個人活動は、chelmicoのアルバムへの参加、Red Bullのラップ企画「Red Bull 64 Bars」でCHICO CARLITOのビートプロデュース、と。

FUMIYA はい。chelmicoは、ラップもうまかったし、いい子たちなんですよ。リップに影響受けてるらしいから俺がスタジオにいて緊張したって言ってたけど、現場の空気が明るい。曲は、俺の中では”男臭いchelmico”。かわいい方面じゃない、汗臭い中にいるchelmicoを見てみたいなと思って作りました。CHICO CARLITOくんのは、もともとRYO-Zくんでデモを録ってたけど……。

RYO-Z その企画に使いたいってことでどうぞって言ったら、すげーカッコいいの! うわーと思って。

FUMIYA いろんな技が詰まっててすごいよね。Mummy-Dさんがこの組み合わせがいいんじゃないかって、くっつけてくれた企画です。

―ほかにも楽曲提供、プロデュース仕事は?

FUMIYA 中居(正広)くんが自分の会社「のんびりなかい」のサイトと会員制ページを立ち上げて、そこで流れる音楽を全部作りました。

ILMARI CHICO CARLITOから中居くんまで。広いねー。

―コンポーザーとしての個人的ニュースはありますか? 新しい機材を導入したりだとか、こんなモードだとか。

FUMIYA アナログ方面に回帰しつつありますね。もう一回サンプリングで作っていきたいなと。DAWの中だけで終わらせないでハードを使ったり、昔の機材を引っ張り出したり。m-floの☆Takuくんもそうみたいで、SP-1200とかを使ってるんだーっていう話をしましたね。

―RYO-Zさんは、アスタラビスタでも久しぶりの活動がありましたね。

RYO-Z そうそう、リリースとライブがあって久々に集まって。だから、リップ、テリヤキ、アスタラと、最近結構バタバタしてるんですよね。

FUMIYA やってたほうが感覚が鈍らなくていいよね。現場もレコーディングも。

ILMARI ときどきYouTubeで、僕らの昔のライブ映像が、誰かに勝手に上げてるやつだけど出てくるじゃないですか。俺らこんなところでやってたんだなあって他人事な感覚なんですよね。

RYO-Z 今、ROCK IN JAPANなんか出たら大変だよ? ガッチガチに緊張すると思うよ。

FUMIYA 手震えて回せるかな(笑)。でもあの頃は忙しかったね。夏はフェスいろいろ回りつつ、曲も作って。

ILMARI 地方のスタジオで録ったこともあるもんね。

RYO-Z 取材も1日5誌とか。撮影もやってインタビュー受けて、もう何も話すことないと思ってたよね。今、すっごい楽しい。溜まってたから話したくてしょうがない(笑)。





3人の”楽しい”を共有していきたい

―こうして本格的に音楽活動再開をアナウンスして、また忙しくなってきて、感じることは?

RYO-Z 自分たちでペースをコントロールできるようになったことはすごくいいなと。これまでメジャーでやってて、出したいときに出せるわけじゃなくて。曲は自分たちで作るけど、いろんなスタッフがその曲をどこでどう発表するのがいいのかということを考えてくれてた。でも今は「この曲超いいじゃん!すぐ出そうよ!」みたいに勢いでやれちゃう。時代も含めてね。自分たちでステアリングが効く状態でやって、そういうことが可能だっていうのはうれしいですね。楽しみ。

FUMIYA だから、より客観的に見ないとね。今までは見てくれるスタッフがいて、それが違うっていうわけじゃなかったから、今度はそれを自分たちで見極めないといけない。

RYO-Z ただ自分たちの好きなことをやるばっかりっていうふうになっちゃってもね。それとみんなが面白いと思うかどうかは別だから。そういう見極めは確かに重要ですね。

―であれば、自分たちらしい音楽はどういうものだと、今思いますか?

RYO-Z FUMIYAがさっき、曲を作る時にお客さんが盛り上がるところを想像してやるのが面白いって言ってましたよね。やっぱりそこに尽きるんだろうなあと思います。

FUMIYA 楽しんでもらう、踊ってもらうっていうのが一番。そこは前から変わらず、一にも二にもそれですね。

―では最後に、この独占インタビューを読んでいる方々へメッセージをお願いします。

RYO-Z はじめましての方には、フレッシュな音源が出来上がったので、よろしければぜひどうぞ。お待たせした方には、本当にいろいろ心配かけたりもしたと思うけど、元気に前向きにやっておりますので、よかったらまた新しいRIP SLYMEをぜひ聴いてみてください。よろしくお願いします。

FUMIYA 長年やってきたけど、今思う3人の”楽しい”をこれからもどんどん作っていきたいと思いますので、どうぞ皆さん聴いてください。

ILMARI 僕たちは、今までもずっとこの感じのまんまで、特に変わらないんですよ。前向きにというか普通に楽しいことをやっていきたいと思っているんで、それをまたみんなと共有できる日を楽しみにしています。ライブを早くやりたいですし、フェスやイベントも企画してやりたいなと思ってます。

<INFORMATION>


「Human Nature」
RIP SLYME
配信日:4月15日(金)AM0時
https://linkco.re/e5QPyy26

RIP SLYME 公式YouTubeチャンネル
「リップチャンネル」


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