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Ochunismが語る、叶わぬ恋に夢中になっている主人公を描いた理由

Rolling Stone Japan / 2022年5月2日 19時0分

Ochunism

関西で結成された”ジャンル不特定”な6人組バンド、Ochunism(オチュニズム)が最新シングル「夢中」を2022年4月27日(水)に配信リリースした。ユニバーサル ミュージックからリリースするメジャー第一弾となるこの曲は、叶わぬ恋、報われぬ想いを抱く登場人物の目線で歌われるストーリーが、躍動的なアンサンブルで儚くもじんわりと熱く胸の奥に残る。バンドの成り立ちから楽曲について、東名阪ワンマンツアー、5月29日に心斎橋 BIGCATで開催される「ツタロック DIG ”LIVE” vol.9 -OSAKA-」への出演について等、バンドを代表してボーカルの凪渡に話を訊いた。

―Ochunismは2019年4月に大学在学中に結成されたとのことですが、どんな関係の6人が集まったバンドなのか教えてください。

イクミン(Dr)以外が同じ大学の同じ軽音楽系サークルで出会いました。イクミンはちゅーそん(Gt)が高校生のときに軽音部のイベントで知り合った仲だったみたいで、5人で先にバンドを作ってドラムを探していたときに、声をかけて6人が揃いました。

―6人でやることになったポイントってどんなところにあったのでしょう。

僕はそれまで音楽活動をやったことがなくて、大学のサークルでコピーバンドをやるようになったんです。たまたま一緒にコピバンをやっていたのが、今のOchunismのメンバーだったんですけど、もともとの音楽のセンスが合っていたというよりは、一緒にコピバンをやっていくうちに一致して行ったというか。みんなそれぞれ大学のコピバンを通して成長したと思いますし、外でバンドをやりたいなと思ったときに誘った感じです。

―凪渡さんご自身は、大学まで音楽活動はまったく未経験だったんですか?

中高とずっとバスケ部だったんで、音楽活動はしたことがありません。ただ部活を引退した後に、軽音部にボーカルがいないということで、頼まれて文化祭で歌ったことはありますね。

―軽音部からボーカルのオファーが来るということは、まわりに歌が上手いことが知られていたということですよね。

う~ん、なんでなんですかね(笑)? まあ、学校で暇なときとか歌ったりしていたので。たぶん、「歌が好きなやつ」っていうキャラだったんでしょうね。

―どんな曲を歌っていたんですか?

高校生の頃は、ONE OK ROCKとかMAN WITH A MISSIONとか、みんなが好きなバンドを僕も好きだったので、それを歌ったりとかしていました。

―文化祭で歌ったときに、「もっと歌ってみたい」っていう気持ちが芽生えた?

もともと音楽はやりたくて、高校で軽音部とか吹奏楽部とか、音楽系の部活に入りたいと思っていたんです。でも中学からバスケをやっていたし、友だちにも誘われたのでバスケ部に入っちゃったんです(笑)。大学になったら絶対音楽をやろうというのは決めてました。

―オリジナル曲は最初から、凪渡さんが書いていたんですか。

一番最初は僕が何もわからない状態でスマホの「GarageBand」でコード進行を打ち込んで、あんまり操作もわかってなかったんですけど、ドラムとかを打ち込んでなんとなく曲になりそうなものができて、スタジオでとりあえずそのコードをループしながら合わせていくうちに曲ができた感じです。

―じゃあ、楽器経験はとくにない?

幼稚園から小学校卒業まで、ピアノをやっていたんですけど、あんまり得意じゃないというか。作曲にピアノはあんまり関係なかった気がしますね。最初はスタジオでみんなで合わせながら、めっちゃ時間をかけて試行錯誤しながら曲づくりしていました。

―今は、基本的に凪渡さんが作詞作曲を手掛けているんですか。

僕とちゅーそんが半々ぐらいです。ちゅーそんはギターもベースも弾けるので、最初からある程度曲は作れていたんですけど、最近はちゅーそんがサビや1コーラス作ったものに僕がメロディと歌詞を付けてフルに伸ばしたり、僕の歌に合うように変えて作っています。2人で一緒に作るのが一番良いものができる感じがあります。



―2019年11月に学生バンド日本一を決める「NextAge Music Award2019」でグランプリを獲得ということが、結成半年ぐらいですごいですよね。それまでライブを積み重ねていたんですか。

いや、そのライブが4度目ぐらいだったんです。コピバンでずっとサークル内でライブをしてきた経験値だけで勝負した感じでした(笑)。それまでは、いろんなバンドをコピーしたんですけど、印象に残っているのはOKAMOTOS、Nulbarich、マキシマム ザ ホルモンですね。

―相当バラバラですね(笑)。

バラバラです(笑)。サークルの人が「歌って!」って言ってくる曲を僕が歌うようなパターンも多かったので、本当に色んなジャンルの曲をやりました。

―歌い方はまったく違いますよね。

シャウトとかデスボとか全然得意じゃないんですけど、coldrainもコピーしたことがあります。デスボもシャウトもできないんですけど、なんとか気合でやりました(笑)。

―それをやりつつ、オリジナル曲を作ってグランプリを獲得したわけですね。そのときに、「このままバンドをやって生きていこう」という気持ちが決まったんですか。

バンドを結成したときから、どうせなら音楽で成功したいという気持ちはありました。目に見える賞を獲ったときに、自分たちの音楽が評価に値するという自信になりました。

―メンバーとは改めて「こういう方向性の音楽をやろう」みたいなことって話しましたか。

音楽の方向性については、今もとくに決めていなくて、そういう話し合いはしたことがないです。ライブだと楽器の見せ場になるようなアレンジもしますし、「ジャンルの壁」は全然ないですね。メンバーもそれを意識したことはないと思います。

―凪渡さん個人としては、「新しい音楽を知りたい」「こういう音楽をやってみたい」みたいな欲は生まれてきていないですか。

そういう気持ちは常にありますね。バンドをやり始めてからの方が、ヒットチャートのJ-POPを聴くようになりました。というのは、自分自身の感性を磨いていくためでもあるんですけど、今までは見えていなかったアーティストのこだわりや音の多さや迫力がわかるようになってきて。売れているアーティストの方って、みんなクオリティの高い作品を作っているなぁ、という気持ちで聴くようになりました。

―ところで、Ochunismというバンド名はどこからきているんでしょうか。

ギターのちゅーそんが本名が中村で、音読みでちゅーそんなんですね。そんな彼が趣味の漫画をネットに投稿していて、その名前がOchunismだったんです。ちゅーそんはもともと、「おちゅそんさん」とか「おちゅんさん」とか呼ばれていて、そこからOchunismってつけたみたいですが、検索してもその漫画以外他に出てこないし、文字の並びもいいし、固有名詞で頭に残りそうだなと思ってつけました。

―意味ありげですよね?

「~イズム」とかになると、意味ありそうなんですけど、まったくないです(笑)。良い響きだし、メンバーもみんな気に入ってます。



―「夢中」が配信リリースされました。どんなことを考えて作った曲ですか。

僕は何も考えずに組み立てていくタイプなので、曲を作っている最中はテーマとかは考えていなかったです。ただ、自分的にしっくり来たときの曲って、サビのメロディと歌詞が一緒に出てくることが多いんです。〈夢の中で抱きしめて〉っていうフレーズが出てきて、「叶わぬ恋」みたいなテーマが合うなと思ったのが最初です。今までと比べて一番凝ったのが作詞なんですけど、今まで僕の歌詞は、個人的なことや、僕しか分からないような表現が多くて、聴いている人がわかりにくいところもあったと思うんです。そこを逆にひっくり返した感じで、より具体的で物語的な歌詞になっているので、そこは今までと違う挑戦でした。

―物語的という意味で言うと、どんな登場人物の視点で歌っていますか。

はっきりと決めてしまわない方がいいとは思うんですけど、好きな人に他の相手や好きな人がいて、叶わぬ恋に夢中になっている主人公というイメージです。今回は具体的な描写が多くて、例えば2番で〈主役はあの2人 私はエキストラ〉と歌っていたりとか。はっきり言い切った表現って、やっぱり作詞する人って、避けたくなると思うんです。決めつけちゃうと、聞き手の人が窮屈かなって思うので。ただ抽象的でぼんやりさせておくというのは色んな人が受け取りやすい分、わかりにくさもあると思うので、ある意味今回の歌詞は真っ向勝負ですよね。

―こういうインタビューでも、「歌詞の意味は聴き手の受け取り方次第」とおっしゃるアーティストさんは多いです。それは、伝えたいことがある反面、イメージを限定されたくないという気持ちがあるということでしょうか。

やっぱり、はっきり言ってしまうとそれでしかなくなるというのが、僕の中で怖いんですよね。それでしかなくなると、とたんに狭いものに感じてしまうんです。今まで自分の中身を音楽に落とし込んで届けるというパターンだったので、今回みたいにストーリーがあって登場人物がいてっていうのは、どこかで避けていたかもしれないです。

―「夢中」は出来上がって、作者としてどう感じている曲ですか。

自分の中で表現したいものを書きたいように書いて出すというのは、作っている最中すごく楽しくて気持ち良くて、後から聴いても「かっけえ!!」ってなるんですけど、もしかすると独りよがりかもしれません。今回の「夢中」は、もし僕が書いた曲じゃなかったとしても、良い歌だなって思います。「自分たちの曲」という前提を忘れて聴けました。

―〈傷付けられても 優しくされても 同じくらい切なくなる〉というのは良いフレーズだなと思いました。

ありがとうございます!

―凪渡さんの歌声は、余韻がじわじわと耳に残る感じがします。ご自分ではボーカリストとしてどんなところにこだわりを持っていますか。

「セリフみたいに歌う」ということですね。音符を追いかけるのではなくて、問いかけたりとか、話しているようなイメージです。ライブ中も、常に届けようという思いがあります。

―他の曲を聴かせていただくと、ラップも入ってますよね。

高3の頃に、サイファーに行くようになって、今でも暇なときに1人でフリースタイルをやるぐらいラップは好きです。もしかしたら、もともと音楽の入りってラップ調の曲かもしれないです。小学校低学年の頃聴いたnobodyknows+とか、RIP SLYMEとかケツメイシとかでラップに入って、同時期に洋楽のラップの入ったポップスを聴いていて、「音符よりリズム」という感じのところに影響を受けたんじゃないかと思います。

―「夢中」には、どちらかというとちょっとレトロな雰囲気も感じます。

よく「懐かしい」とか言われることがあるんですけど、レトロな感じとかはあんまり意識したことがなくて。普通に思いつくのがそういうメロディというか、たぶんそういうのが好きなんでしょうね。メンバーもみんな懐メロとかが好きなので、もしかしたらそういう音程が沁みついているのかもしれないです。



―「夢中」のMVも公開されましたが、シブいシチュエーションで撮ってますよね。あれはどんな場所で撮影したんですか?

あれは、鎌倉の旧華頂宮邸という国登録有形文化財になっている洋館なんです。普段は使えないんですけど、今改修中で中を使えるということで、特別に使用させていただきました。



―なるほど、貴重な映像ですね。MVは白衣を着た「freefall」や女性が路上で踊る「rainy」なども拝見しました。映像へのこだわりもかなりありそうですね。

そうですね。僕の中で映像と音楽は切っても切り離せないもので、どんな音楽を聴いていても映像が浮かびます。自分の曲で頭の中を100%作品で表現できるかとなると、やっぱり難しいんですけど、できるだけ近づけたいという思いはありますね。音楽を発信する方法として、僕は絶対に映像もあった方が良いと思っています。



―「夢中」のジャケットは良く見ると歌詞が細かく書いてありますね。これはどんな発想から出来上がったアートワークですか。

紫の花(パンジー)の花言葉が「私を思って」なんです。ジャケットを考えていたときに、花が出会いや別れとの結びつきが強くて良いなって思って、花言葉からパンジーを選びました。ただ、写真に撮るのも何か違うなと。僕的に、ジャケットはイラストとか平面のものが好きなので、そこから押し花を思いつきました。でも押し花だけで「夢中」って書いてあるのは何か寂しくて、活字と相性が良いんじゃないかと思って歌詞を載せてみたら、アイコンとして綺麗だったので、こうしました。

―ライブについてお伺いします。ワンマンツアー「Ochunism Tour -夢中-」が東名阪で行われますが、どんなことを準備していますか。

ライブでは原曲と違うアレンジをするので、セトリと共にアレンジをみんなで考えています。それと、ワンマンなので、普段あんまりやらない曲を入れたいなって。アルバムリリースになると、収録曲を全部やらないといけないですけど、今回はシングルのリリースツアーなので、結構自由にセトリを組めるので、1年半ぐらいやっていない曲もやろうかなと思っています。

―4月30日に<VIVA LA ROCK 2022>、5月21日には<METROCK 2022>、6月5日<SAKAE SP-RING 2022>と、各地の大型イベントにも名を連ねていますが、5月29日には心斎橋 BIGCATで開催される<ツタロック DIG ”LIVE” vol.9 -OSAKA->にも出演します。こちらはどんなライブを見せたいですか。

僕たちは大阪で結成したので、ライブハウスの次に目指すといえば、BIGCATが一番最初に思いつくんですね。前回はオーディションでBIGCATのステージに立ったんですけど、普通のライブで呼んでもらえてステージに立てるのが嬉しいです。その日のラインナップではちょっと他のアーティストと僕たちは毛並みが違う感じがすると思うんですけど、ジャンルレスということでどんな音楽を聴いている人でも、いろんな方向から楽しませたいと思います。

―多くのバンドがいる中で、Ochunismはどんなアーティストでいたいですか。また、バンドの夢があれば教えてください。

そのときそのときで、全然違った音楽を提供してくれるような、「次はどんな曲を出すんだろう?」って気になるようなアーティストでいたいですね。自分でも、この先どんな曲が生まれてくるのかなっていうワクワクがあります。いつか作りたいと思っているのは、今は色んなジャンルを混ぜたような曲が多いと思うんですけど、ゴリゴリのヒップホップとか、何かのジャンルに極端に偏っている曲とか、「そんなのあり!?」っていう、セオリーとか全部無視して物議を醸すような、聴く人を選ぶ曲も出してみたいですね。ただ、僕らのことを好きでいてくれる人がいてこそ、そういうのってより楽しめると思うので。まずは、たくさんの人にOchunismを届けて、何より今は僕たちが楽しむ以上にお客さんを楽しませたいという気持ちも強いので、そういう意味では今はワクワクを与えたくて曲を作っています。いずれは完全に僕たちだけが楽しんでいるような姿も時には見てもらいたいなと思います。そして夢は、日本武道館でワンマンライブをやることです!


<リリース情報>



Ochunism
デジタルシングル「夢中」
配信中
https://ochunism.lnk.to/UnrequitedLove

Official HP:https://ochunism.com/

<ライブ情報>

「ツタロックDIG LIVE Vol.9 -OSAKA-」

2022年5月29日(日)大阪・心斎橋BIGCAT
料金:4400円(全自由・入場整理番号付・ドリンク別・税込)
時間:OPEN 11:30 / START 12:00 / CLOSE 21:00※変更可能性あり
主催・企画制作:CCCミュージックラボ株式会社 / KYODO OSAKA
協力:Rolling Stone Japan 
【本公演の新型コロナウイルス感染拡大防止対策について】
ご来場のお客様に以下のご理解・ご協力をお願いさせていただきます。
・マスクの着用を必ずお願い致します。
・ご入場時に手指消毒、検温を実施致します。
・検温にて発熱(37.5°C以上)、体調不良が認められる方のご参加はお断りさせて頂く場合がございます。
・新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」への登録を予めお願い致します。
・ご来場時、入場口に掲出の”大阪コロナ追跡システム”への登録をお願い致します。
・場内において、お客様同士の密集は避け、適度な距離の確保を心がけていただきます様、
ご協力お願い致します。
・飛沫感染防止の為、大声での会話・声援は禁止とさせていただきます。
上記の事をお守りいただけない、周囲の方に迷惑となる行為を働かれる場合は、ほかのお客様の安全確保の為、ご退場いただく場合がございます。
出演アーティスト:
ammo / Ochunism / ドラマストア / ねぐせ。 / ハク。 / pachae / ヤユヨ / ユアネス…and more
第5次先着受付【4月15日18時~4月24日23時59分】
https://eplus.jp/tsutarockdig09/
※ご購入の際は、専用URLで詳細をご確認ください。
※出演者の変更・キャンセルに伴う払い戻しは一切いたしません。
※チケットの譲渡、転売は固くお断りいたします。チケットを転売、
あるいは転売目的で入手することは条例により違法な行為となる場合があります。ご注意ください。

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