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市原隼人が語る、『おいしい給食』を通して伝えたい「人生を謳歌する」ために必要なこと

Rolling Stone Japan / 2022年5月8日 12時0分

『劇場版 おいしい給食 卒業』主演の市原隼人

給食をテーマにした話題作「おいしい給食」の劇場版第2弾となる『劇場版 おいしい給食 卒業』が5月13日より全国にて公開される。主演を務める市原隼人がRolling Stone Japanに同作への熱い思いを語ってくれた。

1980年代の中学校を舞台に、大の給食好きである数学教師・甘利田幸男と、彼の教え子である神野ゴウによる、どちらが給食を「おいしく食べるか」を競い合う模様を描いたユニークな学園グルメコメディ『おいしい給食』。その劇場版としてはおよそ2年ぶりの続編となる『劇場版 おいしい給食 卒業』が公開される。主演を務めるのは市原隼人。普段は冷静沈着な教師だが、給食の時間になるとハイテンションで踊り出し、心の底から美味しそうに給食を食べる甘利田の姿が口コミで話題に。これまでのイメージを覆すエキセントリックな役柄は、市原の新たな魅力を引き出すことにも成功した。好きなものにとことん向き合い、生徒たちとも対等な立場でぶつかっていく甘利田幸男というキャラクターは、あらゆることを制限されたコロナ禍で生きる私たちに何を教えてくれるのだろうか。この役に並々ならぬ思いがあるという市原隼人に話を聞いた。

──このたび劇場版としては『劇場版 おいしい給食 Final Battle』から、およそ2年ぶりの続編となる『劇場版 おいしい給食 卒業』が公開されることとなりました。改めて今の心境をお聞かせいただけますか?

市原:こうして劇場版第2弾が無事完成したのも、『おいしい給食』を好きになってくださったファンの皆さまのおかげです。本当に感謝しかありません。みなさまに恩返しがしたいという思いで撮っていました。本作は舞台が1980年代、人と人とが密になって称え合い、支え合ってきたこの時代の雰囲気が僕はとても好きなんです。主人公・甘利田幸男が滑稽な姿をさらけ出しながらも、「好きなものは好き」と貫き通し、人生を謳歌している。そして、生徒たちとも対等に向き合い、負けた時は素直に負けを認める。こんな素敵な人は、なかなかいないと僕は思うんです。そして、そんな素敵な役を、こうして再び演じることが出来てとても嬉しいです。


(C)2022「おいしい給食」製作委員会

──そもそも『おいしい給食』は、2019年10月から放送されたテレビドラマからスタートした作品です。市原さんは当時、この作品のどんなところに魅力を感じてオファーを受けたのでしょうか。

市原:まず、書き下ろしの完全オリジナル脚本であることに惹かれました。 「給食をテーマにした作品? なんだそれは?」と思いましたし(笑)、どういう展開になるのか全く予想がつかないところも魅力を感じました。しかも本作を企画し脚本を書いてくださった永森裕二さんの台本の中には、現場で遊べる「余白」をたくさん作ってくださっていたんです。甘利田幸男をどう演じるか? についてもたくさんの選択肢がありましたし、その中から僕が演じたときに「どう面白くなるか?」を試行錯誤できそうだと思い、そういうところにもやり甲斐を感じました。

──今おっしゃったように、この作品は市原さん演じる甘利田幸男の強烈な存在感が重要な要素を占めています。市原さんにとってもチャレンジングな役どころであり、同時に市原さんの新たな魅力を開拓したキャラクターだと思うのですが、役作りに関してはどのように詰めていったのでしょうか。

市原:前作で初めて甘利田の役を作り込んだときはとても大変でした。衣装もいろいろ試しましたし、どの場面で眼鏡をかけるのかどうか、仕草はナチュラルがいいのか、コミックのキャラのように突き抜けたオーバーアクトがいいのか……等々、クランクイン前日まで監督と電話で話し合いながら、それでもなかなか定まらず、本当にいろんなことを考えまくりましたね(笑)。いざ演じてみると、「もっと、もっと」という欲が出てきてしまって。気がついたらあんなエキセントリックなキャラクターになっていました。

台本の中には、甘利田がどう動くかなどの具体的なことは書いてないので、給食を食べている時のリアクションはどうするのか、どう踊るかなどは全て自分で考えました。今までいろいろな感情表現を必要とする役も演じてきましたし、アクション作品にも挑戦してきましたが、どの現場よりもハードな現場でした。


──(笑)。清潔感あふれるキリッとした甘利田が、いきなり満面の笑みで踊り出すそのギャップも笑えるのでしょうね。既存のキャラクターや俳優などで、何かお手本にしたものはありましたか?

市原:それは一切なかったです。誰かの模倣をするのが何より好きじゃないので、監督やスタッフとイチから作っていきました。

──コロナ禍の撮影は大変だったのではないかと思うのですが、撮影中のエピソードで印象に残っているのは?

市原:今回、子供たちも大変だったと思います。私語は一切せず、本番までマスクを二重に着用して、本番で初めて声を出すことが出来るような状況でした。しかも大声を出すシーンは、後からアフレコで加えるなどしています。窓も全開にして、夏だったから40度にもなる暑さの中で芝居をしなければならなかったし、本当に様々な試練を乗り越え、撮り終えたこと自体が奇跡だとすら思いました。生徒たちのクランクアップの時に卒業証書を一人一人に渡したのですが、みんな号泣していましたね。スタッフもキャストも一丸となって熱い時間を過ごしたことは、僕にとっても忘れがたい思い出です。


(C)2022「おいしい給食」製作委員会

──甘利田の教え子であり、ライバルでもある神野ゴウ役を演じた佐藤大志さんの魅力についてもお聞かせください。

市原:最初に彼と出会ったときはまだ13歳だったんです。今回の撮影では15歳になっていて、背丈も大きくなっているし、なんだかドキュメンタリードラマを見ているような、親戚のおじさんのような感覚で「大きくなったね、学校はどう? ちゃんとご飯食べてる?」みたいなことを聞いてしまいました(笑)。全く大人びれずに自然体でいるのも彼の魅力ですし、まるでスポンジのようにあらゆることを吸収しながら、どんどん大きくなっているのを目の当たりにして、とても感銘を受けましたし、僕の方が学ばせてもらったことが多かったと思います。

──「給食」に関して何か記憶に残っていることはありますか?

市原:給食が大好きでした。学校はもちろん勉強をしにいく場所なのですが、給食の時間はもうとにかく楽しかった。大好きな献立が出る日は1日中テンション上がりますし、苦手なメニューがあるとこの世の終わりみたいな気分にもなって(笑)。小学生の頃って、足が速っかたり、勉強ができる子と並んで「給食を食べるのが速いやつ」もかっこいいと思っていましたよね。あれは一体なんだったのだろう。僕も、それほど好きでもない牛乳を急いで飲んでました。

──あははは。ご自身で料理も作るそうですね。

市原:そうなんです。包丁も8本くらい持っています。早朝に築地へ行って鮮魚を買って捌いて朝ごはんを作ることもあります。コロナ禍になる前は、友人を呼んでパーティーを開いて、そこで料理を作って振る舞うのがとにかく楽しかったですね。あらゆる生物の中で、料理をするのって人間だけだと思うんです。昔は寿命が30年と言われた人類が、これまで食べられなかったものも料理をすることで食べられるようになり、より栄養を吸収して体を作ることが出来たから寿命も伸びたのではと考えています。それに気づいて、「せっかく人間に生まれたのに料理をしないのはもったいない!」と思ったのが料理にハマったきっかけでした。


──先ほど市原さんは、甘利田は人生を謳歌しているとおっしゃいました。人生を謳歌するために必要なことって何だと思いますか?

市原:本気で泣いて、本気で悔しがり、本気で笑うことです。自分の感情を表に出すって、なかなか難しいことだと思うんです。場合によっては引かれてしまうこともあるかもしれないし、時にはそれが元で対立することもある。でも、そうやって本気の感情をぶつけ合い、それぞれの価値観を分かち合うからこそコミュニケーションは深まるし、クリエイティブなものも生み出せると思っています。映画の現場でもそう。自分で演じている中で、どうしても理解できないこと、納得できないことがあったら、監督や共演者と積極的に話し合ってみる。私生活でもそういう姿勢を忘れないようにすることが、より充実した時間を過ごす秘訣なのかもしれないと思っています。

──「人間は想像力で出来ている。食は空間を変える」「食を分け合うというのは、もはや配偶者」など、とても印象に残るセリフがたくさん登場する映画ですが、市原さんが印象に残っているセリフは何でしょうか?

市原:「食を分け合うというのは、もはや配偶者」はもう、名言中の名言ですよね(笑)。僕は、ものすごくシンプルですが「私はおいしい給食が好きだ」というセリフが好きです。当初は台本には書かれておらず後から監督が入れた言葉なのですが、そこにはもちろん言葉通りの意味もありますし、「おいしい給食」という制作チームに向けたメッセージでもあって。撮影の時は、そういういろんな思いを込めてあのセリフを言いました。



──僕もあのセリフは響きました。給食って、単に栄養バランスが取れていればいいわけではなくて。美味しく食べることも、人間の健康にとってものすごく大事であることを、とても簡潔に言い当てているように思います。ところで市原さんは、普段どのように音楽を楽しんでいますか?

市原:音楽は大好きです。中学の時にパンクロックにハマり、そこからヒップホップが好きになってターンテーブルを手に入れて。地元の仲間たちとバンドを組んだり、ヒップホップクルーを結成していた時期もありました。駅前で踊っているダンサーに「入れてください!」と声をかけ、彼らに混じって一緒に踊ったこともあったな。『ワイルド・スタイル』という映画に感化され、ラッパーやDJ、ダンサーだけでなくデザイナーやライター、グラフィティペインターにも興味が湧いて。ヒップホップカルチャー全体にも興味を持つようになっていきました。

──アーティストでいうと、どのあたりを聴いていましたか?

市原:ナズが大好きで、他にもスヌープ・ドッグやエミネム、50セントあたり。朝、目が覚めたらとりあえず爆音でヒップホップを聴いていましたね(笑)。なので今年のスーパーボウル ハーフタイムショーは震えました。まさか、今この時代にあんなメンバーで揃えてくるとは思わなかったので。基本は今でもヒップホップ。家でも車の中でも、どこでも聴いています。


(C)2022「おいしい給食」製作委員会

──では最後に、本作『劇場版 おいしい給食 卒業』の見どころをお聞かせください。

市原:暴力的なシーンは極力抑え、小さなお子さんからご年配の方まで楽しんでもらえる作品に仕上がりました。「大衆向けエンターテイメント」としてポップかつユーモラスな部分もあれば、知識や教養を培えるような情報も満載です。ぜひとも劇場まで足をお運びください!

衣装協力:73r


劇場版 おいしい給食 卒業
2022年5月13日(金)より新宿シネマカリテほか全国公開
配給:AMGエンタテインメント
Ⓒ 2022「おいしい給食」製作委員会

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