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アデル、再びステージに立つ 『30』記念スペシャルライブの見どころ

Rolling Stone Japan / 2022年5月2日 14時0分

© Melted Stone under exclusive license to Columbia Records, a Division of Sony Music Entertainment 2021

アデルの映像作品「アデル プレミアム・ライブ・イン・ロンドン ~『30』」が、5月7日(土)にWOWOWで放送される。6年ぶりのアルバム『30』のリリースを記念して、昨年11月に行われた一夜限りのスペシャルライブ。番組の見どころを編集者/ライターの小松香里に解説してもらった。


ニューアルバム『30』を振り返る

これまでに数え切れないほどの記録を塗り替えてきたトップアーティスト、アデル。2021年6月にリリースした6年ぶりの新曲「イージー・オン・ミー」は大方の予想通り、リリース当日、各ストリーミングサービスでの24時間のストリーミング数の記録を更新し、アルバムに向けての新たなる伝説の始まりを予感させた。

そこからしばらくしてリリースしたアルバム『30』は、息子アンジェロへに離婚した理由をうまく答えられなかったことをきっかけに曲を書き始めた作品であると明かしているが、アデルはその時々の自身の心境や状況を鮮明に楽曲で描くことで多くの人々と共振し、支持され続けてきた。そんなアデルによるさらなるリアルライフストーリーが綴られた『30』は新たな金字塔となった。

流麗なピアノから、スモーキーで伸びやかな歌声が響く直球のバラード「イージー・オン・ミー」では、若くして世界的な成功を手に入れてしまった故に、自分を取り巻く世界に気づけていなかった。そんな自分なのだから、お手柔らかにと、傷心と許しを乞うような心情を歌う。

「クライ・ユア・ハート」では、晴れやかにスウィングするサウンドと合致する爽やかな歌声で「心の底から泣けば、顔がきれいになる、迷った時は自分のペースで」と。

ゴスペルのような静謐で荘厳な雰囲気を醸し出すピアノバラード「ホールド・オン」では、イントロから「踏ん張って あなたはまだ強い 愛はすぐにやってくる ただ踏ん張って、持ちこたえて」と。




アルバム『30』をリリースするにあたり、アデルはこんな内容のツイートをしていた。

「約3年前にこのアルバムを書き始めた時は、自分が目指していたような場所からは程遠かった。むしろ真逆と言えるような場所にいて、自分をわざと内面的な混乱へと陥らせてさえいた。人に知られたくないような自分の真実も数多く知った。(だから)自分の層をどんどん剥がし、そして新たな層を作って自分を包んだ。それによって、自分の人生を牽引するのに本当に役立つ健全な精神を見出し、自分のフィーリングをようやく取り戻すことができたように思う。人生においてこんなにピースフルに感じたことがないと思える場所に辿り着いた。だからとうとうこのアルバムを発売する心の準備ができた。(中略)私は労を惜しまずに自分の家と心を再構築し、このアルバムではそれが語られている。我が家とは、心がある場所だから」と。

『30』で描かれている、もがき苦しみながらこれまでの自分と離別し、新たな自分へと歩を進める生々しい心情は多くの人々に受け入れられることとなった。

これぞアデルな王道のピアノバラードに加え、『25』の収録曲「センド・マイ・ラヴ」でタッグを組んでいた、テイラー・スウィフト等も手掛けるマックス・マーティンと作った「キャン・アイ・ゲット・イット」が小気味よいリズムが貫く陰影の深いバンドサウンドに口笛を取り入れ、新鮮な軽快さを宿した楽曲だったり、ローファイヒップホップのビートメイカーであるジョーイ・ペコラーロのビートをサンプリングした「オール・ナイト・パーキング(ウィズ・エロール・ガーナ―)インタールード」が収められていたり、『30』はサウンド面でもモダンな進化を遂げた。そして、世界34カ国で1位を記録し、イギリスとアメリカでは2021年に最も売れたアルバムとなり、記録尽くしのアルバムにもなった。


© Melted Stone under exclusive license to Columbia Records, a Division of Sony Music Entertainment 2021

神々しさすら感じるパフォーマンス

『30』のリリースから約2カ月後、1月21日から4月16日まで開催予定だったラスベガス・レジデンシー・ショーが前日になって延期されるという出来事が起きた。

アデルは自身のSNSにて、「COVID-19の感染拡大の影響で、スケジュールがひっ迫し、みんなに満足してもらえるようなショーをすることができなくなってしまった」と涙ながらに語り、何度も謝罪する動画を公開した。アデル本人に非はないと思われるにもかかわらず、自らが矢面に立ち、ありったけの誠意をもって状況説明と謝罪の意を伝える様は実にアデルらしかったわけだが、そういった不測の事態もあり、『30』の世界観を伝えるライブへの渇望感は高まっている。

そんな中、『30』のリリース直前、2021年11月6日にイギリスで行われた一夜限りのスペシャルライブがWOWOWで放送される。

場所はロンドン・ソーホーにある歴史的な劇場である「ロンドン・パラディウム・シアター」。会場には、アデルの家族や友人に加えて多くのスターが駆けつけた。その顔ぶれをざっと挙げると、ボーイ・ジョージ、ストームジー、ナオミ・キャンベル、エマ・トンプソン、サミュエル・L・ジャクソン、デュア・リパ、メルB(スパイス・ガールズ)、ガレス・サウスゲート、アラン・カー、オリー・アレクサンダー(イヤーズ・アンド・イヤーズ)、ダニエル・カルーヤ、アリーシャ・ディクソン、ブライアン・クランストン……。新旧のポップスターだけでなく、俳優やスポーツマンといった顔がいるのも幅広い層に愛されるアデルならではだ。


© Melted Stone under exclusive license to Columbia Records, a Division of Sony Music Entertainment 2021

ゴージャスな黒いドレスをまとって、大歓声の中迎えられたアデル。笑顔で手を振りながら、ステージ中央に歩み寄る。デビューアルバム『19』に収録された「ホームタウン・グローリー」を見事な歌声で歌いきると、いきなりのスタンディング・オベーションが起こる。

「ハロー」「ローリング・イン・ザ・ディープ」「サムワン・ライク・ユー」といった大ヒットだけでなく、「イージー・オン・ミー」や「アイ・ドリンク・ワイン」「ホールド・オン」といった『30』の曲もいち早く披露。「センド・マイ・ラヴ(トゥ・ユア・ニュー・ラヴァ―)」ではオーディエンスがほぼ総立ち&大合唱で楽しむ姿も見られ、いかにアデルの楽曲が愛されているかを目の当たりにする。

神々しさすら感じる楽曲パフォーマンスの合間のMCではチャーミングな表情でフレンドリーなたたずまいを見せる。自らサミュエル・L・ジャクソンに呼びかける等、集まったセレブリティからの質問にユーモラスに答える場面もあり、アデルの多面的な魅力が堪能できる内容となっている。


アデル プレミアム・ライブ・イン・ロンドン ~『30』
5月7日(土)午後9:00[WOWOWプライム]
番組サイト:https://www.wowow.co.jp/detail/179422


アデル
『30』
発売中
視聴・購入:https://Adele.lnk.to/30ALJP

【収録曲】
1. STRANGERS BY NATURE | ストレンジャーズ・バイ・ネイチャー
2. EASY ON ME | イージー・オン・ミー
3. MY LITTLE LOVE | マイ・リトル・ラヴ
4. CRY YOUR HEART OUT | クライ・ユア・ハート・アウト
5. OH MY GOD | オー・マイ・ゴッド
6. CAN I GET IT | キャン・アイ・ゲット・イット
7. I DRINK WINE | アイ・ドリンク・ワイン
8. ALL NIGHT PARKING(WITH ERROLL GARNER)INTERLUDE | オール・ナイト・パーキング(with エロル・ガーナー)インタールード
9. WOMAN LIKE ME | ウーマン・ライク・ミー
10. HOLD ON | ホールド・オン
11. TO BE LOVED | トゥ・ビー・ラヴド
12. LOVE IS A GAME | ラヴ・イズ・ア・ゲーム

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