MINMIが語るデビュー20周年の歩み、5年ぶり開催のフェス「FREEDOM」への想い
Rolling Stone Japan / 2022年5月20日 12時0分
MINMIが2022年8月でデビュー20周年を迎える。8月21日には、淡路島・国営明石海峡公園芝生広場にて、5年ぶりに主催イベント「FREEDOM 青空 2022 淡路島」の開催も発表。同フェスに向けクラウドファンディングも実施している彼女に、20年間の音楽活動の歩みから、子育て、「FREEDOM」にかける想いなど、ざっくばらんに話を訊いた。
ー1stシングル「The Perfect Vision」をリリースしたのが2002年の8月ということで、今年、いよいよデビュー20周年を迎えられます。今、この20年を振り返ってみて、どんな感覚ですか?
関連記事:田中宗一郎×小林祥晴「2022年初頭ポップ音楽総括:開戦前夜に優れたアーティストたちは何をどう表現していたのか?」
MINMI:20周年という響きに対して、自分の感覚としては短いなあ、と。一瞬のようでした。
ー当時、「The Perfect Vision」のMVを初めて観た時にとっても衝撃的でした。「クールで華やかで、日本のレゲエ・シーンからもこんなディーヴァが出てきたんだ!」と。メジャーデビューにあたって、チームの皆さんとどんなイメージやビジョンを共有していたのでしょうか。というのも、以前MINMIさんにお話を伺った際に「デビュー当時は笑わない写真が多かった」と仰っていたのが印象的で。
MINMI:スタッフやマネジメントの方は、多分、私に対して「強い女性」「女性に憧れられる強い女性」というイメージを持っていたと思うのですが、私的には、「変だな」と思っていたんですよね。確かに”強い部分”はあるという風には思っていたけど、その”強さ”は虚勢を張る強さではなかった。だから、常に睨みつけているイメージとか、そういう見せ方に対してはすごい違和感がある感じで。イメージを共有できずに本当の自分の気持ちとのギャップがあった。だから、チームとはぶつかっていました。
ーデビュー翌年に発表されたアルバム『Miracle』を聴くと、やっぱり洗練された強さというか、気迫のようなものを感じます。
MINMI:強く自分の我を通したいっていうわけじゃなくて、みんなで一つのゴールに向かって進みたいと思っていたので、喧嘩したわけじゃ全然なくて。でも、噛み合わないところもあったので、たとえば「アイの実」って曲をリリースしたときに、「こういう愛の歌とか、柔らかい感じとかじゃないんだよ、「Perfect Vision」みたいなのをやってほしい」と言われて。私としては、そのときに感じているものをストレートにぶつけて発信していきたいのに。
ー枠組みというか、イメージを作られてしまった。
MINMI:強くて、ちょっと攻撃的な感じっていうイメージですよね。それですごく悩みましたね。みんなで一丸となってやっていきたいし、貢献したいと思いながら、期待に沿えられていないということも感じていた。みんなが「こういうものが売りたい」と思っているものと、自分がアーティストとして表現したいことのギャップにすごく悩んでいました。
ー振り返ってみると、2000年代前半はジャパニーズ・レゲエのブームというか、オリコン・チャートにもどんどんレゲエの曲が入っていって、CDも何十万枚、何百万枚の規模で売れたり、大きな会場でフェスもやったりという状況でしたよね。そこにおいて、若い女性ソロ・アーティストだったということですごくプレッシャーなどあったのでは? と思ったんです。ご自身の中では、そうした状況とどのように戦っていましたか?
MINMI:いやもう、本当に戦っているから〈Take It To The Top〉と歌った「T.T.T.」という曲もあったわけで(笑)。デビューするという夢を叶えて東京に来たものの、友達や仲間に会えず、そういう環境下で、ギャップを感じながら常に(曲を)生産していかなきゃいけなくて。生半可な気持ちだったら多分辞めていたと思いますが、辞めないことを誓って東京に出てきていたので、とにかく「それでも辞めない」と思いながら続けていました。2作目として作ったのが『imagine』ってアルバムで、これはなぜ作ったかというと、当時は「ありのままの自分じゃダメだ。じゃあ、何を作ればいいの?」という心境だったんです。いつまで経ってもデビュー曲の「The Perfect Vision」がトップ・セールスで、それを超えられない。自分の思うベストと、スタッフのベストが違うから、ずっと試行錯誤していました。アルバムに収録した「imagine」って曲で「もっと自分は羽ばたいていきたい」という思いを曲にしたもので。
ー〈心の炎よ 天高く昇れ、私〉という歌詞はまさにご自身を鼓舞するために書いたものなのですね。3作目は『NATURAL』というアルバムで、これも渾身の作品という印象があります。
MINMI:はい。ジャマイカに行ったときに、ベテランのすごいアーティストに対して、褒め言葉として「あなたは本当にナチュラルだね」と言っていたのを見たんです。その時に、「すごい人って、最終的にはその人らしさなんだ」と思って。だから私も、外に答えを見出すんじゃなくて、自分らしいということを大事にしていこう、と思うようになって。でも、自分が囲まれていた東京のビジネスの世界では「あなたらしさを求めている」なんて誰にも言われないし、本当に「自分のありのままの声を出していい」と言っていいのかどうか分からなかったけど、「なんだか、そんな気がする」と思って作ったアルバムです。
ーこの20年間を振り返って、”MINMI最大の転機!”みたいな瞬間はありましたか?
MINNMI:まさに、今話した『NATURAL』を作った時かなと思います。その時は、そうは思っていなかったですけど、結局、その言葉が自分を支えるようになったなと感じています。例えば、母親になったときも、”お母さん”っていうことを歌詞にしたり歌にしたり、妊婦のジャケットを作ったりっていうことに対して、周りからは「それはちょっと」って意見があったんですよね。「ディーヴァはずっと独身」みたいな、そういうイメージで売った方がいいとも言われて。でも私は、自分らしさを音楽や言葉にすることが、自分ができる最大限のことだという風に考えていたので、やり通しました。そうしたら、やっぱりたくさんの女性の方から「影響を受けた」と言ってもらえるほどの曲ができた。今でこそ”マタニティ”ってファッションも楽しめるし、お母さんであるっていうことが所帯じみたことじゃなく、一つの女性の人生において、誇れたり楽しめたりする部分になっていると思います。私も、自分の作品を通してそういう取っ掛かりを表現できたかなって思います。”NATUTAL”っていう言葉や生き方があったから、今の自分があるし、そこから年数を経て、自分が感じたことを表現していいって自分も認められるようになったり、そういう活動ができるようになったりしましたね。だから、アーティスト、MINMIのスタイルにおいて、大きな変革期となったタイミングだなって思います。
ープライベートなトピックに触れてしまうのですが、MINMIさんは長くアーティスト活動を続けつつ、3人のお子様を持つ母親でもある。お子さんを出産するタイミングやご自分のキャリアは、どのように折り合いを付けていったのでしょうか。
MINMI:ママ的な視点の質問ですね。1人目のときだけは、やはりみんなに迷惑かけちゃいけないっていう気持ちがあったので、休める時期やツアーがない年とか、そういうときに妊活したいと思っていたんです。占い師の人に「あなた、この年に子供を授からなかったら、仕事にハマって一生お子さんは授からないと思う」って言われたことがあって。それまで、音楽をリリースしてツアーを回って、次のアルバムを作って…… という絶え間ないサイクルで仕事をしてきたので、これがずっと続くと「そりゃそうだ」と思って。リリース後、1年間ツアーがないって時に、「本当に今、この時だ」と思って、結果、その時に1人目を授かることができたんです。そこから先は、できれば子供に兄弟がいる環境を与えてあげたかったし、私も働いているからできるだけ家も賑やかな方がいいと思って。そこまでプランしていたことではなかったのですが、だから、授かったら産んで育てたいなと思っていました。
ー3人を育てながらアーティスト活動も続けて行って…… と、とにかく大変なことも多かったのではと感じます。
MINMI:保育園やマネージャー、母親にも力を借りていましたけど、仕事しながら育児をするってめちゃくちゃ大変でした。今でも、上手に両立できたなんて思ってないですし、気づいたら手料理もずっと食べさせられてなくて、結局「これ、チンしといて」みたいな。母親と仕事という意味で言うと、もっと時間があったらなと思います。
ーそんな大変な中でも、20年間、絶えずアルバムをリリースしてパワフルさを発揮していらっしゃる。その秘訣は何ですか?
MINMI:本当に、「やりたい」という気持ちでしょうね。やっぱり、作りたいことが溢れてくるので。子供にもいっぱい時間や愛情をかけたいという気持ちがありつつ、自分が出来ることを出し尽くしたいという気持ちもすごくあって。子供に対して寂しい思いをさせていると思うけど、お母さんが自分の人生を100%謳歌するのを見て、「あなたたちも自分の生きたい道を100%生きてね」っていうことが最終的に伝えられたらな、と。
ー今はLAにも拠点を持ちながらの活動を続けていらっしゃいますが、アメリカに移住されてから、クリエイティブなマインドは刺激されましたか?
MINMI:されていますね。一言でいうのはすごく難しいですけど、普通にラジオから聴こえてくる音楽が違う。今だとトラップやラテンの音楽が多いですね。
ーアメリカだとラジオのチャンネル数も多いですし、ひたすら音楽が流れていますもんね。
MINMI:今だと、やっぱりラップが身近なものになりますよね。最近は長男と一緒に車に乗っている時、お互いのプレイリストを掛け合っています。彼の方がアメリカのヒップホップを聴いて育っているから、私よりも詳しいし、「これはポップスすぎるね」とか素直に教えてくれるからすごく楽しいです。
ー次にアルバムをリリースするときには10枚目の作品、ということになると思うのですが、現在、すでに次作のアイデアはありますか?
MNM:今は単発のシングルをリリースしているところなのですが、それをアルバムにまとめるかはまだ構想中です。アルバムを期待してくださっているファンの方もいるので、何かしらまとめたいなと思っているんですけど。でも、やりたいことが多いから一枚のアルバムに収まるのかな、とも思っていて。音楽的に新しいことをやりたいなという思いも強いので。
ーコロナ禍を経て、MINMIさんの活動においてもいろんなことが変化したのではと感じます。特にファンの方との付き合い方や距離感はガラッと変わったのでは?
MINMI:はい。SNSもそうですが、ライブ配信を始めてからグッとファンの方との距離が近くなりましたね。ライブ配信を通じて、投げ銭的なものでお客さんから直接応援をいただくのですが、始めはやっぱり抵抗がありましたし、距離感が近くなることに関しても良くも悪くもどっちの側面もあって。でも、そこにすごく可能性が広がっているとも感じました。今回、これまで私が開催してきたフェス「FREEDOM」をクラウドファンディングでやろう! と最終的に決断したのは、やっぱりファンの方の声のおかげです。「あなたの夢を応援しています」と言ってくれている人たちが近くにいることが分かったから。今までは(ファンの方と)距離があって、コンサート会場でも物理的な距離があった。私もカッコつけてたし、憧れの存在でいたという感じ。でも、おひねりみたいな投げ銭を頂くようになって、憧れというよりはもっと親近感を覚えてもらえる関係性になれました。だから、フェスに対しても「こういうことをやりたいけど、やれない」という状況などを伝えて、「直接的に支援します!」って言ってくれるファンの方と交流することができた。ファンの方たちはお客さまでもありますけど、今や「一緒にエンターテイメントを作りませんか」という意志で結ばれた仲間のような感じです。
ーコロナ禍を経た今だからこその関係性とも言えるかもしれませんね。
MNMI:最初は戸惑いもありましたけどね。でも、20年前に私がやりたいクリエイティブとスタッフとの間にギャップがあるなと感じていた私からしてみたら、そのギャップが一番ない場所がここなのかもしれないです。
ー今もお話があったように、今年の8月にはいよいよ5年ぶりの「FREEDOM」が開催されます。今、まさにフェスを成功させるためのクラウドファンディングが企画されている最中だと思うのですが、現状の心境としてはいかがですか?
MINMI:実務的には、もう吐きそうなほど…(笑)。それくらいのプレッシャーを感じていますし、やろうとしていることと自分のキャパが全然見合ってなくて。未経験なところも多いので、いろんな方の力も借りつつ、もうベストを尽くす形でやらせていただくっていう感じですね。
ー「FREEDOM」といえば、自然豊かな淡路島の会場も特色の一つですよね。
MINMI:淡路島で開催する醍醐味は、自然のエネルギーを皆さんとシェアできること。そして、自然からのエネルギーを、リスペクトで返すこと。それが成功だと思っているんです。環境に対しての取り組みをやりたかったのですが、やっぱりコストが掛かるのでこれまでは難しかったんです。でも、今回は「MINMIが100%リスクを背負っているなら」と協力してくださる仲間の方もたくさんいて。私自身、環境省のアンバサダーをずっとやっているのですが、そちらの方たちも一緒に参加して、サステナブルな取り組みをやってみようという話になっています。例えば、ちゃんとリユースの食器を使えるようにしようとか、地産地消ということで、淡路島の農家さんやレストランを入っていただこうとか。グッズのTシャツも、オーガニックのものにしよう、と。
ークラウドファンディングやSNSを通じて広く支援を募ったからこそ、可能になったこともある、と。
MINMI:これまで、収益性を考慮してトライできなかったことも、今回初めてたくさんトライできています。淡路島で開催するということもそうですけど、いろんな意味で自然と繋がることが出来るフェスになると思います。目に見えないエネルギーをシェアするというか。元々、レゲエの音楽も自然に対してすごくリスペクトがあるんですよね。だから、大地のエネルギーを感じてもらって、開放的な部分で皆さんを元気にすることができればと思います。同時に、環境や自然に対して「ありがとう」って気持ちを持ってもらえれば。いろんなものが循環しているなって感じているので、すごく楽しみです。
ー改めて、FREEDOM開催を控えた今の意気込みを伺えますか。
MINMI:今回のFREEDOMは復活でもあるけど、新しいFREEDOMでもあります。だから、何かミラクルなことが起こりそうな気がする。そんな仲間もいっぱい集結してきているので、ぜひそこに参加する1人になってください。このミラクルを見逃すな!! とお伝えいしたいです。
<イベント情報>
「FREEDOM 青空 2022 淡路島」
2022年8月21日(日)淡路島・国営明石海峡公園芝生広場
時間:OPEN 12:00 / START 14:00(終演予定19時)
アクセス
https://awaji-kaikyopark.jp/access
クラウドファンディング実施中
https://camp-fire.jp/projects/view/552814
MINMI 公式HP:https://minmi.jp/
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