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THE 2の古舘佑太郎と加藤綾太が語る、「過去を未来で肯定する」ために

Rolling Stone Japan / 2022年5月17日 18時15分

THE 2:左から森夏彦(Ba)、古舘佑太郎(Vo)、加藤綾太(Gt)、歌川菜穂(Dr)

2021年6月、メンバーの脱退により一時バンドの準備期間を迎えた「2」。同年11月、公式サイトでは謎のカウントダウンが始まり、2022年2月22日、ベースに森夏彦(ex. Shiggy Jr.)、ドラムに歌川菜穂(ex. 赤い公園)を迎え、バンド名も新たに「THE 2」が始動。それぞれのメンバーがそれぞれの「音楽人生の”エピソード2”」をスタートさせた。

バンドの再始動を飾るのは、サカナクション山口一郎をトータルプロデューサーに迎えたデジタルシングル「恋のジャーナル」。リリース早々、巨大な顔のマスコット”メガフルタチ”が街に出没するなど、各所に仕込んだ仕掛けが話題を呼んでいる。

「出会い」と「別れ」然り、相反する2つのものから生まれるものは、それまでにない新しい何かだ。この日話を伺ったボーカルの古舘佑太郎(ex. The SALOVERS)とギターの加藤綾太(ex. ポニーテールスクライム)の話から、そんなことを考えた。



・ライバルだった仲間と再始動したTHE 2

—まずは再始動に至った経緯を教えてもらえますか?

古舘:2のベース・赤坂真之介とドラム・yuccoの2人が卒業したタイミングで、これから新たなバンドを再構築していくために、2を一度完結しておきたいと思ったんです。2人(古舘と加藤)の性格的にもあんまり潜るのは得意じゃないんですけど、初期2は僕らにとって大切な存在だし、新しくバンドを組み直すぐらいの気持ちで、思い切って活動休止を選びました。「こっからの2は2であって2じゃない」って気持ちで。それがバンド名に「THE」がついた理由にも繋がってくるんですけど。そこから森夏彦と歌川菜穂っていう、僕らにとって10代の時からのライバルみたいな存在の2人と組むことになって。メンバー4人それぞれがそれぞれのバンドで、時にバチバチしながら切磋琢磨してきた仲間で、実は20代半ばで僕がまだソロをやってた時に、その4人でバンドやれたらいいなって、1回結束しかけてたんです。でも2人も他のバンドが忙しかったし、結局すぐ頓挫しちゃって、幻で終わってた過去もあったんですよね。それで今回2で空いてる席がベースとドラムだったんで、その2人しか考えられないと思って声をかけました。

—同世代の他のバンドとは当時どんな関係性だったんですか?

古舘:僕が10代後半の時とかは、鬼尖りしてて、多分めちゃくちゃ態度悪かったです(笑)。みんなに申し訳ないって謝って回りたいぐらいの態度をとってたと思います。

加藤:米咲ちゃん(赤い公園)がキレてたって言ってましたよ。何あいつ、って(笑)。

古舘:そうそう。嫌なことするとかじゃないんですけど、愛想よく喋りかけられても愛想よく返せなかった。でも20代後半でみんないじってくれるようになったんで、当時の人たちとは仲良くなれてよかったですけど。当時はみんなも尖ってたし、僕もそうでしたね。仲良く和気藹々となれたのは、20代を超えてから。みんなちょっとしんどいこととかいろんな紆余曲折があって、バンド続けてるだけでも頑張ってんなって仲間意識が出てきたんですよね。

—以前別の媒体で古舘さんにインタビューした時に、『くるりのこと』っていう本の話をしていただいたんです。そのときに、圧倒的に才能の人だと思っていたくるりも、努力して変化しながらバンドを続けていることに衝撃を受けたって話をされていて。THE 2にも、変化しながら続けていくエネルギーってところで通じるものを感じました。

古舘:もちろんやめるのも続けるのもエネルギーが必要だと思うので、どっちもすごいなと思いますけど。でも僕が1番好きなバンドがくるりだったので、くるりの、”アルバムごとに変化していく”っていう、ジャンルレスな部分には影響を受けてるんだなって今思い出しましたね。だから僕、「ロックバンドなんですか?」って言われるのに昔から違和感があって。どう考えてもギターロックだし、否定するのもめんどくさいから「はい」って言ってるけど、ぶっちゃけ内心、照れくさいっていうか。The SALOVERSの時とか、ただスキルがなくてギターロック一辺倒のことしかやれなかっただけで、早い段階からはみ出したかったのかもしれないです。

加藤:お互い前にやってたバンドは、手法が似てたんですよね。ギターの音がでかくて、うわーってがなる、みたいなのが根本にあったのかなって、最近やっと自分たちのことを見つめ直して気づきました。2の初期はそれが楽しかったんですけど、当然続けることへの飽きも来るし、どんどん壊していきたいって気持ちはお互い生まれていたんですよね。自分たちを変えるきっかけを作りたいとは前から思っていて、一郎さんから一緒にやっていただけるって話が出る前も、プロデューサーつけたいよねって話はしていました。


「自分の思う道で頂上を目指したい」

—「恋のジャーナル」は、以前からライブでも披露されてたとか。いつ頃できた曲なんですか?

古舘:2年以上前ですね。僕が「話したい」って加藤を呼んで、「ギターロックで10年ぐらいやってきてるけど、天下の背中も見えてこない、これって他の人がやってくれてるから俺らがやるべきことじゃないんじゃないか」って話したんです。何気ない1日ではあったんですけど、「恋のジャーナル」の卵はあの日誕生したような気がします。周りからはロックバンドのボーカル像みたいな期待をしてもらってた部分もあったけど、ずっと、ちょっとサイズ合わない服を着てるみたいな感じがあったから、そこでもう背伸びしなくていいんだって思えたことで、寂しいってよりもホッとした部分があったんです。それで加藤にも、「側から見たら全然ロックじゃないって言われるようなことでも、自分の思う道で頂上を目指したい」って話をして。で、その答え合わせとして(山口)一郎さんに会って同じようなことを話したら、「いつか言ってくると思った」って言われて。そこから、「じゃあその実験応援させて」って、スタジオ使っていいよとか、ちょくちょく連絡くれるようになったんです。その時に「恋のジャーナル」の原型となる曲を聴いてもらっているうちに、プロデュースしたいって言ってくれて。僕も加藤も今までずっとギターロックやってきちゃってるんで、はみ出したいって気持ちがあっても混乱している部分もあったから、自分たちを魔改造するために一郎さんのスパイスに飛び込んだ感じですね。

—「恋のジャーナル」は作曲が加藤さんで、作詞が古舘さんですけど、どっちから先にできたんですか?

加藤:僕がつくったデモが原型ですね。

—古舘さんからの話を意識してつくった?

加藤:そうですね。今までにないアプローチだったり、曲の毛色だったりを意識して、その時期に5、6曲ぐらい書きました。その時は全然ダンスビートとかじゃなくて、ガレージロックなんだけどちょっとサイケっぽい要素がある感じの曲だったんです。でも、「これ1番いいよ」って言われたときは爆笑しました(笑)。俺としては意外だったんですよ。シングルっぽさを意識して作った曲はそんなにフックしてなくて、「恋のジャーナル」の原曲となる曲に一番ひっかかってくれていたんですよね。

古舘:加藤と長年やってきた法則として僕の中で1個あるのが、お笑い芸人さんにもよく言われることなんですけど、2人で10あるとしたら、やってることが5:5の時が5×5=25で最大になるっていう法則。例えば6×4とか7×3とかになると、24、21ってどんどん数が減ってっちゃうんです。2の時に、僕は詩だけでオケにも何にもタッチしないし、Pちゃん(加藤)も、僕が書いた詞をただ一緒に録音していた、完全分業制でやっていた時があって。僕らとしては効率よくどんどん作品ができてくから、これいけるっしょみたいな感じだったんですけど、お客さんに刺さらなかったんですよね。だけど今言ったみたいに、効率も悪いし、ほんと真逆の人間なんで意見が割れる時もありながらも、2人で5:5に混ぜて作った曲が1番はねるって気づいて。「恋のジャーナル」はまさにそうなんです。過去曲だと「DAY BY DAY」とかは、偶然レコーディング直前に締め切りギリギリになっちゃって、2人でぐちゃぐちゃになりながら焦って作ったんですね。でもそれが、リード曲のつもりはなかったんですけど、ライブでめちゃくちゃ盛り上がるようになった。これも理想の5:5曲だなって思います。

—お客さんのウケを考えるよりも、2人の間で生まれるものを大事にした方が結果的によくなる?

古舘:あ、でもウケるなとかは、ちゃんと考えてはいます。というか18の時から今まで作った曲、全部ヒットすると思って作ってるんですけど、全然ヒットしなくて。もちろん時代も変わっていくし僕も変わっていくから、その都度狙いも変わってきてるんですけど。でも「恋のジャーナル」は自分たちも楽しいし、聴いてくれる人にも楽しんでもらえるバランスがすごくいい曲になってる気がしますね。自分だけ気持ちいいとか、逆に「みんなに聴いてもらいたい」が勝ちすぎて自分の楽しみが空っぽな曲とかは響かない。

加藤:僕も同じで、絶対にこれはヒット曲になるでしょって思ってもヒットしたことがないです。分業にしてる意味は確かにあって、自分じゃ思いつかないものを(古舘に)もらって組み立てていく作業を落ち着いてできたのが、「恋のジャーナル」なのかなって思いますね。




真逆のふたりで取り組む楽曲制作

古舘:めちゃくちゃ面白いのが、僕が歌ってるメロディって、全部加藤が書いてるんですよ。で、加藤が弾いてるギターのリフは、謎に僕が考えてるんです。普通と逆なんですよね。自分が担当してるものをなぜか相手に考えてもらってるっていう、結構特殊なケースの曲です。

—お互いに意見を出し合う中でそうなったんですか?

古舘:いや、土台は加藤の曲で仕上がってて、それと別に僕が遊びで作ってたリフがあったんです。リフは面白いんだけどそこからが全然作れないなと思っていたものに、「恋のジャーナル」の原型があったんで、これにこのリフぶつけていい?って入れ込んでもらった感じです。

加藤:デモにはリフとか入れてなくて、隙間があったんですよね。

—別のパートのメンバーから意見が来た時はぶつかることもなく、素直に取り入れられる感じなんですか?

古舘:意見が割れることは全然あるんですけど、ルールがあって。

加藤:ほぼ毎回違いますからね。

古舘:話し込んでるうちに、どっちかの思いが若干強かったりするんですよね。

加藤:目の奥に炎が見える(笑)。

古舘:それを感じ取った方が折れるっていう。もう絶対あるんですよね、これ。最初はどっちも負けないって思いがあったとしても、やっていくうちに、自分で隙がポロっと見つかる。あ、これ、1%気持ち負けてるなって思った時は早めに降りますし、どれだけ相手の思いが強いなと思っても俺の思いの方が強かったら、最終的には強い方を優先します。なんかわかるよね、最後。

加藤:佑太郎君に限ってはしつこいんですよ。

一同:(笑)

加藤:最初から言ってて中盤も同じこと言ってて、終盤も同じこと言ってて。あ、この人これやりたいんだな、どうぞどうぞみたいな。

古舘:それ無自覚でした(笑)。僕は長期的な作戦をとってたんです。

加藤:僕は割と直感でいくタイプで、こっち(古舘)は熟考型なんで、そこの違いはありますね。でも直感とはいえ絶対にこれだなって思ったら僕も曲げないです。「恋のジャーナル」に限っては、意見が違うことはなかったですね。「リフ入れようよ」って言われても、全然いいよみたいな感じで入れました。

古舘:歌詞も今まで、ガチガチにコンセプトとか伝えたいことを決めてから言葉やタイトルを決めてたんですけど、この曲はそれを一切やめて、メロに合うところからぽんぽん出てきた言葉を並べてまとめました。1番気持ちいいのって、コンセプト通りビシッと、脳内で理論的に考えたことが上手くいった時で、それに慣れちゃってたんですけど、これは久しぶりに散文的に作ったんです。だから最初はあんまり手応えがなかったんですよね。手応え重視でいくとどんどん歌詞って説明臭くなっちゃうけど、案外人に入っていきやすい歌詞って、あんまり深く考えないような、インスピレーションで書けた言葉なのかなと思って書いたら、いい感じのじめっとした雰囲気とか匂いを感じ取れる曲になったかなと思います。




サカナクション・山口一郎氏のプロデュースについて

—今回プロデュースに山口一郎さんが入っていますが、具体的にどの辺りに関わったんでしょうか?

古舘:タイミングとしては、最後のレコーディングに来てくれて、1日かけてプリプロ兼RECの音作りとか構成確認をやってくれました。それってやっぱかなりでかい作業で、音作り1つでこんなにも曲の雰囲気とかアレンジが変わるんだなって僕らも実感したぐらい。秘伝のスープ的なものを惜しみなく分けてくれて、だからサカナクションのライブとか楽曲ってあんなに惹かれるんだなって、僕らは厨房側から覗かせてもらった感じです。

加藤:やっぱりサウンドメイクが印象的でした。例えばギターの音色1つとっても、1回録って聞いてみて、もうちょっと高音あげようか、とかを何度も繰り返していて。それで最終的にでき上がったものをブースで聞いてみると、確かにめちゃくちゃ際立って聞こえるんですよね。僕の一郎さんと一緒にやってみての印象は、無駄をなくして、その分しっかりと届けるってこと。歌詞も「こっちの言葉にしたらいいんじゃない」とか、「この言葉が目立つように前後変えてみようか」って話もしたり。メロディーも1個ディレクションしてくれたのは、後半のサビ、「川は流れてる」のところ。当初だと割とのっぺりしたメロディだったんですけど、「ここメロ上がった方が多分グッとくるよ、1か所だけ変えてみようよ」みたいな提案もあって、確かにそっちの方がいいんですよね。僕が割とのっぺりしてるような、リフレインとか、アルバムで言ったら7曲目ぐらいの曲が好きなんで、その癖もあって。でも狙う曲はこういうところで変化を見せた方が聞き手はフックするんだなって、メロディを書く人間として勉強になりましたね。

—よりキャッチーになったんですね。

加藤:あと、今回シンセを使うのが初めてだったので。サカナクションって言ったら、シンセとか同期(生楽器以外の音)のイメージがあるじゃないですか。そこのレシピを見せてもらったのも、すごくいい経験だったなって思います。聴感上入ってるのか入ってないのか分かんないようなシンセの音でも、これが入ることによってレンジ感が広く聞こえたり、壮大になったり。レコーディングで録ったものを今ライブで同期として使ったりしてるんですけど、すごく反響がいいですね。ちゃんと混ざって、しっかり曲のカラーになってるなって思います。シンセサイザーとの出会いは、新しい挑戦と発見でしたね。




MVに登場する”メガフルタチ”の意味

—MVもすごく面白いですよね。顔のマスコットを使う着想は、田中監督からですか?

古舘:そうですね。監督がいくつか企画を持ってきてくれて、メンバーの中でやりたいって言ったのがこれでした。この”メガフルタチ”って言われるキャラクターは一見”なんじゃこりゃ”って化け物ですけど、裏テーマとしては僕自身のコンプレックスとか今までの鬱屈とした思いを表していて、実はメッセージ性がすごく含まれてるので、本当に田中監督すごいなって思ってます。今回「恋のジャーナル」を作ったり、(一郎さんに)プロデュースをお願いしたり、こういうMVを撮ったりしているのも全部、人に聴いてもらいたいっていう純粋な気持ちしかないんですよね。なんでヒット曲を作りたいのかっていうと、印税で暮らしたいっていうよりも、単純にでかいところに行ったら今まで応援してきてくれたみんなもそこに連れていけるし、新たに出会った人たちもそこに集まって、みんなで1つの空間を作れる。それがしたい。そのためには今いてくれるお客さんの中だけで籠ってちゃ絶対にだめだし、綺麗事じゃなく恩返しもできないって思いが根底にあるので。このメガフルタチは、YouTube含めインパクトがあるので、今まで僕らを知らなかった人も「え、何?」って思ってくれるんじゃないかなって期待はあります。僕らも今回、はみ出したいって公言しているからには、新たな出会いを求めてやってるので。今までの人たちももちろん連れていくけど、全然知らなかった人、興味なかった人も巻き込みたい。その僕の目立ちたがりな気持ちとか虚栄心みたいものも、この化け物には含まれていて、「僕を見て」って思いが具現化されてるんです。



—歌詞に「虫が蠢いてる 僕みたく」ってフレーズがあって、このMVを見た時に、自分のコンプレックスが他の人には違う存在に見えてるって自意識が、カフカの『変身』みたいだなと思って。今お話を聞いてすごく納得しました。

古舘:ずっと昔、それこそくるりの岸田さんと、”andymoriの小山田壮平さんと僕”の話をしてて、小山田さんは羽が生えて空を飛んでる天使だけど、お前と俺は地を這う虫だって言われたことがあって、妙に納得したんです。四つん這いで地を這ってる、飛べない虫。でも空を飛びたい。大好きな岸田さんに言ってもらえたからこそ、今まで地を這えてきたし、飛びたいって思いはめっちゃありますね。このMVには、今までの全部が詰まってる感じがします。

—加藤さんはMVに関して何か意見は伝えたんですか?

加藤:僕は全然。監督がやりたいことをぜひやらしてください、みたいな感じでしたね。

古舘:メガフルタチの案でいこうって最初に言ったの、Pちゃんだよ。

加藤:えっ?

古舘:実はそうなんですよ。僕は自分がメインで動くって恥ずかしくて言い出せなくて(笑)。

加藤:確かにそうかも。

古舘:そう、違うやつ出してた。再始動だし、メンバー全員出るような感じがいいなと思ってたんで。そしたらPちゃんが、「巨大な古舘めちゃくちゃ面白い」って言い出してくれて、自分のことだったんであんまり考えてなかったんですけど、面白いかなってところから始まってるんですね。


加藤綾太(Gt)



「地獄から這い上がってきた4人」

—MVの衣装はアーティスト写真にも繋がりますよね。

古舘:「地獄から這い上がってきた4人」っていうのがテーマになってるので、一応根底では繋がってますね。自分の個性とか才能なんてもうわかんない中、いろんな人との出会いに励まされてやれてますけど、ナーバスな意味じゃなく、どこか死に場所を探してるところがあって。作品を出す度に世に握手を求めて、でも思った以上に握手を返されたことがなくて、それが悔しくてまた次の場面になって、時には瀕死状態になったりして、でも諦めきれない。でもそれって世の中が悪いんじゃなくて、結果自分なんですよ。自分の表現方法がオナニー的だったり、自己完結的だったことが多くて。音楽やってるのって、僕はどっちかっていうと世の中と握手したくてやってる。こんないいもんできたんだぜって、みんなと共有したいがためにやってきてるような気がして。諦めた時に、自分が満足できればいいやって気持ちになった時もあったし、自分を応援してくれてるファンの皆さんが喜んでくれることだけ考えた時もあったけど、でもやっぱり曲が1人歩きしてほしいって気持ちがあるんですよね。さっき言った虫でいうと、羽になって僕をどこかに連れてってくれるんじゃないかってところに、いっつも立ち帰ってきちゃうんです。今回世の中にもう1回、手を差し出してる感じはしてますね。ここから出していく曲に関してはみんなと仲良くしたくて出しているので、仲良くできなかったら、ここが自分の個性とか才能の死に場所だなって諦めつくというか、1個枷が外れるぐらいの気持ちでやってますね。

—バンドを続けるのに、才能ももちろんですけどそれ以上に意思の力が必要で、それがTHE 2のテーマなのかなって思います。

古舘:そうですね。前のThe SALOVERSってバンドだったら、部屋に籠って幼馴染と楽しく音楽やれればそれだけでよかったんですよね。でもTHE 2に関しては、過去を未来で肯定するってコンセプトがあって、過去を越えて輝いていくことによって、今までやってきたことを全部肯定したい。だからでかいステージでやりたいって思いは、昔とは比にならないぐらい強くなってますね。そこに対する照れがなくなってきたような感じがします。今まで応援してきてくれた人とか、僕ら4人それぞれのバンドのメンバー、元メンバーとかスタッフさん、あらゆる出会いと別れを輝かせるためには、多分僕らが売れる以外ないんですよね。それがバンドのめっちゃいいとこだと思うんですよ。99失敗とかしんどいこと、ダサいことだらけでも、その1の輝きで覆せるというか。1のでかいステージで、その99が全部ひっくり返って輝き出す。その可能性を秘めているバンドをやれてることが、人生かける価値あるなって思うんですよね。その1を掴み取りたくて続けてるんだと思います。

加藤:今回活動休止してみて、続けることって改めて1番難しいことだなって思って。じゃあどうしたらいいんだろうって考えたときに、誰とやるかが大事なんだなって思ったんです。自分が尊敬してる人とか、信頼してる仲間とできてることがまず大事なんだなっていうのは、当たり前なんですけど、改めて認識したっていうか。もちろん辛いことも多かったですけど、ささやかな楽しみを分かち合える仲間がいるってだけでも、自分なんてまだ恵まれてるんだって感覚になってるので。もちろん続けたいって気持ちもあるんですけど、それよりも、一緒にやってる人たちのことを考えるようになってきましたね。今までは「俺が」とか「フルが」だったと思うんですけど、ちゃんと仲間意識を持てるようになってきました。


メンバーと音楽で繋がる楽しさ

古舘:音楽で繋がってる4人っていうのは大きいですね。The SALOVERSでも経験ありますけど、音楽以外のことで方向性が違くて終わっていくバンドも多いじゃないですか。それって1番無駄だなと思っていて、もし終わるんであれば、僕は絶対に音楽でぶつかって終わりたい。それが幼馴染みとかだと、音楽以外の要素で繋がり過ぎちゃってるから衝突も多いと思うんですけど、この4人の根っこにあるのは音楽だけなんで。ドライな意味でなく、そこでの信頼さえあればいいと思ってるんですよね。この年齢になってきたからこそ言えるんですけど。音楽だけに集中したいから、そこが信頼できて尊敬できてることは、めちゃくちゃでかいです。音楽では尊敬できないけど、人柄で、こいついいやつだからね、とかじゃないんで。

加藤:まあでも、2人とも人柄も最高なんで。一応補足しておきますけど(笑)。

一同:(笑)

加藤:すげえ性格悪いやつみたいな(笑)。

古舘:確かに(笑)。もちろん人柄もいいです。

加藤:リハとかやってて、例えば夏彦くんが弾いたフレーズを「今のめっちゃよかったね」とか、菜穂ちゃんが叩いたドラムに対して「あそこのよかったからそういう感じにしよっか」みたいなやり取りが楽しいです。これを続けられるんだったら、そんな幸せなことないなと思いますね。自分にないエッセンスを投げかけてくれて、それで作ったものを評価されたらめちゃくちゃ嬉しいし。そこに改めてバンドの楽しさを感じてる途中ではありますね。

—Faniconを活用したファンクラブ「ツーカー倶楽部」の活動も面白いですよね。どういった経緯で始まったんですか?

古舘:僕で言うと、10代の時からファンクラブには憧れがあって、でも”自分なんかが”って思いで今まで来ていたのが、今回きっかけをもらったのでやることになりました。SNSが通りすがりで見てくれる駅前広場だとするなら、そこで発信して広げる作業もめちゃくちゃ重要で、それも一生懸命頑張ってるけど、本音を言うと、その駅前広場で表現することが自分は得意ではないんですよ。誰もが見れる状態で、自分がありのままを言うことが苦手で。でもやることの楽しさもその中で見つけるようにしてはいるんですけど、根っこにある本当の自分をさらけ出す、会員制のbarみたいな閉鎖的空間も絶対僕には必要だなって思って。ファンクラブっていうのはファンの方が課金して入ってくれて、外と壁がある場所じゃないですか。ネット空間にもそれは作っておきたいなって思いがあって、ファンクラブを始めました。

—2しかりTHE 2はいつもサプライズを用意してくれるイメージがあるので、これからの活動も楽しみです。

古舘:僕ほんとサプライズ屋で、サプライズがめっちゃ好きなんです。もっと規模が大きくなったら仕掛けたい演出もめちゃくちゃありますね。ライブにみんな集まってくれたらサプライズ屋が楽しませられるんで、それはファンクラブ含め、今後もやっていきたいです。


古舘佑太郎(Vo)

<INFORMATION>


Digital Single「恋のジャーナル」
THE 2
NF Records
配信中
https://the2.lnk.to/KoiNoJournal

THE 2「THE 2 man LIVE 2022-KOI NO JOURNALISM-」
2022年5月17日(火)東京・渋谷CLUB QUATTRO
出演者:THE 2 / ハルカミライ

5月18日(水)東京・渋谷CLUB QUATTRO
出演者:THE 2 / フレデリック

http://the2.jp/

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