Kroiが語る、独創性の中に秘めた「音楽の本質」
Rolling Stone Japan / 2022年5月18日 19時0分
2022年の要注目バンド、Kroi。「Rolling Stone Japan vol.15」(2021年6月発売)に登場してもらってから約1年の間、彼らは自分たちのルーツにあるロック、ヒップホップ、ソウル、ファンクなどをベースにしながら、J-POPの型といわれるようなリズム、メロディ、演奏、音像からは遠く離れたところで、ますます自由に音楽の中で遊び続けている。そんなKroiの新鮮なサウンドは世に歓迎され、車のCMやドラマのオープニングなどテレビからもひっきりなしに流れて、業界内でも高い評価を得ている。Kroiの受け入れられ方を見ていると、やはり今の日本の音楽シーンは面白い時代にあると思わせてくれる。
【写真】メンバーのソロカット
今回の取材では、「国際ファッション専門職大学」のCMソングとして書き下ろしたKroiの新曲「Pixie」について聞いた。この曲がテレビから流れてきたとき、私は思わず笑ってしまった。メロディはキャッチーでありながらも、その後ろでこれほどまでに楽器たちが暴れている音楽がテレビのCMから流れてくることに痛快な違和感があったからだ。彼らの代表曲のひとつである「Balmy Life」がスーパーで流れてきたときも、その前後に流れたJ-POPにはない音色やフロウが突然飛び込んできて、そしてサビでは買い物カゴを持ちながら身体を揺らして口ずさんでしまうようなキャッチーさが訪れることに、いつも楽しい違和感を覚えていた。
注目を集めるKroiの現在の立ち位置を明確にするために、彼らを少しヒリヒリさせてしまう質問も投げさせてもらった。しかし、5分に一度は笑いが起きるのがKroiのインタビュー。とにかく常に面白いことを追い求めて、真面目にふざけることを大事にしている5人だからこそ、こんなに自由で遊び心が溢れた音楽を生み出すことができるのだ。
―Rolling Stone Japanでは約1年ぶりの取材です。当時リリースした1stメジャーアルバム『LENS』やリード曲「Balmy Life」は高い評価を得た作品だと思うのですが、自分たちではどう受け止めていますか?
関(Ba):「Balmy Life」に関していえば、ラジオのパワープレイをかなりたくさんいただいたり、街中で自分たちがふとしたときに聴く場面も多かったりして、今まで自分たちが出してきた作品の中では圧倒的な数の反応をもらえた作品だなとは自分たちなりにも感じるところですね。『LENS』はそれをリードにしたアルバムで、且つ、Kroiとして初めてのアルバムというところもあって、かなり気合いが入っていたので思い入れの深い作品になりました。
長谷部(Gt):今でいうと「Balmy Life」がうちらの中で一番聴かれてる曲だと思うし、「Kroi」と調べたときに最初に聴く人が多い曲なのかなと思うんですけど、自分たちの名刺代わりになるような一曲としては一番いい形で世に出せたんじゃないかと思ってます。
―うちの近所のスーパーでもいつも「Balmy Life」が流れていました。しかもあの曲が、それだけ街中で鳴っていたということがすごいですよね。
内田(Vo):時代がいいなって。生きている今がすごくいい時代になってきているなとは感じましたね。いろんな人に聴いてもらいたいという想いで作っているので、自分たちが持つキャッチーな部分をしっかりとリード曲に落とし込んで表現しているんですけど、まさにああいう曲をみんなが聴いてくれるというのは――半分信じてはいたんですけど、半分疑っていたところもあって――「未来、明るいな」みたいなことが見えましたね。
「型破りでいたいと思いながら、『型破り』という型に入ってきてしまっている」
―「日本ではこういう歌が売れる」といった様式から外れた音楽も聴かれる時代になってきているということですよね。「Balmy Life」が世の中からいい反応をもらえたことで、それ以降の曲作りに対するマインドに何か変化はありました?
内田:でも、同時に怖いなとは思っていて。
―怖い、というのは?
内田:すでに飽和状態じゃないですか。エンタメとか音楽って溢れ返ってしまっていて、リスナーが何を聴いていいのかわからないというところがあって。もともと大衆性を持った音楽がもてはやされていた時代があり、今は「飽和期」に入って、ただちょっと独特な要素があるだけで聴かれてしまうというか。本質とはかけ離れたところで聴かれてしまう時代に入ってきていると思うんですよ。俺らも、型破りでいたいと思いながら、「型破り」という型に入ってきてしまっているというか。これから難しい時期に入っていきつつも、いろんな人たちの耳は肥えていくんじゃないかなと思っているんですけど……まあ、先のことは何とも言えないですけどね。これからもそこを読んでいく作業になっていくのかなとは思います。
―その「型破り」の中でも、芸術の本質やルーツをしっかり捉えた上での「型破り」と、意外なところから出てきたユニークさやぶっとんだ面白さでバズを起こす「型破り」と、大雑把にいえば2タイプの音楽が世を席巻してると思っていて、それでいうとKroiは確実に前者の方じゃないですか。
内田:俺らは本質的に見せるのが上手い(笑)。
全員:(笑)。
千葉(Key):取り繕いバンド?(笑)
関:上手にやってる?(笑)
―そんなことないでしょ(笑)。
内田:だから、まあ結局、「音楽の本質」とかそんなものはないんですよ。でも、表現としてただ独創性があればいいというふうになっちゃうのはよくないなと。
関:「ただ」そうなってるのは、ね。
内田:これ、俺らが言うことに意味があるなとは思っていて。この独創性ゴリ押しバンドが(笑)。俺らがちゃんと独創性だけじゃないものを発信していくことがすごく重要だなとは思っています。
―じゃあ、Kroiの「独創性だけじゃない部分」とは、どういうところだと自覚していますか。
内田:我々は、伝統的な部分に重点を置いているバンドではあるので、意外とありきたりなメロディラインとかが好きなんですよ。気持ちいいメロディラインやコード進行って決まっているところはあるので、そこをしっかり分析して自分たちの作品に織り交ぜた上で、現代でやる意味をちゃんと持たせた作品を作っていこうとずっと心がけています。
―メジャーデビューして、1stアルバムが評価されて、レコード会社からもプッシュされて、という今のKroiのような立ち位置だと、「ヒット曲を出さなきゃ」みたいな焦りに陥るタイミングになったりもすると思うんですね。でもKroiはそうじゃなくて、より音楽的に自由な方へいっているのがめちゃくちゃ面白いなと思います。『LENS』のあとにリリースしたEP『nerd』のタイトルが表しているように、より5人の音楽オタク的な部分が全開になっているなと。
内田:焦って書いているけど、書けないです(笑)。
―(笑)。大ヒット曲を出さなきゃ、みたいな焦りはあるんですか?
内田:いやあるんですよ。書こうと思うんですけど、今までやってないから書けないんですよ(笑)。だから、世の中で受け入れられている大名曲を作っている人たちは、やっぱり本当にすごいなと思います。今こうやって自分たちがこの音楽シーンで活動している中で思うことは、やっぱりそれですね。
―だからこそ逆に、Kroiとしての個性をより尖らせられる方向へ磨いていこう、というマインドになっているとも言える?
内田:でも、書けるようにもなりたいです(笑)。
全員:(笑)。
関:俺らはインディ時代からライブバンドなので、そこを見てほしいというのもありますね。もちろん音源もよくしたいですし、いいものを出していきたいですけど、ライブまで来てくれた人により一層自分たちの本質的な部分が伝わるというのは、去年ツアーを3回経てより強く感じたところで。今後も音源もがんがん出していきたいですし、それを聴いてくれるのも嬉しいんですけど、ライブまで見てもらってやっとKroiをわかってもらえるのかなというのはこの1年で思ったことです。
―こんなに5人のプレイヤーが主役として立っていて、セッション感が生々しくパッケージされた曲って、それこそ今チャート上位とかにはなかなかいないですもんね。
長谷部:たしかに。売れたいという気持ちはあるんですけど、今ライブに来てくれるお客さんを置いていきたくないなと思うので。お客さんと一緒に上がっていけたらというのはありますね。
新曲「Pixie」の制作プロセス
―新曲「Pixie」は、「国際ファッション専門職大学2022年度」のCMとして流れることが決まった上で書いたものですよね?
内田:そうですね。自分の中で何個かデモがあったんですけど。それこそ、めちゃくちゃポップな曲も頑張って書こうとしていて。だけど「これやっぱり普通に下手くそだからやめよう」と思って(笑)。締切2日前くらいの夜に散歩していて思いついたものを曲にしました。
―テレビから流れて、いい意味で、めちゃくちゃ違和感があるサビですよね。
内田:サビは何回か書き換えて、メンバーと話し合ってメロディを決めましたね。
内田怜央(Vo)Photo by Mitsuru Nishimura
―しかも「普通、サビのメロディの後ろでこんなにギターもベースも弾かないだろう」っていう。
全員:(笑)。
関:そうですよね(笑)。「こんなに動くか?」って。
長谷部:邪魔ですよね(笑)。
関:ベースに関していうと、歌や鍵盤、ギターが伸びやかで、サビで一気にドカーンとスケールが広がっていくところだったので、そこに自分も一緒のノリで入っていってしまうとただのっぺりとした雰囲気になっちゃうなと思って、できる限り音を詰め込みました。
千葉:うん、これは大正解ですね。
関:自分が細かく動くことで周りの音をより際立たせることができるかなと思って。同調してしまうよりそっちの方が効果的かなと。細かく弾いたらめっちゃ難しくて、覚えられなくて今四苦八苦してます(笑)。
関将典(Ba)Photo by Mitsuru Nishimura
―Kroiの曲は、「ここはこういうフィルがくるでしょ」といったこととかも完全に裏切るし、音楽的なお約束事を知った上であえて裏切る自由さが散りばめられていますよね。長谷部さん、益田さん、千葉さんからも、この曲におけるそれぞれのプレイのポイントを聞いてもいいですか?
長谷部:歌の部分とラップの部分でバンドは同じ演奏をしていて、最初はその移り変わりのところでヒップホップっぽくフレーズをリフレインさせようと思ったんですけど、あえてそうしないで、鍵盤との音の抜き差しを考えて、曲のストーリーができるようなフレージングを意識しました。
―この曲、ギターの緩急がすごいですよね。
長谷部:そうですね。最後のソロとか(笑)。怜央が作ったデモの時点でラスサビのギターソロが入ってて、それを自分なりに解釈して、「どういう感じでこの曲を締め括ろうかな」と考えた上であれを弾きました。でもこれ、全部同じギター、同じアンプで録っているんですよ。これまでパートによって変えることが多かったんですけど、最近は自分の中でそれが流行っていて。ライブを想定して、ということと、1曲の中でキャラクターがかたまっているような音作りをしています。
長谷部悠生(Gt)Photo by Mitsuru Nishimura
―益田さんはどうですか?
益田(Dr):緊張と緩和。明鏡止水といったところでしょうかね。
関:おい(笑)。
―その心は?(笑)
益田:クライアントさん側のイメージとして、「闘い」「内なる闘志」とか、「目的に対してやる気があるけれどあくまで落ち着いている」みたいな沸々とした感じというお話を最初にいただいていて。それをドラムでどう表現しようかというところで、この曲は基本的にベーシックな8ビートを叩いているんですけど、グリッドに対してギリギリまで後ろに持っていってるんですよ。なのでよく聴くと、鈍って聴こえるというか、少しリットしているようにも聴こえるけど聴こえないみたいな、そういうギリギリのところで、曲がどっしりとするようなアプローチで入れています。
益田英知(Dr)Photo by Mitsuru Nishimura
千葉:ドラムのサウンド感は、リファレンスとしてBrasstracksっぽくしたいという話もしたよね。毎回ドラムはリファレンスを立てるんですよ。そこの基盤がないと僕のアレンジも決められないので。
Photo by Mitsuru Nishimura
「理路整然としないように、荒々しくなるように」
―キーボードのプレイもそうですけど、アレンジやミックスまでやれる千葉さんがKroiにいることがやっぱりすごく大きいんじゃないかと、この1年改めて思ってました。
千葉:いつも怜央から出てきたデモを10〜20回くらい通して聴いて、細かい音とかも聴きながら完成形を考えるんですけど、今回の場合だとシングルで出るしタイアップでテレビで流れるから、わりと迫力ある感じにしたいなと思って。それが上手くできた曲だなと思っていますね。たとえばサウンドの厚み、音場、鳴っている音の広さとか、そういうところがこの曲においてはどう聴こえるのがベストなのかをデモから判断して、パソコンを開いて作業して、ということをいつもレコーディングまでにしているんですよ。レコーディングのときには、そのあたりもイメージしやすいような段階まで持っていったものでみんなができるように、ということを家でやっている感じですね。
千葉大樹(Key)Photo by Mitsuru Nishimura
長谷部:ミックスも千葉さんがやってくれているので、録る段階でそういうところを話し合えると連携がしやすいというか。ミックスをやってる分、デザインもしやすいのかなとは思いますね。
―Kroiの音楽って、商業音楽の様式にハマらない自由さがあるというか、「理路整然」とは違うベクトルに向かっていると思っていて。曲を書く段階からミックスまでバンドとしての意志をここまで貫いてパッケージできるのは、やっぱりメンバーである千葉さんがミックスまでやっていることが大きいですよね。
千葉:そうですね。理路整然としないように、荒々しくなるようにやるというところは、結構大事だと思います。そこはすごく気をつけてやっていますね。
―ここまで自由に、「理路整然」ではない方向で、音楽の中で遊ぶことをメジャーシーンでやり通すって、なかなか簡単なことではないから、本当に尊いことをやっているなと思います。
内田:周りの方々に感謝ですね。
関:本当にそう(笑)。スタッフ陣も何もかもが、もう本当にありがたい人たちなので。
千葉:曲について何も言われたことないです。
長谷部:「かっこいいね〜」ってだけ(笑)。
関:俺らが「これやりたい」って言ったらやらせてくれる。「こうした方がいいんじゃない?」とかまったくないので。そういう環境でやらせてもらっているので、これだけ自由に自分たちのやりたいものを突き詰められています。
内田:だから、よりいい曲を書かなきゃなという気持ちにもなりますし。めちゃめちゃ最強チームです。
―それはKroiが「俺たちはこういうバンドなんだ」ということをブラさずに示し続けてきて、自ら掴み取った立ち位置でもありますよね。それこそタイアップ先のクライアントもKroiのユニークさをそのままかっこよさとして受け入れていて、「カラオケで歌えるようなもの書いてくださいよ〜」とかズレたことを言ってこないわけでしょ。
千葉:たしかに。それができるのは、やりたいようにやることを貫いてきたから、というのがあるかもしれないですね。
関:幸い今お話いただいているクライアントさんも、自分たちのことを熟知した上でオファーしてくださっているので、「その自由なスタイルがほしいです」みたいに言ってくださることが多くて。タイアップ曲でもわりと好き放題やらせてもらって、それをよしとしてくださっているっていう。なので、すべてにおいて「ありがたい」の一言に尽きます(笑)。これをするのが正解のバンドとしてやらせてもらえているということがすごくありがたいです。
真面目にふざける
―『LENS』以降、怜央さんの歌詞の書き方に対する意識は何か変わりました?
内田:一瞬わかりやすくしてみようかなと思って、「Small World」はわりとわかりやすく書いてるかな。「Pixie」は、また元の書き方に戻っているなと自分では感じます。
―私も感じました。もともと、聴く人によって解釈が変わるような歌詞の書き方を意識していて、1年前の取材でも「一聴した感じは『こいつなんか適当な言葉並べてるんだろうな』って思われるくらいのほうが、自分の中では音楽としてよくて」とおっしゃってましたよね。「Small World」のあと、また戻したのはなぜ?
内田:曲調にもよるんですけど。「Small World」は楽曲自体がハチャメチャなので、歌詞はちょっと整えたものというか、今までより伝わるものにしようと思って。「Pixie」は曲調的にも親しみやすく作ってあるので、歌詞のニュアンスを今までの感じにちょっと戻したっていう。「Pixie」は、我々の中ではめちゃくちゃキャッチーなので(笑)。
千葉:信じられますか? 精一杯です(笑)。
関:キャッチーが何だかわかんなくなってきた(笑)。
千葉:高い声出したらキャッチーだと思ってる?(笑)
―いや「キャッチー」とは何かという問いは相当難しいです(笑)。
千葉:でも、他のバンドの曲を聴いていても思いますけど、怜央は聴きやすいサビを作るのが意外と上手いですよ。やっぱり、メロディは耳に残るので。オケはもうめちゃくちゃですけど(笑)。しっかり聴きやすい歌なので、そこのバランスがすごく上手いなと思いますね。
関:怜央が出してくれるデモを聴いたときに、やっぱりサビのメロディとかは一瞬で耳に残りますし、みんなで「次はどの曲を録ろうか」という話し合いをするときも「あのサビのやつ」ってパッと歌えるくらいになるので。今回の「Pixie」はそれが今までの中でも強く感じる楽曲でしたね。
―「Balmy Life」があれだけ評価されているのも、サビに入ったときのキャッチーさの驚きという面はやっぱり大きいですもんね。そんなメロディやオケに乗せる歌詞として、「Pixie=フェアリー、妖精」というテーマはどこから出てきたんですか?
内田:国際ファッション専門職大学のタイアップだったので、「クリエイターに向けての曲」を作りたいという要望があって。ものを作るときって、すごく気まぐれなんですよ。コロナでずっと家に篭ってて時間もたくさんあって、パソコンに向かって曲を作ってる状態にはなっているのに何も思い浮かばないときもあれば、家に帰ってきてパソコンをぱっと触ったら曲ができるときもある。その気まぐれさを書こうかなと。「頭の中にいる妖精さんを捕まえよう」っていう。それを探す旅を書こうと思いました。
―なるほど。それを「妖精」とたとえる発想が面白いですね。
内田:人が成長するときって、隣にいる人が「妖精」というか。自分を成長させてくれる人間と、頭の中にいるフェアリーを、重ねて書くということをやってみました。
―イントロに関して、あのびっくりさせるような始まり方はどういう発想ですか?
関:あれは怜央のデモの段階からありました。キャッチーですよね(笑)。
―いやめちゃくちゃキャッチーですよ。耳に引っかかる。
長谷部:止まりますよね(笑)。
内田:みんなで『DUNE』というSF映画を観に行ったんですよ。そこからSFにどハマっちゃって。それで、海外の劇伴的なアプローチをイントロにぶっこもうと思って。いつもイントロはちゃんとふざけなきゃなと思っているんです。サブスク時代なので、イントロで掴めなかったら誰も掴めないということは、ずっと昔からみんな思っていることで。今回は劇伴的に「ここからファンタジー的なストーリーが始まるよ」というのを勇ましく見せるというイメージで、ぶっこみました。
―「20th CENTURY FOX」って流れる映画のオープニング的な。
関:東映の「波」とか。
―なるほど。あの10秒にはいろんな音が入ってると思うんですけど、ディジュリドゥとか吹いてます?
内田:それっぽい音を目指したんですけど、あれはギターにシンセエフェクトをかけてさらに揺らしました。あれがすごく効いてますね。
千葉:あれに関しては怜央のデモに入ってた音、そのままですね。
関:太鼓も怜央が叩いていて、声は怜央と益田のを使ったよね。
長谷部:声はエンジニアさん、スタッフさん含めみんなやって、結局怜央と益田の声が一番よかった。
内田:あと千葉さんのくしゃみ。曲に入る繋ぎで印象的な音がほしくて。千葉さん、すっげえいいくしゃみをするんですよ。
益田:みんなでこよりを使ってどんなくしゃみが出るか試したんですよ。
千葉:昨日改めてデモを聴き返したら、あそこ、屁か何か入ってたよね? もっと小汚い音入ってたよね。
内田:いや、あれ、俺のくしゃみなのよ。
千葉:え?
全員:(笑)。
内田:俺のくしゃみは汚ねえ屁なんですよ(笑)。
千葉:いや、本当にすみません。ひどいこと言っちゃった。でも、歌はめちゃ上手いんで。
全員:(笑)。
―間違いない(笑)。怜央さんの頭の中はやっぱりすごくクリエイティブですよね。
内田:でも、「クリエイティブだな」と思う人って、意外と適当にやってるんですよ。俺は適当にやってるんですよ(笑)。面白いものをただがんがん入れてるだけで。世の中の「あの人が思いつくものは想像を超えてるよね、すごいよね」みたいに思われている人って、意外と適当に作ってる可能性があるんじゃないかなと思う。でも、その上で、まとめてくれる人がいて、しっかり最後はきれいにまとまって、作品が評価されるんだなって。もとを作る人がすべてじゃなくて、周りのやつらがすごいんだぞということをみなさんに知ってほしいですね。
―そうやって真面目にふざけながらクリエイトすることがKroiの面白さであり、それをかっこよくブラッシュアップして形にするバンドメンバーと、さらにそれを世に送り出すレーベルとマネジメントチームがいて、こうやって新しい音楽を提示してくれる楽曲がテレビCMとして流れるという素晴らしい状況ができているんだなと思いました。怜央さんが最初に言ったみたいに、多様な音楽が世に求められているいい時代だなと思いますし、Kroiがそれをさらに掻き回していってほしいなと思います。
千葉:頑張りたいですね。
関:頑張りたい!
<INFORMATION>
「Pixie」
Kroi
ポニーキャニオン
配信中
https://lnk.to/pixie
Kroi Live Tour 2022 "Survive”
2022年5月25日(水)
OPEN 18:00/START 19:00
東京・Zepp DiverCity (TOKYO)
https://kroi.net/survive
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