1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 音楽

政治家に転身したインドの人気ラッパー、銃撃され28歳で死去

Rolling Stone Japan / 2022年5月30日 19時36分

2021年9月12日、英ロンドンのクリスタルパレスで行われたWireless Festivalに出演中のシドゥ・ムース・ワラ。(Photo by Burak Cingi/Redferns)

4年足らずでYouTubeの閲覧回数40億回以上を突破し、のちに政治家に転身したインド人ラッパーのシドゥ・ムース・ワラ(本名:シャブディープ・シン)が現地時間29日、インドの自宅付近を運転中に銃で撃たれて死亡した。享年28歳だった。

【写真】27歳で他界した「27クラブ」のスター20人

シドゥはインドのパンジャブ州マンサ地区をドライブ中、犯行グループから発砲された。ソーシャルメディアに投稿された事件現場の生々しい動画や写真には、通行人が脈拍を調べる中、黒のSUVの運転席に血まみれで横たわる彼の遺体が映っている。

ローリングストーン誌が検証した事件後の映像には、インド版ジープ車マヒンドラ・タールの車体に約14発の銃弾の跡が見受けられた。パンジャブ警察署のVKバウラ署長によれば、射撃犯は30発以上を発砲したという。

署長は少なくとも3丁の武器から発砲されたとも付け加え、シドゥのマネージャーとカナダ人ギャング団との抗争が原因だとした。

地元紙ヒンドゥスタン・タイムズ紙は警察官の発言として、シドゥは8発被弾したと報道した。また攻撃の際、同じ車に同乗していたうちの1人が、けがを負って死亡したとも伝えている。

シドゥは2017年に最初の曲をリリースするや、またたくまにインド国外でブレイクし、インドが世界に誇る希代のアーティストとなった。またアメリカでも同世代の人気アーティストと肩を並べるアジア人ラッパーとして不動の地位を築いた。

「インドには、真の現代アーティストはごくわずかしかいない。彼はその中でもトップだった」。インドのミュージシャン仲間であるヴィシャル・ダッドラニはこうツィートした。「彼はレジェンドだ。彼の声、勇気、言葉は永遠に語り継がれるだろう」

パンジャビ音楽のサンプリングをちりばめた激しいトラップとドリルのビートをバックに、シドゥは伸び伸びとした豊かな声で、銃撃戦やギャング、サクセスストーリーをラップした。

2020年には英ガーディアン紙から最優秀新人アーティストの1人にも選出。同じ年にラッパー仲間のドレイクの目に留まったらしく、Instagramでフォローされていた(事件後、ドレイクもInstagramのストーリーで亡きラッパーを悼んだ)。






著名人に対する警護緩和の影響も

カナダやイギリスを中心に活動し、現地で暮らすシーク族から絶大な人気を得て、チャートにも度々ランクインしたシドゥは、ステフロン・ドンやMIST、スティール・バングレスといったイギリス人アーティストともしばしば共演した。

ごく最近では、2月に行われたインド州議会選挙で3万6000票を獲得(得票率2位)。ボリウッド映画界にも進出し、インドでもっとも有名なエンターテイナーの座を確立した。

彼の死により、インド国内では対立政党間で非難合戦が勃発。殺人が起きたのはパンジャブ州与党の責任だという声が高まった。

「本日、州が手を貸した殺人事件で、パンジャブ出身の若きシンガーのシドゥ・ムース・ワラが銃殺された。この責任は完全に庶民党(AAP)州政府にある」と、国内与党のインド人民党(BJP)広報担当者は発言した。

パンジャブ州政府は28日、治安部隊を他に回すべく、複数の著名人に対する警察の警護を緩和することを発表した。のちに警護が手薄になった人々の名前がリークされ、今回の措置で著名人が攻撃の危険にさらされたという批判が相次いだ。

シドゥも最近警備を解除された、または規模を縮小された政治家122人の1人だった。パンジャブ州の警察当局が確認したところでは、シドゥには依然武装した警備員が2名配備されていたが、29二位tはあえて警護なしで移動していたそうだ。

事件の後、シドゥが搬送されたマンサ病院には群衆が集まり、州政府に対する抗議デモが勃発した。

「将来有望な政治家で、才能あるアーティストのシドゥ・ムース・ワラが殺されたことに、深い衝撃と悲しみを覚えます」 ムース・ワラの訃報を受け、インド最大政党の指導者であるラウル・ガンディ氏もこのようにツィートした。「ご親族や世界中のファンの皆さんに心からお悔やみ申し上げます」

2021年12月、シドゥはガンディ氏率いる政党に入党。社会制度を内側から変えることが出来るという思いから政界入りを決意した、と発言した。

「地位や名声のために政界入りするわけじゃありません」と、入党した日に彼はこう語った。「僕は制度を変える一員になりたい。人々の声を届けるために議会に参加するのです」

from Rolling Stone US

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください