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ODD Foot Works、Kroiとのリベンジライブで観客と共に作り上げた一体感

Rolling Stone Japan / 2022年6月30日 18時0分

ODD Foot Works(photo by Yosuke Torii)

2022年6月16日、木曜日の夜に渋谷クアトロで開催された「GALAXY MOTEL vol.6」。企画したODD Foot Worksとゲスト出演のKroi、それぞれが表現する心踊る音楽が熱いステージ上で繰り広げられていた。

ODD Foot WorksとKroiのツーマンライブは前回の「GALAXY MOTEL vol.5」に予定されていたが、Kroiのメンバーが新型コロナウイルスに感染したことで出演キャンセルとなり、満を持して今回はそのリベンジライブとなった。会場はライブフロアを後ろまで埋め尽くすほどの観客たちで溢れていて、仲間と談笑をしたり、お酒を飲んだりしながら各々にリッラクスして開演の時間を待っている様子だった。

関連記事:ODD Foot Works、水曜日のカンパネラを迎えたチルでライブ感溢れる一夜

開演の時間になると会場は暗転。最初の登場はKroi。素敵な夜会の幕開けを知らせるかのような音色のシンセが会場に響き渡ると、1曲目「Small World」が始まる。内田怜央(Vo)のシャウトに会場の空気は一気に熱を帯びていき、毒気のあるフリーキーなサウンドに導かれて観客たちは独特なKroiの世界観へと惹き込まれる。クールに歌い上げると次の曲はスロウテンポなファンク曲「Mr. Foundation」。洗練された少ない音数の中で、益田英知(Dr)のドラミングの絶妙なタイム感が際立つ。続けて、Kroiの代表曲の一つである「Balmy Life」。独特なアクセントの高速ラップに、観る者のバイブスはますます上がっていく。次に、ポップテイストの曲調の中で緻密なグルーヴ感が溢れる楽曲「selva」。曲中のベースソロでは、関将典(Ba)がスチュワート・ゼンダーを彷彿とさせるファンキーで切れ味鋭いベースプレイを炸裂させる。続けて4曲目は、80年代ディスコサウンドをKroi流のミクスチャーな音楽に昇華した楽曲「Page」。千葉大樹(Key)が奏でる多彩な音色のシンセが、Kroiの個性の一つである「懐かしくも新しい」音像を構築しているのだと感じた。


(photo by Yosuke Torii)

「どうもKroiです。よろしくお願いします。本当に申し訳ありませんでした! コロナにぶち当たってしまいました(笑)!」と開口一番に前回の出演キャンセルについて謝り、会場からは笑いが起こる。続くMCでは内田が「ODDさんは、今はもう無くなってしまったGARAGEというライブハウスで出会った素敵な先輩の1人です」とODD Foot Worksと再び共演することへの思い入れを語った。

再び演奏に入り、2022年5月にリリースした最新曲「Pixie」を披露する。ドープな雰囲気のサウンドと内田のソウルフルな歌声に、観客の心はディープな陶酔感へと誘われる。続いて、泥臭さの中にエキセントリックな遊び心を感じるパーカッシブなスラップベースがビートを刻むファンクナンバー「Juden」。Kroiの楽曲には、それぞれの楽器がフィーチャーされるようなセクションが多くあり、まるでセッションライブのような臨場感を加速させ、観客たちを沸き立たせる。ただ、高度な演奏力を見せ付けてオーディエンスを置き去りにしてしまうようなテクニック至上主義の音楽とは明らかに違い、Kroiの音楽には人々のツボを押さえた人懐っこいフックが散りばめられていて、意識せずとも心と体が踊ってしまうような本能を刺激するグルーヴが渦を巻いている。


(photo by Yosuke Torii)

そしてライブ終盤、「最後までブチ上がってくださいね! いい日にしてください!」という内田の呼びかけに観客たちは拍手と歓声で応じる。長谷部悠生(Gt)が奏でる洒脱で印象的なギターリフから始まる「HORN」では、曲の展開とともにリズムを変化させ、ラストサビで気持ち良く4つ打ちに落ち着くことで一気に高揚感を爆発させる。最後の曲は骨太なファンクを基盤に、ロック、ヒップホップ、ソウルなど幅広いジャンルのエッセンスを取り入れたKroiの真骨頂とも言えるミクスチャーな楽曲「Fire Brain」。繰り返される最後の畳み掛けのラップに、観客のボルテージは爆上がり。最高潮の盛り上がりを見せたところで曲を締め括ると、まだ冷めやらぬ熱気とともに客席からは拍手喝采が沸き起こる。そんな独自の音楽性と自由奔放な遊び心をパフォーマンスから存分に見せてくれたKroiは、今まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだ。今後もKroiが新時代の音楽シーンの中でどうなっていくのか目が離せない。



会場が再び暗転。ODD Foot Worksのメンバーが続々とステージに登場する。Tondennhey(Gt)、SunBalkan(Ba)、この日サポートを務めるMPCのTaishi SatoとDJのYohji Igarashiが揃い、1曲目「SEE U DAWN」へ。シンセベースの低音が会場の空気を揺らし、単音ギターのフレーズが幻想的に鳴る。MCのPecoriがステージに上がり、オートチューンのかかった歌声を情緒的に響かせると、のっけから会場はODDが生み出す精緻なアンサンブルに包まれる。瞬く間にODDが創造する壮大なサウンドに会場の空気は染まると、ファンク・ロックなサウンドの「JELLY FISH」へ。3曲目「逆さまの接吻」では、荒々しいサウンドのカッティングギターと後ノリでウネるようなベースラインがクールなグルーヴ感を生み出す。続けて、ネオソウルを感じるお洒落でキャッチーなギターフレーズが散りばめられた楽曲「Papillon」。聴く者をいい意味で裏切るようなトリッキーな展開が、ODDのアレンジがいかに自由度が高いのかを改めて感じさせる。Pecoriが怒涛のラップを繰り出すと観客の熱気は力強く加速していく。


(photo by Yosuke Torii)

「東京調子はどうですかー? 東京のライブでこんなパンパンに人が入っているライブすごい久しぶり!」とPecoriが会場の人の多さに驚きを漏らした。続くMCでは、Pecoriが先日髪を染めたことについて話す。「Kroiの怜央くんが綺麗な緑色してるからさ。まぁVS構造ではないんだけど、どっちのフロントマンがイケてるかみたいなところはあるからね(笑)」。Pecoriからジョークが飛び出し、観客の間からは笑いが起きた。和やかなムードのまま再び演奏へと戻った。

続いては未発表の新曲である「I Love Ya Me!!!」を披露する。自分のことをどのくらい愛せているか、自分のことを好きでいれてるか、という強いメッセージが込められたリリックが、Pecoriの力強い歌声とともに観客の心に響く。続いて、メロウなスロウナンバー「HORSEMAN DRIFT ROMANCE」では、哀愁と湿り気を帯びたPecoriのラップが観客の胸にじっくりと染み渡っていく。「ギラギラしたいからみんなのスマホでステージを照らして」というPecoriの呼びかけで、会場がフロアから放たれる光に包まれた「GIRAGIRA NEON」。ODDのライブでは、観客をのめり込ませる工夫が随所にみられて、一緒にライブ空間を創り上げている一体感を感じることができる。歌謡曲風のストリングスのイントロから始まった未発表の新曲「Kewpie」(※仮タイトル)では、ODDの真骨頂とも言える、人々の琴線に触れるメロウで開放感のあるフックが炸裂し、会場の熱気をますます加速させていった。


(photo by Yosuke Torii)

「本当に今日のライブはKroiとお客さんとみんなで作ってるって感じがすごいするよね」と、今日がいつも以上に一体感を感じる特別な時間であることをしみじみと語った。「残り数曲になっちゃうけど着いてきてくれますかー? まだまだいけるっしょ!!」ライブは終盤へと入り、シティポップを感じさせるメロウなナンバー「NDW」。Tondenheyが奏でるエモーショナルなギターソロが、会場に格別の没入感をもたらす。思わず口ずさんでしまうようなフレンドリーさがありながら、過度に聴き手の感情に阿ることはしない気品漂うサビのメロディーが、観る者の心をがっちりと掴んで離さない。しっとりと歌い上げると「ありがとうございます。ODD Foot Worksでした」と告げてステージを後にした。

興奮冷め止まぬ客席からは、アンコールを求める拍手が鳴り止まない。今か今かと固唾を飲んで待っていると、アンコールに応じて再び5人がステージに上がる。ライブもいよいよクライマックスを迎え、意表をつくアクセントのラップと何処かノスタルジックで麗しげなメロディーが魅力のチルナンバー「KAMISAMA」、壮大に高鳴るサウンドでラストに相応しい感動を生み出した楽曲「ULTRA」と立て続けに曲を披露し、圧巻のライブパフォーマンスを締め括った。こうして「GALAXY MOTEL vol.6」は終演した。


(photo by Yosuke Torii)

そんな感動のライブ体験を届けてくれたODD Foot Works。2022年10月にはODD Foot Worksの4都市巡るツアーが開催され、年内には待望の3rdアルバムのリリースも予定されている。この文章を読んでほんの少しでも感動が伝わった人には是非ライブに足を運んでみて欲しい。きっと特別なライブ体験があなたを待っているだろう。


<ライブ情報>

「ODD Foot Works TOUR 2022」
2022年10月6日(木)愛知:名古屋CLUB QUATTRO
2022年10月7日(金)大阪:ユニバース
2022年10月14日(金)福岡:BEAT STATION
2022年10月20日(木)東京:Spotify O-EAST

出演:ODD Foot Works
料金:前売 4500円(税込・1ドリンクオーダー)
時間:Open 18:15 / Start 19:00

チケット一般発売 9月3日(土)〜 
オフィシャルサイト先行 第一弾
イープラス受付期間:6/16(木)22:00~7/4(月)23:00
受付URL:https://eplus.jp/ofw-tour2022hp/
枚数制限:お1人様4枚まで
発券開始:各公演1週間前~


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