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BLACKPINK・LISAが語る、大いなる野望とソロ活動で経験した不安

Rolling Stone Japan / 2022年6月25日 18時15分

BLACKPINKのLISA(2022年4月9日、韓国・ソウルにて撮影) Photograph by Peter Ash Lee for Rolling Stone.

「いまBLACKPINKでやっていることを今後も続けていきたいです」と話す一方、「個人的には、やりたいことがたくさんあります」と、LISAは明かした。

一瞬にして人生が変わった時、ラリサ・マノバンは14歳だった。2010年、彼女は母国タイで行われた韓国の大手芸能事務所・YGエンターテインメント(以下、YG)のオーディションに参加した。そして4000名の練習生志願者のなかからただひとり、夢への切符をつかんだ。それからまもなくして、彼女は単身でソウルの土を踏んだ。韓国語はさっぱりわからず(現在は流暢に話す)、毎日バンコクにいる母親に電話をかけた。

声を出して笑ったり、何気なく冗談を飛ばしたりするLISAは、一緒にいる人をリラックスさせる天賦の才能の持ち主だ。だが、ステージやスクリーンでは目つきが一変する。ラップやダンス、歌を披露している時のLISAの目は、炎のような激しさとともに輝くのだ。それは、BLACKPINKの名を世界に知らしめた「スワッグ」(訳注:「やばい」や「かっこいい」を意味する韓国語の「스웩」に由来する言葉)と自信の揺るぎないシンボルでもある。韓国語と英語を交えながら、LISAはBLACKPINKに対する想いと、新しいチャレンジへの野望を語ってくれた。2021年にリリースされたソロシングル「LALISA」には、ラップ、EDM、管楽器のリフ、さらにはタイの伝統楽器までもが豪華絢爛に盛り込まれた。もうひとつのソロシングル「MONEY」は、米ビルボードのRap Digital Songs Salesチャートのトップに君臨していたドレイクをその座から引きずり下ろし、みごと1位に輝いた。「BLACKPINKにおけるひとりひとりの役割を尊重しています」とLISAは話す。「こうしたイメージを壊したくありませんし、いまBLACKPINKでやっていることを今後も続けていきたいです。でも、個人的には、やりたいことがたくさんあります。写真も大好きですし、演技とか、いろんなことに挑戦してみたいです」

※先月、米ローリングストーン誌6月号の表紙をBLACKPINKが飾ったことを記念して、各メンバーをフィーチャーしたデジタルカバーストーリーを数日にわたって掲載した。日本版も米独占インタビューの完全翻訳版を収録した「Rolling Stone Japan vol.19」の発売を記念し、このデジタル版のインタビューを完全翻訳し紹介していく。

ーーBLACKPINKではメインダンサーとリードラッパーを務めていますが、ボーカリストとしても活躍しています。苦手なことはありますか?

インタビューです! 自分自身を言葉で表現するのは本当に難しいですね。たとえ母国語のタイ語でも。たとえば「ファンのみなさんに何かひと言」と言われたとします。頭のなかには言いたいことがたくさんあるのに、どの言葉を使っていいかわからないんです。「イェーイ!! ここが私のステージよ!」みたいに、身体を使って自分を表現することには100%自信があるのですが、話すのは苦手です。実際、いま汗をかいています。それくらい緊張しているんです。

ーータイ語と韓国語が流暢なのはわかるのですが、こんなに上手に英語まで話せるのはどうしてですか?

全然上手くないですよ! 英語は、タイの学校で勉強しました。6年生まで、タイの普通の小学校に通っていたんです。中学生になると、バイリンガル教育を実施している学校に入学しました。バイリンガル教育というか、全科目を英語で勉強する英語学習プログラムのある学校でした。英語で話す時は少しタイ訛りがあるので、それで相手は私がネイティブではないことがわかるんです。


米ローリングストーン誌の表紙を飾るBLACKPINKのLISA(2022年4月9日、韓国・ソウルにて撮影)
Photograph by Peter Ash Lee for Rolling Stone. Fashion direction by Alex Badia. Produced by Katt Kim at MOTHER. Set design by Minkyu Jeon. Styling by Minhee Park. Hair by Lee Seon Yeong. Makeup by Myungsun Lee. Nails by Eunkyoung Park. Outfit by Mugler. Shoes by Jimmy Choo x Mugler Collection


ーー子どもの頃は、タイのダンス大会に参加していたそうですね。当時は、ダンスがやりたかったのですか? 子どもの頃の夢は?

客室乗務員です! 一度、家族でシンガポールを訪れたことがあります。その時に見た、シンガポール航空のきれいな客室乗務員さんたちの制服が印象的でした——袖が肘まであるロングドレスで、たしか模様入りの紫色の生地でした。すると、きれいなオンニ(訳注:韓国語で「お姉さん」を意味する言葉)が英語で「ミルク飲みますか?」と声をかけてくれました。「ワオ! はい! ください!」と即答しました。シンガポールに到着すると、すぐに母にねだって制服を買ってもらいました。でも残念なことに、(客室乗務員の)身長制限をクリアすることができなくて——頭上の手荷物用の棚に手が届く身長でないと、客室乗務員にはなれないんです。

ーーその後、お母様に勧められて、練習を積んでダンサーになったのですね。

5歳からダンス教室に通っています。ダンス大会という名がつくものには、全部参加しました。父は「優勝したの? すごいね!」としか言いませんでした。それはそれでいいんです——父には、父の世界がありますから。家では、母が観客になってくれました。母が買ってきたCDに合わせて踊っていました。あとで知ったのですが、母は女優になることを夢見ていたそうです。だから、小さい頃は演技とダンスの教室に通わされました。演技は大嫌いでした。その頃はまだ小さくて、字が読めないのに、セリフを覚えようとしていたんです。字が読めないのに、いったいどうやってセリフを覚えろというのでしょう? そのせいで、同じ教室に通っていたオッパ(訳注:韓国語で「お兄さん」を意味する言葉)にいじめられました。その時は、たしか4歳くらいでした。

ーー練習生になって韓国に移住してからは、毎日お母様に電話をしていたそうですね。

「帰ってきたらダメ! あと1年がんばりなさい!」と言われていました。でも、「学校に戻りたい」と思う時もありました。私たちのデビューはどんどん後ろ倒しにされ、終わりが見えなかったんです。「いつになったら終わるの? いつまで続くの? 私たちは毎月、試験を受けさせられるの?」と思っていました。「やめたい」と言うと、母からこんなことを言われました。「自分が置かれている状況を考えてごらんなさい。喜んであなたの代わりになる若者がたくさんいるのよ。ここで諦めて帰ってきても、普通の生活が送れると思う? もう一度がんばりなさい。いまは、そこがあなたの居場所なの。だから最後まで耐えるのよ」

ーーそれから約10年後、あなたはK-POP界屈指のスターへと成長しました。YGの若い練習生たちからどんなふうに挨拶されますか? アドバイスをすることは?

90度のお辞儀をしながら、「アンニョンハセヨ!」と行儀よく挨拶してくれます。タイ出身の練習生がいるのですが、彼女を見ると昔の自分を思い出します。彼女のことは、目にかけるようにしています。アドバイスするとか、そんな大それたことではありませんが。一緒にご飯に行ったり、買い物をしたりします。彼女は17歳で、2年近く練習生をやっています。前に「何か苦労していることはある?」と尋ねると、彼女は泣きだしてしまいました。「LISAさんみたいに踊れるようになりたいけど、私は絶望的なくらい下手で、それが悲しくて仕方がない」と言うのです。私は「練習を続けてね」とだけ言いました。


BLACKPINKのLISA(2022年4月9日、韓国・ソウルにて撮影)
Photograph by by Peter Ash Lee for Rolling Stone. Top, pants and belt by Celine.

ーーその練習生があなたに憧れている理由がよくわかります。BLACKPINKのMVでは、あなたが登場すると画面がパッと明るくなるんです。それだけでなく、あなたはプレイの仕方をわかっている。自分自身を深刻にとらえすぎない方法を心得ていますね。

そんなことは、考えたこともありませんでした。そこまで細かく言っていただいたのは初めてです。普段は「最高! かっこいいよ!」と言われるくらいですから。どういう表情をしたら可愛く見えるか? とか、衣装やヘアスタイルのことなど、MVを撮影している時は、考えないといけないことが山ほどあります。自分のシーンで試したいアイデアもあります。こんな動きとか、あんな動きをしてみようかな? とか。時には、思い通りにならないこともあります。それでもやります。挑戦あるのみです。


ーーファンの多くは、あなたが「BLACKPINKのNO.1ダンサー」だと思っています。こうしたイメージを壊したいと思ったり、違うことにチャレンジしたいと思ったりすることはありますか?

私は、BLACKPINKにおけるひとりひとりの役割を尊重しています。こうしたイメージを壊したくありませんし、いまBLACKPINKでやっていることを今後も続けていきたいです。でも、個人的には、やりたいことがたくさんあります。写真も大好きですし、演技とか、いろんなことに挑戦してみたいです。

ーー音楽面で追求してみたいことは?

BLACKPINKはいろんな楽曲に挑戦していますが、まだまだ手をつけたことのないジャンルがたくさんあります。レゲエとか、以前あなたがおっしゃったように、ジャズとか。私が得意なのはヒップホップだけでしょうか? タイの伝統音楽も得意だとしたら? 私自身、どこまで自分の幅を広げることができるか知りたいです。ダンスでさえ、試したことのないジャンルがたくさんあります。コンテンポラリーダンスもそうです。音楽の面でも、ダンスの面でも、まだまだ学ぶべきことがあると思います

ーーうらやましいと思うアーティストや同世代の人はいますか?

うらやましいというわけではないのですが、ロザリアはとってもクールです。ロザリアには彼女独自のスペイン文化があって、それが彼女の音楽に影響を与えています。ロザリアを見れば、「この娘スペイン人だ」とわかります。それに、ロザリアは自分の文化をみごとに取り込んで自分のものにしています。「LALISA」(2021年リリースのソロシングル)では、タイの雰囲気を出すようにしました。

私がタイ人だということをみんなに知ってほしかったんです。「あの韓国のガールズグループの娘ね。きっと韓国人でしょ?」のように、なかには知らない人もいますから。そこで、プロデューサーのテディ(・パク)に相談しました。テディは、私の音楽にいろんなタイの音楽的要素を盛り込んでくれました。

ーーソロアーティストとして、ひとりでステージに立つのはどんな気分でしたか?

ものすごく緊張しました。いつものように4人一緒の時、たとえばチェヨン(ROSÉ)が100%の力を出し切るとしましょう。すると、私たちはステージ上でそれを感じます。そうなると、「やばい、私ももっとがんばらないと」と無意識にエネルギーが湧いてくるんです。私たちは、こうして互いを高め合っています。でも、ひとりでステージに立つとなると、それは別問題です。誰かからエネルギーをもらえるわけではありませんから。エネルギーは、私ひとりが放出しなければいけません。それに、ファンのみんなは私だけを見ています。かなりのプレッシャーでした。だからと言って、ほかに何ができると言うのでしょう? これがソロアーティストとしての私なんです。ただ練習して、自己管理を徹底しました。

ーープロデューサーのテディ・パク氏は、BLACKPINKを支える最重要人物のひとりだと思います。音楽的にどのような刺激をもらっていますか?

オッパはどういうふうに私に話したら効果的かをわかっていて、私も彼のことを理解しています。それに、テディは私をものすごく励ましてくれます。「もう1回、もう1回! もう少し声を出して! もう少しキュートに!」と言ってくれるんです。昔は、私はラップだけを担当していました。するとある日、ボーカルにも挑戦するようにとテディに言われました。私は歌が本当に苦手で。どうしようもない時期があったんです。「AS IF ITS YOUR LAST」(2017)から「DDU-DU DDU-DU」(2018)までの1年は、本当に辛い時期でした。レコーディングのためにスタジオに入っても、何も出せませんでした。泣きました。みんなの足を引っ張っている気がして。「できない? そんなことはない。がんばるんだ。スタジオに戻りなさい」と言って、テディは一生懸命励ましてくれました。あの時期を乗り越えることができたのは、テディのおかげです。いまは、歌うことに対してもう少し自信が持てるようになりました。

>>関連記事:BLACKPINKのLISAが語る、ソロ活動とBLINKへの想い「自信を持って堂々と生きよう」

ーーNetflixで配信されたBLACKPINKのドキュメンタリー『BLACKPINK ~ライトアップ・ザ・スカイ~』(2020)では、「私はタイではロールモデルとされていますが、自分が今後どんなアーティストになるか、自分でもわかっていません」と話していました。この発言の真意は?

タイに行くと、「LISAみたいになりたい!」と私に憧れを抱く若い世代の子たちに出会います。でも、自分自身を見ると、欠けているものがたくさんあります。年齢のせいで、知らないこともたくさんあります。若い子たちはアイドルとして私に憧れていますが、私はアイドルになれるほど完璧な人間ではないと思います。私はそこにたどり着けたのか? 覚悟はできているのか? 実際、自分でも知りたいところです。あの子たちは、私のどんなところを見て憧れているのでしょうか? 私自身、そうした存在からはまだまだ遠いような気がします。


ーー最近、誕生日を祝うためにタイに一時帰国されたそうですね。いかがでしたか?

3年振りの帰国でした。母も父もだんだん歳をとっています。もう外出制限はないので、旅行もしやすくなりました。時間がある時は、なるべくタイに帰りたいと思っています。時間を無駄にしたくないんです。「事務所のいうことなんてどうでもいい」とは思っていませんが、両親にはなるべく頻繁に会いたいです。

ーー家族と離れて暮らしていて、一番さびしいと思うことは?

家族旅行ができないのがさびしいです。父はスイス人で、家族と一緒に過ごす時間をとても大切にしています。一緒にショッピングモールにも行きます。年に1〜2回は、家族で海外旅行にも行っていました。それができないのがさびしいですね。BLACKPINKがワールドツアーを行った時は、家族とヨーロッパに行きました。荷造りに関してはこれが一番楽なんです。「ママ、一緒に来て」と言うと、母が私の持ち物を全部まとめてくれます。「ママ、私の荷物出して」と言うと、荷解きまでしてくれます。最高です。


BLACKPINKのLISA(2022年4月9日、韓国・ソウルにて撮影)
Photograph by by Peter Ash Lee for Rolling Stone. Top, pants and belt by Celine. Jewelry by Bvlgari

ーーお母様にとっては、何歳になっても大事な娘さんですからね。

実際、「ママ、私って何歳に見える?」と訊いたことがあります。母から見ると、私は永遠に5歳なんですって。

ーーいまも、毎日お母様に電話をしているのですか? 以前は、お母様が財務管理をしているとおっしゃっていましたが。

今朝、母と電話で話しました。もうすぐ誕生日なんです。「ママ、誕生日はどこに行くの?」と尋ねました。そうそう、母はもう私のお金を管理していないんです。デビューしてからは、自分で管理しています。何でも好きなものを買えます。母がお金を管理するメリットは、毎月使える金額が決まっていることです。でも、いまは自分で管理しているので、「あれ? もうないの?」なんてことも……。

ーー家族は人生においてかけがえのない存在です。家族のなかで一番面白い人は誰ですか?

父は、おじさんならではユーモアの持ち主です。母はとても愛情深くてキュート。ふたりが一緒にいる時の関係性が大好きです。父が「あーもう、どうでもいい」と言うと、母は「もー、パパったらー!」という感じになるんです。見ているだけで楽しくなります。

ーーいつかBLACKPINKが解散した時のことについて考えたことはありますか?

メンバー間では話したことがないと思います。冗談で「JISOOはハワイに移住、LISAはタイに帰国」のような話はしましたが、終わりのことは考えたくありません。悲しすぎますから。いつかは、結婚とかいろんなことがあるでしょう。でも、スパイス・ガールズだって再結成しました。私たちも、いつかそんなふうになれるのではないでしょうか? そうなったら、いまみたいに踊れるでしょうか? それにBLACKPINKは、あと10年は続くと思いませんか? その頃には、みんなアラフォーですね。

ーー40代のLISAはどんな女性になっているでしょうか?

わかりません。いまと変わらず、いい感じにリラックスしながら、いろんなことに挑戦していると思います。

ーー最近の生活について教えてください。

メンバー全員がレコーディングスタジオを行ったり来たりしています。あるいは、自分のことをしていたり、ファッション関係の仕事で海外に行ったり。ここ数週間は、ノンストップでずっと働いています。オフの日が1日できたら、ずっと家にいたいですね……今回のインタビューは、私の心から答えが出ているような印象を与えたいと思っています。なるべくフィルターを通さず、できるだけ誠実な形で。きれいな言葉で語ることはできません。私はただ、自分の心のなかにあることを話すだけです。

From Rolling Stone US.

>>関連記事:BLACKPINKが語る、初のオンラインライブ「生ライブでは考えられないステージを実現します」

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