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BLACKPINK・JISOOが語る、名声とメンタルヘルス、今後のソロ活動

Rolling Stone Japan / 2022年6月30日 18時15分

BLACKPINKのJISOO(2022年4月9日、韓国・ソウルにて撮影) Photograph by Peter Ash Lee for Rolling Stone

「辛い時や何も考えたくない時に音楽を聴きます——私たちの音楽も、同じように多くの人の役に立っていることを願います」と、JISOOは語る。

BLACKPINKのお笑い担当として知られるキム・ジスは、いきなりジョークを飛ばしたり、いたずらを仕掛けたりするのが大好きだ。練習生時代には、LISAの携帯を冷蔵庫に隠したというエピソードもある。そんなJISOOには、内向的な側面もある。4月某日の午後、BLACKPINKの所属レーベル兼芸能事務所、YGエンターテインメント(以下、YG)の本社の会議室で座る彼女は、「As time goes by it will be better(時間が解決してくれる)」と書かれたキャップを被り、アイスコーヒーを飲みながら真剣な面持ちで”重大事”について思案した。

BLACKPINKのリードボーカルであるJISOOは、ハモリの達人でもある。彼女は、専門家たちのチームと一緒にゼロから曲をつくることが大好きだ。だが、世界的なトップスターとして生きることは、必ずしも楽ではない。世界旅行を夢見る、韓国の軍浦市(訳注:首都ソウルの南に位置する首都圏の中核都市)出身のおおらかで無邪気な女子高生という過去の自分が時折うらやましくなるとJISOOは韓国語で話す。その一方、BLACKPINKの音楽には世界を変えられる力があることも十分に理解している。

※先月、米ローリングストーン誌6月号の表紙をBLACKPINKが飾ったことを記念して、各メンバーをフィーチャーしたデジタルカバーストーリーを数日にわたって掲載した。日本版も米独占インタビューの完全翻訳版を収録した「Rolling Stone Japan vol.19」の発売を記念し、このデジタル版のインタビューを完全翻訳し紹介していく。

ーー今日の調子はいかがですか?

あまりよくないです。寝不足なんです。今朝は8時頃にやっと寝つけました。このインタビューのあとに病院に行かないといけないんです。脚が痛くて。ドアに思いっきりぶつかってしまいました。折れているとか、ヒビが入っているとかではないのですが、1カ月くらいずっと痛くて。もう一度レントゲンをとらないといけません。幸い、(BLACKPINKのニューアルバムの)レコーディングが終わっていないので、まだ脚を使う必要はありません。振り付けは、歌ができてからです。それまでに、はやく治ってほしいです。

ーー最近の生活について教えてください。

最近は、そこまで忙しくありません。私たちはまだ積極的に活動していませんから。カムバックが待ち遠しいです。いまはひとり暮らしをしていますが、同じマンションで両親も暮らしているので一緒に食事をします。


米ローリングストーン誌の表紙を飾るBLACKPINKのJISOO(2022年4月9日、韓国・ソウルにて撮影)
Photograph by Peter Ash Lee for Rolling Stone. Fashion direction by Alex Badia. Produced by Katt Kim at MOTHER. Set design by Minkyu Jeon. Styling by Minhee Park. Hair by Lee Seon Yeong. Makeup by Myungsun Lee. Nails by Eunkyoung Park. Dress by Alexander McQueen. Shoes: stylists personal item

>>関連記事:BLACKPINK・LISAが語る、大いなる野望とソロ活動で経験した不安

ーー軍浦市で幼少期を過ごしましたね。その後、BLACKPINKのメンバーになって広い世界を経験したわけですが、人生の見方は変わりましたか?

あまり大きく変わっていないと思います。両親は私のことを誇りに思ってくれていますが、自分が世界的なスターだとは思っていません。友人たちと舞台を観に行くと、「こんなふうに動き回れる? BLACKPINKだから、当然だよね!」と言われます。別の友人たちには「ねえ、これってすごいことなんだよ!」といつも言われるのですが、あまりピンとこないんですよね。練習生になった高校生の頃から変わっていません。社会的な地位は変わったかもしれませんが、私にとって私は……ただの私なんです。


ーー音楽づくりで一番好きなことは?

私たちは、出来上がった曲をただ受け取るだけではありません。最初の段階から参加しています。一つひとつのブロックを組み立てたり、特定の感情を加えたり、フィードバックを交わしたり——こうした創造的プロセスのおかげで、自分たちの音楽に誇りを持つことができます。もし、すでに完成している楽曲を受け取ったとしたら、機械的に感じるでしょう。こうしたプロセスには、より強い愛着を感じています。なぜなら、「歌詞にこれを加えるのはどう? 振り付けにこんな動きを入れてみてはどう?」と言うことができるからです。

ーーBLACKPINKのメンバーとして唯一ソロ曲をリリースしていません。巷では、今年ソロデビューするという噂もあります。ソロアーティストとして、音楽に対してどのようなアプローチを考えていますか?

ソロ活動に対してどれだけモチベーションがあるのか、まだよくわかりません。私が聴いている音楽、私にできる音楽、私がやりたいと思う音楽——何を選んだらいいのでしょう? いろんな楽器を使った曲が好きです。いろんなバンドやロックも好きです。みんなが私に求めているものは何でしょうか? 相反する質問で頭のなかはカオス状態です。だから、まだ迷っています。今年のソロ計画はまだ未定です。

ーーそのように思うのも、無理はないですね。

そうなんです。簡単なことではありません。正直なところ、こういう仕事に就くなんて考えもしませんでした。私のことをよく知っている高校時代の友人は、私が芸能の仕事をしていること、それもちゃんとこなしていることに困惑しています。みんなは、私が自分のしたいことをして自由気ままに生きるだろうと思っていたみたいです。

当時は——あの頃の私は、いったい何を考えていたんでしょうね——学校に行きたくない日があれば、行きませんでした。両親も反対しなかったんです。ある朝、学校に行きたくないと苦い顔をして起きると、「そんな悲しそうな顔をしてどうしたの?」と父に訊かれました。私は、「パパ、すごく疲れてるの。今日は寝ていたい」と答えます。すると父は「わかった。それなら行かなくていいよ」と言ってくれました。翌日、学校に行くと、先生に「あなたは、いったい何がしたいの?」と訊かれました。

ーーご両親が学校をサボらせてくれたなんて、すごいですね。

両親に見放されていたわけではありません。末っ子だったので、むしろ大事にされていたと思います。両親は自由な考え方をする人たちで、私の好きなようにさせてくれました。ですから、(YGに)移った時は苦労しました。規則がたくさんありましたから。忍耐と我慢強さを身につけなければいけませんでした。


BLACKPINKのJISOO(2022年4月9日、韓国・ソウルにて撮影)
Photograph by Peter Ash Lee for Rolling Stone. Dress and bustier by Dior. Shoes: stylists personal item

ーーBLACKPINKがなかったら、あなたはきっとハワイに移住するだろうとLISAさんが言っていました。

ハワイとは限りません。海外移住についてしょっちゅう話していますから。高校生の頃から、自由奔放な人間でした。当時、誰かに「将来の展望は?」と訊かれたら、「うーん、まともな職に就けなかったら、パートタイムで働いて、実家で親のすねをかじろうかな。貯金して、いつかそのお金でどこかに遊びにいくの。そこで自分のやりたいことを見つけよう。この方法がダメでも、なんとかなるはず!」と自分に言っていたと思います。昔から、何かに縛られずに自由に動き回りたいという想いを抱きつづけてきたんです。

ーーいま、その計画を実行するのは難しいのでしょうか?

あなたが思う以上に大変です。どこに行っても、誰かに気づかれてしまいますから。そうなると、注意が必要です。

>>関連記事:BLACKPINK・ROSÉが語る、傷つきやすさが持つ力とBLACKPINKが家族である理由

ーー韓国ではいま、MBTI診断という性格診断テストが大流行しています。あなたのタイプは?

たぶん起業家型(ESTP:外向型・感覚型・思考型・知覚型)だと思います。でも、実際はひとりでいることのほうが好きです。予定を詰めこみすぎて「なんてことをしてしまったの!」と、あとになって思うことが多いんです。


ーー子どもの頃の夢は?

有名人になりたいとは思っていませんでした。「将来は何になるの? 自分のやりたいことを見つけられるの?」のように、特にやりたいこともありませんでした。子どもの頃から、明確な夢を持ってそれに向かって着実に進んでいく人をすごいと思っていました。私も何かに夢中になれる日が来るのでしょうか?

私の場合、何かに夢中になっても短期間で終わることが多いです。すぐに飽きてしまうんです。たとえば、運動していると身体がまったく変化しない停滞期のような時期がありますよね? それを乗り越えれば、身体は良い方向に変わっていきます。停滞期を我慢するのがあまり得意ではないんです。それを乗り越えて、さらなる高みを目指せる人にずっと憧れてきました。

ーーBLACKPINKを通じてご自身の道を発見したのでしょうか?

ここまで耐えてこられたのは、半分は屈服したくないという気持ちのおかげだと思います。途中で投げ出したくなかったんです。ほかの子たち(練習生)が競争に負けて自宅に帰るのを見てきました。私は諦めることを拒みました。最後まで耐え抜きたかったんです。

ーーいまは、その道が何かもう少し明確に見えているのでは? 多くの人は、外側からあなたを見て「だってあの子はBLACKPINKのメンバーよ! それがあの子の進むべき道じゃない!」と判断すると思います。でも、実際は違うのかもしれませんね。

おっしゃる通りです。少し違いますね。いまだにわかりません。毎日考えています。私が本当に好きなことは何だろう? 時折、自分でもわからなくなります。人前でパフォーマンスをするのは大好きですが、だからと言って、いつもスポットライトを浴びるのが好きなわけではありません。

この点では、ほかの3人とは違うかもしれません。彼女たちはスポットライトを浴びることを楽しんでいて、見にきてくれた人たちからパワーをもらっています。だから、コンサートが終わると少し塞ぎこんでしまい、沈黙が訪れるんです。空っぽな気分になるんだと思います。こうした感情は、仕事には欠かせません。でも、私は少し違います。ステージの上では、ミスをしないようにと自分に言い聞かせています。時折、パフォーマンスを心から楽しいと思う代わりに、試験のように感じることもあります

(2019年に)コーチェラ(・フェスティバル)のステージに立った時、腰痛がひどくて、毎晩痛み止めを飲んでいました。座ってパフォーマンスしたいくらいでした。でも、プライドがそんなことは許しません。それに、「このステージが大好き!」という想いがあったので、より強い責任感と義務感を感じました。

ーーいまも自分探しを続けているのですね。

生きている限り、ずっと探しつづけると思います。「これが私の答え」的なものは、まだひとつも見つかっていません。一生見つけられない気もします。でも、私はBLACKPINKの一員で、ひとりではありません。だから、現実と折り合いをつけることはできます。メンバーたちとファンのみんなと同じ船に乗っています。そう思うと、力と責任感が湧いてくるんです。


ーー最近、幸せを感じることは何ですか?

寝るのが大好きです。ストレスを感じると寝るんです。見方によっては、逃げていると言えますが、とにかく寝て夢を見るのが大好きです。最近は書かなくなりましたが、昔は、夢日記をつけていました。いろんな夢を見ます。夢に何語が出てくるかは覚えていません。BLACKPINKの夢をたくさん見ましたが、超現実的な設定でした。ツアーの夢ではなく、みんなで飛行機を操縦していると誰かに追いかけられる、という夢です。


BLACKPINKのJISOO(2022年4月9日、韓国・ソウルにて撮影)
Photograph by Peter Ash Lee for Rolling Stone. Dress and bustier by Dior.

ーー抱えていることを正直に話してくださって感謝します。有名人が自分のメンタルヘルスについて話すのは簡単ではありませんから。

そうですね。人目にさらされていますから。自分のことを応援してくれる人や、いつも自分の味方をしてくれるメンバーがいることと、自分の悩みを抱えていることは少し違うと思います。

ファンのみんなと話すのが大好きです。みんなには正直に、友人のように接しています。一緒にたくさん笑います。でも、たとえこういう人たちがいたとしても、私自身の問題としての困難は存在します。

ーーかれこれ10年以上、音楽とともに生きてきましたね。そのことについてどう思いますか?

自分を褒めてあげたいです。ワオ! 10年も続けられたなんて、奇跡です。

ーーあなたにとって音楽とは?

私は、BLACKPINKの音楽を愛しています。それがなければ、続けていくのは大変だったと思います。YGに入所してから、前よりもたくさん音楽を聴くようになりました。それまでは、音楽はそこまで大きな存在ではありませんでした。自分たちの音楽をつくるようになってから、重要性が増していったんです。

音楽を通じて誰かの人生により良い影響を与えるにはどうしたらよいでしょうか? 私は、辛い時や何も考えたくない時に音楽を聴きます——私たちの音楽も、同じように多くの人の役に立っていることを願います。



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