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all at once、Tani Yuuki、あたらよ、新世代アーティスト3組が札幌を彩った一夜

Rolling Stone Japan / 2022年7月5日 18時49分

「Mount Alive presents Re:PHASE VOL.2」出演者集合写真(photo by 千葉 薫)

all at onceが、2022年7月3日に北海道・札幌で行われたイベント「Mount Alive presents Re:PHASE VOL.2」に出演した。

ここでは公式レポートを掲載する。

関連記事:all at onceが語る、真逆な2人がボーカリストとして大切にしているもの

「Mount Alive presents Re:PHASE」は、新型コロナウイルスの影響によりパフォーマンスを行う場が制限されてしまった若手アーティストを北海道に招聘し、活躍の場を広げることを目的としたイベント。2021年の11月にスタートし、vol.2となる今回は、あたらよ、all at once、Tani Yuukiの3組が出演した。

会場は、札幌最大級のコワーキングスペース「EZOHUB SAPPORO(エゾハブサッポロ)」で、ライブステージとして使用されるのは今回が初。ステージとフラットに配置した座席に加え、書架も兼ねたベンチも客席に活用し、およそ150名が新たなライブスポットに集まった。



トップバッターは、4ピースバンド・あたらよ。この日はによる2人体制。場内のあたたかい拍手とともに出迎えられた2人が1曲目に選んだのは「悲しいラブソング」。恋人と別れる際の葛藤や迷いといった心の機微を、疾走感のあるサウンドにのせて響かせ、会場を一気に引き込んでゆく。


あたらよ(photo by 千葉 薫)

本格的なライブを北海道で行うのは今回が初だというあたらよ。「それに加えて、アコースティックでのライブも珍しいので、先ほどから足が震えています」と新鮮な環境の中での心地よい緊張感を漏らすひとみに、会場からは笑顔と拍手が寄せられた。

切なさを内包しながらも爽やかな「青を掬う」、別れた相手への怒りにも似た感情をぶつけた「ピアス」、ツインボーカルで夏の切ない情景を鮮やかに描いた「夏霞」など、エモーショナルな歌声と、切なさを増幅する叙情的なギターサウンドが波紋を描くように場内に広がり、聴き手の心を次々と揺さぶっていく。「この曲をきっかけにあたらよを聴いてくださる方もたくさん増えました。私たちにとって大切な1曲です」という言葉とともに、最後はMVの再生回数が3600万回を突破し、現在もその数字を伸ばし続けている代表曲「10月無口な君を忘れる」で締めくくった。



続いて登場したのは北海道出身のITSUKIと宮崎県出身のNARITOによるボーカルデュオ・all at once。アカペラでの美しいハーモニーから始まる「年をかさねて」で、会場をやわらかく包んだかと思うと、心が弾む高揚感に満ちた「Fanfare」でクラップを巻き起こし、ファンクナンバー「Take moChance」で会場をカラフルに染め上げてオーディエンスの熱を一気に引き上げた。

活動期間のほとんどをコロナ禍の中で過ごしてきたall at onceは、あたらよと同様に北海道でのライブは今回が初。ITSUKIにとっては念願の凱旋ライブでもあり、万感の思いを込めた「ただいま」に、会場からは「おかえり」の声が上がる。「北海道では8月が七夕なんだよ」とITSUKIが道民ならではの豆知識をNARITOに伝えつつ披露したのは、七夕を表す季語をタイトルにした「星合」。「大切な人に会えない」というここ数年、誰もが経験したであろう切ないもどかしさを織姫と彦星に重ねて歌い上げた。


all at once(photo by 千葉 薫)

さらなる盛り上がりを見せたのは、この日配信スタートを迎えたという「RIVALS」。アニメ『シュート!Goal to the Future』のエンディング主題歌として書き下ろされた新曲で、切磋琢磨しながら自分を成長させてくれるライバルの存在を歌ったもの。「夢を持っている人に届く曲なので、すべての人に聞いてもらいたい」と曲に託す思いをITSUKIが語った。

フレンチポップ調でキャッチーな「マカロン」、躍動感あふれる「Mission to the moon」と、磨き上げられた豊かな表現力と美しいハーモニーで会場を魅了し続けたall at once。

「コロナ禍の中でライブができず、音楽を続けられないんじゃないかと悩んだこともありました。今日、ライブができて本当に嬉しく思います」と喜びを溢れさせ、全身でこの瞬間を楽しむ2人は終始笑顔。最後は伸びやかなハイトーンが美しい「蒼空」を響かせ、ステージを後にした。



トリを飾るのは、「Re:PHASE VOL.1」にも出演していたTani Yuuki。バンドメンバーが先にスタンドインし、カホンのリズムと共に始まったセッションとそれに呼応する会場内のハンドクラップの中、数時間前に札幌ドームで行われたファイターズ戦のスペシャルライブにて着用したオリジナルユニフォームを羽織ってTani Yuukiが登場。湧き上がる歓声の中、そのままシームレスに1曲目「決別の唄」、リズミカルなポップナンバー「Unreachable love song」と曲をつないでいく。


Tani Yuuki(photo by 千葉 薫)

札幌でのライブは前回の「Re:PHASE VOL.1」を含めて今回が2度目だというTani Yuuki。「いつか札幌ドームでワンマンをやりたいです!」と誓いのMCを挟みながら、デビュー曲「Myra」をはじめ、「油性マジック」、「愛言葉」を次々に重ね、豊かな語感、心地よいフロウといった表現の多彩さと、一音一音が心の深部へと響く繊細な歌声でもって、オーディエンスの琴線を揺らしていく。札幌ドームからライブをはしごしている人もいて、客席とコミュニケーションを図りながら嬉しそうに目を細めるTani Yuuki。不安や葛藤を抱えている人、夢を追いかけている人に向けた疾走感溢れるロックナンバーで会場を大いに沸かせた。

「自分を縛り付けていたものから解き放ってくれた大切な1曲です」との言葉を添えて、TikTokでの総再生回数6億超のシングル「W/X/Y」でライブは幕を閉じるも、会場からは当然アンコールが沸き起こる。

「じゃぁ、やりますか!」と笑顔を広げたTani Yuukiは、アコースティックギターをキーボードに変え、繊細で美しい旋律とともに、世代を超えて響く応援ソング「自分自信」を披露。あたたかな拍手と歓声の中、Re:PHASE vol.2は充実のエンディングを迎えた。

コロナ禍により、あたり前があたり前ではなくなってしまったこの時代。多くの表現の場が失われていった中でも、TikTokをはじめ様々な手段で楽曲を披露し、ひたむきに歩み続けてきた未来を担う新世代アーティストたち。彼らの進む道に、力強い光が差し込むのを確かに感じた夜だった。

text by 悦永 弘美


<イベント情報>

「Mount Alive presents Re:PHASE VOL.2」

2022年7月3日(日)北海道・ EZOUHUB SAPPRO
出演者:あたらよ / all at once / Tani Yuuki

all at once 公式HP:https://aao.beinggiza.com/

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