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BTSの名曲100選

Rolling Stone Japan / 2022年7月18日 14時10分

©Big Hit Entertainment

「Butter」(2021年)や「Butterfly」(2015年)をはじめ、前人未到の記録を達成してきたBTSの最新ディスコグラフィーのなかでも燦然と輝く100曲を、米ローリングストーン誌がランキング形式で紹介する。

BTSの成功の中核を担うのは、ARMY(Adorable Representative M.C. for Youth[若者を代表する魅力的なMC]の略)と呼ばれるファンベースとの唯一無二の関係性にある。その関係性は、言語や文化を超越する豊かなディスコグラフィーに支えられているのだ。ここでは、自分を愛し誰かを愛すること、内省、絆、そして適度なアナーキズムといったBTSのメッセージが投影された万華鏡のようなディスコグラフィーを構成するトラックに着目する。「Danger」や「Sea」、さらには「Run」から「UGH!」など、BTSのベストトラック100曲を紹介する。

【画像】写真で見る「BTSの名曲100選」

Text by CHARLES AARON, RIDDHI CHAKRABORTY, DIVYANSHA DONGRE, KRISTINE KWAK, ALTHEA LEGASPI, NATALIE MORIN

100
「BTS Cypher PT.1」(2013年)


荒々しくも誠実で、テクニック的にも複雑な(そしてファンに大人気の)Cypherシリーズのオープニングを飾る「BTS Cypher PT.1」。この曲でBTSのラップラインであるRM、SUGA、J-HOPEは、”俺のアティテュードが俺のメンター/罵られたとしても俺はメメント/ラッパーとしてのプライドを見せろ、それでもお前は無力感を拭えない/嫉妬心はしまっておけ/お前のIPアドレスはわかってるんだ”と、自分たちに向けられた世間の不当な批判に立ち向かう。それぞれの個性が光るフロウとともに繰り広げられる各自のパフォーマンスは、ラップという表現方法を巧みに操る彼らの能力を裏打ちする一方、ラップラインの大胆不敵な側面を世間に知らしめた。—D.D.

99
「Hip Hop Phile」(2014年)


ヒップホップグループとしてのコンセプトがもっとも顕著だった時期にリリースされた「Hip Hop Phile」。この曲は、ヒップホップカルチャーに捧げられた賛辞であると同時に、ヒップホップに対する敬意や憧れといった感情から生まれたものだ。「Hip Hop Phile」では、ヒップホップとBTSの関係性、さらには独創的な自由のインスピレーション源となった経緯が綴られる一方、エピック・ハイ、ナズ、ジェイ・Z、C. L.スムース、エミネムなど、BTSに影響を与えたラッパーたちへのオマージュが込められている。—D.D.
 
98
「Dont Leave Me」(2018年)


「Dont Leave Me」の壮大さは、シンセサイザーを用いたどこまでも華やかなプロダクションはもとより、感情に訴えかけるメンバーの声のクオリティの高さに支えられている。日本オリジナル3rdアルバム『Face Yourself』(2018年)に収録されているこの曲には、「独りにしないで」という意味のタイトルとは裏腹に、私たちは恐怖によってではなく、信頼や人との絆によって困難を乗り越えられるというメッセージが込められている。”例えどんな闇に消されても/救い出すよ、必ず/君は独りじゃない”とJIN、JIMIN、JUNG KOOKは歌う。—N.M.
 
97
「Fly to My Room」(2020年)


ステイホーム期間中、私たちのベッドルームは熱狂的なダンスフロアへと姿を変えた。2020年のアルバム『BE』の収録曲「Fly to My Room」でBTSは、人々の心をどこか別の場所に誘うことができる音楽の力をとらえた。”僕にはこの部屋しかない/それなら、ここを僕の世界に変えてしまえばいい”と歌うJIMINとVに、SUGAとJ-HOPEのメロディアスなラップが続く。ゆったりとしたキーボードのクルーヴは、最初はためらいがちに始まるものの、最後のコーラスでは教会の聖歌隊に匹敵する力強さで響く——まるで信じられる何かを探すように。—N.M.
 
96
「Permission to Dance」(2021年)


社会批判、相手の気持ちに寄り添うこと、嘆き悲しむこと——BTSはどんなこともやってのけてしまう。だが、結局のところ、彼らは真っ暗な時代に誰かを励まし、慰めてくれる存在なのだ。エド・シーランとタッグを組んだ爽快なサマーソング「Permission to Dance」は、まさに希望というメッセージを私たちに伝えようとしている。そこには、情熱の光が決して消えないことや、世界は美しさにあふれているといったメッセージが込められている。こうしたメッセージは「踊り」、「楽しい」、「平和」を意味する国際手話を使った情緒豊かなコレオグラフィーにも健在で、誰もが気軽に参加できるようにとあえてシンプルに(あくまでBTS基準で)振り付けられている。—N.M.


95
「Stay Gold」(2020年)


BTSの日本語曲には、リスナーを心地よいトランス状態へと誘う何かがある。ひょっとしたらそれは、愛や失恋といったテーマが想起する温かみのある甘いサウンド、あるいはほろ苦さのせいかもしれない。いずれにしても、BTSの日本語曲は、今も昔もファンが待ち望んでやまない(そして人気の)トラックだ。アルバム『MAP OF THE SOUL: 7 〜THE JOURNEY〜』(2020)の先行リリース「Stay Gold」も、アップビートでポップなアレンジにのせて楽観的な気分、温もり、ロマンスを届けてくれる。コロナ禍という不確かな時代にリリースされたこの曲は、希望の光として世界中に降り注ぎ、パンデミックの閉塞感を春先の”つらら”のように溶かしてしまった。—D.D.

94
「Crystal Snow」(2018年)


そっと開く花のように、優しげに漂うメロディーが美しい「Crystal Snow」は、前作「Spring Day」がそうであるように、季節の鮮やかなイメージを駆使して愛の移ろいやすさを表現している。”君が僕を通り過ぎ水になろうと/胸でまだ流れてる/輝くものすべてに映る/光る君を見つめてる/待ってるさ またどこでも”とRMはラップする。静かに始まる「Crystal Snow」は、”君を抱きしめたい/消えてしまう前に/もう一度”というボーカリストたちの願いにのせてミュージカル作品さながらの優美さと力強さとともに開花する。—N.M.

93
「Trivia 承: Love」(2018年)


2018年リリースのLP『LOVE YOURSELF 結 Answer』に収録されているRMのきらびやかなソロ曲「Trivia 承: Love」。この曲でRMは、韓国語で戯れながらファンの愛情に対する感謝の気持ちを綴っている。サラム(人)とサラン(愛)という発音の似た言葉で韻を踏みながら、ARMYのおかげでひとりの人間として成長できたことに感謝しているのだ。かたやフランスの哲学者デカルトの「我思う、故に我あり」という名言へのオマージュとして、”僕は生きる、だから僕は愛する”と嬉しそうに宣言する。「Trivia 承: Love」は、ARMYにしか解読できないオノマトペ、シンボリズム、サプライズ——すべてを列挙するのは不可能——に満ちている。いかにもBTSの知的なリーダーらしい贈り物だ。—R.C.

92
「Your eyes Tell」(2020年)


当初はJUNG KOOKのミックステープに収録される予定だった日本語曲「Your eyes Tell」。この曲は、ソングライターとしてのJUNG KOOKの手腕を知らしめると同時に、恋愛と失恋とその中間にあるすべてのものに対するJUNG KOOK独自の視点を私たちに示してくれる。バラード風の感動的なメロディーに秘められたメロウなボーカルパフォーマンスが鮮やかな「Your eyes Tell」には、愛情と希望の熱い告白ならではの美しさがある。—D.D.
 
91
「Im Fine」(2018年)


「Save ME」(2016年)に登場するエレクトロポップ調のシンセサイザーの音色とともに始まる「Im Fine」。唯一の違いは、「Im Fine」のほうが虚ろに響く印象を与えること。サンプリングのサウンドが歪んで消えると、Vの美しいかすれ声が流れこむ。「助けて」と「大丈夫」がアンビグラム(訳注:見方によって複数の読みや解釈ができるようにデザインされた文字のこと)になっているように、「Im Fine」と「Save ME」の歌詞は(構造的にもテーマ的にも)表裏一体だ。「Save ME」の2年後、BTSは誰かに頼らない強さを身につけた。彼らは、温かい眼差しで過去の自分たちを振り返る一方、新たな一歩とともに前進しつづけるだろう。—N.M.


90
「The Truth Untold (Feat. Steve Aoki)」(2018年)


プロデューサーに世界的DJのスティーヴ・アオキを迎え、RMが作曲に参加した「The Truth Untold」。JIN、JIMIN、V、JUNG KOOKをフィーチャーしたこの曲は、携わったすべてのアーティストの新たな側面を私たちに見せてくれる。アオキがEDMの世界を飛び出して美しいピアノバラードを届ける一方、ボーカリストたちは自らの限界を超えて、恐怖と自己嫌悪を克服するための真に迫る戦いを表現する。愛を見つけるための鍵は、本当の自分を受け入れること——この曲にはそんなメッセージが込められている。—R.C.
 
89
「Life Goes On」(2020年)


「Dynamite」(2020)でBTSはステイホームの閉塞感を打ち破り、私たちを心躍る別世界へと誘ってくれた。「Life Goes On」は、そんな彼らが内なる声に耳を傾けた曲だ。パンデミックの悲劇に起因するつつましやかな態度とともに、BTSはアコースティックな雰囲気が漂うポップ/R&Bバラードを通じて、2020年の第75回国連総会で初めて掲げた「人生は続く」というこの曲のタイトルにもなっているメッセージをより広いオーディエンスに発信している。JIMINの感動的な歌声が際立ち、VとJINがメロディーの流れを導くかたわら、RM、SUGA、J-HOPEが安心できる仲間のように静かにラップする。「Life Goes On」のMVは、終盤でモノクロに切り替わる。派手な演出とは無縁だ。—C.A.
 
88
「HOME」(2019年)


毎日頂点を目指して空高く飛んでいると、地に足がついた感覚は束の間の贅沢のように感じられるかもしれない。だが、幸いにもBTSの7人にはファンというホームがある。”道の分岐点で、君のことばかり考えてる/惨めだった頃の僕を知る君/君のことを想うと笑顔になれる/君がいる場所”と、グルーヴィーな「HOME」のブリッジを任されたJINが優しく歌う。滑らかなメロディーにファンキーなチャーチオルガンの音色が重なり、安らげる人という存在がいかに神聖なものであるかを教えてくれる。世界がBTSのステージだとしたら、BTSにとってのホームは地球上のすべての場所なのかもしれない。—N.M.
 
87
「Coffee」(2013年)


「Coffee」は、BTSの初期の楽曲のなかでももっとも過小評価されている曲のひとつだ。この曲では、コーヒーというメタファーとともにほろ苦い別れが綴られる。アメリカンコーヒーの”冷たくて苦い後味”が残る一方、主人公は相手との優しい思い出を懐かしむ気持ちを抑えることができない。ローファイなビートとカフェの雑踏のサンプリング音とともに繰り広げられるゆったりとした音の世界観がメロディアスなボーカルとラップによって際立ち、別れのドラマの真っただ中へとリスナーを誘う。—D.D.
 
86
「Am I Wrong」(2016年)


”俺たちはみんな犬や豚/俺たちは怒りによって犬になる”と自嘲気味にラップするSUGA。この歌詞があることで、軽快であると同時にブルージーでヒップホップらしい隠れた名曲「Am I Wrong」(アメリカのブルース・ミュージシャン、ケブ・モの1994年の同名の楽曲のサンプリングを使用)は、BTSのディスコグラフィーのなかでもとりわけ政治色が強いものに仕上がっている。この曲の歌詞は、2016年10月に『WINGS』がリリースされる数カ月前に韓国のある官僚が「国民の99%は犬や豚」と発言して問題になった事件に触発されたと言われている。”世界全体が狂ってるように見える/まるで世界の終わりだ”と歌うBTSは、結局のところ正しかったようだ。—N.M.


85
「Filter」(2020年)


グルーヴ満載のラテンビートと挑発的な歌詞、そこにお馴染みの完璧なコレオグラフィーが重なることで、JIMINのソロ曲「Filter」はアーティストとしての彼の才能を余すところなく見せつける。トレードマークのハスキーボイスによって繰り出されるこの曲では、アーティストとしての二面性と、いとも簡単に相手を虜にする才能を謳歌するJIMINの姿を目の当たりにすることができる。官能的であると同時にリスナーを惹きつける「Filter」は、評価の高いJIMINのショーマンシップを知るための完全無欠のイントロダクションだ。—D.D.
 
84
「Let Me Know」(2014年)


BTSのラップラインとビッグ・ヒット・エンターテインメント(元HYBE)のベテランプロデューサー・Pdogg(ピドッグ)の共作「Let Me Know」は、BTSのディスコグラフィー屈指の感動作だ。このR&BバラードでBTSは、人間関係の必然的な終わりを嘆く。”恋は桜のように花開くけど、燃えて灰になる”とSUGAが歌うように、前に進むことが賢明だとわかっている一方、思い出を手放せずにいるのだ。この曲には、ひとりひとりが輝く瞬間がある——ラッパーたちが否定と怒り、そしてその先にある許容といった悲しみのさまざまな段階を表現する一方、ボーカリストたちは空高く舞い上がるファルセットやアドリブとともにキャリア屈指のパワフルなパフォーマンスを披露する。—R.C.
 
83
「MAMA」(2016年)


『WINGS』(2016年)に収録されているエモーショナルなJ-HOPEのソロ曲「MAMA」。この曲でJ-HOPEは、自らの人生についてオープンに歌っている。ゴスペルとヒップホップにインスパイアされた「MAMA」は、BTSの楽曲としては異色で、歌詞には夢を追うJ-HOPEのために彼の母親が払った犠牲へのオマージュが込められている。2017年のWINGS TOURでは、毎回圧巻のステージ演出とともに披露された。BTSのメンバー、バックダンサー、10数名のゴスペルシンガーたちがJ-HOPEと大合唱を繰り広げたのだ。—R.C.
 
82
「N.O」(2013年)


鮮烈なデビューから時を待たずに、BTSは韓国社会に対する批判をさらに強めた「N.O」を世に放った。怒りの矛先は、若者を「勉強マシン」に変えた大人たちに向けられた。このメッセージをより強力にバックアップするかのように、MVではマトリックス風の近未来ディストピアを舞台に、机に縛りつけられて厳重に見張られるメンバーの姿が映し出される。”誰かの夢に囚われたまま、自分の人生を歩もうとしてはいけない”と、彼らはコーラスで歌う。—N.M.
 
81
「Make It Right (Feat. Lauv)」(2019年)


バラードともハードなキラーチューンとも一線を画す「Make It Right」は、BTS屈指の感傷を秘めたトラックだ。ソウルメイトのエド・シーランやシンガーソングライターのフレッド・アゲインの面々による共作「Make It Right」のリミックスバージョンの最初のヴァース、プレ・コーラス、コーラスでゲストシンガーのラウヴは、「I like Me Better」(カッコよくありたい大学生を描いたラウヴの2017年の楽曲)の雰囲気を見事に再現している。とりわけリスナーの耳をとらえるのは、羽のように軽やかでスモーキーなミッドテンポのグルーヴだ。流れるようなファルセットに重なるジャジーな管楽器のループとスネアのサウンドに導かれて、不思議とアグレッシヴでありながらも魅惑的な曲に仕上がっている。—C.A.


80
「Interlude: Shadow」(2020年)


BTSのリアルバラエティ番組『Run BTS!』の2018年のあるエピソードで、SUGAは自作の詩を披露した。”多くの光に照らされるにつれて/影も増えていく”は、その一節だ。『MAP OF THE SOUL: 7』(2020年)のオープニングを飾る鮮烈な「Interlude: Shadow」でSUGAは、影というメタファーを掘り下げながら、有名人であることにつきまとう影の部分をさらに探求する。「Intro: O!RUL8,2?」のムード漂うサンプリング音とともに始まるこの曲でSUGAは、”怖いんだ/空を飛ぶのが怖くて仕方ない/ここがこんなに孤独だなんて、誰も教えてくれなかった”と感情を吐露する。だが、心の中の悪魔と戦う覚悟を決めた瞬間、テンポが変わり、パワフルなベース音が加わる。こうしてSUGAは、影の視点に立って言葉を吐き出す。その言葉は、影との共存以外の選択肢がないことを彼に自覚させる。—N.M.

79
「Look here」(2014年)


歯切れの良いソウル/ファンク風のプロダクションの下にイタチごっこのモチーフが潜む「Look here」。嫉妬と執着心が膨らむにつれて、それは徐々に危険な様相を帯びていく。ボーカリストたちは、鮮やかなファルセットにプリンス風な要素を盛りこむ。その結果、ラッパーたちの遊び心あふれるハスキーなヴァースと見事なコントラストが描かれる。—R.C.

78
「Outro: Tear」(2018年)


「Outro: Tear」は、BTSのもっとも傷つきやすい部分を垣間見ることができるトラックだ。メンバーが解散について悩んでいた時期に書かれた「Outro: Tear」(2018年のEP『LOVE YOURSELF 轉 Tear』に収録)は、この苦しい時期に7人が経験したありとあらゆる感情をとらえている。オーケストラをフィーチャーした「Outro: Tear」では、RM、SUGA、J-HOPEによってメンバー全員が経験した失望、怒り、絶望の感情が強調される。3人は、「涙」と「引き裂く」というふたつの意味を持つ「tear」という言葉を使って悲しみやグループ内の絆のほころびを表現する。そのなかでも、J-HOPEがほかのメンバーに向けた”君は僕の始まりと終わり/それはすべて/僕の出会いと僕の別れ/君は僕のすべて、恐れよ、前に行け/それは繰り返される、君のせいで/Tear”というヴァースは、とりわけ胸を打つ。—R.C.

77
「Paldogangsan」(2013年)


スキット(訳注:ヒップホップアルバムに収録される間奏曲[インタールード]のこと)であると同時に寓話的な「Paldogangsan」。別名「方言ラップ」として親しまれているこの曲では、韓国南東部・慶尚道の大邱出身のSUGA、南西部・全羅道の光州出身のJ-HOPE、首都ソウルを取り囲むエリア・京畿道出身のRMがそれぞれの出身地を代表してラップバトルを繰り広げる。RMは地方ごとの違いを受け入れることの大切さを説き、仲裁役としての力を発揮する。団結を呼びかけるメッセージは、その数年後にBTSが国連総会で行ったスピーチにも通じるものがある。彼らのメッセージは、韓国の文山邑(ムンサン)から馬羅島(マラド)を越えて、ニューヨークから世界中の人々に発信された。—N.M.

76
「Moon」(2020年)


ファンへの想いが詰まったJINのソロ曲「Moon」は、彼の人柄に引けを取らないくらい魅力的でキラキラしたトラックだ。心躍るギターポップへのオマージュが込められたこの曲でJINは、ARMYとの関係性を天体になぞらえて全力で歌う。”君にとって僕はただの月/君の心を明るくする小さな星”と彼は歌う。”僕にとって君は地球/僕には君しか見えない”。コンサートでは、BTSの”長男”であるJINは、『星の王子さま』の主人公に扮してセットの月の上に立つ。原作と違って、私たちの星の王子さまは決して独りぼっちではない。—N.M.


75
「Spine Breaker」(2014年)


「Spine Breaker」でBTSは、ティーンエイジャーの間でステータスの象徴として定着した海外アウトドアブランドの高価なダウンジャケットを引き合いにしながら、韓国社会の格差を浮き彫りにした。”パンパンに膨らんだダウンジャケットみたいに/お前の欲望も満たされつづける”と、この異色のヒップホップ曲でSUGAは吐き捨てる。高価なダウンジャケットは、必死に働きながら、こうしたものを子供に買い与えることで自分たちは生活に困っていないことを世間に示そうとする親たちの虚栄心から「背筋ブレイカー」と揶揄されている。”親の背中が曲がっても/冷酷なお前は求めることをやめない”(エンターテインメント性あふれるJINのダンスは、こうしたメッセージをとりわけ的確に表現している)。—N.M.

74
「21st Century Girl」(2016年)


2016年のダークなLP『WINGS』の収録曲のなかでもエネルギッシュなアンセムソング風のエレクトロポップ「21st Century Girl」。この曲のねらいは、女性たちに最高の自分でいることを奨励し、称えることだ。RMとの共作であるこの曲は、女性オーディエンスを褒めたたえると同時に同意や敬意の重要性を強調しつつ、決して妥協してはいけない、というメッセージを送る。曲のヴァースでJUNG KOOKは、”絶対に怖がらないで/誰が何を言おうと君はOK、大丈夫/君は強い/YesかNoかは君が言えばいい”と力強く言う。—R.C.

73
「Best Of Me」(2017年)


アメリカのDJ兼プロデューサーユニット、ザ・チェインスモーカーズとBTSのベテランプロデューサーPdoggのコラボレーションから生まれた「Best Of Me」。高揚感あふれるEDMアンセムソングの手本のようなこの曲は、EDMが人気を確立した2011年から2015年までの時期を一瞬で想起させる。この曲でBTSは、恋の結末を誇張した歌詞にのせてしびれるようなパフォーマンスを披露する。とりわけ、SUGAとJ-HOPEの激しいラップヴァースは秀逸だ。2017年の曲だというのに、パーティーアンセムとして現在も愛されつづけ、コンサートで頻繁に披露されては観客を沸かしている。—D.D.

72
「Like」(2013年)


BTSの初期の楽曲のなかでもとりわけ過小評価されている「Like」は、関係の終わりにつきまとう怒りと後悔の入り混じった感情を描いている。SUGAが手がけた歌詞は苦悩に満ちていて、”どうして僕は、君と一緒に過ごしたあの頃からいまだに抜け出せないんだろう/あの世界では、誰もがやめてしまったのに”と彼はラップする。高揚感あふれるポップなR&Bアレンジが強い怒りと痛みを覆い隠している。見過ごされがちなこのトラックのSlow Jam Remixでは、オリジナル版の説得力あるメッセージが90年代にインスパイアされた定番R&Bバラードへと昇華されている。—R.C.

71
「Trivia 起: Just Dance」(2018年)


J-HOPEのステージ上の圧倒的な存在感によって高揚感を高める「Trivia 起: Just Dance」は、BTSのコンサートのなかでもファンが一番楽しみにしている瞬間のひとつ。エレクトロポップなビートに導かれるこの曲は、”僕らのリズムはぴったりだから/僕らにはダンスがあったから、運命のようなビート/一緒に弾けよう、POP”と、ダンスというメタファーを使ってロマンチックな物語の始まりを描く。最後のPOPという言葉がJ-HOPEのソロミックステープ『Hope World』(2018年)の収録曲「P.O.P (Piece of Peace)」を示していることは明らかだ。『Hope World』には、みんなの人生の幸福の源になりたいというJ-HOPEの願いが込められている—D.D.


70
「Friends」(2020年)


優しいドラムと心を和ませるシンセサイザーのサウンドが満載の「Friends」は、VとJIMIN(VMINの愛称でお馴染み)の固い絆に捧げられたオマージュだ。高校時代の楽しい思い出や懐かしいエピソード(餃子事件など)を回想するこの曲は、VとJIMINの力学と関係性が時間とともに開花した様子を垣間見せてくれる、心温まるトラックなのだ。VMINの変化を見守ってきた積年のARMYにとっては、とりわけ重要な意味を持つ曲だ。—D.D.

69
「Rain」(2014年)


ソフトジャズと難解なピアノの旋律にヒップホップを重ねた「Rain」は、新人時代からBTSのメンバーがマルチな才能を持っていたことを見事に証明している。BTSのラップラインとPdoggの共作である「Rain」は、雨の日のソウルというメタファーを通じて悲しみや単調さを表現している。たとえば”僕の体調を察したかのように、雨が降ってる/窓を濡らす雨粒を見ながら思った/まるで僕の心が流した涙のようだ”という真に迫るイメージを使って「Rain」の歌詞は空虚さを描き出す。絶望を表現する一方、いつかは変わるという希望がこの曲の根底に流れている。—R.C.

68
「Converse High」(2015年)


恋は目まいを感じさせる難解なパズルのようなもの——それは”白いTシャツ、デニムのショートパンツ、赤いコンバースハイ”にたとえられるかもしれない。『花様年華 Pt.1』(2015年)に収録されているグルーヴ満載の「Converse High」で、RMも”Thats it”とうなずく。このトラックで描かれるクールな男女の戯れから、目が眩むような喜びと誰かを好きになる高揚感が感じられる。好きな人のまばたきからエレガントに結ばれたスニーカーのダブルノットにいたるまで、恋に落ちるとささいなことも意味を持つ。—N.M.

67
「Anpanman」(2018年)


遊び心満載の人気トラック「Anpanman」は、BTSの十八番ないし社会的な啓発活動、あるいはその両方として見ることができる。「世界最弱のヒーロー」としてお馴染みのお茶目で心優しいアニメの主人公に共鳴したメンバーは、アリーナ級の壮大なポップパフォーマンスを説得力ある恐怖の告白に変えた。それは成功にともなう責任に関する感動的な見解であると同時に、自己愛の大切さとファンを支える気持ちを綴ったインスピレーションあふれるメッセージでもある。エネルギッシュでポップなヒップホップとEDMのパッチワークが、パーカッシヴなホイッスル、オートチューンされたチャント、アドリブ合唱、教会風のハンドクラップを駆使しながら繰り返しテンポとビートに変化を与えるなか、真のヒーローとは、愛する人々のためにすべてを犠牲にする人であることを子どもたちに伝えようとしている。—C.A.

66
「Autumn Leaves」(2015年)


別名「枯葉」としても知られる「Autumn Leaves」は、木々の色づきを過ぎ去る青春になぞらえたトラックだ。過ぎ去る青春は、まさに『花様年華』三部作のメインテーマでもある。”一枚の葉が枝に残ってる/その姿に、僕の心は動揺する、結末が見えるから/枯葉はしおれてゆく”という歌詞にもあるように、BTSはひとつのメタファーを使って生命のサイクルと時間の経過を見事に表現している。きらびやかなシンセサイザーの音色、パーカッションの響き、ダークなトラップとともに曲が進行するにつれて、曲のトーンは嘆きと許容のはざまを行き来する。—R.C.


65
「00:00 (Zero OClock)」(2020年)


「00:00 (Zero OClock)」は、スランプから抜け出そうと奮闘する人々に向けられた優しい応援歌。過ぎゆく時間にインスパイアされたこの曲は、人生がいい日と悪い日の繰り返しであることを合理的に説明する。BTSは、幸福と希望に向かうためのセカンドチャンスというコンセプトを伝えようとしている。時計の針が「00:00」を打つと同時にリセットされるように、あなたも新たなスタートを切ることができると。心温まるメッセージは、かすれ声が特徴的なJUNG KOOK、JIMIN、JIN、Vのボーカルラインによって見事に表現されている。—D.D.

64
「Attack on Bangtan」(2013年)


「Attack On Bangtan」の冒頭で放たれる”防弾少年団が進撃したらどうなる?”という問いかけは、BTSがデビューした2013年当時は、大袈裟な仮説のように思われた。タイトルがややミスリードなラップ満載の「Attack On Bangtan」は(訳注:日本では「進撃の防弾」というタイトルで知られているが、英語のタイトルを直訳すると「攻撃された防弾」と受動的な意味になるため)、助けを求める被害者の叫びというよりは、士気を高める鬨(とき)の声に近い。”俺たちが頂点を極めるのは時間の問題”という歌詞は、音楽業界のトップに君臨するまでは絶対に止まらないという決意表明でもある。冒頭の問いかけの答えが数年後に明らかになるとは(実際、BTSは満足のいく答えを得た)、当時の彼らは知る由もなかっただろう。いま聴いても、闘志をみなぎらせて戦いに挑む彼らの歌声にはワクワクさせられる。—N.M.

63
「Stay」(2020年)


ダンス・ポップトラック「Stay」は、コンサート会場にいる観客を総立ちにするためにつくられた曲だ。だが、あいにくコロナ下でのリリースとなったため、ファンにとってはベッドルームがコンサート会場のフロアになった。7人組の7作目のミニアルバム『BE』(2020)の7曲目を飾るこのトラックは(こうした数字のディテールは重要)、私たちがもっとも孤立感を抱いていた時期にもたらされた愛と絆の告白だ。『BE』のグローバル記者会見の際、JUNG KOOKは「Stay」というタイトルに込められた意味を「いまは離れ離れですが、僕たちはどんな時も一緒だということです」と解説した。—N.M.

62
「My Universe」BTS x Coldplay (2021年)


最高の方法でコールドプレイをプレッシャーから解放したBTSとのコラボ曲「My Universe」。この曲は、全米チャートで初登場1位に輝いた。BTSにとっては、初登場1位を獲得した通算6曲目だ。素晴らしいコラボレーションの多くがそうであるように、「My Universe」誕生のきっかけは、BTSの公式YouTubeチャンネルのオリジナルコンテンツ『RELEASED』での共演だった。動画のなかでコールドプレイのクリス・マーティンは、BTSの#PermissionToDanceチャレンジに挑戦した。コールドプレイとBTSが奏でるサウンドとは、いったいどんなものだろう? BTSによる「Fix You」のカバー(2021年の『MTV Unplugged』をチェック)のポップ・ディスコ風のアレンジと最高にクールなボーカルのブレイクダウンを想像してほしい。29名のコラボレーターのなかでも、共同プロデューサーを務めたもうひとりのマーティンことマックス・マーティンにとびきり大きな拍手を送りたい。—C.A.

61
「Telepathy」(2020年)


『BE』(2020年)の序盤のトラックがパンデミックの恐怖や孤立を歌う一方、リスナーを別世界に誘う80年代のポップ・ファンク風の「Telepathy」は、アウトドア用のラウンジチェアでゆったりとくつろぐブルーノ・マーズを彷彿とさせる。もともとはSUGAが作曲し、RMとJ-HOPEによって若干手が加えられたARMYのための命綱のようなこの曲の特徴は、ベースラインのループ、華やかなカウベル、遊び心あふれるオートチューン加工されたボーカルにある。SUGAとJ-HOPEのパートはラップというよりも歌のようで、JUNG KOOKとVの弾んだボーカルはラップのようだ。JUNG KOOKとVがシンプルに言っているように、”たとえ君のそばにいなくても/僕らが一緒だってことは君もわかってる”。—C.A.


60
「Dionysus」(2019年)


過剰主義のマニフェストであると同時にダンサブルなラップ/ロックトラック「Dionysus」は、貪欲なファンのために音楽をつくり続けるという行為の陶酔的でありながらも刹那的なカタルシスを歌っている。BTSにとってアーティストは神聖な存在であり、その役割は人々を恍惚とさせることにある。その一方、芸術はポップス界のエリートである彼らの肉という捧げ物を求める。ギリシャ神話の豊穣と酒の神ディオニソスさながらの過剰主義者の誓いを立てた彼らは、永久に音楽をつくり、パフォーマンスを続けなければならない。「Dionysus」では、こうした対立はアリーナ級のチャントやフック、ギタープレイ、EDMサウンド、巧みな知的ワードプレイによってドラマチックに演出されている。”飲み干せ、創造の痛み”とJ-HOPEが盃を上げるように。—C.A.

59
「Boy With Luv (Feat. Halsey)」(2019年)

エネルギッシュで多幸感にあふれ、どこまでもロマンチックな「Boy With Luv」は、『MAP OF THE SOUL』シリーズの幕開けを告げる爽快なプロローグとしての役割を果たした。アメリカの人気ポップシンガー・ホールジーをゲストに迎えたこのシングルは、世界的なスーパースターたちが屈託のない色恋について歌うかたわら、雰囲気のあるファンキーでポップなムードを届けてくれる。その一方、心の痛みを歌った2014年の「Boy In Luv」からの成長を裏打ちしている。—D.D.

58
「134340」(2018年)


BTSきっての異色作であると同時に、もっとも創意工夫に富んだ「134340」。80年代後半にタイムスリップしたかのようなヒップホップビートとともに幕を開けると、ジャズギターとフルートの優美な調べがJUNG KOOKのヴァースを取り囲む。JUNG KOOKは、情緒あふれる歌声で太陽系の惑星から脱落した冥王星(現在、冥王星には134340という小惑星番号が振られている)の悲しみを歌う。そこに”堕ちた惑星の命にいったい何の意味が残っているんだろう?”や”僕の冷たい心は248度”など、冥王星に扮したRMの誠実なラップが差し込まれる。冥王星の自負心は、まったく揺るがない。荘厳なプレコーラスも秀逸だ。—C.A.

57
「BTS Cypher 4」(2016年)


BTSのラップラインの歴代パフォーマンスのなかでも傑出している「BTS Cypher 4」は、3人のラッパーが繰り出すヒリヒリするようなCypherシリーズのエピローグだ。RM、SUGA、J-HOPEが各自のヴァースをこなす一方、フロウやボーカルを駆使しながら個人としてのスキルを披露している。これらはすべて、目眩くトラップというシンプルな基礎によって結びついている。ラッパーたちがしかるべき成功を享受し、自己愛の旅を称え、注目してくれたことに対してアンチに感謝を述べる「BTS Cypher 4」からは、Cypherシリーズ屈指の落ち着きが感じられる。結局のところ、彼らは”ノーコメントよりもアンチのコメントを歓迎”するのだ。—R.C.

56
「Love Maze」(2018年)


どんな困難にも屈しない相思相愛に捧げられた、グループボーカルの珠玉のパフォーマンスが光る「Love Maze」。この曲でJIMINは、ファルセットや”My ay ay”の調べとともにリスナーの心を自由自在に操りながら、見事なまでに無防備なトーンを表現している。そこにJUNG KOOKの洗練された大人な歌声が重なり、その静かなフロウに私たちは思わず息を呑む。RMは、恋愛の初期段階の焦りを再現するようにダブルタイムラップを放つ。ほかの4人の声も忘れてはいけない。「Love Maze」に世界中がひれふしたのも無理はない。—C.A.


55
「Airplane Pt.2」(2018年)


BTSとラテンポップの戯れは、スタイリッシュでありながらもセクシーだ。「Airplane Pt.2」で彼らは、エアリーな高音と情熱的な低音を楽しげに行き来する。J-HOPEのソロミックステープに収録されている「Airplane」の続編であるこの曲は、有名ミュージシャンになることを夢見る男の物語と、ある時は陶酔的で、またある時は忙しく世界を股にかける男の疲れ切った感情を描いている(自伝的な)楽曲だ。歌詞に出てくる「エル・マリアッチ」は、彼らのように世界を飛び回るメキシコの楽団を指す。—N.M.

54
「Dream Glow (Feat. Charli XCX)」(2019年)


レコーディングクルーが「Glow」に取り掛かる直前、チャーリーXCXはBTSと束の間の逢瀬を楽しんだ。この曲は、2016年にチャーリーXCXの3rdアルバムとなるはずだった『XCX World』(プロデューサーは、ヒットを連発しているノルウェーのプロデューサーユニット・スターゲイト)のために書かれたティザー的なデモ音源だが、このアルバムが発表されることはなかった。JIMIN、JUNG KOOOK、JINの透明感あふれる甘く爽快なハーモニーが美しい楽曲として再解釈された「Dream Glow」は、モバイルゲーム『BTS WORLD』のサウンドトラックに収録されている。—C.A.

53
「Go Go」(2017年)


表面上は、”Yolo-yolo-yo”のチャントで盛り上がるパーティー向けの陽気なトリップ・ホップ風の曲に聴こえるかもしれない。だが、実際の歌詞は、物質主義に対する鋭い批判と次のハイ状態を求めつづけることの虚しさを歌っている。「いまの世代の人たちは、YOLO(訳注:「人生は一度きり」を意味するYou Only Live Onceの略)的なフレーズを使って、お金を浪費することで楽しんでいますが、実際そうした言葉を多用している時でさえ、その理由について考える人はあまりいないと思います」と、2017年の記者会見でSUGAはこの風刺的な曲について語った。「社会批判を題材にした曲のないアルバムは、BTSのアルバムとは言えないでしょう」—N.M.

52
「Epiphany」(2018年)

新たなアルバムシリーズのリリースの幕開けとして、各メンバーがソロ曲とそれに伴うMVを発表した。そのなかでも、自分を受け入れることの大切さを歌ったJINの感動的なパワーバラード「Epiphany」は、BTS界に衝撃をもたらした。「Epiphany」は、Z世代が放つフィル・コリンズの「Against All Odds (Take a Look at Me Now)」のサウンドの最終形態なのだ。ここで噴水の演出が入れば最高なのだが。—C.A.

51
「Tomorrow」(2014年)


2014年にリリースされたBTSの2nd EP『Skool Luv Affair』の収録曲「Tomorrow」は、BTSの中核を担うメッセージを発信している。そのメッセージとは、希望を失わなければ、もっといい未来が訪れるチャンスがある、というものだ。失業、燃え尽き症候群、家庭崩壊など、この曲はさまざまな困難について歌っているが、永遠に暗闇が続くわけではないとリスナーを励ましている。”明日になれば、また明るい光が輝くから心配しないで/これはストップじゃない、君が休むための一時停止/親指でプレイを押すんだ、みんなに見えるように”。ずっしりと響くベースパーカッションと歪んだシンセサイザーのサウンドが、彼らの言葉を受け止めるための土台を築いてくれる。—R.C.


50
「Jamais Vu」(2019年)


フランス語で既視感を意味する「デジャヴュ」は聞いたことがあるかもしれない。だが、JIN、J-HOPE、JUNG KOOKがここで歌っているのは、「ジャメヴュ」という聞きなれない心理現象だ。「未視感」と訳されるこの状況は、何度も経験していることを前に、それが初めてであるかのように感じられることを意味する。この曲は、表面上は美しい子守唄のように展開する。だが、ボーカリストたちが繰り返し同じ痛みを経験しながら救済を求めることの辛さを歌う一方、その背後にはBTSのもっとも暗い時代が潜んでいる。—N.M.

49
「So What」(2018年)


直球の鉄壁EDMに「心配事なんて忘れて、ペンライトを上げて!」と言いたくなるような爽快な激励ラップが加わった「So What」。仲間とシンクロしながら両手を上げて音に合わせて振ったり、飛び跳ねてはしゃぎまわったりするのにぴったりな爽快感あふれる、インタールードに事欠かない曲だ。ラッパー、ロブ・ベースの「It Takes Two」のフロウ全開で放たれるRMの”まだ死にたくなんかない”というラップパートは、BTSのグレーテストモーメント トップ10入り必須。—C.A.
 
48
「My Time」(2020年)


BTS最年少のJUNG KOOKは、メンバーに育てられたと言っても過言ではない。15歳の美少年ラッパーとしてキャリアを歩みはじめた彼は、自信に満ちたタトゥー好きのボーカリストへと成長し、スタジアムで圧巻のパフォーマンスを披露するまでになった。「My Time」でJUNG KOOKは、透明感あふれるポップなボーカルをR&Bの領域まで高め、スポットライトを浴びながら、まるで異なるタイムゾーンをまたぐかのように、急いで大人にならなければならなかったことを回想する。”どんな時も、僕の人生は映画のようだった”と、JUNG KOOKは感慨深そうに歌う。JUNG KOOKが言うように人生が映画だとしても、エンドロールはまだ先のことだろう—N.M.

47
「Sea」(2017年)


砂浜に優しく打ち寄せる波の音とともに始まる「Sea」。当初は「希望のあるところには必ず試練がある」(村上春樹の小説『1Q84』からの引用)というタイトルで呼ばれていたエモーショナルなこの曲は、『LOVE YOURSELF 承 Her』(2017年)の隠しトラックだ。「Sea」は、BTSがスターダムへと駆け上がる際に直面した内なる葛藤や困難を歌っている。「『彼らはナンバー1で、いろんなものを持っている。それなのに、どうして不安なのか?』と世間はいつもこんなことを言います。もし、あなたがARMYのひとりで、2013年から2014年にかけて僕らと同じ時間を過ごしていたら、わかってくれるでしょう」と、RMはこの曲について米ビルボードに語った。「もっと特別で、僕らの心の近い場所にあるような楽曲です」—N.M.

46
「Dynamite」(2020年)


「Dynamite」の共作者兼プロデューサーを務めたロンドン出身のデヴィッド・スチュワートは、この曲を「K-POP曲」と呼ぶことを拒んだ。なぜなら、BTS初の全編英語詞曲「Dynamite」は、アメリカン・ドリームを追い求めた彼らの約10年間の道のりの集大成だから。パンデミックの陰鬱なムードに挑んだ「Dynamite」は、瞬く間にビルボードのシングルチャート・HOT100の頂点に輝き、センセーションを巻き起こした。若き天才JUNG KOOKは、弾けんばかりのポップな歌声で私たちを虜にし、アメリカらしいキーワード(レブロンやキングコングなど)をRM、J-HOPE、JIMINにバトンタッチする。すると彼らは、シンセベースと陽気なディスコ風のハンドクラップつきのコーラスの上をするりと滑るようにクールに続ける。だが、それだけではない。アップタウン・ファンクらしい管楽器やギターのサウンドに導かれながら、V、SUGA、JINは美しい隊列を組んで虹と虹の間を飛行するブルーエンジェルス(訳注:米海軍所属のアクロバット飛行隊)のような清々しい正確さで曲全体に浮遊感を与える。パンデミックのことなんて、きれいさっぱり忘れさせてくれる。—C.A.


45
「Danger」(2014年)


たしかに、「Danger」はティーンエイジャーの怒りの縮図とも言うべき曲だが、そのキャッチーさは卓越している。ギターロックを取り入れたヒップホップと、無関心な愛に対する絶望的な苛立ちが描かれる一方、後にBTS聖典に加えられるパンチの効いた鮮やかなコレオグラフィーが特徴的だ。—N.M.

44
「No More Dream」(2013年)


BTSのデビューシングル「No More Dream」のMVは、7人のスキル——驚異的な正確さを備えたコレオグラフィーとボーカルや、失望した若者たちを鼓舞する歌詞、グループとしての圧倒的なダイナミクスなど——を世界中の人々に垣間見せた最初の作品だ。だが、世間の反応はイマイチだった。アイドルと呼ぶにはあまりにヒップホップの要素が強く、BIGBANG(ビッグバン)風のギャングスタ的な態度も歓迎されなかった。たしかに、MVの彼らの外見は、高級ストリートウェアブランドの倉庫を襲撃しそうな、おしゃれ不良少年といったところだが、こうしたアンチコメントはいまとなっては逆に斬新だ。—C.A.

43
「Not Today」(2017年)


ディストーションが効いた、半ば威嚇のようなネオ・ホラーコアトラック「Not Today」は、メンバーの叫びとともに宣戦布告へと姿を変える。弱者たちに戦闘準備を呼びかける歌詞(”銃! 照準! 発射!”)とダルマエナガをモチーフにしたメッセージ(”Hey 構わずやれ hands up”)が、管楽器のサウンドとアクション映画のファンファーレとともに響きわたる。韓国中部の忠清道の採掘場がロケ地のひとつになった、忍者を想起させる圧巻のコレオグラフィーをフィーチャーしたMVが有名。—C.A.

42
「DNA」(2017年)


パーティやバカンスにうってつけの定番EDMトラック「DNA」。鮮やかなダブステップが添えられたこの曲を聴くと、すべての出会いが永遠に続くかのように思えてしまう。だが、そこまでの道のりが実に巧みだ。本物の口笛の美しい音色で聴く人を魅了したかと思うや否や、パーカッシヴなアコースティックギターが響いてボーカルのオンパレードとなる。その後、RMとSUGAが終わりのない恋愛ゲームを盛り上げる一方、スポットライトを浴びたJIMIN、V、JUNG KOOK、JINが完璧なハーモニーを奏でるパワフルなフレーズにのせて、甘いフレーズと素早いヴァースを交わし合う。—C.A.

41
「Mikrokosmos」(2019年)


私たちをいつでも学びの場に連れ戻してくれることに関して、BTSの右に出る者はいない。「Mikrokosmos」では、ギリシャ哲学がテーマになっている。きらびやかなこの曲は、「ミクロコスモス(小宇宙)」というコンセプト——人間は宇宙の一部であると同時に、自らも宇宙の一部を持っているというコンセプト——にもとづいている。これだけでも美しいメタファーだが、無数のペンライトの光に満たされたスタジアムで7人がこの曲を披露した時の美しさは圧巻だ。”ひとりのなかにひとつの歴史がある/ひとりのなかにひとつの星がある/70億の光に輝く、70億の世界”。—N.M.


40
「IDOL」(2018年)


”僕らは自分たちが何者であるかをわかっているし、僕らは愛されている、だからバイバイ”という歌詞を見る限り、「IDOL」はアンチに向けられた、皮肉とは無縁の直球メッセージだ。ひょっとしたら、欧米化しすぎているという批判への対応策として、BTSのクリエイティブチーム(音楽、動画、コレオグラフィー)はインドのボリウッドやバングラ(訳注:インドのパンジャブ地方の伝統音楽)文化からヒントを得て、現代のダンススタイル(南アフリカのゴムとグワラ、レゲトンなど)と韓国の伝統的な要素(サムノルリという伝統的な打楽器、パンソリという口承文芸、ガクグングという弓の競技で使われる角笛、韓服、韓屋、そしてたくさんの虎)を融合したのかもしれない。こうして目眩く祝祭のようなファンタジアが誕生した。—C.A.

39
「Whalien 52」(2015年)


BTSのディスコグラフィーを彩る内省的な曲の多くがそうであるように、「Whalien 52」にも誠実なシンボリズムがたくさん盛りこまれている。この曲でメンバーは、「52ヘルツのクジラ」のメタファーを使って孤独との戦いを語る。52ヘルツという、ほかのクジラには聞き取ることができない高い周波数で呼びかけるこのクジラは、世界でもっとも孤独なクジラとして知られている。「Whalien 52」でBTSは、誰ともつながれないことや、スターダムとそれにともなう不安などを歌う。クジラのたとえは、BTSのイコノグラフィーにおいても重要で、直近の例として、クジラは「We are Bulletproof: the Eternal」(2020年)のアニメーションMVにも登場する。だが、MVのクジラ(BTSの象徴)は、もう孤独ではない——ARMYという仲間のおかげで強さを見出したのだから。—D.D.

38
「We are Bulletproof: the Eternal」(2020年)


「We are Bulletproof」シリーズを締めくくる「We are Bulletproof: the Eternal」は、タイトルに込められた「僕らは防弾」という壮大な約束がテーマの曲。高揚感あふれるEDMサウンドにのせて、メンバーの声は神々しい響きを帯びながら、壮大なグローバルファンダムのインスピレーションあふれる力について語る。”僕らは永遠に防弾”と、メンバーはコーラスで歌う。”僕らは楽園にたどり着いた/僕らには君がいる/僕らは7人じゃない、君も仲間”。—N.M.

37
「ON」(2020年)


バロック様式の大聖堂とスーパーボウルのハーフタイムショーを掛け合わせたような「ON」。10名の共作者、ゴスペルコーラス、「Kinetic Manifesto Film」と銘打った壮大なMV、マーチングバンドなどなど、このトラックには無数のハイライトがある。そのなかでも見逃してはいけない2点をあげよう。まずは、2回目のコーラス後にチャーチオルガンの音色だけが響き、JUNG KOOKの美しいファルセットが天に昇って天体の配置を変えてしまうところは圧巻。もうひとつは、その後にマーチングバンドのトラップビートに合わせて繰り広げられるダンス。観る人をあっと言わせる衝撃作だ。—C.A.

36
「Hold Me Tight」(2015年)


ピアノの静かな調べがR&Bのビートに取って代わると、”グラスを空けると君への想いが募る”とRMがラップする。失われていく愛をつなぎ止めるには、嘆願しながら失われたものを取り戻す淡い期待を抱きつづけるしかない。このバラードは、クレジットにVの名前が刻まれた最初のトラックであると同時に、さらに内省的で多様な側面をもつBTSの楽曲の序章でもある。—N.M.


35
「Intro: Singularity」(2018年)


『LOVE YOURSELF 轉 Tear』(2018年)のオープニングを飾るVの官能的なソロ曲「Intro: Singularity」は、豊かなバリトーンや私たちを虜にする静謐さをたたえたエキセントリシティといったVの強みを通じて彼の才能を余すところなく披露する。ネオソウル風のこの曲は、魅惑的であると同時にミステリアスで、歌い手は自らの感情を隠すためにつけている仮面について考察する。”一時の夢のなかでさえ、僕を苛む幻覚はいつも同じ”と歌うV。”僕は自分を見失ったのか? それとも君を手に入れたのか?”いつもは自らの感情をさらけ出すVも、ここでは胸の内を明かさない。この曲には、もっと強くなった未来の自分への期待が込められている。—N.M.

34
「Butter」(2021年)


2021年5月、甘塩っぱいタイトルと同じくらい滑らかで、耳に残る夏らしいメロディーが特徴的な「Butter」でBTSは世の中が必要としていた祝祭ムードに火をつけた。真似したくなる軽快なステップと歌詞に込められたアッシャーやマイケル・ジャクソンへのオマージュとともに、全編英語詞曲2作目の「Butter」は、コロナ規制の緩和とともに希望を抱きはじめた世界中の人のサウンドトラックとなった。グラミー賞にノミネートされたこのダンストラックが多彩なリミックスでリリースされたこと(Hotter Remix、Cooler Remix、ミーガン・ジースタリオンをゲストボーカルに迎えたものなど)に加えて、あらゆるチャートで1位を獲得したことは、「Butter」の人気を一気に加速させた(一年近く経ったいまも、ビルボードのHot Trending Songsのトップに君臨している)。”コツをつかんだら、さっそく始めよう”という歌詞がぴったりだ—A.L.

33
「House Of Cards (Full Length Edition)」(2016年)


BTSのボーカルラインの「House Of Cards」パフォーマンスをとらえたファン動画がYouTubeで1300万回以上再生されていることには理由がある。「House Of Cards」は、BTSのディスコグラフィー屈指のセンシュアルな曲であり、映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のサウンドトラックさながらのオーケストレーションに合わせて官能的なドラマが繰り広げられる。JIN、JUNG KOOK、JIMIN、そしてVが崩壊寸前の悲しい関係について歌う姿から目を離すことはほぼ不可能だ。—N.M.

32
「Lie」(2016年)


『WINGS』(2016)の収録曲「Lie」は、緊張感にあふれていると同時にダークなJIMINのソロ曲だ。自己欺瞞と不安定さに溺れることを歌うJIMINの声は、いつもの甘い高音テノールを離れて、一度聴いたら忘れられない叫びやトリル、慟哭を繰り広げる。この曲を表現するためにJIMINが用いるモダンなコレオグラフィーにも、どこか自暴自棄なところがある。いちばん怖い魔物が潜んでいるのはベッドの下ではなく、心の中であることを教えてくれる。—N.M.

31
「Trivia 轉: Seesaw」(2018年)


SUGAのトレードマークである激しいヴァースとハードなヒップホップビートを期待していた人は、『LOVE YOURSELF 結 Answer』(2018年)の過程で起きた彼の変化にいい意味で驚かされたことだろう。いつも私たちの期待を裏切ってくれるSUGAは、軽快で遊び心あふれる「Trivia 轉: Seesaw」で、追いつ追われつを繰り返す「シーソーゲーム」にとらわれた関係を歌っている。マインドゲームは時とともに古くなる。だが、ファンがSUGAの傷つきやすい側面を見飽きることは決してないだろう。—N.M.


30
「Outro: Wings」(2017年)


『WINGS』(2016年)のクロージングを飾る「Interlude: Wings」の完成形である「Outro: Wings」は、BTSのキャリアの重大な転換期として幅広く認識されている。壮大なEDMビートにのせてメンバーが口にする”広げるんだ、僕の翼を”という言葉は、その数年後、世界中のアリーナやスタジアムに響きわたった。約束に満ちたこの曲は、誰よりも高い場所を飛ぼうと、当時からすでに空の高みを目指していたBTSからのメッセージだ。—N.M.

29
「Intro: Persona」(2019年)


2014年リリースのミニアルバム『Skool Luv Affair』のオープニング曲「Intro: Skool Luv Affair」(サンプリングにダスト・ブラザーズを再解釈したようなビートを使用)でラップモンスターことRMは、J-HOPEとSUGAに”お前はいつも前向きに生きてきたのか? これはバンタンスタイルなんかじゃない(中略)ヒップホップこそがバンタンスタイルだ”と助言した。アイドルにとって5年は果てしなく長い歳月かもしれないが、2019年のRMはラップのマスタービルダーとして成長を遂げていた。それでも無慈悲なまでに内省的なBTSきってのヒップホップ曲「Intro: Persona」では、彼のアイデンティティは終始崩壊寸前だ。—C.A.

28
「FAKE LOVE」(2018年)


いたるところに散りばめられたロックギターをはじめ、曲の魅力をさらに引き立てる目眩くシンセサイザーのサウンドとともに繰り出される『LOVE YOURSELF 轉 Tear』(2018年)のリード曲「FAKE LOVE」でBTSは、その魅力を世に知らしめた。砕け散るガラス、唸りをあげる風、あふれる水、揺らめく炎、そしてお馴染みの華やかなコレオグラフィーなど、「FAKE LOVE」のMVは、見てくれといわんばかりの色彩の大洪水の連続だ。偽りの愛というテーマは、ここでは枠組みにすぎない。この曲の本当の主役は、ドラムのトラップビート、独特の効果音、決定的なフックなのだ。リズミカルな4つの音節で歌われるタイトルは、幾重ものハーモニーの効果を加速させる。さらにBTSは、「FAKE LOVE」でK-POPグループとして初めてビルボードのトップ10入りを果たした。—C.A.

27
「Louder than bombs」(2020年)


クィアなポップアイコン、トロイ・シヴァンとの共作である野心的なバラード「Louder than bombs」は、錯綜する無防備な感情が響く空間を構築しながら、奥行きのあるベース、ドリームポップ的な雰囲気、高揚感あふれるタイトなハーモニーによってリスナーを別世界へと誘う。ラッパーたちによる弱さの告白と苦悩に満ちた抵抗が反響するなか(SUGAは、こうした苦しみに対して怒りをむき出しにする)、失恋、孤立、自己主張などの曲中で語られるライフステージはどれも同じ急展開を迎える。誰もが直面する絶望の波を受け入れつつも、最後のコーラスでは戦い、永遠に歌いつづけることを誓う。—C.A.

26
「EPILOGUE: Young Forever」(2016年)


『花様年華 Young Forever』(2016年)から先行リリースされたアンセムソング風の「EPILOGUE: Young Forever」がBTSの精神を体現している理由は無数にある。この曲は、青春と絆を称える祝祭であると同時に、グループとファンの絆を象徴する正真正銘の「ファンソング」第1作なのだ。さらには、RMがプロデューサーとして初めてクレジットされた曲でもある。ハードなラップから豊かなボーカルへと展開する「EPILOGUE: Young Forever」では、哀愁を帯びていながらも勝利に満ちたBTSの姿が描かれている。”永遠のオーディエンスなんていなくても、僕は歌う”とJ-HOPEは誇らしげに歌う。”僕は永遠にいまの僕であり続けたい——僕はいつまでも少年でいたい”。—N.M.


25
「Serendipity (Full Length Edition)」(2018年)


もっとも繊細な低音ボイスが歌う、もっとも繊細なラブソング。この世のものとは思えない幽玄な「Serendipity」には、”ただ僕に君を愛させて”というひとつの願いだけが込められている。この曲でJIMINは、宇宙の広大さと嬉しい偶然の美しさに驚嘆する。さらには、”君は僕を救ってくれたペニシリン”や”僕は君に会いにきた三毛猫”といった魅惑的なメタファーを駆使しながら、自らの感情を紐解いてゆく。未来は不確かなことであふれているけれど、確かに私たちはここにいる——そんなことを教えてくれる曲だ。—N.M.

24
「Butterfly」(2015年)


深く息を吸いこむと、JUNG KOOKは囁くように”何もせずにいまは、言葉もいらないから/笑顔見せてよ”と歌う。控えめなギターの音色が優しく波打つ海のようにメロディーを包むなか、ボーカリストたちは蝶のように脆く繊細な存在を失うことの恐怖を歌う。蝶がカラフルな羽を広げて飛び立つように、オーケストラの演奏にのせてコーラスがあふれ出す瞬間、「Butterfly」の真の美しさが明らかになる。—N.M.

23
「Euphoria」(2018年)


きらびやかなシンセサイザーと無重力のように軽いパーカッションが、間近に迫った幸福なドーパミンの大量放出を予感させるJUNG KOOKのソロ曲「Euphoria」。あらゆるデジタルフィルターやイコライジングによって、何かを切望するようなJUNG KOOKの情感のこもった声——大人でも子どもでもない、無限の可能性を秘めた声——がむきだしになっている。予想外であると同時にきわめてリアルな「Euphoria」は、メンバーのソロ曲のなかでももっとも人気の曲。—C.A.
 
22
「BTS Cypher Pt.2: Triptych」(2014年)


RM、SUGA、J-HOPEによるCypherシリーズ2作目。「BTS Cypher Pt.2: Triptych」で3人のラッパーは、激しくも痛快な方法で彼らの名声を傷つけることに常に躍起なヒップホップコミュニティの批判に立ち向かう。”俺たちは7匹の狼、喝采という羊を導く”と悪戯っぽくラップするJ-HOPEのアイコニックなオープニングがヒップホップらしい雰囲気を醸し出す一方、突如としてビートは高速ギアに入り、素早いラップが繰り出される。”プライドやおかしな信念に盲目的に従う先輩ども、奴らは俺のエイトバーに面食らう”とRMはラップする。”頑固で説教好きの、肩凝りもちの古株ラッパーを見ろ/お前らがアンダーグラウンドでプレイする時、BTSは地上でプレイする”とSUGAが言い放つ。—N.M.

21
「MIC Drop」(2017年)


『エレンの部屋』、『ジミー・キンメル・ライブ!』、『ジェームズ・コーデンショー』、『サタデー・ナイト・ライブ』といった米人気トーク番組や音楽祭・ジングルボールをはじめ、「MIC Drop」が数多くの場面で披露されてきたことには理由がある。もともとは『LOVE YOURSELF 承 Her』(2017年)の収録曲としてリリースされたこの曲は、世界的DJのスティーヴ・アオキによってリミックスされた。RMとJ-HOPEの共作の歌詞は、BTSの実力を疑った人々向けられたメッセージであり、類を見ない世界的な成功に言及している。「MIC Drop」は、コンサートでは圧巻のダンスブレイクとともに披露される。そのなかでも、メンバーがオーダーメイドのディオールのスーツで踊るバージョンは秀逸だ。—K.K.


20
「Pied Piper」(2017年)


BTSのディスコグラフィーのなかでももっとも大胆でコンセプチュアルな動きを描いた「Pied Piper」は、懺悔から自責、さらにはポップスならではの華麗な誘惑のルーティーンの発動へとシフトする(”僕は君の後ろめたい喜び/絶対に君は逃れられない”)。この曲の歌詞は、不健全なまでにBTSに執着するファンに向けられた叱責という、思いもよらないメッセージを隠そうともしない。同じメロディーを繰り返しては(BTSの常套手段)、過剰なまでのコーラス的なエフェクトを叶えるためにボーカルトラックを重ねる手法は、「Pied Piper」の中毒性を強化している。まずはJUNG KOOKが、続いてJINが”君を救いにきた/君をダメにしにきた”と歌うパートは、パワフルでありながらも不穏なポップスターの現実を表している。—C.A.

19
「Boy In Luv」(2014年)


「Boy In Luv」の魅力は、BTSの怒りの慎み深さにある。”まったく変わらないプロフィール写真を、どうして僕はしきりにチェックするんだ?”とJ-HOPEはラップする。そこに同曲のMVで繰り広げられるメロドラマ風の演技と開放的なロックのリフレインを合わせれば、科学の授業中にスニーカーに落書きをしていた中学生時代にあなたをタイムトリップさせる、青春時代の恋の一大サーガの完成だ。—N.M.

18
「Magic Shop」(2018年)


ARMYのためにつくられた特別なトラック「Magic Shop」。懺悔と告白が織りなすこの曲は、ジェームズ・ドゥティの著書『スタンフォードの脳外科医が教わった人生の扉を開く最強のマジック』(2016年)からインスパイアされている。JUNG KOOKがプロデュースした「Magic Shop」は、メンバーのヴァースごとに巧みにムードを変え、共感を誘う呪文のようなフルコーラスに向かってゆっくりと盛り上がっては、リスナーを陶然とさせる。—C.A.

17
「2!3!」(2016年)


何よりもまず、「2!3!」はひとつの約束である。『WINGS』(2016年)の外伝として位置づけられる『YOU NEVER WALK ALONE』(2016年)に収録されているこのメロウな曲でメンバーは、たとえどんな困難に直面しても、BTSに慰めを見出し、ともに明るい未来を思い描くことができると力説する。大切なのは、目を閉じて「1、2、3」と数え、辛い過去を忘れること。”花咲く道だけを一緒に歩こう”とRMは歌う。—N.M.

16
「UGH!」(2020年)


「UGH!」でBTSのラップラインは、過去にラップしたもっともアグレッシヴなビートのさらに上をいった(プロデューサーのPdoggに拍手)。この曲は、米ヒップホップグループ、スリー・6・マフィアの「Tear Da Club Up」、あるいはクライム・モブの「Knuck If You Buck」のアンサーソングだ。荒々しくて攻撃的で発作的なコーラスに身を任せるうちに——タイトルの「UGH」の発音は、韓国語で突発的な怒りを表す言葉と似ている——SUGA、RM、J-HOPEはインターネットにおける怒りの役割をさらに掘り下げる。—C.A.


15
「Just One Day」(2014年)


「No More Dream」、「We are bulletproof PT2.」、「N.O」といったハードなヒップホップトラックを3曲リリースすると、BTSはボーカルラインの甘さを際立たせるソフトで優しいR&Bトラックで速度を緩めた。「Just One Day」でBTSは、愛する人と過ごす最高の一日を夢想する。”咲いて散る、まるで朝顔のStory”とRMが力説する。完全にオフの日がない忙しい人にとってはほろ苦い白昼夢だが、そこに没頭して我を忘れることには一種の美しさがある。—N.M.

14
「Paradise」(2018年)


表面上は2000年代の優美なR&Bだが、そこに控えめでありながらも強力なメッセージが込められた「Paradise」。この曲は、2018年の新年のメッセージ動画に登場したSUGAの言葉に由来する。ファンたちの願いが叶うことを祈ると、SUGAは「夢をもっていなくても大丈夫」と言い添えた。きわめてBTSらしい自己肯定的な感情が注がれた結果、JIMINによる渾身の甘い歌声が美しい、一度聴いたら忘れられない感動的なコーラス(”夢がなくても大丈夫”の部分)に仕上がっている。—C.A.

13
「Dis-ease」(2020年)


パンデミックのピーク期にリリースされたBTSの5作目のアルバム『BE』(2020年)。このアルバムは、強烈なバーンアウトを連れてきた。収録曲「Dis-ease」は、ニューヨークのブルックリン出身のプロデューサー・デュオ、ブラストラックスのバウンシーでオールドスクールなヒップホップビートとBTSの巧みな言葉遊び(仕事を意味する韓国語の「일」は、病気という意味の英語「ill」の発音に似ている)を駆使して、誰もが感じていた重たい疲弊感に立ち向かった。だが、いよいよフラストレーションが頂点に達すると、陽気で騒がしいファイナルドロップという、本物のカタルシスで幕を閉じる。—N.M

12
「RUN」(2015年)


EDMポップ満載の「I NEED U」(韓国の音楽番組で初めて1位を獲得)に次ぐ形でリリースされた「RUN」は、ほろ苦さと激しい感情が入り混じった曲だ。スタイリッシュで都会的なジャズブルースのメロディーは、本物のソウルメイトとの出会いによる燃えるような痛みを語ったRMとSUGAの現実的なラップに取って代わる。そこにV、JUNG KOOK、JIMINが加わると、興奮していながらも受け入れようとする彼らの声(”運命に嫌われても”の部分)にのって曲は滑らかに進んでいく。その間、共感を誘うエネルギーが消えることはない。若くて恋に盲目になっている状態は、傷やあざだらけの足で走ることに似ている。倒れて叫ぶかもしれない。それは無謀で馬鹿げた幻想かもしれない。それでも、立ち止まらずに走りつづけなければいけない。—C.A.

11
「Boyz with Fun」(2015年)


2015年リリースの賑やかな「Boyz with Fun」で防弾少年団の面々は、楽しいことが大好きな「フンタン少年団」という、グルーヴィーでアップテンポな別のペルソナを私たちに見せてくれた。”さあ来たぜ、フンタン少年団”と、彼らはリズミカルなアカペラで叫ぶ。コール&レスポンス、機知に富むワードプレイ、半ば即興的なブリッジが散りばめられたファンキーなこの曲は、最高潮に盛り上がったパーティーのようだ。7人が自由奔放なヒップホップのルーツからより誠実なポップ・ミュージックへとシフトしていた時期にリリースされた「Boyz with Fun」は、BTSが自由な少年の心をいつまでも持ちつづけていることを私たちに思い出させてくれる。—N.M.


10
「DOPE」(2015年)


まるで映画のような世界観が見事な「DOPE」のMV。欧米のオーディエンスは、このMVを通じて初期のBTSを見出した。勤勉できちんとした身なりをした、クラブ通いとは無縁の若者に扮した最高にキュートで表現力に富んだBTSは、中毒性の強いPdoggの緊迫感あるサックスの音色(フロー・ライダーの「GDFR」とLookasがリミックスしたWarの「Low Rider」から影響を受けている)に合わせてAIのBボーイのように動く。「DOPE」のMVは、何回観ても最高だ。—C.A.

9
「I NEED U」(2015年)


優しくて遊び心に満ちた木管楽器のようなシンセサイザーのサウンドが繰り返されるなか、愛を歌うSUGAのラップは苛立ちから憎しみへと変わる。同時に、EDMのエネルギーの波も高まる。すると突然、”Everything/Everything”と嘆くVの声がまるで最後の言葉のように消えていく。スネアドラムのサウンドによってあらゆる世代がダブステップを踏んで踊りたくなるようなコーラスを放つ一方、JIMINとJUNG KOOKは”I need you girl”と、叙事詩のようにエモーショナルな嘆願を交わし合う。だが、「I NEED U」がこれほど強く響く理由は、この曲を機にBTSがブレイクし、BTSというサウンドを確立したから。そして韓国で大ヒットを記録し、私たちをバンタン・ユニバースに迎え入れてくれたからだ。—C.A.
 
8
「Blood Sweat & Tears」(2016年)


グローバルシーンでのBTSのブレイクは、きらびやかな爆弾のような「Blood Sweat & Tears」から始まった。この曲は誠実であると同時に挑発的だ。JIMIN、V、JUNG KOOKの滑らかでゴージャスなファルセットが特徴的な同曲のプロデューサーたちは、うずくようなレゲトンのビートとセクシーなシンセサイザーのサウンドにトロピカル・ハウスの爽やかな風を重ねた。シンセサイザーが繰り出すボーカルのフックは飛び跳ねるようなエネルギーにあふれていて、魅惑的なグロッケンシュピール、チャイム、流れるようなギター、ハンドクラップにはEDMを使ったチューニングなんて必要ない。おまけに、”peaches and cream”とラップするRMは、デッキチェアでくつろいでいるかのようだ。そしてJ-HOPEは、あなたをウィスキーのように飲み干そうとする。—C.A.

7
「Black Swan」(2020年)


SUGAが「DOPE」で”俺ら頭から爪先まで、超ヤベー/四六時中スキル磨いて、超ヤベー/遊んでいなくても、青春はなくても”と吐き捨てたように、2015年当時から、すでにBTSはポップスターとしての地位に付随する疎外感を表明していた。「Dionysus」では、こうした苦悩が大きくなる様子が描かれたのに対し、「Black Swan」でBTSはアーティストとしての情熱が失われることへの恐怖を歌った。物悲しいストリングスのサウンドとリズムマシンが刻むハンドクラップの奥深い音に囲まれた、オートチューンされた彼らの奇妙な叫びは、催眠薬のような高いクラウド・ラップにかき消される。同曲のMVでは、きらびやかな空白に捕らわれたかのように、テーラーメイドのブラックスーツに身を包んだ裸足の7人が身体を使ってあらゆるフォルムを描き出す。—C.A.

6
「Dimple」(2017年)


最初に耳を打つメロディがサイレンのように響きながらリスナーと戯れる。すると、”天使が犯したミスなのか? それとも深いキスの痕なのか? そのえくぼは罪”とボーカリストたちが加わる。「Dimple」のコーラスはJIMIN、V、JIN、そしてJUNG KOOKが歌っているのだから、この時点で罪(曲中ではillegalとille-girlを使った言葉遊びが展開される)なのだ。『LOVE YOURSELF 承 Her』(2017年)のB面ともいうべきこの曲をBTS以外の誰かが歌ったとしたら、甘ったるい口説き文句の連続にしか聞こえないだろう。だが、ボーイズグループらしさを全開にすることで歌詞に決定的な魅力を添えている。思わず笑顔になってしまう曲だ。—N.M.


5
「Silver Spoon」(2015年)


ボーカリストとラッパーというBTSのグループ構成は、上から目線の年季の入ったステレオタイプに対して中指を立てる「Silver Spoon」で見事に功を奏している。多種多様なライムを理解するにはウェブ翻訳と韓国社会に関する基礎知識が必要不可欠だが、JUNG KOOKが”バンバン”や”お前、冗談だろう!”と唱えた瞬間、エネルギー満載のトラップビートに平手打ちされたような気分になる。JUNG KOOKのこうした言葉が社会に対する反応であることは意外でも何でもない。管理職クラスは、「もっと努力しなさい」と恵まれない環境出身の子どもたちをあおり続けては、「経験」という形で支払われる消耗的な仕事で成功することを期待する。「Silver Spoon」の韓国語のタイトル「ベプセ」は、「小型の鳥類」または「ダルマエナガ」のことで、「身の程知らずは、痛い目にあう」という意味のことわざに由来する。ヒップホップであると同時にBTS世代のアンセムソングとも言うべき「Silver Spoon」は、心に強く響く。—C.A.

4
「Burning Up (FIRE)」(2016年)


”燃えてるな”というSUGAのフレーズとともに引火する「Burning Up (FIRE)」。それに続き、ハウス・ミュージックらしいスネアドラム、突き刺さるホルン、ワイルドで鋭く鳴り響くシンセサイザーのサウンドとともに魅惑的な”Fire”のグループチャントが繰り広げられる。だが、この曲のムードを決定づけているのは、J-HOPEとSUGAの大胆で嘲笑的なビースティ・ボーイズ風の精神だ(歌詞自体は、痛々しいフラストレーションを歌っている)。ラッパーたちのエネルギーは、華やかなダブステップのビートとバスドラムの重たい響きとともにエスカレートする。言語(韓国語と英語のミックス)は、「Burning Up (FIRE)」の内容を伝えるための障害にはならない。住んでいる国、経済的なバックグラウンド、抑圧された状況にかかわらず、若者たちにテンションを上げて、社会階層の制約、否定的なアンチ、自分自身を抑制するすべてに火をつけろと明白に呼びかけている。—C.A.

3
「Ddaeng」(2018年)


BTSの卓越したパフォーマンスはこれまで何度も賞賛を浴びてきたが、デビュー当時から彼らの一番の武器は言葉だった。韓国のヒップホップシーンでメンバーが頻繁に直面した批判に向けられたスタイリッシュなディストラック「Ddaeng」は、この事実を見事に証明している。2018年にグループ結成5周年を記念してSoundCloudでリリースされたこの曲は、韓国の伝統楽器の調べにのせてRM、SUGA、J-HOPEが「ddaeng」という言葉の6つの意味——主に「間違い」や「(お前は)終わった」など——を巧みに駆使している。”俺たちはダメにされてる、礼を言うぜ/いままで俺たちを無視してくれてありがとう/スタジアム、ドーム、ビルボードに感謝”とSUGAが言い放つ。痛烈であると同時に爽快な「Ddaeng」は、誰が間違っていたのかを決める最終決定権をBTSが手に入れたことを確信させる。—N.M.

2
「Save ME」(2016年)


すべての人を虜にすると同時に、すべての音楽オタクにBTSの完璧主義的なポップ・ミュージックの手腕を認めさせる「Save ME」(YouTubeであるプロデューサーは「IQ400レベルの天才的なプロダクション」と絶賛した)。JIMINの最初のヴァースだけをとっても「Save ME」は軽快で優しいドラマチックな展開をみせ、そこに息を呑むような4人の歌声が重なる。そして私たちは、ボーカリスト全員の豊かなニュアンスあふれるテクニック面での才能にただただ驚かされる。考え抜かれた風変わりなインストゥルメンテーション——チクタクというパーカッションや流れるようなマリンバのサウンド、漠然とした憧れを表現する、遠くから響くEDM調のスネア——は、下へ下へと落ちていくような感覚を生み出す。だからこそ、私たちは実際コーラスで救われる。ラッパーたちが放つ、賑やかで正確なフロウを聴けば、ミーゴス(訳注:クエイヴォ、オフセット、テイクオフの3人からなる米アトランタ出身のラップ・グループ)だって笑顔になるはず。—C.A.


1
「Spring Day」(2017年)


「Spring Day」の”会いたい”という歌詞のように、もっともシンプルなフレーズは、時折もっとも複雑な感情を表現することができる。このパワーバラードを歌うBTSは、終わらない冬に捕われながら、独白のような内省と感動的なメロディーが織りなす悲しみと募る想いにひたる。”まるで冬のようさ/どれだけ降れば春の日がくるのだろう”とRMがラップする。「Spring Day」の歌詞には、2014年のセウォル号沈没事故の犠牲者に対する想いが綴られていると言われているが、その永続的なメッセージには国、文化、言語を超越する普遍的な感情も込められている。”また朝は来るのさ/どんな夜も、どんな季節も/終わりは来るから”という終盤の歌詞にもあるように、BTSは私たちに希望の”つぼみ”を与えるために花々の咲く庭園をつくり上げたのだ。—N.M.

<INFORMATION>

『Rolling Stone India Collectors Edition: The Ultimate Guide to BTS 日本版』
※Rolling Stoneインド版のスタッフが編集した「BTSスペシャルブック」

from Rolling Stone US


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