BTSのJ-HOPE、初ソロアルバムの独創性とヒップホップへの敬意を紐解く
Rolling Stone Japan / 2022年7月19日 16時45分
BTSソロ活動のトップバッターを務めるJ-HOPEのソロアルバム『Jack in The Box』(7月15日リリース)は、世間の期待をはるかに超える仕上がりで人々を魅了する。米ローリングストーン誌のアルバム評をお届けしよう。
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6月14日、世界的人気を誇るK-POPボーイズグループ・BTSのメンバー7人は、今後はそれぞれのソロ活動に集中し、グループの礎を強化するための道としてソロプロジェクトを探求していくと発表した。「こうしたやり方のほうが、BTSはもっと強くなると思います」と、BTSが新章への突入を発表した際、グループのラッパー/ソングライター/ダンサーのJ-HOPEはコメントした。BTSの宣言から約1カ月がたったいま、J-HOPEはソロ活動のトップバッターとして10曲を収録したコンセプトアルバム『Jack in The Box』をリリースする。自身初のフル・ソロプロジェクトとなる本作では、アーティストとしての才能を発揮すると同時に、大好きなヒップホップへの敬意を表現した。
『Jack in The Box』は、きらめくチャイムの音やラジオのノイズをバックにしたナレーションとともに幕を開ける。機械のような声が語るのは、ギリシャ神話の”パンドラの箱”の物語。ここでは、パンドラという最初の人間の女性が「決して開けてはいけない」と言われた箱を開けてしまい、この世のあらゆる悪が飛び出したあとに残った”希望”(Hope)を見つける場面が語られる。希望は、「痛みや争いの最中においても人々に生き続ける意志を与える」とその声は語る。パンドラの箱の物語は、J-HOPEというアーティスト名のインスピレーション源でもある。「人々に生き続ける意志を与える」ことは、無理難題のように思えるかもしれない。だが、J-HOPEとBTSのメンバーたちが巨大なファンベースから得た反応を見る限り、J-HOPEは希望のシンボルとしてファンたちの期待に応えてきた。
だが『Jack in The Box』は、28歳のJ-HOPEがすべての望みを叶えたわけではないことを暗示する要素にあふれている。本作の1stシングル「MORE」は、J-HOPEの望みがBTSで実現したものよりもさらに大きいというメッセージが込められた、ダークなラップロック曲だ。”俺のアートを創るため、俺はクラッシュして落ちる/俺が立っている場所から、それでも動かそうとする”と、ドラムループが主体のサンプリングビートとファジーなベースに支えられながら、J-HOPEは韓国語でうめく。”Hah! Yeah, right! 俺はもっと多くを望んでいるんだ!”と叫ぶコーラスでは、ギターのサウンドが爆発する。本作の前半に収録されている「MORE」は、”箱の中”に閉じ込められ、外に出ようともがく主人公の時間を描いたトラックだ。だが、本作の後半でようやく箱の蓋が開くと、外の世界は思っていたものとはまったく違っている。本作は、ラッパーとしてのJ-HOPEのスキルが遺憾なく発揮された「Arson」が投げかける”俺が火を消すのか?/それとも、さらに激しく燃え上がらせるのか?”という問いで幕をおろす。
R&Bとヒップホップに対する敬意
本作は、こうした問いかけによって緊張感を保っている。それと同時に、90年代から2000年代にかけてアメリカのラジオを席巻したR&Bとヒップホップに対するJ-HOPEの敬意が込められていることも明らかだ。
内省に満ちた「What if...」がオール・ダーティー・バスタード「Shimmy Shimmy Ya」の印象的なピアノの旋律とともに展開する一方、ロボットファンク風のうねるようなベースラインが特徴的な「STOP」では、”Stop”と繰り返されるコーラスが憂いの感情を盛り上げる。ヒップホップ・ソウル風の「Safety Zone」は、慰めの探求がテーマだ。曲の終盤でJ-HOPEは、R&Bジャムにふさわしい、美しい歌声を披露している。
10曲を収録した約22分の『Jack in The Box』は、短いながらもパワフルなアルバムだ。本作には、J-HOPEの音楽的な好奇心だけでなく、メディアに注目されながらも完全な姿をとらえることができないJ-HOPEという人物の内側を映し出す、没入的な世界を創作するためのアーティストとしての忍耐強さが注ぎ込まれている。J-HOPEとBTSのメンバーがこれからどのような道をたどるかはわからないが、そこには予期せぬ発見に満ちていることを『Jack in The Box』は教えてくれる。
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From Rolling Stone US.
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