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J-HOPEが語るソロ作で伝えたいこと、ダークなペルソナ、BTSメンバーとの信頼関係

Rolling Stone Japan / 2022年7月20日 17時50分

J-HOPE(Courtesy of BIGHIT MUSIC)

7月15日に初のソロアルバム『Jack in The Box』をリリースしたBTSのJ-HOPEが、アルバム制作にあたってのメンバーのサポートや自身のダークな側面を披露することについて語った。

【画像を見る】J-HOPE、米ローリングストーン誌による撮り下ろし写真

RM、JIN、SUGA、J-HOPE、JIMIN、V、JUNG KOOKの7人は、2013年からBTSのメンバーとして活動している。休みなく走り続けた結果、BTSは世界最大のボーイズグループへと成長した。先月、BTSはグループとしての新章に突入することを宣言し、今後それぞれのメンバーがソロ活動に集中すると発表した。BTSのメンバーは、過去にもソロアーティストとしてミックステープやシングルをリリースしているが、フルアルバムを正式に発表した者はいなかった。J-HOPEの『Jack in The Box』は、BTSのメンバーが放つ初のフル・ソロアルバムだ。

まぶしい笑顔を絶やさないJ-HOPEは、BTSの7人のなかでも一番明るくてポジティブなメンバーのように見える。だが、J-HOPEの魅力は私たちの目に見えているものだけにとどまらない。BTSのリードダンサーとして活躍するJ-HOPEは、BTSのすべてのアルバムのクリエイティブプロセスにも携わる。そんな彼は、作品に自身の才能を丁寧に注ぎ込む一方、さまざまなことに果敢にチャレンジしている。



ニューアルバム『Jack in The Box』を通じてJ-HOPE(本名チョン・ホソク)は、自身の内面を掘り下げてよりダークなペルソナを私たちに見せる一方、人間としての多面性を表現している。ロック/ヒップホップ風の先行シングル「MORE」のアプローチは、オーディエンスだけでなく、メンバーのRMを驚かせたほどだ(”びっくり箱”を意味する本作のタイトルは、J-HOPEというステージネームのインスピレーション源であると同時に、ギリシャ神話の”パンドラの箱の物語”をモチーフにしている)。

ビデオ会議アプリを介して行われた米ローリングストーン誌のインタビューのなかで、28歳のJ-HOPEは韓国語で『Jack in The Box』の制作プロセスやタイトルに込められた意味、自身のアイデンティティにとっての意味を明かしてくれた。

初のソロアルバムで伝えたかったこと

ー世界中の人が『Jack in The Box』のリリースを楽しみに待っています。世界の期待を背負うのは、どんな気分ですか?

J-HOPE:不安が50%、興奮が50%といったところですね。BTSのメンバーとして最初にソロ活動を行うので、責任のようなものを感じています。もちろん、プレッシャーもあります。『Jack in The Box』には、僕が個人的にやってみたかったことだけが詰め込まれているんです。そのため、「自分のやりたいことに集中しすぎてしまったのでは?」と悩むくらい不安になりました(笑)。不安が50%と言った理由は、ここにあるのかもしれません。このアルバムは、僕にとって本当に意味のあるものです。誇らしい気分であると同時に、ようやくリリースを迎えられてワクワクしています。

ーBTSのメンバーは、過去にソロアーティストとしてミックステープやシングルを発表していますが、ソロでフルアルバムをリリースするのはJ-HOPEさんが初めてです。こうした決定の背景は?

J-HOPE:BTSとしての活動と並行しながら「誰が最初にソロ活動を行うか?」という順番を考えるのではなく、僕は「BTSのJ-HOPEとして、どんな音楽を表現することができるのか?」と自問し続けてきました。そうしながら、着々と計画を練ってきました。ミックステープ『Hope World』(2018年)は、そんな自然な成り行きの結果だと思っています。そこからさらに自分の内面を掘り下げるにつれて、ダンサーとしての側面をもっと表現したいと思うようになりました。ダンスは、僕のトレードマークのようなものですから。その結果、こうした要素をより多く盛り込んだソロシングル「Chicken Noodle Soup」(2019年)の創作へとつながっていったのです。その後、J-HOPEとして音楽に対する”誠実さ”(sincerity)をもっと表現していかないといけないと思いました。だからこそ、『Jack in The Box』に取り組む際は、誠実さという要素に着目しました。結果的に僕が最初にソロ活動を行うことになったのは、常にその準備をしていたからだと思います。自分がトップバッターになりたい、と思いながらソロプロジェクトに取り組んでいたわけではありません。



ー『Jack in The Box』の構想は、どれくらい前からあったのでしょうか? J-HOPEさん自身、「常に準備をしていたから」とおっしゃっていますし、先日配信された「BTS Vlive」でも、”びっくり箱”や”パンドラの箱”といったモチーフが登場するフルバージョンの「Blue Side」(2021年)のアートワークが本作をほのめかしていると発言されています。

J-HOPE:実際、”びっくり箱”のコンセプトは僕のステージネームと深く結びついているんです。ですから、このコンセプトはいつも頭の片隅にありました。かなり前から、びっくり箱をテーマにした音楽をリリースしたいと思っていました。”パンドラの箱”も僕のステージネームの比喩でもあります。頭のなかには、「いつになったら(作品を)リリースできるのか?」「いつになったら、こうした要素を取り入れたアルバムに取り組めるのか?」という問いが常にありました。「Blue Side」のアートワークに本作をほのめかす要素を入れたいと思ったのは、僕なんです。制作にあたってアーティストの方と話し合う際、こうした要素を取り入れてほしいとはっきり伝えました。体系的なアプローチを通じて、アルバムと収録曲の準備を進めていたんです。

ー2015年の「1Verse」といったトラックでは、J-HOPEさんのダークな側面を見ることができます。この曲は、ビジュアル的には一見カラフルですが、歌詞の内容はディープなものです。「MORE」や今回のフルアルバムを通じて、ご自身のダークでヘヴィな側面を表現したいと思った理由は?

J-HOPE:ちょっと待ってください。どうして「1Verse」をご存知なんですか!?(笑)

僕自身、10年近くBTSのメンバーとしていろんなことを経験しました。当然ながら、こうした経験を踏まえて語りたいストーリーもたくさんあります。でも、現在のJ-HOPEとしてのイメージや雰囲気を通じてこうしたストーリーを音楽的に表現するのはかなり難しいと思いました……それに加えて、僕自身、こういうことをやってみたかったんだと思います。J-HOPEは明るくてポジティブな性格だけではない、ということをみんなに知ってほしいと思いました。J-HOPEは、ダークなコンセプトを表現できる幅のあるアーティストだということを知ってほしかったんです。あえてチャレンジすることで、こうした側面をアピールしたいと思いました。未来のことは、あまり考えていませんでしたね。

とにかく、自分がやりたいことや表現したいこと、披露したいことに集中する——『Jack in The Box』では、それをとことん突き詰めました。このアルバムには、こうした素朴な要素が込められていると思います。アルバムがリリースされた時のことを考えると、少し不安です。というのも、このアルバムは僕のやりたいことでいっぱいなのですから。みんながどんな反応を示してくれるか、すごく気になります。でも、僕が本当に伝えたいのは、このアルバムには僕の魂と誠実さが込められている、ということです。ある意味、とてもユニークなアルバムだと思います。それと同時に、音楽性という面でも意義のある作品です。J-HOPEが前進するためのひとつのステップになるのではないでしょうか。

ソロ作に対するBTSメンバーの反応

ー音楽的にも、本作は正統派のヒップホップサウンドをベースとしている印象を受けます。「What if...」では、オール・ダーティー・バスタードの「Shimmy Shimmy Ya」がサンプリングされていますね。アルバムの方向性の決め手は?

J-HOPE:「What if...」を聴いていただければ、ヒップホップサウンドが僕の礎のようなものであることに気づいてもらえると思います。僕が躍る時に聴いていた音楽や僕らしい音楽など……この曲では、こうしたものを表現しています。僕がやりたいことやできることといったベースに加えて、『Jack in The Box』にはこうした要素が取り入れられています。そうすることで、ビジュアル的にはより誠実でよりJ-HOPEらしいものを表現する一方、いままでとはまったく違う側面を見せられるのです。『Jack in The Box』には、視覚的にも雰囲気的にも楽しくて惹きつけられる要素があると思います。ARMYのみんなは、すごくJ-HOPEらしい表現だと感じてくれると思っています。

「MORE」がリリースされた時は、「J-HOPEがこういう音楽をやるの? これはロック? それともエモ? ヒップホップ? エモロック?」とびっくりした人もいました。でも、アルバム全体を聴いていただければ、J-HOPEがこうした音楽やトラック、歌詞を選んだ理由に気づいてもらえると思います。




ー本作には、「MORE」と「Arson」というふたつのリード曲が収録されています。「MORE」の収録が決定した際の驚きについて発言されましたが、「Arson」を2作目のリード曲に選んだ理由は?

J-HOPE:「Arson」を聴いた瞬間、この曲がアルバムに収録されるのは必然だと思いました。この曲には、最大限のメッセージとエネルギーを注ぎました。この曲を選んだ理由は、曲のスタイルがJ-HOPEの感情の頂点を表現していると感じたからです。「Arson」は、ターニングポイントであると同時に分かれ道のような作品です。この曲には、僕がアルバムに込めようとした炎と情熱があります。「Arson」は、アルバムの最後を飾るトラックでもあるんです。ラストに選んだ理由のひとつは、僕がこのアルバムをつくった理由を見事に総括してくれるからです。この曲は、文章の終わりを示す”ピリオド”としての役割を果たし、アルバムを通じて表現したかったことをはっきりと提示してくれます。



ー「MORE」がリリースされた時、BTSのメンバーもその場にいたそうですね。メンバーは、すでにアルバム全体を聴いていますか? メンバーのお気に入りの曲は?

J-HOPE:アルバムを最初に聴いてもらう相手は、いつも決まっています。僕は、いつも最初にRMに聴いてもらうんです。SUGAに聴いてもらうことも考えたのですが、SUGAはプロセスをものすごく大切にします。「公開後に聴くよ」と言われました。SUGAは、いつもそうなんです。「リリースされたら、自分で入手して聴く」と言われると、少し驚きはしますけど、モチベーションも上がります。そういうわけで、最初にRMに聴いてもらい……その後、JUNG KOOKに聴いてもらいました。ほかのメンバーには、曲のタイトルは伝えましたが、アルバム全体はまだ聴いてもらっていません。

アルバムを聴いたRMは、「ワオ! こういう音楽ができるなんて、知らなかった。衝撃でちょっと頭がフリーズ状態だ」と驚いていました。その一方で「すごく君らしいね。このタイミングでこうした音楽を用意したなんて……すごく尊敬するし、とっても君らしくて最高に好きだよ」と評価してくれました。

JUNG KOOKのリアクションには爆笑しました。アルバムを聴き終わるや否や、JUNG KOOKはスタジオに駆け込んだんです(笑)。自分もやりたい、というモチベーションを感じてくれたのかもしれません。BTSの魅力は、メンバー同士が切磋琢磨しているところだと思います。僕自身、自分が誰かのやる気に火をつけたり、誰かに触発されたりします。誰かがあるジャンルの音楽やアルバムに取り組んでいる時、僕はその人の個性やカラーを見て「僕にも僕のカラーがある。それをみんなに披露したい」と心のなかで思っています。僕たちは互いにポジティブな影響を与えながら、それぞれのモチベーションを高め合っているのです。

「MORE」がリリースされた日は、メンバー全員が仕事でその場にいたんです。全員がこのアルバムの強い視覚的な方向性にとても驚いていました。J-HOPEがこういう音楽をやるなんて、みんな思ってもいなかったのです。

ソロアルバム制作から学んだこと

ロラパルーザ2022のことも忘れてはいけません。まずは、ご出演おめでとうございます! 初の韓国出身アーティストとして、アメリカの大型野外音楽フェスティバルのヘッドライナーを務めるわけですが(J-HOPEは現地時間7月31日公演のヘッドライナーとして登場)、この知らせを聞いた時の感想は?

J-HOPE:ロラパルーザという大きな野外フェスに参加させていただくだけでなく、ヘッドライナーまで務めさせていただけるのは、本当に光栄なことです。まずは「MORE」を聴いて、それから『Jack in The Box』を聴いていただければ、僕がロラパルーザへの参加に踏み切った理由をわかっていただけると思います。僕自身の音楽性を披露し、大勢のオーディエンスの前でJ-HOPEのライブパフォーマンスを届けたいと強く思ったのです。準備をしながら気づいたのですが、僕はBTSのJ-HOPEとして、7人のメンバーのひとりとして、パフォーマンスをすることに慣れていますが、今回は1時間近いセットリストをひとりでこなさないといけません。なかなか大変ですね。いろんなことをチェックしつつも、パフォーマンスに集中して細かいところにも気を配らないといけないと実感しています。準備しながら、いまはもっぱらこのことばかり考えています。

傲慢だと思われたり、無謀な挑戦だと思われたりするかもしれませんが、すべては自分自身の考え方次第だと思います。いろんなことを学びたいので、ここはあえてチャレンジしていきたいですね。パフォーマンスの詳細を喜んでお伝えしたいのですが、一番いいのは、現地でライブを体験していただくことだと思います。『Jack in The Box』のように、僕自身の音楽性を表現するつもりです。それに限らず、J-HOPEのほかの側面も披露したいと思っています。僕がお伝えできるのはこれくらいですね。

ーアルバムをつくるたびに新しいことを学び、アーティストとして成熟するとおっしゃっていました。『Jack in The Box』では、どんなことを学びましたか?

J-HOPE:そうですね、ちょっとまだなんとも言えません。これからじっくり聴きこんでいくつもりです。作品がリリースされると、僕はひたすら聴いてフィードバックを集めるのが好きなんです。『Jack in The Box』に取り組んでいた時は、いろんな人にフィードバックを求めました。みんなの感想を訊くたび、新しい発見もたくさんあります。『Jack in The Box』のリリースを記念して、アーティストや音楽業界の方々を招待してリスニングパーティを開催します。開催する理由のひとつは、「J-HOPEは、こんな音楽をやっています。みなさん、どう思いますか?」と感想を訊くためです。フィードバックをもらって、改善することが目的なんです。

現時点でアルバム制作から学んだことを判断するのは、早すぎる気がします。7月末とか8月の頭には、もう少し明確に見えてくると思います。まだスタート地点に立ったばかりですから。いまは『Jack in The Box』を通じて挑み、表現したかったすべてのことのはじまりなんです。ですので、前に進むことでより多くのことを分析していくと思います。

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From Rolling Stone US.

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