BREIMEN・高木祥太の新連載、開宴します
Rolling Stone Japan / 2022年7月25日 20時0分
BREIMEN・高木を中心に様々な職業・立場・価値観の人が集う場所「山一」。BREIMENが昨年立ち上げた映像コンテンツ『赤裸々SESSIOONe』の拡大版として、普段山一で繰り広げられているような、人間の赤裸々な部分も見える会話をお届けする新連載がスタート。まずはご挨拶と、この連載の編集担当・矢島と山一の仲間たちで「高木祥太」を赤裸々に掘り下げます。
※この記事は現在発売中の「Rolling Stone Japan vol.19」に掲載されたものです。
誰でも迎え入れる家
ーまず読者に向けてこの「山一」がどういう場所かという話からしましょうか。
高木 そうですね。俺は近所に引っ越したんですけど、今はSoちゃん(BREIMENのドラム、So Kanno )と、BREIMENのMV監督を「2025」名義でやってるハマイバと、ゴンというやつがここに住んでいます。BREIMENのみんなで打ち合わせをすることもあるけど、いかんせん場所が(都内から)遠いから、BREIMEN自体がここにたまっているというよりはむしろ俺とBREIMEN周りが多い気がする。そういう意味ではBREIMENのひとつの核の場所でもあるし。
ー最初は誰が住んでいたんですか?
高木 もともと俺が、三人兄弟の三番目のリュウタと住んでいて。俺は一番上なんだけど。
ー祥太さん、長男だったんですね。
高木 ハマイバが地元に帰っていたところを呼び戻してMVを撮ってもらって。そのときは、旧体制のBREIMEN(無礼メン)の「クリスマスボッチ」と、俺が前にやっていたエドガー・サリヴァンの「Fight at Tokio」だっけ?
2025 うん、そうだね。
高木 そのタイミングで呼び戻したけど、こっちに家がなかったから「じゃあ、いったん俺ん家いる?」みたいな感じで、まずハマイバがジョインして。そこから……これ、全部説明したらすごいことになるんだけど(笑)。いろんな人が入れ替わり立ち替わり、パラサイトのように(笑)。マネージャーの(藤井)純平も住んでたことあるし。
純平 そう。
高木 純平はコロナで暇になってうちに来るようになった流れで、BREIMENのマネージャーになったんだけど。住んでいる人が変わるごとにシーズンを設けるとしたら、多分今、6か7くらいだよね。ここにいる(高木の隣に座っている)ゴンは、もともと俺の二番目の弟・ケンタの大学の同級生なんだけど、いつの間にかここに住んでいて。
ーいつの間にか住んでるなんてあるんだ(笑)。
高木 ゴンが最初にここへ来たのは大学卒業したくらい?
ゴン うん、卒業して何もしてない時期。
高木 最初は、英語が得意だからBREIMENのMVの字幕に出す翻訳を頼んでたけど、今はレコード会社で働いてる。ケンタはここから3分くらいのところに住んでて、よくここにも来る。ケンタもまだ大学生だった頃からここらへんと絡んでいて、あるときは純平のアシスタントで舞台制作を手伝ったりして、最終的に今はハマイバの弟子みたいな感じでMVを撮るようになった。
2025 弟子というか(笑)。今はTOKIO TOKYOでも働いてますね。
ーあ、そうなんですね。
純平 めちゃくちゃ器用なやつなんですよ。
ーじゃあ、いろんな人の人生のターニングポイントがこの部屋で生まれているんですね。
高木 結果的にそうなってるのかもしれないです。前回のアルバム『Play time isnt over』のジャケに写ってる人たちは全員ここに来たことあるし、住んでたやつもいるし。トキワ荘みたいに全員が漫画家みたいなことじゃなくて、音楽と関係ない人も全然いて、俺の高校からの親友の画家がいたり、まだ何をするか定まってない人もいたり。コロナのときに、みんな暇だし、寂しいし、ここら辺はずっと一緒に行動していて。ある意味この部屋の歴史のピークだった気がする。そのときにできたアルバムが『Play time isnt over』で、それを切り取れたことにはすごく意味があったと思う。
2025 俺は今でもずっとピークだと思ってるよ。終わった場所みたいに思ってる?
高木 いやいや思ってない!(笑)。ピークじゃないかもしれない。いつがピークかって、あとからしかわからないから。
ー確かに。
高木 ここの家って鍵をかけないんですけど。それは俺の実家がずっとそうだったからで。「誰でも来ていい」って言ったら変な人が来そうで怖いけど(笑)、たとえば俺が帰ってきたら全然知らない人が二人くらいいて「あ、こんにちは」みたいなことも全然あって。話を聞いたら誰かの友達だったり。そういうことがたくさんある場所ですね。
ー鍵を開けてまで誰でも受け入れたいというのは、なんで?
高木 誰でも受け入れたいというよりは、基本的には別に誰も拒まない。でもね、結局、ある程度合う合わないは絶対にあって、こっちが拒まずとも合わない人は自然と来なくなる。基本的に「来るもの拒まず、去る者追わず」という形を取っているだけというか。でも確かになんでみんなを家にあげるんだろうな……面白いからかな? 別に本当に目的も何もなくて。何かを作るためとかじゃなく。
ー作品作りや仕事のため、みたいな打算的なことじゃなく。
高木 そう、じゃなくて。でも元を辿ると親の影響が大きいのかなとは思う。そもそも俺の実家も鍵をかけない家で。俺が小学生のときに、中田くんっていうノイズミュージックの作曲をする、当時22歳くらいの狂った若者をうちのお母さんが居候させていたり。俺が高校生のときは、同級生の親がネグレクトで食べるものもコンビニ飯ばっかりでみたいな話をしたら、「じゃあ住めば?」って住まわせたり。俺が高校のときに付き合ってたミキティっていう彼女も……。
2025 ははは、めっちゃ言うじゃん(笑)。
高木 (笑)。彼女の家も母子家庭で親が病院勤務で食う飯がないって言ったら、うちのお母さんが「じゃあ住めば?」みたいな感じで。血縁とか関係ない人が常に家にいて、一時期、俺の実家の表札が4個だったこともあって。
ーすごい(笑)。仮住まいとかじゃないんだ。
高木 お母さんに話を聞くと、そもそもおばあちゃんの代からそうだったらしくて。お母さんが子どもの頃、実家には満州帰りの一家が離れに住んでいたらしく。最終的に金を持ち逃げされたらしいんだけど、でもうちのおばあちゃんは「全然それでいい」みたいな。そんな家系なんだと思います。そういう雰囲気で俺がハマイバを呼んだりしていたら、それが連鎖していって、今俺はここに住んでないけどハマイバもここにいるときは同じようなスタンスだと思うし。
2025 うん、そうだね。別に祥太の家族の話を聞いて「よし継承していこう」なんてことは思ってないけど、ただただ空気として引き継がれている感じ。
ー2025が監督した「赤裸々」のMVは、この部屋のイメージですか?
2025 完全にそうです。
高木 まさに。特に人がたくさん集まっていた時期は、なんて言うんだろう……人が増えれば増えるほどいざこざも起きるし。社会の成り立ちみたいなものがここで起きていた気がする。二人とか三人なら話し合えることもあるけど、そのときは10人以上いたりしたから。そういうこともありましたね。
想像力と対話
ーこの連載は、ゲストをこの部屋に呼んだり呼ばなかったり、という企みですが。
高木 ここで撮り続けたいなと今日思いましたね。
ーゲストの事情とかで場所を変えることはあるかもしれないけど、ここでやりたいですよね。
高木 本当はここでやれたらなって。
ー連載をやることが決まったあと、「どういう内容にしようか?」と何度か話し合っていくつか案が出たけど、最終的にはいろんな職業・立場の人を呼んで話を聞こうということが決まって。なぜやっぱりこのテーマがいいと思ったのかを、ぜひ。
高木 俺は人から聞く話が好きなのかもしれない。結局『Play time isnt over』も、今作ってる曲も、対人関係の中でできていくことが多いし。でもやっぱり自分の交友関係って、ある程度近い範囲になることが多くて。この企画という枠を使ってやるなら、近い人も呼ぶかもしれないけど、普通に生きていたら会わなさそうな人を呼んで話を聞くことにも興味がある。俺、人の歴史に興味があるのかもしれないです。人って面白いよなと思って。人の人生って全部映画みたいだから。そういうところを切り取れたらいいなと思う。
ーアーティストとか芸能人、有名人じゃなくても、誰でもライフストーリーって面白いですもんね。
高木 本当にそうなんですよ。『ボクたちはみんな大人になれなかった』って映画観ました?
ー観た観た。
高木 あれって、めっちゃ普通じゃないですか。主人公に起きていることとか、特別じゃないというか、誰の身にも起き得ることで。でも映画というフィルターを通すことで、それを観て「すごくドラマチックだ」と思うわけじゃないですか。気づいてないだけで自分たちにもそういう瞬間が普通にあるし、本当はみんなにあるんじゃないかなって。音楽とか写真もそうで、作り込まれた世界観のものもあるけど、意外とドキュメンタリーな部分を音楽や映画というフィルターを通すことによってドラマチックに見えることがあるような気がして……というアルバムを今度出すんですけど。
ーそのアルバムにも入る「あんたがたどこさ」がリリースされた時期くらいに、オンラインで打ち合わせして連載のテーマを話したりしましたよね。
高木 そうだ。「お前がどこの誰だっていいから」って。
ーそう。職業とか出身地みたいな肩書きで人を拒んだり判断したりすることなく相手のことを見るのが祥太さんの魅了でもあるし、BREIMENの音楽にも出ているもので。祥太さんじゃないとできない企画だなと思う。
高木 呼ぶ人を考えてリストアップしていますね。もともと言ってたのはAV男優とかですよね。それこそ最近「AV新法」が話題になっているけど、あれ、めっちゃむずいなと思って。そういう、極端な2つの主張があるものに対して、自分はどっちつかずになっちゃうことが多くて。たとえばAVのことだと、俺はAVを作ったことがないからその人たちの立場に立てないし、被害に遭ったことがないからそれもわからなくて。それを想像して、双方の立場に立って考えても、ある程度以上はわからないし。わからないから聞いてみたい。
ーネット上で巻き起こる議論って、表面上の情報だけで意見が飛び交っていることも多いじゃないですか。リアルが伝わりきってないまま議論されるトピックがたくさんあるから、そういうことに対してリアルを聞き出すのもいいかもしれない。
高木 そういう回があってもいいのかもしれない。
2025 極論が言えちゃう人って、友達が少ないんじゃないかなって思う。
高木 まあわかる。実感がないからね。
2025 実感がないことって断定しやすいというか。
高木 極論って本当はそんなに簡単に出せないなって俺も思う。ちなみにこういう話は結構ここでします。俺とハマイバは特にこういう話をするし、価値観が近い。だけど、たまに価値観が違う人が来ると「面白い!」ってなる。俺、「類は友を呼ぶ」が結構真理な気がしていて。それは健全なことではあるんだけど。
ー大人になればなるほど「類は友を呼ぶ」感が強くなっていく気もしますよね。
高木 だからこの企画だったら、自分と価値観が違う人も呼びたいですね。極右とか。
2025 たとえばTwitterで差別的なことを言っている人がいたとして、でも会ったらめっちゃいい人だったりするじゃん。
高木 いやわかる。
2025 それが面白いよね。
ー極論の意見を持っている人がなんでそこに辿り着いたのか、その背景を知りたいですよね。
高木 そうそう。「相手の立場に立って」ってよく言うけど、それってすごく難しいことで。俺はむしろ、自分の立場にしか立てないから聞かざるを得ないと思う。聞かないとわからないことしかないというか。その人がそこまでになる背景も聞かないとわからないですよね。
ー「想像しろ」と言われても、ね。限界はあるし。
高木 「想像力と対話」って、俺の中でひとつあって。どっちも大事なんですけど、対話しないとある程度以上はわからない。想像力でも対話でも、相手の心理とか本当の部分はわからないと思うんだけど。人って、自分の見たい相手しか見られないから。あっちから見た俺もその人が見たい俺しか見てないし、俺から見たその人も、いくら対話しても、いくら想像力を働かせても、突き詰めたら俺が思うその人しか見られない。でも、その限界まで行けるのが対話かなと思っていて。でも限界はあるんですよね。だからある意味自分の中で作ったフィクションをその人に当てはめちゃう……次のアルバムは『FICTION』です、よろしくお願いします(笑)。
ー繋ぎが上手い!(笑)。あと、この連載は次回から誌面と映像の連動というのも大事なポイントですよね(映像はBREIMENのYouTubeチャンネルに上がる予定)。インタビューや対談が雑誌と映像の両方で公開されて、しかもそれがメディアのチャンネルじゃなくてアーティストチャンネルに上がるというやり方は結構新しいと思う。
高木 確かに。映像のほうがこの雰囲気は伝わるだろうから、それを見せられたらいいよね。自分のコンディションによって映像で見たいときもあれば文章で読みたいときもあるし。
ー映像ディレクターはもちろん2025で。
2025 声が聞けるのはデカいと思う。
ー声色で伝わるものっていっぱいありますもんね。
高木 本当にそうですよね。
Photo by Seiya Fujii, Hair and Make-up by Riku Murata
「MELODY」から、『FICTION』へ
ー7月20日に出る3rdアルバム『FICTION』、ミックス途中の現段階のものを聴かせてもらいましたが素晴らしい内容で。さっき言いかけてくれましたけど、『FICTION』のコンセプトは何ですか?
高木 『FICTION』というタイトルだけど中身はドキュメンタリーなんですよ。いずれは創作的な歌詞も書いてみたいとは思うんですけど、今のところ実体験とか自分のリアルなことでしか書けなくて。でも、さっき話したように、音楽にする時点で脚色されるし、「自分が見たいその人しか見ない」というのもあるから、どう作ってもフィクションになるというか。俺にとっては全部本当のことしか歌ってないけど、何か実際に起きたことを歌っていたとしても、どうやったって自分の好きなように切り取っちゃうから。あと、今回のテーマに「映画」があって。作品を通して一個の映画でもあるし、それぞれの曲が独立した映画かもしれないし。それらを複合して『FICTION』にしました。このタイトルに何か想いを込めているというよりは、起きていることを総合して名付けた感じかもしれないです。
ーそもそも過去とか思い出って、自分の中で脚色しちゃってフィクションみたいになっていきますよね。
高木 そう、そうなんですよ。それが本当に厄介でね。記憶の仕方も人それぞれで、嫌なことばっかり覚えている人もいれば、いい風に切り取る人もいて、俺は基本的にいい風に切り取っちゃうから。だから外から見たらムカつくロマンチストみたいになっちゃう。なので「綺麗事」という曲を入れましたけども。
2025 はははは(笑)。
高木 こいつ(2025)もそうだけどね。「綺麗事」ってハマイバの曲なんですよ。昔、ハマイバに恋愛のいろんなことが起きたときに俺が書いた曲。
ー「綺麗事」、アルバムを初めて一聴したときに一番びっくりした曲です。「綺麗事」から「チャプター」の流れがかなり喰らいました。すごくないですか、この曲?
純平 すごいですね。
高木 本当ですか。この曲が一番古くて。実は『Play time isnt over』を作る前からあって、でも温めておいたんですよ。
ー『Play time isnt over』を出したあとしばらく曲が書けない時期があったって言ってたじゃないですか。最初に書けたのはどの曲だったんですか?
高木 「MELODY」ですね(5月9日リリース、ポルノグラフィティ・岡野昭仁×King Gnu・井口理の楽曲。高木が作詞作曲、BREIMENがプロデュースと演奏を手がけた)。『Play time isnt over』が去年の3月くらいには終わって、4、5月あたりが腐っていて、5月の半ばくらいに理くんから電話がきて。『Play time isnt over』で燃え尽きていたし、「これ以上の曲は書けない」「これを超えるアルバムは作れない」と思っていたけど、「MELODY」でエンジンをかけ直してもらいました。自覚的に「MELODY」の音作りは『Play time isnt over』の延長線上にあるものにしたから、俺的にはアレンジの考え方とかは切り離されていて、新しいアルバムを想定して作ったものでいうと「CATWALK」が最初かな。
ーアレンジの考え方をどう切り替えたんですか?
高木 次のアルバムはクリックなしで、全部生の楽器、MIDIを使わないっていう。俺、制作において制約を設けるのが好きで。今って何かやろうと思えば何でもできるじゃないですか。昔は「こういうのがやりたい」って言ってもできないからこその面白さがあったと思うし、あと俺の体感としては制約があるほうが自由度が生まれる。簡単に説明すると、クリックがないことによって、生アレンジ自体が変わるというか。「ここ別に音入れなくても単純にちょっとテンポを遅めればいいんじゃない?」みたいな。だからね……もしいずれ『情熱大陸』があるとしたら、常田大希(King Gnu)が「破壊と構築」、俺は「制約の美学」でいこうと思います。
ーははは!(笑)。めっちゃいい。
高木 だから今回のアルバムを作る前も制約を設けて、その結果、すごく広がった。
フジイセイヤ (このページの写真を撮ってくれた写真家であり、「MELODY」のアートワークの撮影も担当)僕からも質問、いいですか?
ーお、お願いします!
高木 いいっすね。こういう会にしたいよね。
フジイ もし僕が作詞作曲をやるとしたら、第一線を走ってきたポルノグラフィティの岡野さんと、今すごく勢いのあるKing Gnuのボーカルの理がコラボしますってときに、あんなにBREIMENらしい曲をブチ当てられないなと思ったんですよ。そこは自分らしくいこうと思ったのか、それとも本当にこれが一番あの二人に合うと思ったのか、その辺を聞きたかったんですよね。
高木 そもそもノーオーダーだったっていうのはひとつポイントとしてあって。オーダーがあったら、もしかしたら受けなかったかもなとも思う。まず、生半可なものを出したらBREIMENというバンドが食われると思ったのよね。別にそこまでBREIMEN感を押し出すぞとも思ってなかったけど、絶対に二人の存在自体に負けない曲を作ろうとは思っていて。でもどうなんだろう……メンバーとの制作に入ったら、自然とBREIMENサウンドになったというか。だから逆に言えばバンドなんだなって思った。しかも岡野さんも理くんもそれをよしとしてくれた空気感。昭仁さんがとにかく腰がめちゃくちゃ低くて。マジでいい人。でもステージに立つとスター。だから本当にすごい。あと理くんはBREIMENが単純に好き。
ーはははは(笑)。
高木 理くんが色々やってくれた感じがある。俺をアー写に出そうとか、「prod. by BREIMEN」を付けるとか、あれって本当にイレギュラーなことで。
フジイ それを決めるとき、僕いたから。PERIMETRONの事務所で、アートワークについて理くんとOSRIN(PERIMETRONのアートディレクター)と僕で話していて、途中から岡野さんも来て。理くんが「この二人がコラボするけど、意外とあいつがキーマンなんだ」みたいに言ってて、OSRINも理の意見に寄り添って「絶対に祥太を出したい」って言って。深い話は本人から直接聞いたほうが面白いと思うんだけど。
ー聞きたいですね。山一に来てほしい。
高木 来た人のすごさでいったら、昭仁さんが来たらピークですね(笑)。
ー今日はこの連載をやる意味や背景として祥太さんやBREIMENの音楽のベースにある人間愛はどこから来ているのかを特に聞きたかったんですけど、そこがすごく聞けた気がします。
高木 そうですね、人間愛。
ー人を巻き込む力も自然と持ってるし。
純平 近くにいちゃうみたいな、そういう謎の吸引力はありますね。
高木 だから「ドキュメンタリ」という曲で”人たらし”って歌ってるんですけど。でも”人でなし”なので。いつかみんなに見放されて一人になるかもしれない(笑)。
ーあと、いわゆる資本主義社会の価値基準から外れてしまうものを祥太さんは大事にしていると思うし、新しいアルバムでも歌っているし。そういう価値観の提示をこの連載でもやれるといいですよね。
純平 めっちゃいいですね。
高木 そうかもしれないですね。俺、根本の価値観が社会と乖離していると思う瞬間はあって。本当に良くも悪くも。俺の価値観って、めっちゃ頑張ってる人からしたらウザッて思うかもしれないけど、時と場合によっては「そんなんでいいんだ」みたいなに思える可能性もあるなと思っていて。
ーうん。「あ、これでいいんだ」「こういう考え方もあるんだ」って救われる人がいると思う。
高木 別にそういうコンセプトではないんだけど、そうかもなとも思います。俺がいることによってみんなが安心してほしいとかはまったく思わないんですけど、そういう部分はあるかなと思うから。俺、全部上手くいかなくなったらスペインに逃亡してホームレスやろうと思っていて。これずっと言っているんですけど。
ーなんでスペインなんですか?
高木 小6のとき、スペインに1年住んでいたんですよ。父親がフラメンコギタリストで、その修行に家族全員でついていって。スペインって、たとえば日本だと1カ月で終わる工事を1年かけてやっているんじゃないかっていうくらい、ノロノロというか、時間の流れがゆっくりで。シエスタとか本当に寝てるから(笑)。日本人って本当によくやっているなと思います。日本だと「忙しい」って美徳で、「忙しそうだね」が褒め言葉になるじゃないですか。でも俺は忙しくしたくない。
ーでもそう言いながら最近めっちゃ忙しそう(笑)。
高木 だから苦しいなと思うこともあります。生きていれば万々歳なことがたくさんありますよね。
BREIMEN
常軌を逸した演奏とジャンルにとらわれないスタイルで注目を浴びる5人組ミクスチャーファンクバンド。2ndアルバム『Play time isnt over』は、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文の私設賞『APPLE VINEGAR -Music Award-』で特別賞を受賞。2022年5月にリリース、ポルノグラフィティ岡野昭仁、King Gnu井口理のコラボナンバー「MELODY(prod. by BREIMEN)」ではBa&Vo高木祥太が作詞作曲提供、BREIMENメンバーが演奏・編曲を担当。
https://brei.men/
『FICTION』
BREIMEN
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