1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 音楽

Elle Teresaが語る、海外で勝負するために意味のあること、意味のないこと

Rolling Stone Japan / 2022年8月3日 18時15分

Elle Teresa(Photo by Kana Tarumi)

国内最大規模のヒップホップフェスティバル「POP YOURS」ではTohjiのステージにゲスト出演し、オーディエンスを熱狂させたElle Teresa。新たな時代のヒップホップ・カルチャーを体現するポップ・アイコンとして、様々なフィールドを超越して活躍する彼女が、メジャー1stアルバム『Sweet My Life』を完成させた。コロナ禍前に海外に飛び、アトランタ、NY、LA、パリ、ロンドンで制作された本作の裏側、そして音楽にかける想いを率直に話してくれた。

【撮り下ろし写真を見る】Elle Teresa

—前回はメジャーデビューするタイミングで話を聞かせてもらって、デビューから一年かけてこうしてアルバムを世に出すことになったわけですが、心境的にはどうですか?

曲は3年くらい前にレコーディングしたものなんです。アルバム通して聴くといい感じにまとまってるかなって。

—3年前に録り終わってるんですか?

そうですね。全曲。

—そこまで寝かせてたのには何か理由があるんですか?

コロナ禍の兼ね合いもあったり、リリースの関係ですよね。

—じゃあ時系列で言うと、この間のLeon Fanourakisのアルバムにフィーチャリングで参加した曲(「4am feat. Elle Teresa」)の方が新しいの?

新しいです。スタイルがちょっと違くないですか? でも『Sweet My Life』は別の良さだし。多分、これをもう一回やれって言われたらできないかな。リリックに関しても今は自分の中でちょっと複雑にしてるというか、幅広い人に聴いてもらいたいと思って書いてるんですけど、このアルバムの感じはElle的に気に入ってます。めっちゃカワイイ!って思いますね。

—3年前の自分の記録みたいな。

そうです。このアルバムを作ってた時は、いろんなパートナーがいたんですよ。だから、ほぼ恋愛ソング。「Sweet My Life」ってタイトルも、当時はつらかったことも今になったらいい思い出だし、そういう感じの人生を表すものとして考えました。

—そういう記憶って時間が経つと色褪せていくものだと思うんですけど、日記とか何か書いてるんですか?

いや。Elleの場合、そういえばこんなことがあったなと思い出して書く。

ー3年ぐらい経ってみてどうです?

忘れました(笑)。新しい人ができたら、2秒で忘れる(笑)。でもElleの中で、このアルバムを作っていた時に一緒にいた子たちとの時間は、人生ですごく大きいことだったんですよ。だからこうやって形に残せてめちゃくちゃよかったって思うし、そういうのは多分女の子って誰しも通る道だと思うから。

—恋愛の記録でもあり、青春の1ページでもある。

ほんとにそうです。付き合ってる人と一緒に住んでると、だんだん音楽とかけ離れていくじゃないですか。家事をやったり、結婚も一つの幸せの形だなって思った時もあったし。でもその人と別れて音楽やっててよかったと思えた自分が好きです。


真剣勝負の現場で

—そう考えると「on my Side」のリリックとかかなりエモいですね。はしゃぐ二人の様子が目に浮かびますが、別れた後に書かれたものなんですよね。

この曲はロンドンで作ったんですよ。Elleが仕事でヨーロッパに行った時、なぜか、当時付き合ってた彼氏や友達もヨーロッパに来て。Elleはロンドンのスタジオでプロデューサーとセッションしてたんですけど、あまりフィールしなくて途中で抜け出して、彼氏が滞在してたスペインのバルセロナに行ったんです。なのにそこで大喧嘩して別れることになり、フランスのパリでこの曲が完成した。



—すごいグローバルな曲ですね(笑)。

そう(笑)。だからリリックの出だしが”Ex my boy Friendに/もうしたわさよなら”になるんです。

—ロンドンもそうだし、いろんな国で録ってるんですね。

「maybe love u」以外、プロデューサーも全員海外にいる人で。「bby girlll」はニューヨークだし。あとアトランタ、NY、LA、パリ、ロンドンかな。その場でビートを選んで、リリック書いてメロディも作った感じです。ただElle、英語が喋れないので、その点は何の使いものにもならないんですよ。



—前回のインタビューでも、英語できなくてもその場でなんとかするって言ってましたよね。

そう。そこだけはどうにもならないから、喋れる人に一緒にいてもらう。

—でもその場限りの真剣勝負ですからね。

そうですね。アトランタとか超ゲットーだし、みんなマジで勝負しにきてるから。ヘラヘラしてるやつとかいないし、できなかったらそれで終わり。普通にそういう世界だから、Elleも最初めっちゃビビってたけど、出身地とか肌の色とかじゃなく、自分のやってきたことが間違ってなかったなって思いました。ずっと地元の沼津で音楽を作っていて、たまにこれで大丈夫なのかなって思う時もあるんですよ。東京ではパーティがたくさんあって、都会で流行ってる曲というか、ここで作ってる音楽こそが最前線!って普通は思うじゃないですか。でも沼津の田舎にいたってそれ以上のことができるし、それをずっと続けてきて、海外のスタジオに行ってみたら「Elleなら間違いないよ」って言われて、間違ってなかったなと思った。ちゃんと自分の居場所で地に足をつけてやることに意味がある。ヒップホップはそういう音楽なんだって、海外行くと感じますね。

—Elleさんの声の響きもすごくいいと思いました。涼しげボイスというか。

ありがとうございます。このアルバムでは全体的に歌ってるっていうよりは喋ってる感覚。だから、そう言ってもらえるとうれしいです。

—Elleさんのラップのスタイルって、海外の人からはどういう風に言われるんですか?

まずキャラクターとして面白いって言われることが多いですね。アジア人でこんな感じでラップしてる子いないし、めっちゃオモロいみたいな。あと、めっちゃ可愛いし、みたいな。だよね!って(笑)。

—このアルバムで披露しているラップのスタイルから、今はもっと進化している。

Elle、曲作るのが大好きだから、いろんな曲を試してる。もっとポップなやつとか、もっとトラップ・ミュージック寄りのやつとか。ずっと自分のことヤバイって思ってたけど、今まであんまり気づいてもらえなくて。でも、最近ちょっとずつ言われるようになってきて、それはうれしいです。


リル・キードの死

—でもそれだけ曲を作るのが好きってことが、大前提としてあるってことですね。

めっちゃ好きです。しかも年々自分のスキルも上がるじゃないですか。いろいろ思ったようにできるようになってくるから楽しい。

—この間、ディズニープラスでマシン・ガン・ケリーのドキュメンタリーを見たんですけど、ケリーが曲の細部やアートワークとかにまでこだわる人だからアルバム制作が滞る一方で、マネージメントは曲ができたら即座に出さなきゃ意味がないと言ってて、ファンが求めてるのは新曲なんだからと。

間違いない。

—世界を相手にショービジネスしようとすると、こちらの想像以上にペースが速いんだなと思って。

そうなんですよね。

—「Wifey(feat. Lil Keed)」で共演したリル・キードの悲報(曲の制作後、24歳の若さで急逝)はどう受け止めましたか?

最初はちょっとどう捉えていいのか分からなかったです。そんなに身近で死を感じたことがなかったし。逆にアメリカとかは死との距離が近いというか、誰かが亡くなるとインスタのストーリーにすぐにアップして、しばらくすると普通の生活に戻る。Elleは2日間しか会ってなかったけど、けっこう喰らっちゃって。しばらくキードの曲も聴けなかったし。マジでなんなのと思って、曲もリリースしていいものなのかなとか思ったし、人の死についてすごく考えました。USの音楽が大好きで、
自分のことだけを考えてElleはラップを始めて、キードはそのなかでもラッパーとしてすごく好きな一人だったから、Elleにとっては大きい存在なんです。でも亡くなってしまって、自分勝手にキードとの曲をリリースしていいものなのか、すごく悩んだ。

ーはい。

亡くなってからリリックを変えたんです。”あなたなんていなくて大丈夫だから”みたいな内容だったんですけど、そういう部分は全部書き直しました。キードにもそうだし、そういうリリックで出すのは、周りの人たちに対してリスペクトがないなと思ったので。もう誰も死なないでほしいってマジで思う。今回のリリースに対しても複雑な気持ち。みんなキードと共演できるなんて凄いことだよって言うけど、やっぱり悲しさの方が勝ってしまう。だってElleの1個下だから。

「Wifey  (Feat. Lil Keed)」


—アメリカは銃の問題もありますよね。

去年の終わりに、Elleのアメリカの友達が2人亡くなったんです。1人はエイサップ・モブのメンバーで、もう1人はLAのラッパーの子なんですけど、ODと銃で死んでしまって。あまりにもそういうことが多すぎて。なんでElleの周りにいるいい人たちばかり死んじゃうのって。でもキードとは1日しか一緒にいなかったけど、皆でボーリング行ったりして楽しかったな。


「自分のことを音楽で説明できないといけない」

—今後なんですけど、海外での活動も視野に入れていますか?

そうですね。「キードと一緒にやったから」じゃなくて、Elle単体で世界の人たちに見てもらわないといけない。Rolling Loudみたいなヒップホップのフェスに、海外のコネクションを使って出してくださいって言えば、ポスターの出演者の下の方に名前が小さく載って、例えばオープニングアクトとかでライブをやらせてもらえると思うんです。でもそれだと意味ないじゃないですか。リハーサルみたいな感じでライブをやるのは嫌だし……となったら、自分のことを音楽で説明できないと。言葉が通じないから難しいですけどね。やっぱラップって、サウンドだけじゃなくて言葉とともに存在する音楽だと思うから。でもElleならできるかもしれないって思う。そもそもヒップホップって日本の文化じゃなくてUSの文化じゃないですか。だから日本人がやったところで向こうからしたらただの真似事なんですよ。アメリカ人から見て、こいつは日本語で何言ってるかわかんないけど、でも可愛いみたいな(笑)。その上を行くにはどうすればいいのか、今めっちゃ考えてる。

—Elleさんの腕にあるポケモンのタトゥーのように、ポケモンみたいなキャラクターとして愛されるといいですね。

そうやって言ってくれる人は、センスいい人(笑)。ダサい人はまだ気づいてないから、ダサい人に気づかせないとダメだな。

—音楽で自分を説明しなきゃいけないって言ってたけど、そういう意味で『Sweet My Life』はElleさんがどういう人なのか分かる作品ですよね。

Elleもそう思う。でも、キードのことも含めてアルバム制作中はつらいことばっかだった気がする。だから、それも含めてこのタイトルかなって感じですね。今回は、キードと地元の先輩、West CarterのBossman JPしかゲストは入ってないんです。人の客演に入るのと自分の作品に入れるのでは、また違う話じゃないですか。だから今回はシンプルでいいなって思います。

【関連記事】Elle Teresaが語る、地元・沼津でヒップホップを続ける理由

<INFORMATION>

『Sweet My Life』
Elle Teresa
エイベックス
発売中
配信:https://avex.lnk.to/SweetMyLife

01. baD bitch
02. flex flex feat. Bossman JP
03. Pancake
04. Sit back
05. I cant feel it
06. DREAM*
07. Wifey (feat. Lil Keed)
08. Cow boy
09. maybe love u
10. on my Side
11 . bby girlll

Elle Teresa「Sweet My Life Japan Tour」
2022年8月7日(日)熊本県 SPACE KUMAMOTO
2022年8月14日(日)大阪府 MADAM WOO OSAKA
2022年8月26日(金)愛知県 ORCA NAGOYA
2022年9月3日(土)兵庫県 ANCHOR
2022年9月4日(日)京都府 KITSUNE KYOTO
2022年9月17日(土)岩手県 SICKth
2022年9月19日(月)茨城県 土浦club GOLD
2022年9月30日(金)宮城県 ART night club
2022年10月15日(土)福岡県 The Voodoo Lounge
https://avex.jp/elleteresa/

Website:https://avex.jp/elleteresa/ 
Instagram:https://www.instagram.com/elleteresa_/?hl=ja
Twitter:https://twitter.com/elleteresa
TikTok:https://www.tiktok.com/@elleteresa__?is_from_webapp=1&sender_device=pc

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください