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ジョイス・ライスが語る90年代R&Bへの愛、日本のルーツ、シンガーになるまでの物語

Rolling Stone Japan / 2022年8月16日 17時45分

ジョイス・ライス(Photo by Lea Winkler)

アフリカンアメリカンの父と日本人の母を持つLA拠点のシンガーソングライターで、2021年のデビューアルバム『Overgrown』がR&Bファンから絶賛されたジョイス・ライス(Joyce Wrice)が、10月8日(土)にビルボードライブ東京、10月11日(火)にビルボードライブ横浜で初の来日公演を行う。彼女のことを改めて知るべく、米ローリングストーン誌のインタビューをお届けする。


ジョイス・ライスの『Overgrown』は、2022年の私たちが欲している清々しい屋外の空気のような作品だ。南カリフォルニアのシンガーがリリースしたデビューアルバムは、アリーヤ、ブランディ、マライア・キャリーら90年代後半〜2000年代初頭のシーンを代表するR&B作品に慣れ親しんだファンをも魅了する。同時に、いま正に勢いに乗るアーティストらをゲストに迎え、モダンなソングライティングを採り入れた作品に仕上がっている。

制作にあたっては、シルク・ソニックやジャネット・ジャクソン、メアリー・J・ブライジとコラボした実績を持つエグゼクティブ・プロデューサーのDマイルや、彼女のA&Rを務めるエディ・フォーセルらがバックアップした。このアルバムは、イントロからテンションの高まる「Chandler」に始まり、フレディ・ギブスをフィーチャーしたノリの良いダンスナンバー「On One」、プロトタイプ的といえるヒップホップ・ソウル「Westside Gunns Interlude」まで、彼女の身に最近起きたハートブレイクな出来事や人間関係をテーマにした数々の楽曲が収められている。



ジョイスは、自分が納得のいく作品に仕上がるまでいくつものハードルを越え、長い時間をかけてアルバムを完成させた。「最後までやり遂げられないだろうと思う自分と、本音ではリスクを冒したくない、と思う自分がいた」と彼女は言う。

カリフォルニア州チュラビスタ(サンディエゴ郡)で日本人の母とアフリカンアメリカンの父との間に生まれたジョイスは、幼少期をほとんど母親と一緒に過ごした。ルイジアナ州シュリーブポートに生まれ、ミシガン州フリントで育った彼女の父親は、海軍の一員として日本に配属された時に、後にジョイスの母親となる女性と出会う。父親が任務で各地を転々とする間、ジョイスと母親はサンディエゴで暮らした。チュラビスタには仏教徒のコミュニティがあり、2人はよく通ったという。



一人っ子のジョイスは、日本人向けのサタデースクールに通ったり母親と一緒に仏教徒の集まりに出かける以外は、一人で過ごすことが多かった。彼女が音楽との関わりを深めたのはその頃だった。「音楽は私の初恋の相手であり、親友でもある」と彼女は言う。「実際には存在しないけれど、兄弟姉妹のようでもある」

時間を見つけてはミュージックビデオを観て過ごした彼女は、ミッシー・エリオットやタミアに夢中になった。子ども時代の音楽に関する思い出は、父親の運転する車の中でノトーリアス・B.I.G.と112の「Only You」を聴いたこと。7歳になった彼女はよく、いとこのDJに合わせてフェイス・エヴァンスなどR&Bの名曲を歌った。その後ジョイスは、アートスクールに通うことを検討したり、特別支援学校の教師になろうかとも考えた。「両親からは、『あなたは法律家になりなさい』と言われていた」と彼女は振り返る。「(2人とも)歌ったり踊ったりは、単なる趣味だと思っていたみたい」

シンガーとして花開くまで

高校を卒業して大学へ進んだジョイスは、友人の弾くウクレレに合わせてR&Bやヒップホップのカバーを歌い、撮影した。大学のクラスメイトたちはYouTubeにアップされた彼女のビデオを観て、音楽家としてのキャリアを歩むように勧めた。最終的にジョイスは、ロサンゼルスへの移住を決意する。「大学を卒業した時に、教育者にはいつでもなれることに気づいた。だから、まずは音楽のためにロサンゼルスへ引っ越すことにしたの」




LAでジョイスはあらゆるバイトをこなしながら、ソーシャルメディアを使ってアーティストとしての活動をアピールし、音楽のキャリアを後押ししてくれる人々を探した。2016年に彼女は、シンガーソングライター仲間のサー(Sir)と、プロデューサーのマインドデザイン(Mndsgn)とのコラボによるEP『Stay Around』をリリースする。同作に収録された「Do You Love Me」は、シングル曲としてブレイクした。彼女が正に追い求めていたサウンドが生まれた瞬間だった。「(マインドデザインが)ビートの部分を送ってきた時、『これこそ私が作りたかった音楽!』って思った」と彼女は言う。「メロディを乗せて歌いたい、と思わされるビートだった。自然と歌が生まれて、思い描いていた理想の方向へと進み出したわ」

彼女のこれまでのキャリアの集大成が『Overgrown』だ。2年間かけて試行錯誤を繰り返し、セッションを重ねて彼女のインスピレーションのエッセンスを捉え、さらに彼女自身の経験を加えた。「デビューアルバムをたくさんの人に聴いてもらって、私がどんな人間で、何を好み、どういうバックグラウンドを持っているかを知ってほしい」とジョイスは言う。「ハードルを高く設定して妥協しなかったから、このアルバムにはとても自信があるの」



2022年にリリースした、ケイトラナダとの共演曲「Iced Tea」

From Rolling Stone US.


ジョイス・ライス来日公演

2022年10月8日(土)ビルボードライブ東京
1stステージ
開場/開演:15:30/16:30
2ndステージ
開場/開演:18:30/19:30
サービスエリア/カジュアルエリア:7,400円/6,900円
詳細:http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=13594&shop=1

2022年10月11日(火)ビルボードライブ横浜
1stステージ
開場/開演:17:00/18:00
2ndステージ
開場/開演:20:00/21:00
サービスエリア/カジュアルエリア:7,400円/6,900円
詳細:http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=13595&shop=4

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