Novel Coreが語る、「もうひとつの正解」が示す新たな道標
Rolling Stone Japan / 2022年8月18日 19時57分
Novel Coreが、メジャー1stアルバム『A GREAT FOOL』からたった8カ月で、早くも2ndアルバム『No Pressure』を完成させた。Novel Coreとは、『BAZOOKA!!! 第12回高校生RAP選手権』にて歴代最年少で優勝を果たし、現在はSKY-HIが主宰するマネジメント/レーベル「BMSG」に所属するアーティスト。現在の日本で「ラッパー」や「ヒップホップ」の定義を拡張しようと奮闘している表現者だ。このインタビューで彼はその闘いについて、理想論だけではなく、これまでの葛藤や苦悩などリアルを赤裸々に語ってくれた。
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自分の許し方や負の感情と共に生きる術を知って、仲間も見つけたNovel Coreは、ここからさらにギアを数段階上げて、日本の音楽やヒップホップの文化を更新してくれる存在になるに違いない。
—1stアルバム『A GREAT FOOL』から8カ月で、よくこんなに濃いアルバムを作り上げましたね。
Novel Core:そうですね(笑)。初めての全国ツアー(『A GREAT FOOL TOUR 2022』)と、バンドでのワンマンライブ(『I AM THE TROUBLE』at KT Zepp Yokohama)と立て続けにあって、新しいこと尽くしだったので精神を使う時間が長くて、作詞に割ける時間がほとんどない状態だったんですけど。でも逆に時間がなさすぎてブースに入ってその場で作るしかなかったので、素直に書けた部分があって。そのおかげでいい曲ができた気もちょっとしていますね。
—『A GREAT FOOL』を作っているときからすでに、「次はこういった内容で、これくらいの時期にリリースしよう」という構想があったんですか?
Novel Core:そうですね。『A GREAT FOOL』を出す直前にチームで会議をして、2024年くらいまでのプランをガーッと作って。そこで、ここの位置にこれを置いていく、ということが決まっていたので。「やべぇ、8月にアルバム出さないといけないな」みたいな(笑)。
—1stと2nd『No Pressure』は、「第一章」「第二章」というふうに捉えることができると思うんですけど、内容も1stを作っている段階である程度は決めていたんですか?
Novel Core:「No Pressure」という言葉だけすごくぼんやりずーっとあって。前作が自分自身の内側や過去と向き合って作ったパーソナルな作品だったからこそ、そこからひとつ抜けたところで音楽を純粋に楽しむアルバムを作りたいという想いがすごく強くて、「No Pressureにいきたいね」みたいな話を結構していて。ただ実際に「No Pressure」が今回のメインコンセプトとして定まっていったのは、作品を作り始めていく中で。タイトルトラックの「No Pressure」から作り始めて……。
—あ、そうだったんですね。この曲は逆に終盤に作ったのかと思ってました。
Novel Core:そうなんですよね。「No Pressure」の歌詞を書いている段階で、僕が言いたい「No Pressure」とは、「プレッシャーがない」とか「そこからもう完全に抜け出した」というよりも、「プレッシャーと共に生きていくことを許容する」ということなのかなって。「受け入れる」ということの方が「No Pressure」に近いなと思って、それをテーマにした感じでした。実際に自分がどういう意味で「No Pressure」になりたいのかを掴みきれていない部分が大きくて、プレッシャーの存在自体をどういうふうに受け止めるのかをわかりきっていなかったのが、制作しながらツアーをまわったりした中で少しずつ答え合わせができて、最終的に作品に落とし込んでいったという感覚でしたね。
「完璧主義者な自分」を受容
—曲ごとに深ぼると、1曲目「TROUBLE」はどういう気持ちで作って、なぜこれをアルバムでもワンマンライブでも1曲目に持ってきたのか、ということをまず聞かせてもらえますか。
Novel Core:これは、自分自身が新しいフェーズに行くタイミングでオープニング曲が必要だなと思って。Ryosuke ”Dr.R” Sakaiさんとお話させていただく中で、どういうテーマにしようって考えたときに——やっぱり音楽業界に入って真っ先に戸惑ったのは、自分自身が当てはまる枠組みがないことというか。自分がやろうとしていたことが一個一個全部他の人たちと違ったり。それこそ僕がラップを始めた当時、日本では「ラッパーが歌う」ということがまだ斜めに見られていたので。そういう部分でもカテゴライズされることに苦しめられる感じはありましたし。
—そこはまさに今日聞きたいなと思っていたところで。ヒップホップとロックやポップパンクが近いところにあったり、ラッパーがラップだけじゃなく美声を響かせて歌ったり、今はそれが海外だと当たり前でそういうアーティストの音楽がチャート1位をとる、つまりポップスになっているけれど、日本ではまだまだ発展途上というか。私としてはそろそろポップスど真ん中にもっとそういう音楽が増えてもいいだろう、と思っているんですけど。
Novel Core:いやあ、そうですねえ。本当に……そうですよね(笑)。
—はははは(笑)。
Novel Core:本当にそうなんですよねえ。
—Coreさんとしてはそのあたりに関して、どういう意識があって、どういうトライをやろうとしているのかを、今作が完成したタイミングで改めて言語化してもらえるといいなと思ったんです。
Novel Core:自分自身、音楽を始める前からいろんなジャンルの音楽を聴いていて。クラッシックやロック、いろんなものを通ってヒップホップに辿りついた部分もあるし。そもそもヒップホップ自体がいろんな音楽のジャンルから派生してできている音楽でもあるし、自分は複合的なジャンルであるところに魅力を感じてこの業界に入ったので。ラップ以外のことをしたときに「ヒップホップじゃない」とか言われることも少なくなかったんですけど、逆に自分からするとラップ以外の要素を咀嚼してヒップホップのベースの上で鳴らすことの方が、自分が聴いてきたヒップホップにすごく近いという感覚があって。ヒップホップのカルチャーを愛しているからこそ、いろんなジャンルはミックスしたいという想いがすごく強くて。僕はポスト・マローン以降の世代にだいぶいい影響を受けたので。
—そうですよね。
Novel Core:彼が出てきてから海外では歌うラッパーとかが許容されていくようになったと思いますし。日高さん(SKY-HI)とよく話すんですけど、当時「Better Now」(2018年リリース)とか、もう完全にポップスの域に入っていたじゃないですか。しかもあれがヒップホップのチャートでもトップの方に接近していたりするのが、カルチャーとしてすごくいい状態だったと思うし。そういうのがもっと増えていったらいいなあと思っているので、他のジャンルとクロスフェードさせたものを世に出していくことを常に意識していますね。
―それが今回のアルバムではより高次元でできた、という達成感はありますか?
Novel Core:そうですね。正直、今まではちょっとビビっていたところがあった気がしていて。意外と僕、完璧主義者気質というか。
—”ガチガチの完璧主義”で(「A GREAT FOOL」の歌詞より引用)。
Novel Core:そうなんですよ、意外とそうなんですよ。世に出る作品でいろんなジャンルをミックスさせてみたり、やったことのないものにチャレンジしてみたりすることが、意外と「もしそれで納得いかなかったら世に出せないかも」とか考えちゃってる自分がいて。それがすごく自分を苦しめていたんです。でも、ビリー・アイリッシュがインタビューで「今まで出してきた作品の中で心の底から満足している作品はひとつもない」みたいな話をしていて。「でもその曲で私のことを好きになる人も少なからずいるし、その曲から何かをキャッチする人が世の中には必ずいるから提示し続けることに意味があるんだ」みたいなことを言っていて。歳も近いし、シンパシーを感じて。それ以降少しずつ、自分を許せるようになっていった感じがするので、今作は本当に遊べた気がしていますね。
削ぎ落として見つけた「本当の答え」
―今作の中でそれが一番やれた、と思う楽曲をひとつ選ぶとしたら? もちろん、全曲だとは思うんですけど。
Novel Core:迷うんですけど、でも「Untitled」は今まで出してきた表情と真反対なものなので。いわゆる足し算気質で、色々足していって派手にしていく方が得意だったので、ここにきてすべてを削ぎ落としてアコースティックギターとボーカル1本で曲を作ること自体がチャレンジでした。
―ビートやベースなどを足す選択肢もあったとは思うんですけど、これだけシンプルに仕上げたのはどういう理由でしたか?
Novel Core:削ぎ落とさないと本当の答えは見つからない気がしたのかもしれないです。自分自身が本当に何を思っているのかの答えが欲しかったので、極限まで削って、ボーカルも含めて自分自身と向き合うことを大事にしたかった曲でした。1本になる分、ボーカルがすごく目立つのでセルフディレクションも意識しましたし、ジョン・レノンとかを意識した新しい歌い方だったので(笑)。それがこのタイミングでできたことで、今後の音楽活動に対しても希望が増えたのでよかったと思いますね。
―このリリックはまさに最初話してくれたように、素直に書けたものだと言えそうな内容ですね。
Novel Core:これはもともとこのアルバムに収録する予定がなくて。アルバムの締め切りが6月20日とかだったんですけど、6月3日のワンマンライブを終えるくらいのタイミングで作品の中にどうしても入れたくなっちゃって、ワンマンが終わったタイミングでクマさん(クマガイユウヤ。Novel Coreのライブでサポートギタリストを務める)に正式オファーさせてもらって。歌詞もレコーディング当日に書いたんですけど、どういう曲にしようかと思ったときに素直にパッと出てきたのが、「もしも地球が明日滅びるとか、自分の人生が明日で幕を下ろしてしまうんだとしたら、今日は一体何をするだろう」というテーマで。これは今になってようやく言語化できるようになったんですけど……「音楽をする」って言って欲しかったんだと思うんですよ。音楽が本当に心の底から好きなのか、音楽を商業的な目線のみで見ていないのか。ファンの人たちが「救われた」「命綱になった」とか言ってくれるのを見て喜んでいるけど、自分自身は果たして自分の音楽に救われているのか――正直、『A GREAT FOOL』制作以降、わかんなくなっている時間がちょっとあって。それがわりと苦しかったというか。自然とサビで”今を口ずさんで”というフレーズが出てきたときに、「もし仮に地球が終わるとして、誰も聴いていないかもしれないのに、自分は自分自身の今の感情を切り取って歌うんだ」と思ったら、本当に音楽が好きなんだなって再確認ができて、それがすごく嬉しくて。書きながらずっとブースで涙が止まらない曲でした。このタイミングで作れたことにはすごく意味があるなと思っていますね。
—『A GREAT FOOL』制作以降に悩んでいたのは、具体的に何かきっかけがあったのか、それとも心の隅に置いて蓋していたものがちょっと出てきてしまったみたいな感覚なのか。どういうものだったんですか?
Novel Core:多分、蓋していた感覚もあって。本当は、メジャーデビュー以前からなんとなく、自分が音楽に対してどれだけの熱量があるのかがわかってないところが正直あって。でも環境の変化も大きかったですし、この2年間はとにかく走るしかなかったので考えている余裕がなくて、とにかく目の前のクリエーションと向き合い続ける感じで。
―どんな分野でも「自分はこれを誰よりも愛し抜いていて、情熱も才能もあるんだ」と信じ切れている人の方が少ないと思うし、Coreさんの感じ方が一番リアルだと思いますけどね。がむしゃらに続けることで極まっていくだけ、というか。
Novel Core:ことあるごとに、1個何か大きな結果を出すと、自分の脳みその中で次の作品に対する結果に関しても固執する部分があったり。「前作以上に成績を出さなきゃ」「これくらいのセールスを出さないと次に繋がらないな」とか、そういうことばかりを考えてしまっている時間がわりと長い気がしていて。本当に音楽と素っ裸の状態で向き合えているのかというと、多分そうじゃなかった気がしていたので。でも歌っている曲はああいう内容だし、ギャップがあることにモヤモヤしていて。やっとそれを晴らせたという感じですね。
Photo by Kentaro Kambe
「新しいルートを作るためにも自分自身が喜んではみ出なきゃいけない」
—今作は「No Pressure」というテーマでありながら、「大好きな仲間と楽しく音楽作れればオールOK」というわけではなく、広める・届けることもCoreさんはストイックに考えていると思うんですね。
Novel Core:そうですね。正直、ジレンマではありますね。自分の作品なので、セールスのこととかをスタッフさんたちに丸投げするのも「子どもを無責任に野放しにする」みたいな感覚なので、それはしたくないですし。本当に数字とかを全く気にしないところまでにいくためにも、今とにかく頑張るっていう感じですかね。自分が音楽でドッカンと成功して、本当に人間として幸せな状態になってから、「マジ数字どうでもいい」ってデカい声で業界の中で言いまくってやろうと思う(笑)。
—ははははは(笑)。一番かっこいいやつ!
Novel Core:やっぱり前例をドカンと作らないと。今の自分自身がそれを言っていても、ただ単に駄々をこねてるだけに見えちゃうと思うので。実際に業界の中でちゃんと存在感を出して、いわゆる「国民的アーティスト」みたいなところまでいってから、「数字とかどうでもよくね?」みたいなことを平気で言っていきたい。それで次の世代の子たちとかが、そういうことを気にせずにやっていけるようにちょっとでもなったらいいなと思うし。
—そうなったときに「TROUBLE」にまたさらなる説得力が帯びるだろうし。
Novel Core:まさにそうですね。いやあ、本当ね。
―「他のジャンルとのクロスフェード」というポイントに戻ると、リード曲「独創ファンタジスタ」もまさにその象徴ですよね。
Novel Core:そうですね。これは今作で一個突き抜けた感のある曲が欲しくて、プロデューサーのKNOTTさんにお願いしました。フェスとかに出ていったときに、自分のことを知らない人たちに「Novel Coreってこういうやつだ」ってわかってもらえる名刺にもなって、プラス、がっつりロックして帰ってこれるものが欲しいというオファーをさせていただいて。いざ作り始めたら、自分の大好きなヒップホップのテイストもたくさん入っていますし、それにプラスしていろんな世代のいろんな音楽のジャンルを混ぜたみたいな、一言で形容できないようなジャンルの曲ができました。
―1stが、ちょっと意地張りながらも自分で自分を解放していこうとするようなアルバムだったのに対して、今作は聴き手を解放してあげる目線が強くなっているなと感じたんですけど、そういう感覚はありますか?
Novel Core:だいぶ強まりましたね。前作のタイトルトラック「A GREAT FOOL」と今回の「JUST NOISE」が、一番変化がわかりやすいと自分でも思います。歌っているテーマ自体はすごく近いんですよ。でも「A GREAT FOOL」は社会からはみ出たり、完璧でいられない、賢く生きられない自分たちを「俺ら賢く生きられないけど、まぁしょうがないよね」「ああいうカテゴリーにハマれないもん、しょうがない!」みたいな、不貞腐れにも似た感覚で作詞している部分が強かったんですけど。ツアーをまわって、自分と同じようにはみ出ていることに対して不安を抱いたり自分自身を疑ってしまったりしている人たちと向き合うと、自信がついたというか。「あ、俺と同じような感覚の人がこれだけいる」みたいな。100%同じじゃなくても、近しい環境で近しい感覚に陥った人がこれだけいるんだったら、逆にこの人たちを巻き込んで一緒に大きくなりたいな、という感覚が芽生えて。「JUST NOISE」では、たとえ自分たちがノイズだとしても、そのノイズを命綱だと感じる人も絶対にいるから、誰かにとってのノイズだとしても死ぬまでかき鳴らしてやろうっていう。”この街ごと飲み込むぜ”という歌詞もありますけど、それが素直に出てきたのは前作に比べて変化だと思います。
―「BABEL」の歌詞になぞって聞くと、そういう「俺たち」が生きやすい環境や社会って、Coreさんの中でどういうものだとイメージしていますか。
Novel Core:これはずっと一貫したメッセージになっちゃうんですけど、「こうあるべき」が減っていくことかなと僕は思っていて。やっぱり「どうありたいか」で生きていきたい。前作の「WAGAMAMA MONDAIJI」でも歌っているんですけど、学生時代から「こうあるべき」というものにすごく苦しめられてきたし、そこから外れてしまったときにまるで自分が不正解であるかのように感じることが一番しんどかったので。「かっこいい」と「かっこ悪い」があるんだったら、「かっこ悪い」を消して「かっこいい」の種類を2つにした方が絶対にいいと俺は思うし、「正解」と「不正解」があるんだったら「不正解」をなくして「正解」の数を2種類にした方がいいと思う。ありとあらゆる新しいルートを作るためにも自分自身が喜んではみ出なきゃいけないなとも思ったし、自分と同じような感覚にあるファンの人たちや同業者のアーティストの人たちも一緒にはみ出ていこうぜ、ということを宣言する曲に「BABEL」はなっていると思いますね。
―アーティストとしてシーンに対してそれを歌ったのが「TROUBLE」で、より大きな対象に向けて聴き手の生活も巻き込んで歌ったのが「JUST NOISE」や「BABEL」とも言えそうですね。
Novel Core:それこそ日高さんとか自分の先に走っていた人たちが同じようにはみ出ていて、そこで新しい正解を一個増やしたから、それを見て「あ、俺もはみ出していいんだな」と思える感覚があったし、それに自分は救われてきたので。今もし自分自身がはみ出ているとか、マイノリティであるとしたら、それは何か新しい正解を作る可能性を秘めているという感覚に最近はなれたし。そうなるのであれば喜んではみ出ようという感覚があったので。現体制への批判というよりかは、自分自身がトラブルとかエラーになることで正解を増やす、スタンダードを増やす、という所信表明として「TROUBLE」を作った感じでしたね。
—ちなみに、そういった意志を歌うために「BABEL」ではタイトル通り「バベル」をモチーフに選んだのはどうしてですか? 結構ドキッとしたんですけど。
Novel Core:スタッフさんからも「バベルって、ネガティブな言葉で使われること多いけど大丈夫?」って言われたんですけど「大丈夫です! 僕のバベルを作ります」って(笑)。バベルの塔って、天に届く大きな建物を建てようとして、それに神様が激怒してその塔をぶち壊すのと同時に人々を各地に散らばらせる、という神話だと思うんですけど。実現不可能なものの象徴として「バベルの塔」が自分の中にあって。でも逆に、ネガティブな意味として使われる「バベル」という言葉をポジティブな意味として使いたかったというか。
—なるほど。それも「不正解をなくして正解を2つにする」の考え方というか。
Novel Core:そうですね。大風呂敷を広げている部分を、「バベルの塔を自分たちの棲家にしてしまおう」というテーマにしたくてバベルを選びました。
Novel Coreというアーティストの存在理由
―今回のアルバム、とにかく流れがめちゃくちゃいいなと思って。読者には「HAPPY TEARS feat. Aile The Shota」に関しては前回の二人の対談を読んでいただきたいなと思うのですが。曲ごとに向いている世界がどんどん広がっていって、後半では大きな肯定感で包み込む。そういう流れが、素晴らしいですよね。
Novel Core:嬉しいです。でもこれ、自然とこの並びになったんですよ。1曲1曲に向き合って作っていた分、「こういう曲をこういう並びで」ということは考えずに作っていったので。いざ並べてみたら、その時々の感情に沿って書いた分、自分の感情がどういう経験に基づいて変化していったのかもちゃんと曲に表れていましたね。
—どういう順番でできたんですか?
Novel Core:「No Pressure」からスタートして、その後「TROUBLE」を作って、後半の方に「JUST NOISE」「BABEL」とか……抑圧とか自分がはみ出ているという感覚に対する違和感みたいなものを乗り越えて、「いや、逆に喜んではみ出てやろう」という感情の変化が、前半の「TROUBLE」から「JUST NOISE」「BABEL」あたりに出て、それをさらに突き詰めて「もっと突き抜けてやろう」という感覚になったのが「独創ファンタジスタ」や、「No Stylist」のノリもそうだし。そこからどんどん逆に引き算をして、最終的に自分自身は本当に音楽が好きだというところに着地する終わり方だったので。直近5年間くらい自分が考えてきたことがそのままアルバムに1枚になった感じで、だいぶ凝縮された並びになりました。
—では最後に。Novel Coreというアーティストは、なぜそこまで自分の人生を音楽に昇華するのでしょう?
Novel Core:当時の自分自身を救うため。と同時に、当時の自分みたいな人を救うため。その2つですね。これ正直、同じ意味なんですけど。さっき言ったみたいに、はみ出る自分も許容できたり、音楽を諦めずに続けていく理由ができたりしたのは、SKY-HIさんとかが先に走っていたからであって。だから日高さんは僕にとってのヒーローですし、それと同じように、自分自身が当時の自分にとってのヒーローになれるように頑張るしかないという感覚があるので。そのために歌っているという感じですね。
<INFORMATION>
『No Pressure』
Novel Core
B-ME
発売中
1. TROUBLE (Prod. Ryosuke "Dr.R” Sakai)
2. JUST NOISE (Prod. MATZ)
3. BABEL (Prod. KM)
4. No Stylist (Prod. Yosi)
5. 独創ファンタジスタ (Prod. KNOTT)
6. No Pressure (Prod. UTA)
7. HAPPY TEARS feat. Aile The Shota (Prod. Matt Cab)
8. Skit
9. Untitled (Prod. Yuya Kumagai)
配信リンク
https://novelcore.lnk.to/2ndAL_NoPressure
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