1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 音楽

リンダ・リンダズが日本で語る、深い音楽愛とパンクから学んだ大切なこと

Rolling Stone Japan / 2022年8月23日 19時15分

リンダ・リンダズ(Photo by Kana Tarumi)

ついにサマーソニック出演を果たしたリンダ・リンダズ(The Linda Lindas)。8月20日の東京公演、8月21日の大阪公演に登場した4人は、ルシアが歌う「Growing Up」から「リンダリンダ」のカバーまで全14曲を披露し、オーディエンスを大いに沸かせた。そんな彼女たちに、Rolling Stone Japanでは2度目となるインタビューを実施。聞き手は前回に引き続き岡俊彦。

【写真を見る】リンダ・リンダズ、原宿での撮り下ろしフォトギャラリー

初来日が実現した今だからこそ、リンダ・リンダズはブルーハーツだけじゃない!ということを改めて言っておきたい。彼女達は「リンダリンダ」を聴いて楽器を手に取ったわけではない。むしろ大の音楽好きである彼女達に飽くなき探究心があったからこそ、映画『リンダ リンダ リンダ』を介して「リンダリンダ」に辿り着いたのであり、それこそが彼女達の素晴らしさなのではないかと思う。

サマーソニックへの出演においても、X・レイ・スペックスの「Germ Free Adolescence」を出囃子に登場し、「リンダリンダ」のみならずゴーゴーズ「Tonite」のカバーもパワフルな演奏で披露。その姿には深くて実直な音楽愛が溢れていた。ライブ中のMCでは日本で演奏できる喜びをそれぞれ炸裂させていたベラ、エロイーズ、ルシア、ミラの4人。サマソニ大阪のバックステージでは、少年ナイフとの再会も実現(エロイーズとルシアは、2010年9月にLAのアメーバ・ミュージックで行われた少年ナイフのインストアライブを見に行っているのだ)。サマソニ東京出演前日の8月19日、そんなリンダ・リンダズに原宿で話を聞いた。


左からエロイーズ(Ba)、ルシア(Gt)、ミラ(Dr)、ベラ(Gt)
Photo by Kana Tarumi

※8月24日追記:こちらの直筆サイン入りポラロイド写真を1名様にプレゼント。応募詳細は記事末尾にて。


―日本へようこそ。ルシアさんとミラさんのお父さんで、あなた達の1stアルバム『Growing Up』のプロデューサーでもあるカルロスさんはリール・ビッグ・フィッシュのメンバーとして来日したことがあると思いますが、事前に日本について何か言っていましたか?

ベラ:C.C.レモンが美味しいよって言ってた。

ルシア:パパのお気に入りのジュースなんだって。私達も日本で実際に飲んでみて美味しいと思った。あと、日本に来て戸惑ったのは、トイレがアメリカと違うこと。ボタンがやたらと多くて。説明が書いてあるんだけど、日本語は読めないしね。

エロイーズ:私は漢字が少し分かるから、何となく意味を掴むことはできた。


Photo by Kana Tarumi

―これは前回のインタビューが掲載された「Rolling Stone Japan vol.18」です(誌面を見せる)。

ベラ:ありがとうございます(日本語で)。この記事の写真、みんな若く見える。

ルシア:撮影は今年の1月頃だっけ? まだ1年も経ってないのにね。

ベラ:添えられているイラストも素敵!

―前回のインタビューの時に話しましたけど、私の左肩にはマフスのタトゥーが入っているんです。それで、あなた達のアルバムが本当に素晴らしかったので、今度は左腕にリンダ・リンダズのタトゥーを彫ってきました!

全員:えー!???

ベラ:私達のタトゥーを彫ってる人なんて初めて見た(笑)。

―私の左腕にはXのタトゥーもあるんです。リンダ・リンダズ、マフス、X。自分にとってはこれがLAパンクの3大バンドですね。ゴーゴーズもLAパンクの重要バンドだと思いますが、リンダ・リンダズも「Tonite」のカバー・シングルを7月にリリースしたばかりです。あなた達はゴーゴーズからの多大な影響を公言しており、バンド結成当初から彼女達の楽曲は幾つもカバーしてきたとの発言もされています。他にどんなゴーゴーズの曲をカバーしたことがあるんですか?

ミラ:「Our Lips Are Sealed」に「We Got The Beat」。それと「Cool Jerk」も。「This Town」はカバーしようと試したんだけど、上手くいかなかった。

エロイーズ:「Cool Jerk」はゴーゴーズのオリジナルではないじゃん。

―「Cool Jerk」はゴーゴーズのバージョンで初めて知ったんですか?

エロイーズ:そう。しばらく経ってから、あれがカバーだってことを知ったの(1966年にキャピトルズがリリースしたものがオリジナル)。




―ゴーゴーズは、ギタリストのジェーン・ウィードリンが基本的にコードしか弾かない人だから、簡単に演奏できる曲が多いですよね。

ルシア:だから楽器初心者の私達でもカバーできたってわけ(笑)。あと、彼女達がいたからこそ、「女性バンド」というものに対する世間のイメージが変わったと思う。

ベラ:ゴーゴーズ以前はあそこまで成功した女性のバンドはいなかったわけだし。

エロイーズ:楽曲に込められているパワーはどれも凄まじいし、捨て曲なんて一つもない。『Beauty And The Beat』は真の名盤だと思う。

ミラ:ゴーゴーズは歌詞も本当に素晴らしくて、どの楽曲も全く古びていないと思う。今でも現役で活動し続けているのも凄い。心の底からリスペクトしてる。


Photo by Kana Tarumi


Photo by Kana Tarumi

―ゴーゴーズのドラマーのジーナ・ショックと何度か共演もされていますが、彼女とはどういう経緯で知り合ったんですか?

エロイーズ:ジーナの方から私達に会ってみたいって連絡があって、しかも「私と一緒に演奏してみない?」なんて言われたもんだから、こっちとしては「喜んで!」って感じだった。

ルシア:パンデミック後の最初のリンダ・リンダズのライブでそれが実現したの。私達の家族や友達がたくさんいる前で共演できたから、本当に嬉しかった。

―あなた達はLAパンクの末裔といえる存在ですが、他にLAパンクで読者にお勧めしたいアーティストがあれば教えてください。

エロイーズ:スローターハウスとアレイ・キャッツを聴いてみて。超最高だから。

ミラ:アリス・バッグもね!




パンクから学んだ大切なこと

―ゴーゴーズの「Tonite」以外でも、最近Apple TV+のアニメシリーズ『ハリエットはスパイ』に、レイ・チャールズの「Drown In My Own Tears」のカバーを提供していましたよね。他に録音してみたいカバー曲はあったりしますか?

ミラ:以前からカバーしてた曲なんだけど、X・レイ・スペックスの「Germ Free Adolescence」はちゃんと録音しておきたい。

エロイーズ:確かに。ランナウェイズの「Cherry Bomb」も演奏してて楽しい曲だから録音したいよね。

ルシア:私達はもともとカバー・バンドだったからレパートリーは多いの。機会があったらロス・プリシオネロス(チリの音楽シーンにおける最重要アーティストの一つとされているロック・バンド)の「Tren Al Sur」も録音したいと思ってる。





Photo by Kana Tarumi


Photo by Kana Tarumi

―ベラさんは最近高校を卒業されたそうで、おめでとうございます。学校といえば、あなた達が『The Tonight Show Starring Jimmy Fallon』に出演された際に、ミラさんが楽屋で宿題をしている写真を見掛けました。普段は宿題/勉強をしている時にどんな音楽を聴いたりしていますか?

エロイーズ:勉強に集中したいから、音楽を聴くことはないかな。

ミラ:知らない曲だったら全然いいんだけど、知ってる曲だと一緒に歌いたくなっちゃって勉強に集中できなくなる。

エロイーズ:私は知らない曲でも歌詞が気になって全然集中できない(笑)。

ベラ:私は自分の苦手なテクノとかを聴いて、わざと自分にストレスを掛けることはあるかも。「早く勉強を終わらせれば、これから逃れられる!」って(笑)。


Photo by Kana Tarumi


Photo by Kana Tarumi

―では逆に、ムシャクシャしている時にストレス発散で聴きたい音楽は?

ミラ:ゴーゴーズの曲を聴いて飛び跳ねまくればストレス解消できるよ!

エロイーズ:私はブラック・フラッグの『My War』!



―ブラック・フラッグは1stアルバムの『Damaged』は直球のハードコア・パンクだけど、『My War』は少し毛色が違いますよね。

エロイーズ:『My War』はもっとヘヴィでダークなアルバムだからこそ、それに合わせて自分自身も沈み込んでいくことでカタルシスを得られるっていうか。ノリのいいパンク・ロックでただ盛り上がるのとは違う良さがあると思う。


Photo by Kana Tarumi


―そう言われてみると、「Racist, Sexist Boy」のヘヴィなサウンドは『My War』のそれに通じるものがあるようにも思えます。では、そんなあなた達はパンクを通じてどのようなことを学んだと思いますか?

ベラ:パンクのシーンには様々な人がいて、明るいものも暗いものも含めて様々な歴史があって、それがシーンの中で共有されているように感じた。パンク・シーンを支えるコミュニティもあって、パンクに出会ったからこそ私は「自分は一人ぼっちじゃない」と思うことができた。

エロイーズ:私はパンクに出会って、「完璧じゃなくてもいいんだ」と思えるようになった。本当に大切なのは自分自身がやりたいことをやるってこと。人と違っていても構わないの。とにかく行動に移してみる。それがパンクなんだと思う。

「アクシデントがあったりする方が楽しい」

―話は変わりますが、『Growing Up』の裏ジャケットの写真にはハエが写り込んでいます。Photoshopで修正しようなどとは思わなかったのですか?

ベラ:それが、刷り上がるまで誰も気が付かなかったの!(笑) 。色んな人がチェックしていたにも関わらずね。

ルシア:気付いた時にはもう手遅れだったってわけ。だから、あのハエは第5のメンバーの「リンダ」なんだって言い張ってる(笑)。

エロイーズ:まあでも、そういうアクシデントが少しあったりする方が楽しいよね。


Photo by Kana Tarumi


Photo by Kana Tarumi

―他にそういった偶発的な産物はありますか?

エロイーズ:「Growing Up」のMVで猫が赤い帽子を被るシーンがあるでしょ。あれは実際には猫が頭の上に乗せられた帽子をはたき落としただけなんだけど、それを逆回転再生させて使っているの。現場で見て、「逆回転させれば使えるじゃん!」って。

ルシア:MVのラストで私達が崩れ落ちるシーンも、演技じゃなくて、本気で笑ってたからああなっただけ。

ミラ:ライブ中にメンバー同士で振りを合わせたりしてるんだけど、あれも自然発生的なもので。


Photo by Kana Tarumi


Photo by Kana Tarumi

―ライブの時にエロイーズさんは猫のヒゲのような3本線を頬にメイクしていますよね。

エロイーズ:私は猫が好きだから、小さい頃によく猫のヒゲを真似て頰に3本線を書いてたんだけど、最近それを思い出して。「やっちゃいけない理由なんてないよね」と思ってまたやるようになった。


Photo by Kana Tarumi


Photo by Kana Tarumi

―もう2ndアルバムの予定はあったりしますか?

エロイーズ:まだ『Growing Up』のツアーで忙しくて全く取り掛かってはいないんだけど、意欲だけはある!

ルシア:みんなで顔を突き合わせながら曲を書きたいから、取り掛かるとしたら今度の冬休みからかな。


【関連記事】リンダ・リンダズが語る音楽的ルーツと4人の成長、ブルーハーツと日本への想い


Photo by Kana Tarumi



ザ・リンダ・リンダズ
『Growing Up』
発売中
視聴・購入:https://silentlink.co.jp/growingup09


【読者プレゼント】
リンダ・リンダズ直筆サイン入りポラロイド写真

Rolling Stone Japan読者1名様にプレゼントいたします。



◎応募方法
1)Twitterで「@rollingstonejp」「@SilentradeMusic」をフォロー。
2)ご自身のアカウントで、下掲のツイートをRT。

〆切:2022年8月30日(火)23時59分
※当選者には応募〆切後、「@SilentradeMusic」より後日DMでご案内の連絡をいたします。

【フォロー&RTで応募】
リンダ・リンダズ来日インタビューが公開

▼日本で語る、深い音楽愛とパンクから学んだ大切なことhttps://t.co/bBJsJoYIld

◎直筆サイン入りポラロイド写真をプレゼント

1)当アカウントと「@SilentradeMusic」をフォロー
2)このツイートをRT
※詳細は記事末尾をチェック https://t.co/etbFgsJ58Q pic.twitter.com/eIq3E8xack — Rolling Stone Japan (@rollingstonejp) August 24, 2022

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください