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ザ・ストラッツが語る新境地、サマソニの達成感、日本でポスト・マローンと飲み明かした夜

Rolling Stone Japan / 2022年8月30日 17時45分

ザ・ストラッツ(Photo by Carsten Windhorst)

グラマラスなロックの魅力を現代に蘇らせ、たちまち人気バンドの仲間入りを果たしたイギリスの4人組、ザ・ストラッツ(The Struts)。カリスマチックなフロントマンを擁する彼らが世界中のロック・ファンからどれだけ期待されているか、それはローリング・ストーンズ、ガンズ・アンド・ローゼズ、ザ・フー、フー・ファイターズといったビッグネームのオープニング・アクトを務めてきた経歴が物語っているが、その彼らが3年ぶりにサマーソニックに帰還。2020年に予定されていた2度目の単独来日公演が延期を経て、中止になっているだけにこの日を待っていたというファンも多かったに違いない。

バンドとファンの交歓が実現したストラッツのライブ・パフォーマンスは、まさにアンセミックという言葉がふさわしいものだったが、彼らは8月19日に配信リリースしたばかりの新曲「Fallin With Me」も早速、披露。曲が持つダンサブルでキャッチーな魅力を考えれば、新曲とは思えない観客の盛り上がりも頷けるが、なんでもバンドの新たなチャレンジも印象づけたその「Fallin With Me」は、現在の拠点であるロサンゼルスではなく、新天地ナッシュビルで作り始めた新しいアルバムの布石にもなり得る会心の1曲なのだそうだ。

サマーソニック東京公演の翌日、メンバー全員が参加したインタビューから読み取れるのは、結成から10年、ファンやシーンの期待だけに応えるだけでは飽き足らずに変化を求めはじめたバンドの新境地だ。


©SUMMER SONIC All Copyrights Reserved.


―4度目の出演となるサマーソニックの感想からまず聞かせてください。

ルーク・スピラー(Vo):世界有数のロック・フェスに3年ぶりに戻ってこられたんだからね。ファンに再会できたこともうれしかったし、新しい出会いもあったし、もううれしいことばかりだったよ。あいかわらず暑かったけどね(笑)。

ゲシン・デイヴィス(Dr):日本に来るたび思うことだけど、今回は3年ぶりということもあって、「戻ってきたぞ!」っていう特にスペシャルな感じがあった。ファンからもそれは感じられたんだ。みんな、マスクをしていたけど、マスクの下が笑顔だってことはステージから見てもわかったよ。

ジェド・エリオット(Ba):これまでは東京、大阪って順番だったんだけど、今回は大阪、東京だったんだよね。大阪はお気に入りの場所が多いんだ。そこでファンとの交流を楽しんで、そのエネルギーを大阪のステージにぶつけたよ。東京は、より大きなスタジアムのステージだったから、それも楽しかった。

アダム・スラック(Gt):そうだね、大きなステージだと動き回れるからね。それにフェスっていろいろなアーティストに会えるだろ? ちょっと飲み過ぎたけど、とりあえずまだ生きてるからさ(笑)。それも含め、楽しんだよ。

―アダムはステージでジャケットを着ていたけど、暑くなかったんですか?

アダム:ジャケットの中は何も着てなかったからなんとかね。でも、自分達のステージが終わる頃には汗で色が変わってたけどね(笑)。

ジェド:アダムはファッショニスタだからね!(笑)

―ちょっと飲み過ぎたと言っていましたけど、誰と飲んだんですか?

ルーク:ポスト・マローンだよ。

―それは意外な組み合わせですね。

ルーク:カーテン1枚で仕切られた大阪の楽屋の隣がポスト・マローンでさ、俺達が自分達のステージが終わって、楽屋でダラダラしてたら、カーテンの隙間から顔だけ出して、「ビアポンやろう」って言ってきたんだ(笑)。結局、その時、ビアポンはできなかったんだけど、昨夜、渋谷のクラブでたまたま鉢合わせして、朝の4時まで飲み明かしたんだ。

ジェド:今回、日本で初めてハイボールを飲んだんだけど、新たなお気に入りになったよ。ありがとう、日本!(笑)

影響源は元カノ? 新曲の制作背景

―ところで、サマーソニックのステージでは早速、サマーソニックの前日に配信リリースした新曲「Fallin With Me」も披露していましたが、新曲とは思えないくらい観客の反応も良かったですね。

ルーク:1カ月ぐらい前のUKツアーで初披露したんだけど、いきなり観客が♪Oh-oh-oh-oh-oh-oh-oh-ohってシンガロングしながら飛び跳ねたんだ。新曲でそこまですぐに観客と1つになれる曲はなかったから、ちょっとびっくりしたよ。

―でも、そうなることを狙っていたんですよね?

ルーク:もちろん、狙ってはいたけど、曲って出してみないとわからないところがあるからね。自分達では「これなら絶対、気に入ってもらえるぜ!」と思っても、それほどでもない時もある。

ゲシン:「People」のように思っていたほど盛り上がらなかった曲もあるからね(笑)。

ルーク:そう。何がその曲をマジカルなものにするのか、そればかりはわからないんだけど、「Fallin With Me」は予想を上回る反応だったんだ。2020年に『Strange Days』をリリースした時はコロナ禍のせいでツアーができなかったから、新曲を観客の前で演奏するってことがそもそも久しぶりだったから、うれしかったし、新鮮だったんだ。

ゲシン:やっぱり、新しい曲がセトリに加わるってうれしいよね。「Fallin With Me」は演奏していても楽しい曲だしね。

―アダムとジェドは、この曲のどんなところが気に入ってますか?

アダム:断然、リード・ギターのフレーズだね。俺が考えたんだ(笑)。あと、ルークの声のトーンも今までちょっと違っていておもしろいと思う。少しダークなサウンドも好きだな。

ジェド:これまでの曲と比べて、前を向いていると言うか、カッティングエッジな曲だと思うんだ。新境地を開拓したと言えるんじゃないかな。ストラッツはアンセミックな曲で知られているけど、「Fallin With Me」は安全牌を選ばずに、そうじゃないところに踏み込んでいった。「この次、ストラッツはどんな曲を作るんだろう⁉」ってファンに期待させると思うし、同時に新しいファン層も開拓できるんじゃないかな。



―たぶん、「Fallin With Me」は、新曲をたくさん作っている中の1曲だったんじゃないかと思うのですが。

ルーク:そう。2月ぐらいからナッシュビルで新しいアルバムのための曲作りをしているんだ。その中でできた曲だよ。コロナ禍になる前につきあっていた彼女のことを曲にしたんだ。彼女とはいつも(ロサンゼルスの)サンセット・ストリップにあるバー、レインボーで待ち合わせしていて(歌詞には”Meet at the rainbow 9:45”というフレーズがある)、その時の会話や、ちょっとしたジョークが歌詞のアイデアになっているんだけど、さっき言っていたアダムが考えた一風変わったリフを基にプロデューサーのジェイソン・デズジーオといろいろなことを試しているうちに、サビの♪fa-fa-fa-fa-fa-fa- fa-fa-fa-fa-fa-faというフレーズができて、そこからは一気に4~50分で曲が完成してしまった。歌詞だけ見ると、ラブソングに思えるけど、曲と1つになることで、それだけにとどまらないユニークなものになったという気はしている。ちょっとしたマジックが曲の中に封じ込められたんじゃないかな。

―その彼女とはもう別れちゃったんですか?

ルーク:ははは。残念ながらね。俺達のいろいろな曲のインスピレーションになっていることを考えると、ミューズのような存在だったんだと思う。感謝しているよ。

ジェド:この記事を彼女が読んでくれたらいいね(笑)。どれだけルークにとって大きな存在だったかがわかってもらえると思うんだ。

ゲシン:彼女側のストーリーも取材してもらったらおもしろいんじゃない?(笑)

日本に捧げた「スペシャル感」、新天地ナッシュビル

―そんな「Fallin With Me」をシングルとして配信リリースしようと考えたのは、やはりこれまでとはちょっと違うタイプの曲ということが大きかったんですか?

ルーク:そうだね。これまでストラッツに求められるのは、どうしてもちょっと懐古的なものだったんだけど、そのワンパターンに縛られたくなかったんだ。それで、みんなを不思議の国のアリスの兎の穴に誘うみたいに別世界に連れていって、そこに何があるのか一緒に見たいと思ったんだ。

―新しいアルバムのための曲作りでは、「Fallin With Me」以外にも新しいタイプの曲が生まれているんですか?

ルーク:もちろん! 俺達は聴く人の気持ちがアガるよう曲を作りたいんだ。ストラッツの音楽は、いい意味で逃避になっていると思うんだよ。どんなに最悪な気分だったとしても、俺達の音楽を聴けば、最高の気分になれる。常にそういう曲を作りたい。その気持ちは変わらないというか、プロダクションも含め、そういう要素をさらに高められるような曲を作りたいと思って、これまでよりも冒険している。いろいろな部分で、意識的にやったことがあって、たとえば今回、「Fallin With Me」を来日中にリリースしたのは、せっかく久しぶりに日本に戻ってきたんだから、スペシャル感を出したかったからだったんだ。これまでの3枚のアルバムと、これから出る4枚目のアルバムに何か違いがあるとしたら、そんなふうに意図や意識の下、しっかりとした狙いがあるってところかもしれない。その中核となるのが「Fallin With Me」なんだ。

―これまでよりも冒険しているとおっしゃっていましたが、みなさんが聴く音楽も変わりましたか?

ルーク:かなり変わったよ。フランツ・フェルディナンド、カイザー・チーフス、ハイヴスといった俺達がバンドを始めた13、4歳の頃、ラジオで成功していたバンドを改めて聴いているよ。ある意味、最後のUKロックの黄金期のバンドだよね。ハイヴスはスウェーデンのバンドだけどね。彼らからものすごい影響を受けたってわけじゃないけど、あれから15年ぐらい経った今、その良さを再認識しているんだ。もしかしたら、その影響がこれから作るアルバムには出るかもしれないね。

―ところで、「Fallin With Me」のビデオで、みなさんが演奏しているプール付きの家はどこなんですか?(笑)

ルーク:アダムとゲシンが住んでいる家だよ。でも、あれはオフィシャルのMVじゃないんだよ。オフィシャルのMVはこれから発表されるんだけど、俺達のビデオや映像コンテンツを作ってくれてるブライソン・ローチが「新しいカメラを試したいから」と言って、ワンカットで撮ってくれたんだ。

―ワンカットで撮影するためのリハーサルはかなり大変だったんじゃないですか?

ジェド:いや、ノリで撮ったようなものだから、全然そんなことはなかったよ。そんなにたいしたものにならないだろうと高を括ってたんだけど、出来上がりを見たら、すごく良かったから発表することにしたんだ。



―今回、ナッシュビルで曲作りをしているのは、ナッシュビルを拠点としているビッグ・マシン・レーベル・グループと今年3月に新たに契約したことと関係があるんですか?

ルーク:その通りだよ。この時代にインタースコープというロック・シーンを代表するレーベルから3枚もアルバムをリリースできたことを、俺達は誇りに思っている。途中で契約を切られたり、バンドが解散したり、なかなかそこまでできないと思うんだよ。でも、俺達はビッグ・マシンと手を組んで、新たな道を歩み始めた。ビッグ・マシンの設立者、スコット・ボーシェッタと俺達は目指すものが一緒なんだ。良い意味で、勝ちに行くと言うか、共に成功したいという野心を持っているというところで意気投合したんだよ。

―ビッグ・マシンと言うと、もう離れてしまいましたが、テイラー・スウィフトをはじめ、ポップスやカントリーのカラーが強いと思うのですが、そこは気にならなかったですか?

ジェド:俺達がビッグ・マシンで一番のロック・バンドになるよ(笑)。

アダム:でも、スタークローラーとか、ロック・バンドとも契約しはじめているんだ。

ルーク:バッド・フラワーとかね。新たな方向に力を入れ始はじめたんだ。そこで貢献できるんじゃないかと思っているよ。

―ナッシュビルはいかがですか? ロサンゼルスとはまた違う刺激もあるのではないですか。

ゲシン:ナッシュビルはクレイジーだよ! どのバーに行っても、みんなすごい演奏をしているんだからね。たまに圧倒されちゃうこともあるけど、その分、すごいインスピレーショになっているよ。

―新しいアルバム、楽しみに待っています。いつ頃リリースしたいと今の時点で考えていますか?

ルーク:できるだけ早く出したいよ。ただ、テイラー・ホーキンスの追悼コンサートにボーカリストとして出演させてもらうことになっているんだけど、それのリハーサルにけっこう時間を取られてしまいそうなんだ。本格的にアルバムの制作を始められるのは、それが終わってからになりそうだから、来年の春にはリリースできたらいいなと考えているんだけどね。



ザ・ストラッツ
「Fallin With Me」
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