milet×クーラ・シェイカー対談 「世界一好きなヒーロー」とサマソニの夢共演を振り返る
Rolling Stone Japan / 2022年10月17日 18時0分
サマーソニックでの共演も話題を集めた、miletとクリスピアン・ミルズ(クーラ・シェイカー)の対談がここに実現。日本で交流を深めた2人がたっぷり語り合った。
【画像を見る】milet×クリスピアン・ミルズ取り下ろし写真(全7点)
miletはデビュー当初から、クーラ・シェイカー(Kula Shaker)の大ファンであることを公言。今年5月掲載のインタビューでも、サマーソニックについて尋ねると満面の笑みを浮かべ、憧れのバンドと同じ日・同じステージに立つことに興奮を抑えきれない様子だった。
ついに迎えた8月21日、MOUNTAIN STAGEに出演したmiletは、このあと登場するクーラ・シェイカーについて「世界一好きなバンド、絶対に観たほうがいい」とMCで力説。1995年にメジャーデビューしたベテランバンドのライブに、若い観客がたくさん詰めかけていたのは、この熱のこもったレコメンドも大きかったはずだ。そして、クーラ・シェイカーはデビュー作『K』から、代表曲の「Hey Dude」をいきなりプレイ。その後もサイケデリックなロックサウンドで盛り上げ、ラスト前の「Hush」でボルテージは最高潮に達した。
ここで中心人物のクリスピアン・ミルズが「最後に特別なゲストをステージに紹介したい」と告げると、miletがタンバリン片手に登場し、「Govinda」でデュエットが実現。「緊張と喜びに溢れすぎていた」というmiletがバンドとのパフォーマンスをやり遂げ、メンバーたちと抱擁を交わすと、フロア中が温かい拍手に包まれた。今回の共演はクーラ・シェイカー側からのオファーで実現したもの。愛を叫び続けたら想いは届くことが証明された瞬間でもあった。
この出会いを祝福すべく、Rolling Stone Japanは両者の対談を企画。サマソニ共演直後の幕張メッセにて撮影を行い、インタビューは9月下旬にZoomで収録した(以下のテキストは、2人が英語で話したのを翻訳・構成したもの)。「今もまだ夢の中にいるような感覚」と語るmiletと、憧れのヒーローの会話を余すことなくお伝えする。
Photo by Kana Tarumi
milet:その後、肋骨は大丈夫そうですか?
クリスピアン:そうそう、(来日前に)実は怪我をしていたんだ。徐々に回復していたんだけど、サマーソニックの2日目(東京公演)にまた折れてしまって。
milet:本当ですか!?
クリスピアン:「Tattva」のときにギターを大きくスウィングしたら、その勢いで地面に倒れてしまって。「このまましばらく寝転がってようかな」なんて思ったりもした。なんか演劇っぽいしさ。でも実際には、他のメンバーが心配しながら集まってしまった(笑)。まあ、ライブを盛り上げるうえで、多少の痛みはエンドルフィンが分泌されるからよかったのかもしれない。
milet:(笑)
クリスピアン:初日の大阪は、雨が降っていたよね。濡れた砂から湿気が空気中に広がっていて。あまりの湿気に、僕らは汗だくで死にそうだった。イギリス人にこの気候は耐えられない、次回はもっとトレーニングしてこなければと思ったよ(笑)。でも楽屋に戻ったら、日本のバンドが汗だくで青白い顔をしていて、それを見たら少し気が楽になった。僕らだけじゃないんだなって(笑)。ともあれ楽しかったよ!
milet:最初にお会いできた時は……もう現実の世界とは思えなかったです。とにかく何も考えられませんでした。ずっとあなたの大ファンで、毎日あなたの音楽を聴いてきたので。一緒に歌えたというのは本当にクレイジーな出来事でしたし、あまりにも緊張しすぎて、何が起こったのか覚えてないくらい。夢のような時間でした。終わってから現実に戻りましたが、(今こうして話しているのは)また夢を見ているような気分です。
クーラ・シェイカー×milet、サマーソニック2022にて
クリスピアン:僕は音楽を始めた頃から、他のミュージシャンたちと共演してみたかったんだ。ゲストとかフィーチャリングといった形で、クロスオーバーな共演ができる日を心待ちにしていた。でも実際は、プロになってからそこまで共演する機会がなくて、残念に思っていたんだ。ちなみに、最初にコラボしようと言ってきてくれたのはプロディジーだったね(1997年作『The Fat of the Land』収録の「Narayan」を共作)。
フェスティバルというのは、いろんなバンドやアーティストが同じ場所に集うわけだから、一緒に過ごすうえでも絶好のタイミングだよね。色々な国からやってきた人たちが出会い、お互いのステージで客演したりするのは素晴らしいことだと思う。僕らとしても、君とこうして出会えたのは嬉しかった。日本に戻ってきて、初めての人たちと新しい経験をすることができてよかったよ。サマーソニックに出演するのも初めてだったし、デュエットもしたことがなかったから。
milet:そんなふうに仰っていただけて嬉しいです。クーラ・シェイカーはみんなやさしくて、私を温かく迎えてくれましたよね。あまりにも親切だったので驚きました。
クリスピアン:ステージに立つ人間というのは、みんな仲間意識があると思う。お互いにリスペクトし合っているというか。人前に出るのは恐怖心を伴うものだから、普段の自分とは違う人間にならないとできないんだよ。ボビー・ギレスピー(プライマル・スクリーム:サマソニで同じ日に出演)のライブも観たけど、普段のボビーとステージ上のボビーはまったく違う。そうやって切り替えないとおかしくなってしまうから。
milet:そうですよね。
Photo by Kana Tarumi
クリスピアン:君はステージに上がるとき、興奮みたいなものを感じたりする?
milet:はい、感じます。あのときも超興奮しました!
クリスピアン:ときにはライブで盛り上がりすぎて、何が起きたのか全く覚えていないことがある。それが大事だったりするんだよね。その瞬間を感じ取り、今という瞬間をしっかり生きているからそうなるわけで。それって人生も一緒だよね。そんなふうにグラウンディング(地に足をついて「今ここにいる」のを感じること)できれば、いいパフォーマンスにもつながると思うんだ。
milet:私は(緊張すると)いつも目の前が暗くなってしまうんです。「Govinda」を一緒に歌わせていただくときにそうならないよう、自分の曲以上にすごく練習してステージに臨みました。今回は全くリハーサルがなかったから、すごく緊張しましたね。普段はイヤモニを着けているんですが、この日はイヤモニなしで、ステージにただ放り込まれた感じだったから、自分の声が全く聞こえなかったんです。でも、あなたの笑顔が目に入ってきたので「これで大丈夫なんだ」と思えて安心しました。
クリスピアン:君がステージに上がってきたとき、ドラムのポール(・ウィンターハート)のほうを見たら、彼は笑顔を浮かべていた。おそらくこう言いたかったんだと思う。「miletはきっと、こんなにデカい音のバンドで歌ったことないよね」って(笑)。僕らはギグをするとき、最初は節度のある音量で始めるんだけど、後半になってくるとだんだん音量が大きくなるんだ。あのときは最後の曲だったから、一番大きい音量になっていたんじゃないかな。嵐のなかに入ってくるような状況だったと思うよ。
milet:そうだったんですか(笑)。
クリスピアン:でも、あとでそのときの録音を聴いてみたんだけど、君の歌声は素晴らしかったよ。(オリジナルの「Govinda」と)違う雰囲気になって、とてもいいパフォーマンスだった。
milet:わー、よかった!
2人を繋いだ楽曲「Govinda」について
クリスピアン:miletはライブへの集中力を高めて、グラウンディングするために何をやっている?
milet:心を落ち着かせて、自分はOKだと信じるようにしています。一緒に演奏してくれるミュージシャンも、みんなファミリーだから大丈夫って。あとは、大きなバランスボールを使ってトレーニングしたり、お茶にマヌカハニーを入れたり。ただ、お茶を飲んでも緊張するときはするので、そのときは深呼吸しています。
Photo by Kana Tarumi
クリスピアン:なるほど。僕は自分の声がよく出るように、喉をしっかり温めるようにしている。お茶、蜂蜜、生姜などを摂取することでね。だからライブの前に、いつもティー・セレモニーを開いているんだ。お茶を必要としていなくても、お茶をいれるという行為が集中することにつながるから。
自分がまだ若い頃、パリでギグをやったとき、ヴァル・キルマーが楽屋を訪れてくれた。『トップ・ガン』に出演していて、映画『ドアーズ』でジム・モリソン役を演じた俳優だ。彼はライブ前の楽屋を訪れたとき、ビールとかアルコールが散乱している光景を想像していたみたいで、僕らがお茶をいれていたから驚いていた(笑)。マントラを歌ったことはあったの?
milet:いえ、まったくなかったです。ヨガは以前やってましたが。
クリスピアン:じゃあ、マントラをオーディエンスの前で歌ったのは(サマソニでの「Govinda」が)初めてだったんだね。
milet:はい。
クリスピアン:マントラは僕にとって、とてもパワフルな体験なんだ。これらの歌は古くからあるもので、非常にスピリチュアルでもある。インド発祥のものでも、その他の国から発信されているものであっても、その歌は大地に属していて、あらゆる人々のものなんだ。集会ではパフォーマーが歌って、オーディエンスもそれに合わせて歌い、コール&レスポンスが繰り返される。つまり、曲のヴァースごとにパフォーマーとオーディエンスが入れ替わるんだ。だから、オーディエンスがステージに上がってもいいし、僕らパフォーマーがオーディエンス側に移ってもいい。そんなふうに役割が入れ替わることで、体験が共有という形に変わっていく。そこがいつも素晴らしいと思う。
特に「Govinda」を歌う時は、僕自身もオーディエンスの一部になったような気分になるんだ。そのときの僕は、全体をコントロールしている舞台監督……というより、お互いにエンジョイしているような感じかな。
milet:特別な体験ですよね。だからこの曲は、いつも私を宇宙に連れていってくれる。「Govinda」を聴いたり歌ったりすると、自分の身体とマインドの強いつながりみたいなものを感じられるんです。
クリスピアン:「Govinda」は最初にバンドとして演奏した曲で、僕らのファースト・ギグは、1993年のグラストンベリー・フェスだった。当時はまだ18、19歳の若造で、フェスのチケットも持っていなかったから、メンバー全員で誰かのフードトラックに楽器を積んで忍び込み、それでどうにかフェスに紛れ込むことができた(笑)。
milet:えーっ!?(笑)
クリスピアン:そこでは、ハレ・クリシュナの信者たちがべジタリアン・フードをステージで配り、彼らのマントラを歌っていた。だから、僕らは信者たちのところへ行き、「マントラを演奏するよ、僕らが君たちのバンドになるから」と伝えて、「Govinda」を演奏したんだ。それ以来ずっとプレイしている。僕らにとって特別な曲なんだ。だから日本で、君と一緒にパフォーマンスすることができてよかったよ。
milet→クリスピアンの質問タイム
milet:私があなたの音楽と出会ったのは、小学生くらいだったと思います。いじめられたりして自分の人生がつまらなく思えてきて、やる気や意欲を失っていた時期があって。その頃、母がよくドライブに連れていってくれたんです。それである日、車のラジオからクーラ・シェイカーの「Hush」が流れてきて。「この曲なに、すごい、大好き!」と衝撃を受けたんです。それで帰宅してから、インターネットで検索して、YouTubeでビデオもチェックして……。
クリスピアン:(やさしい表情で微笑む)
milet:ライブも3回観たことがあります。そのときも(客席で)一緒に「Govinda」を歌ってました。大阪と東京のサマーソニックでも観たので、全部で5回ですね。
クリスピアン:miletは音楽的な趣向が幅広いよね。いつ頃から音楽を始めたの?
milet:18歳くらいのときですね。親友がギターを弾いていて、彼が弾き方を教えてくれたんです。それでギターをプレイするようになり、それから歌も歌い始めて。その前はフルートをずっとやってました。もともと父の影響でクラシック音楽は大好きでしたが、ロックはそんなに知らなかったんです。自分で歌うようになり、そこからロックも好きになったという感じですね。
クリスピアン:「Hush」がそういう音楽を好きになるきっかけになったのかな?
milet:そうだと思います、今まで歌ったことがないようなジャンルだったので。ある意味、クラシック以外で初めて聴いた音楽がクーラ・シェイカーだったんです。最初にクリスピアンさんの歌を聴いたときは、まるで魔法みたいでした。私を宇宙に連れていってくれる。その感覚がものすごく好きなんです。
クリスピアン:素敵なストーリーを共有してくれてありがとう。フルートといえば以前、ハリプラサド・チャウラシア(Hariprasad Chaurasia)というインドの素晴らしいフルート奏者と一緒にプレイしたことがある。2ndアルバムの『Peasants, Pigs & Astronauts』に参加してもらったんだ。あの作品には、インドの伝統的なフルート(バーンスリー)がたくさん入っている。
milet:そうでしたね!
クリスピアン:僕が最初に行ったインド音楽のコンサートがハリプラサド・チャウラシアだった。ステージの左右にタブラがあって、その真ん中にハリプラサドがいて、タブラがせめぎ合うのを縫うようにフルートを吹くんだ。とてつもないスピード感があった。僕の人生を変えてくれたライブの一つだね。
その話でいうと、イギリスのメディチ弦楽四重奏団が、ワジャハト・カーン(Wajahat Khan)というサロード奏者とコラボしたのを観たことがある。西洋のプレイヤーたちは椅子に座って、まるで地面に括り付けられているように映った。彼らは世界でも指折りのプレイヤーだけど、どこか固いんだよね。かたやインドのプレイヤーは、シルクを纏いながら流れるように動くんだ。ものすごく自由な感じがした。西洋のクラシック音楽は即興をあまり許さない世界だと思うけど、東洋のクラシック音楽は流動的で、生で体験するべきもののような気がする。ハリプラサド・チャウラシアも、機会があったらチェックしてみてほしい。
milet:聴いてみます!
Photo by Kana Tarumi
milet:実は今日のために、質問をたくさん用意してきたんです。Q&Aコーナーを始めてもいいですか?
クリスピアン:もちろん。
milet:あなたはロックスターでもあるのと同時に、映画監督でもありますよね。好きな映画は何ですか?
クリスピアン:僕が子供の頃に作られた、『バンデットQ』(原題:Time Bandits、1981年)という作品がある。ある小人のグループが人間の男の子を連れて、タイムトラベルしながら色々なものを奪っていくんだ。劇中ではナポレオンからロビン・フッドまで、いろんな有名人が登場する。『モンティ・パイソン』のコメディ・チームが脚本を書いていて(監督はテリー・ギリアム)、ジョージ・ハリスンが主題歌とプロデュースに携わっている。若いときに見て、それからずっと頭から離れないんだよね。全てが素晴らしい。
milet:チェックします! 次の質問です。いつも朝食は何を食べるんですか?
クリスピアン:ポリッジかな。
milet:イギリス人っぽいですね(笑)。
クリスピアン:そう、スコットランドのオートミールのお粥。それが僕の身体を作っているんだ。
milet:ポリッジだけですか?
クリスピアン:基本的にはそれだけだね。あとはコーヒーかな。
milet:紅茶ではなく、コーヒーなんですか?
クリスピアン:まずは朝、目覚めるのに紅茶を飲んで、ポリッジを食べて、それからコーヒーかな。それから動き始める。
milet:紅茶、ポリッジ、コーヒーですね。私もやってみます! では、好きな日本食は?
クリスピアン:(しばらく考え込んで)蕎麦かな。
milet:私も大好きです! あなたが最も恐れていることは?
クリスピアン:ロックダウンのあいだはライブができなかったから、数年間のブランクを挟んで、それからライブ活動を再開しようとなったときは、徐々に不安が沸き起こってきた。さっきも話したように、ステージに上がるのは恐れを伴うことだと僕は思っているから。一度ステージに立てば大丈夫になるんだけど、またしばらく時間が空いたりすると不安になってしまう。本番の1週間くらい前になると、神経が高ぶって眠れなくなるんだ。
Photo by Kana Tarumi
milet:イギリスで行くべきお勧めの場所はどこでしょう?
クリスピアン:都会と田舎、両方見るべきところがあると思う。もし都会が好きなら、ロンドン、グラスゴー、スコットランドには歴史的な場所がたくさんあるけど、個人的には田舎のほうが好きだな。クーラ・シェイカーの歴史を追いたいのであれば、グラストンベリーに行くべきだよ。僕らが演奏し始めたところだから。
milet:ぜひ行ってみたいです!
クリスピアン:グラストンベリーの歴史はとても興味深いんだよね。イングランド最古の宗教遺跡とか、1000年以上も昔から存在するものがいっぱいあるから。スピリチュアルなコミュニティが昔から盛んで、ヒッピーもたくさんいる。ベジタリアン向けのサモサやお寿司が買えるところもあるよ(笑)。グラストンベリー・フェスは、この街から5分くらいのところで開催されるんだ。他とはちょっと違う世界を見ることができると思う。
クーラ・シェイカーが新作で掘り下げた「愛」
milet:ニューアルバムについても質問させてください。作品に込められたメッセージが興味深く、特に「The Once & Future Kings」のシンプルながらも力強い歌詞に感銘を受けました。『1st Congregational Church Of Eternal Love And Free Hugs』という長いタイトルですが、作品全体のコンセプトは何でしょう?
クリスピアン:”Congregation”という言葉が好きでね。「一堂に会す、集まる」という意味なんだけど、自分としてはオーディエンスのことも念頭に置いている。クーラ・シェイカーによるすべてのコンサートが”Congregation”であり、ハートとマインドが合わさるためのミーティングなんだ。ただのロックのライブではなく、それ以上の意味がある。ここ数年、世の中の出来事が人々を分断させていくなかで、愛や音楽には、僕たちを団結させるヒーリング・パワーがあると思う。このアルバムの収録曲では、そういうポジティブなメッセージを語っているつもりだ。
僕らのアルバムを目をつぶりながら聴くと、何かが見えてくるときがあると思うんだ。嵐が起こっていたり、教会の集会があったり、『モンティ・パイソン』の古いスケッチみたいなものだったり。心のなかで見えるミニ・ムービーみたいなもの、とても視覚的な体験なんだ。だからこそ、アートワークがとても重要になってくる。イメージみたいなものを脳に与えることで、一つのスタート地点を与えることができるからね。僕らは初期の頃からずっと、こういう発想で音楽を作ってきた。『K』もある意味、ミニ・フィルムみたいなものだよね。
『1st Congregational Church Of Eternal Love And Free Hugs』アートワーク
milet:だからクーラ・シェイカーの曲は、想像力を喚起してくれるんですね。(アルバムのジャケットを手にとって)今回のアートワークも素敵です。いろんな要素が盛り込まれていますよね。
クリスピアン:そこ(アートワークの右側中央)にグラストンベリー・トーが描かれているでしょ?
milet:そうですね。他にも白い象(アイラーヴァタ)がいて、天使がいて、悪魔がいて。「After The Fall (Part 1)」の歌詞にはルシファー(キリスト教におけるサタンの別名)も出てきます。仏教、ヒンドゥー教、キリスト教が混在しているようですが、宗教的な観点から、このアルバムの世界をどのように見ているのか教えてもらえますか?
クリスピアン:白い象はラクシュミー(ヒンドゥー教の女神、美と富と豊穣と幸運を司る)が所有しているもので、金貨が溢れているのは「富」を表現している。これは調和を保つことと、成功することのつながりを表しているんだ。
自分と周りの世界との調和が保たれると、人生のあらゆる物事がうまくフローしていくようになり、それによって自然に成功を収めていく。そこから多くの豊かさが生まれ、その豊かさから「富」が生まれる。お金も自分に必要な分だけを得ることができる。自分のなかで調和が保たれていれば、欲張ったりすることもなくなるから、ビル・ゲイツのようなお金持ちになれなくてもハッピーでいられる。
それから、ルシファーは「恐怖」を表している。自分のスピリチュアルな部分と繋がっていれば「恐怖」もなくなるんだ。何よりも最悪なこと、すなわち「死」の恐怖もなくなる。魂というものは永遠だから、歳を取ることも心配しなくていい。
そして、あらゆる宗教の教えは「愛」という道に通じている。それぞれの宗教にいろんな教えがあるけど、僕が一番好きなのは「愛が目標」という解釈だね。仏教には「自我をなくすことが苦しみの消滅にほかならない」という教えもあるけど、僕としては賛同できない。それよりは、「純粋な自我に立ち返らなければならない」というほうが好きだ。純粋な自我というのは、すなわち「愛」のこと。そういうシンプルな解釈が気に入っている。
Photo by Kana Tarumi
milet:最後の質問です。私を含めた日本中のファンが、またクーラ・シェイカーに会える日を待ち望んでいます。次の来日はいつになりそうですか?
クリスピアン:クーラ・シェイカーの場合、リリースやツアーの間隔がいつも空いてしまう。理由は二つあって、僕が映画を作ったりしているのと、レコードの制作に時間をかけたいから。でも最近は、僕らが若くてポップスターだった頃のマネージャーとまた仕事するようになって、新しいアルバムを結構早いペースで作っているんだ。だから日本にも、そう遠くないうちに行けると思う。
milet:わーい!
クリスピアン:そのときはまた連絡を取り合おう。日本で行くべきところを紹介してほしい。君がイギリスに来たら、グラストンベリーを案内するよ。
milet:やったー、今から待ち遠しいです!
milet
「Final Call」
木村文乃主演映画『七人の秘書 THE MOVIE』主題歌
再生・購入:https://milet.lnk.to/FinalCall
「milet livehouse tour 2022 ”UNZEPP”」
2022年10月14日(金)神奈川県・KT Zepp Yokohama
2022年10月22日(土)福岡県・Zepp Fukuoka
2022年11月4日(金)北海道・Zepp Sapporo
2022年11月10日(木)愛知県・Zepp Nagoya
2022年11月11日(金)愛知県・Zepp Nagoya
2022年11月17日(木)大阪府・Zepp Osaka Bayside
2022年11月18日(金)大阪府・Zepp Osaka Bayside
2022年11月24日(木)東京都・Zepp DiverCity
2022年11月25日(金)東京都・Zepp DiverCity
詳細:https://www.milet.jp/live/
クーラ・シェイカー
『1st Congregational Church Of Eternal Love And Free Hugs』
発売中
再生・購入:https://SonyMusicJapan.lnk.to/CCELFHRS
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