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ザ・ビートルズ『リボルバー』が生まれ変わる スペシャル・エディションの全貌を徹底解説

Rolling Stone Japan / 2022年10月24日 12時0分

アビイ・ロード・スタジオで楽曲「Paperback Writer」と「Rain」のMV撮影に臨むビートルズ、1966年5月19日撮影 (C) APPLE CORPS LTD.

ザ・ビートルズ(The Beatles)が1966年に発表した名盤『リボルバー』(Revolver)が、数々の未発表音源を加えたスペシャル・エディションとして10月28日にリリースされる。そのリリースに先駆けて、気になる中身をここで紹介しよう。

1966年の夏、ザ・ビートルズの『リボルバー』がリリースされた。時代の先をゆく作品で、今なお私たちは追い付けていない。マッシュルームカットの青年たちは、かつてのイメージを完全に脱ぎ捨てて、超高速で変異しようとしていた。ポール・マッカートニーは、アバンギャルドのアートと音楽を追求し、ジョン・レノンは『The Tibetan Book of the Dead』を愛読している。ジョージ・ハリスンはインドの弦楽器シタールの弾き方を学び、インドの神秘主義にのめり込んだ。リンゴ・スターはといえば、自宅の地下にパブを作った。世界中、そして彼ら自身にも衝撃を与える最高傑作を世に出す準備は万端だった。『リボルバー』は事あるごとに、ビートルズだけでなく全てのアーティストの作品までを含めて、史上最高のアルバムと評されている。

ただし作品の本当の姿は、まだ誰も耳にしていない。2022年、これまで私たちが聴いていたものとは全く異なる『リボルバー』が登場する。ビートルズが「ホーム」としていたロンドンの伝説的なアビイ・ロード・スタジオで、ローリングストーン誌は新生『リボルバー』の1曲1曲を、夏の数日間をかけて独占的に堪能した。ビートルズの魔法を実現したジョージ・マーティンの息子で、同じくプロデューサーのジャイルズ・マーティンが、当時のセッションの未発表アウトテイクや、最高に実験的なアルバムの新たなミックス・バージョンを聴かせてくれた。



サイケデリア、室内楽、インド音楽のラーガ(旋律)、メンフィス・ソウルを取り込み、自分たちを真っ白な状態にしてゼロから作り上げた作品だ。ジャイルズ・マーティン曰く、『リボルバー』は1曲聴くごとに「これぞビートルズが目指したかった方向だ」というのが見えた気になるという。「ところが毎回、こちらの理解が打ち砕かれてしまう。ビートルズは全員が同じゾーンにいて、新たな段階へと進んでいる。一方で4人にはそれぞれの個性があり、さまざまなスタイルで同じ波に乗ろうとしている。その集大成が、『リボルバー』だ。”お前は何を持ってきた? どんな感じか聴かせてみろよ。俺の方がもっと上を行けるぜ”という会話が聞こえてきそうだ」

『リボルバー』には新鮮なサプライズが詰まっている。例えば「Yellow Submarine」が、元々は最もエモーショナルな楽曲だったとは、誰も想像しないだろう。誰もが、リンゴ・スターに歌わせるために書いた子ども向けの曲だと思っているに違いない。しかしジョン・レノンの自宅で録ったデモは、プラスティック・オノ・バンド的な、哀愁漂うアコースティックのバラードだった。ジョンが奏でる寂しげなメロディーから、世界の子どもたちが好んで口ずさむリンゴのヒット曲へと書き換えられたのだ。『リボルバー』というアルバムの特徴が、ここに集約されている。ほんのわずかな曲のアイディアに数々の進化を加え、最終的に完璧なまでの曲として仕上げられるのは、ビートルズしかいない。


『リボルバー』スペシャル・エディション(5CDスーパー・デラックス)

『リボルバー』のスペシャル・エディションは10月28日にリリースされる。ここ数年、『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』(2017年)、『ザ・ビートルズ(White Album)』(2018年)、『アビイ・ロード』(2019年)、『レット・イット・ビー』にドキュメンタリー作品『ザ・ビートルズ:Get Back』(2021年)と、ビートルズを再認識させるデラックス・エディションが次々とリリースされている。そして『リボルバー』から、「Taxman」のステレオ&ドルビー・アトモス・ミックス・バージョンが9月7日に先行配信された。ピーター・ジャクソンのチームが『Get Back』向けに開発した「デミックス」音響テクノロジーを利用した、迫力あるサウンドに仕上がっている。



『リボルバー』のスペシャル・エディションには、オリジナル・アルバムのステレオ/モノ、ドルビー・アトモスの各バージョンに、セッションのアウトテイクを加えた全63曲が、CD5枚とLP4枚に収録される。さらに、『リボルバー』と同時期にリリースされたシングル「Paperback Writer / Rain」の別バージョンを両面にそれぞれ収録した7インチEPも付属する。また、100ページのハードカバー・ブックも付き、写真の他に、マッカートニー(”全体的に見て、悪くないアルバムだ”)、ジャイルズ・マーティン、ジャケット・デザインを担当したクラウス・フォアマン、ヒップホップのレジェンドであるクエストラヴ、ビートルズ研究家のケヴィン・ハウレットによるエッセイが盛り込まれている。一方のスタンダード・エディションは、オリジナルの14曲入りアルバムをCD/LP/デジタルの各バージョンで提供される。

『リボルバー』に見る、ビートルズの自信と成長

4人は気付いていなかっただろうが、『リボルバー』には、ビートルズの自信がみなぎっている。また、彼らのライバル意識も絶頂にあった。1996年6月、まだ新曲「Tomorrow Never Knows」が世に出る前にポールは、NME誌のインタビューで、「僕としては(I, for one)、”どこかで聴いたことのある曲だ”と言われることにうんざりしていた。だから俺たちは、今回のアルバムを作ったのさ」と語った(”僕としては”という表現にポールらしさが出ている)。4人の友情は、不思議なほどに深まっていた。彼らに特有の波長があり、周囲の人々が入り込めないほどだった。しかし彼らの実験的なチャレンジ精神は、周囲にも伝わっていた。当時18歳だったエンジニアのジェフ・エメリックは、リンゴのバスドラムにセーターを詰め込んでサウンドを変えた。またプロデューサーのジョージ・マーティンは、今日は「Taxman」、明日は「Eleanor Rigby」、またこの日は「Love You To」というように、スタジオでのレコーディング・スケジュールを1日単位で設定した。

『リボルバー』の音楽全般において、4人の成長が見られる。ジャイルズ・マーティンは言う。「ポールと一緒にアルバムの曲をチェックしている時に、彼が”4人の個性がコラボした作品だ”と言った。ビートルマニアも驚きだ。かつてザ・クラッシュの連中は、”にわかビートルマニアは卒倒した”と表現した。『リボルバー』におけるビートルズは、もはや4頭の獣ではない。それぞれが異なるスタイルを持ちながらも、彼らが何をしようがビートルズはビートルズだった。ビートルズ以外の世界など、考えもしなかった。彼らの中に女性がいなくても、まるで4人は恋人同士のように親密だった。一緒にベッドに入り、ずっとそのまま眠っていたいと願っている。ツアーを終えた彼らは、素晴らしいレコードを作ることに専念したいと考えていた」


アビイ・ロード・スタジオで『リボルバー』をレコーディング中のザ・ビートルズ、1966年撮影(© APPLE CORPS LTD.)

マーティンは、映画『Get Back』の時期から4人のムードが急激に変わったと考えている。「『Get Back』を仕上げた後で、『リボルバー』のアウトテイクを聴いた。”本当に楽しい”と思った。『Get Back』でのビートルズは、懸命に新鮮な空気を求めてもがいている。一方で『リボルバー』の彼らは完全に自然体で、意欲も全く途切れることがない。崩壊後のビジョンなど全く見えない。喧嘩別れして再び仲直りするのは、まだ先の話で、まだ誰もバンドを去っていない時期だった」

アウトテイクでは、曲のタイトルが浮かばずにいつまでも考え込んでいるジョージ・ハリスンについて、他のメンバーが言い争う様子が聴ける。「それでも、この時の言い争いはフレンドリーだった。数年後の口論とは違った」とマーティンは言う。「りんご(Apple)はまだ、腐っていなかった」

また、ビートルズがツアーの日々に終止符を打った時期でもあった。「ツアーのフラストレーションが、どれほど『リボルバー』に反映されていると思う?」とマーティンは問いかける。「彼らは熱狂するビートルマニアから逃れ、”できるだけ遠くにある別の世界を探しに行こう”と言って、スタジオに籠もった。だからジョンは、”Tomorrow Never Knows”を山頂で歌いたい、などと言い出したのさ。ステージからできるだけ離れた遠い場所に行きたかったんだろうね」

4人はやっつけ仕事のコンサートにうんざりしていた。ステージ上では、自分たちの新しい音楽を探求する余地などなかった。1966年夏に行った彼らの最後となる米国ツアーは、混乱と抗議活動に苦しめられた(メンフィスのコンサート会場周辺で行われたクー・クラックス・クランによる集会には、8000人が集まった)。一連の出来事が、メンバーをアビイ・ロード・スタジオへと向かわせるきっかけになった、とマーティンは考えている。「スタジオこそが彼らの避難場所だった」と彼は言う。「ビートルマニアのテンションがますます過激になり、1966年に起きたあらゆる事件のせいだったと思う。彼らはいわば、炭酸飲料(pop)のボトルに入ったポップ・バンドだ。彼らは、外部の世界によって振り回された。炭酸が泡立って、キャップが吹き飛びそうな状態だ。外の世界はカオスだった。彼らには逃げ場が必要だった。ここ(アビイ・ロード・スタジオ)の外側は、彼らにとって脅威になっていたのだと思う。スタジオこそが、彼らがゆっくり過ごせる聖域だったのだ。彼らは『サージェント・ペパーズ』には、『リボルバー』の2倍の時間をかけてレコーディングした」

「デミックス」の驚異的サウンド、アートワーク制作秘話

ジャイルズ・マーティンとサム・オケルによる新たなミックスは、「デミックス」テクノロジーのおかげで、過去のデラックス・エディションに勝る完成度となった。同テクノロジーは、ピーター・ジャクソンのウィングナット・フィルムズ・プロダクション所属のエミール・デ・ラ・レイ率いる音響チームによって開発された。元々は映画『Get Back』のために開発された技術で、オリジナルのフィルム映像に収録された不明瞭な音声から、メンバーそれぞれの声を分離させることができた。騒々しいカフェテリアで、ジョンとポールが、ジョージについて感情的に話し合うシーンを覚えているだろうか? 植木鉢に仕込まれたマイクで録音された音声からでも、2人の声がはっきりと聞き取れる。リンゴ・スターのドラムキットにも、同じ技術を採用した。驚くべきサウンドだ。

マーティンが解説する。「ピーター・ジャクソンのチームが実現した音に匹敵するものは、今までになかった。もったいないことに門外不出の技術だ。そのうち他人にも使わせるかもしれない。でもピーターはビートルズの大ファンだから、喜んで手を貸してくれた。ビートルズが今なお最先端テクノロジーを使っているというのは、ある意味画期的で嬉しいことだ。(ピーターの技術を)例えて言うなら、もらったケーキを持ち帰り、ケーキミックスの痕跡を全く残さない状態で、小麦粉、卵、砂糖といった元の材料の形に戻して、1時間後に戻ってくるようなものだ」

例えば「Taxman」は、ドラム、ベース、リズムギターを全て1トラックにレコーディングしたことで知られている。デミックス・テクノロジーのおかげで、リンゴのバスドラム、タム、ハイハットなど一つ一つを、別のトラックに分離できるようになった。もちろん、何かを加えたり改ざんしたりする訳ではない。しかし、4人のスタジオでの演奏や歌が、より細かく明瞭に聴こえるようになった。「For No One」のアコースティックギターから「Here, There, and Everywhere」の指を鳴らす音まで、ミックスの過程で埋もれてしまった音が、鮮やかによみがえる。


「Taxman」と「And Your Bird Can Sing」のオリジナル・テープが収められていた箱のラベル(© CALDERSTONE PRODUCTIONS LTD)

同梱のブックに掲載された、クエストラヴによるエッセイも素晴らしい。彼はファンク、ラップ、ソウルといったアフリカン・アメリカン音楽に使われるコール・アンド・レスポンスの中に、ビートルズを見出した。初めてビートルズのアルバムを聴いた時、スペシャル・エドやア・トライブ・コールド・クエストがサンプリングしていたビートに気付いた彼は、ビートルズとヒップポップの魅力的なつながりにのめり込んで行った。「Taxman」の全体的に流れるメッセージは「Fuck the Police」(N.W.A.)に通じるものがある、とクエストラヴは言う。



ビートルズのクリエイティブな精神は、『リボルバー』の細部に至るまで発揮されている。ジャケットのデザインは、バンドのハンブルク時代からの旧友クラウス・フォアマンが担当した。今回のアルバム同梱のブックには、彼のグラフィック・ノベル『birth of an icon: REVOLVER』の一部が引用されている。「彼らからは、具体的な指示が何もなかった」とミュンヘンにいるフォアマンが、ローリングストーン誌からの電話インタビューに答えてくれた。バンドからは、「クラウス、スタジオへ来て音楽を聴いて、思い付いたままを形にしてくれ」と依頼されたという。当然ながら、彼は戸惑った。「『ラバー・ソウル』は本当にすごいアルバムだった。ジャケットの写真も好きだった。でも”Tomorrow Never Knows”の、シンバルの音や速度を上げたトラックやバッキング・ギター、それに鳥の羽ばたくようなサウンドに、本当に引き込まれた。圧倒されてしまい、”いったいどんなジャケットにしたらいいんだ?”と考え込んだ。全く未知の世界へと、大きく一歩踏み出すしかなかった」

しかしフォアマンのジャケットは、見事に期待に応えた。彼はメンバーに「家のタンスの中にしまってある写真を持ってきてくれ。写りが良かろうが悪かろうが構わない。どんな写真でもOKだ」と頼んだ。フォアマンはまず、メンバーそれぞれの顔をスケッチしたイメージを配置した。さらに、ジョージの髪の間から覗くジョンの姿や、中世の騎士の格好をしたジョンが自分の耳の上に座る姿などを、細かく描き込んだ。特にフォアマン自身は、ジョンの顔のデザインが気に入っている。「ジョンのアーモンド型の目がいい。それから鼻の形も印象的で、目を引く。彼の鼻はとにかく素晴らしいんだ!」

新たにリリースされるアルバム『リボルバー』スペシャル・エディションから、8つの印象的なシーンを紹介しよう。

『リボルバー』スペシャル・エディション 8つのハイライト

1. 「レイン (テイク5/アクチュアル・スピード)」

この「Paperback Writer」のB面曲で聴かれる幻想的なサイケデリック・サウンドは、速度を上げて演奏したバッキングトラックの再生速度を落とすことで実現している。しかし、ステージ上の彼らがオリジナルの速度で演奏する姿には、驚嘆するしかない。リンゴが1人で、ラモーンズ4人分の働きをしているのだ。ビートルマニアは、「Rain」のドラムを聴くたびに絶賛する。リンゴ・スターはかつて「僕がいて、僕の演奏があって、そして”Rain”がある」と語っている。リンゴに拍手喝采を!

2. 「イエロー・サブマリン (ソングライティング・ワーク・テープ/パート1・2)」

驚かないで聞いてほしい。「Yellow Submarine」に関してこれまで信じられてきたことは誤りだ。アンクル・リンゴが子ども受けするコーラスを歌い、ジョンが顔をしかめて我慢しつつ、手早く仕上げたポールの作品、というのが一般的な認識だった。しかし、ジョンが歌う「Yellow Submarine」を聴いて自然と涙している自分に、ショックを受けないよう気を付けてほしい。本デモテープのバージョンは、ポールがコーラス(サビ)を担当しているが、ヴァースではジョンが、フォークギターに乗せた悲しげなメロディを歌っている。”僕が生まれた場所では/みんな無関心で、誰も気にしない/僕が何という名前かも/誰も知らない、誰も気にしない”とジョンが歌う。ジョンが自宅のテープレコーダーで録音したデモ・バージョンは、「Strawberry Fields Forever」と「Julia」の中間の時期にあたる、少年時代の思い出を歌っている。胸を締め付けられるようなバラードだ。

「アウトテイクをチェックし始めるまで、全く知らなかった。例によって、レノン=マッカートニーの共作ということになっていた」とマーティンは言う。彼はポールに、「あなたが書いて、ボーカルをリンゴに託した作品だと思っていました。そしてジョンは、”ああ、ひどいイエロー・サブマリンだ”という反応だった、という認識でした」と聞いてみたという。ところが、マーティンの認識は全く違っていた。「どちらかと言えばウディ・ガスリー的だが、ある意味で美しい曲だ。この作品には、こんなにも奥深さがあったのだ、と実感させられる」とマーティンは言う。それでも、リンゴ・バージョンが存在しない世界など、想像もつかない。「アウトテイクを聴いてみると、ジョンのバージョンの美しさを知ったところで、最終的にリンゴにボーカルを任せた理由が理解できる。現実的に、正しい判断だったと言える」



3. 「エリナー・リグビー (スピーチ・ビフォ・テイク2)」

ジョージ・マーティンは、「Eleanor Rigby」に参加するクラシック演奏家たちのリハーサルで、ポールとの間に入ってコミュニケーションを手伝っていた。弦楽器にビブラートさせるべきかどうか問われたポールは、マーティンに決断を任せた。マーティンは、ビブラートをかけると楽曲の美しさを損なうと判断した。「ビブラートは使わないでくれ。何か言いたいことがある時にだけ、ビブラートさせてくれ」と彼は言った。マーティン自身のプロデュース哲学を、一行で見事に言い表している。彼は常に、意味のないものを付け加えるのを避けていた。『リボルバー』が素晴らしい作品になった理由が、ここにある。

4. 「ラヴ・ユー・トゥ (テイク7)」

ジョージ・ハリスンによるシタールとタブラの演奏が、ポールの歌う繊細なメロディーと調和して、バンドに新たな一面が加わった。曲に軽快さが加わるも、「Love You To」のようなシンプルな楽曲に取り入れる難しさがわかる。苦労してハーモニー・パートを仕上げながらも、フィットしないと判断したら切り捨てる。ビートルズの音楽づくりに対するこだわりが見える。


© APPLE CORPS LTD.

5. 「フォー・ノー・ワン (テイク10/バッキング・トラック)」

「じゃあ、俺は何もせずに普通に叩いていればいいのか?」と問いかけるリンゴに対して、「そういう意味じゃない。やってくれ!」とポールが言い返す。『リボルバー』のクリエイティブ・ミッションの全体像を象徴するシーンだ。最後に残った2人のビートル・ブラザーズが奏でるピアノとドラムのデュエットは、誰もが想像する通り、心にガツンと来る。

6. 「アイ・ウォント・トゥ・テル・ユー (スピーチ&テイク4)」

ジョージは、曲のタイトルを決めるのに四苦八苦する傾向にあった。「Love You To」の曲が出来上がった時も、最後まで「グラニー・スミス(※りんごの品種)」と呼び、正式なタイトルを決められずにいた。「I Want to Tell You」は、間違いなくジョージの傑作のひとつだ。曲のフックの部分でジョージは、”I want to tell you”と繰り返す。誰が聴いても、そのままタイトルにすべきなのは明らかだった(ジョージは後に、同様の流れで曲に「Ive Got a Feeling」とタイトルを付けたポールを鼻で笑うような人間だ)。マーティンが「ジョージ、タイトルはどうする?」と聞くと、ジョージ以外のメンバーは大爆笑だった。ジョンは「グラニー・スミス・パート2だろ!」とからかった。いつも社交家のリンゴは「”Tell You”は、どうだい。いいだろう」と、思わずヒントを出した。計り知れない忍耐力を持った汝の名は、リンゴ。

7. 「ヒア・ザア・アンド・エヴリホエア (テイク6)」

ポールが、他のメンバーの息づかいが聴こえるコーラス抜きの、ギター一本で永遠の愛を歌っている。ポールがルーズに即興で歌う「Here, There and Everywhere」こそが、ポールのバラードの中でも秀逸だ。これを超えるものはない。

8. 「アンド・ユア・バード・キャン・シング (ファースト・ヴァージョン/テイク2/ギグリング)」

ジョンは、この皮肉めいたソウルフルな名曲を軽視することが多かった。曲の中で彼自身が丸裸にされるのを恐れた時に、ジョンがよく取った典型的な行動だ。アルバム『アンソロジー2』に収録された「くすくす笑い」テイクは既に好評だったが、今回はデュエット・ボーカルの別バージョンに加えて、ヘッドホンをしたジョンとポールが顔を突き合わせて笑いを止めらない144秒間が収録されている。自分がその場にいて、デュエットの片方を担当する時の喜びを想像できるだろうか。そこに、今回のスペシャル・エディションを楽しむための鍵がある。

From Rolling Stone US.


ザ・ビートルズ
『リボルバー』スペシャル・エディション
2022年10月28日世界同時発売
予約・購入:https://umj.lnk.to/TheBeatles_Revolver2022
特設サイト:https://sp.universal-music.co.jp/beatles/


①<スペシャル・エディション[5CDスーパー・デラックス]>
価格:21,450円税込
https://the-beatles-store.jp/product/uicy80210/

※輸入国内仕様/完全生産限定盤
※日本盤のみ英文ライナー翻訳付/歌詞対訳付
・63曲収録
・CD1:オリジナル・アルバム ニュー・ステレオ・ミックス:14曲
・CD2 & 3:セッションズ(ステレオ&モノ):31曲
・CD4:『リボルバー』 オリジナル・モノ・マスター:14曲
・CD5:『リボルバー』EP:4曲
・本文100ページの豪華ブックレット付

【①購入特典】B2ポスター




②<スペシャル・エディション[2CDデラックス]>
価格:3,960円税込
https://the-beatles-store.jp/product/uicy80211/

※日本盤のみ英文ライナー翻訳付/歌詞対訳付
・29曲収録
・CD1:オリジナル・アルバム ニュー・ステレオ・ミックス:14曲
・CD2:セッションズ・ハイライト+「ペイパーバック・ライター」&「レイン」ニュー・ステレオ・ミックス:15曲
・40ページのブックレット付


③<スペシャル・エディション[1CD]>
価格:2,860円税込
https://the-beatles-store.jp/product/uicy16125/

※英文ライナー翻訳付/歌詞対訳付
・オリジナル・アルバム ニュー・ステレオ・ミックス:14曲


④<スペシャル・エディション[4LP+7インチ・シングル:スーパー・デラックス]>
価格:32,450円税込
https://the-beatles-store.jp/product/uijy75228/

※直輸入仕様/完全生産限定盤
※日本盤のみ英文ライナー翻訳付/歌詞対訳付
・63曲収録(4枚の180g/ハーフスピード・マスタリングLP+45rpm 7インチEP)
・LP1:オリジナル・アルバム ニュー・ステレオ・ミックス:14曲
・LP2 & 3:セッションズ(ステレオ&モノ):31曲
・LP4:『リボルバー』 オリジナル・モノ・マスター:14曲
・EP:『リボルバー』EP:4曲
・本文100ページの豪華ブックレット付


⑤<スペシャル・エディション[1LP]>
価格:6,380円税込
https://the-beatles-store.jp/product/uijy75227/

※直輸入仕様/完全生産限定盤
※日本盤のみ英文ライナー翻訳付/歌詞対訳付
・オリジナル・アルバム ニュー・ステレオ・ミックス:14曲
・180g/ハーフスピード・マスタリングLP


⑥<スペシャル・エディション[1LPピクチャー・ディスク]>
価格:6,600円税込
https://the-beatles-store.jp/product/pdjt1031/

※直輸入仕様/完全生産限定盤
※日本盤のみ英文ライナー翻訳付/歌詞対訳付
・THE BEATLES STORE JAPAN限定商品
・オリジナル・アルバム ニュー・ステレオ・ミックス:14曲
・180g/ハーフスピード・マスタリングLP
・アルバム・アートのピクチャー・ディスク仕様





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