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LiSAが語る、音楽が鳴る場所で、共に「最高潮」へ向かうために

Rolling Stone Japan / 2022年11月18日 17時45分

LiSA

LiSAのニューアルバム『LANDER』が11月16日にリリースされた。フルアルバムとしては2020年10月発売の『LEO-NiNE』以来2年ぶりとなるが、その間には「炎」での第62回日本レコード大賞受賞という偉業を成し遂げ、ソロデビュー10周年に最高の形で華を添えた。そんな大きな節目を経て届けられた本作は「LiSAが着陸する新たな惑星」をテーマに、次の10年へ向けた新たな旅立ちを告げる意欲的な内容に。

【動画を見る】LiSA「一斉ノ喝采」ミュージックビデオ

音楽的な新たな挑戦はもちろんのこと、メッセージにも大人になった今だからこその思いが詰め込まれており、LiSAの新章にふさわしい1枚と言える。このインタビューではこのアルバムで伝えたかったこと、挑戦したかったことなど、今抱える思いをたっぷり語ってもらった。

ー先日、LiSAさんのTwitterを拝見したんですが、お母様とノラ・ジョーンズのライブに行かれたそうですね。

LiSA:はい(笑)。母が以前から車の中でノラ・ジョーンズをかけていたんです。母が音楽を聴くことって珍しくて、その中でもノラ・ジョーンズがよく流れている印象があったので、ノラ・ジョーンズが日本武道館に来ることを知って「チケットが取れたんだけど、行かない?」と誘ったんです。

ー今回のライブ、各所で評判が良かったですよね。

LiSA:そうなんです。武道館なのにBillboard-Liveみたいな空間で観ているような感覚でした。

ーほかにも最近、刺激や感銘を受けた音楽やライブってありますか?

LiSA:レディー・ガガのベルーナドーム公演がめちゃくちゃ良かったです。レディー・ガガの印象としては、どちらかというと”ショー”を軸としてステージに立っている印象があったんですけど、実際にはすごいマンパワーで進められていて。ステージ演出はたくさんの方に観てもらって、盛り上げていくために必要なことだけど、それ以上にピアノ1本でガガが歌ったときに、ガガのすごさを実感できたことは大きな刺激になりました。

ー根本にある実力や才能がいかにすごいか、それを目の当たりにしたわけですね。

LiSA:そうなんですよね。ガガもそうですし、ノラ・ジョーンズのステージからも”ホンモノとは何か”ということを見せられた気がします。

ーこの10月には、Netflixにてドキュメンタリー作品『LiSA Another Great Day』の全世界配信もスタート。早速拝見しましたが、この2年の活動を振り返りつつ、かなり深く、かつ赤裸々に裏側を見せる内容でした。

LiSA:私のことを長く見てくださっているから、要所要所で「ああ、あのときのことね」みたいに感じたんじゃないですか?(笑)。これまでは頑張っているところだけを見せようと、ちょっとカッコつけたかった部分もあったので、今回は制作するにあたってきちんと覚悟が必要でした。



ー監督さんとは、何を一番に伝えたいかと話しましたか?

LiSA:飾らないことですかね。ひとりの30代の頑張る女性の、等身大の姿をきちんと見せられるような、嘘がないドキュメンタリーにしたいとは話しました。以前は自分が挫折している姿を見せなくても見えちゃうところもあるし、それをわざわざ自分から話す必要もないと思っていたところもありました。でも、それをきちんとお伝えすることで、同じような境遇にある人たちが「自分も頑張ろう」と思ってくれたらいいなと思ったんです。

ーその感覚って、例えば20代の頃にファンの皆さんと同じ目線で「頑張ろうよ」と語りかけていたものと違って、大人になったLiSAさんが「私もこんなことがあったけど、みんな大丈夫だよ?」と先輩からアドバイスを送るような、そういう感覚に近いのかなと思いました。

LiSA:あははは(笑)。なるほど、それはちゃんと10年続けてきたことで自信がついたからかもしれませんね。

ー実際、今回のアルバム『LANDER』も「同じように大人になったLiSAさんから送るメッセージ」という印象を受けましたし。

LiSA:本当ですか?

ー「大人ってカッコいいでしょ?」という姿勢が全体を通して伝わってくる、今まで以上に攻めた内容だなと。

LiSA:ありがとうございます!


「NEW ME」がアルバムの起点に

ードキュメンタリーの中でもひとつの軸となっていた新曲「NEW ME」は、本作の中でも重要な1曲となっています。なんとなくですが、この曲からニューアルバムの制作はスタートしたのかなと思いました。

LiSA:本当におっしゃるとおりです。まず「NEW ME」を作るとき、私は10周年を迎えるまでは「10周年のときに何を思うんだろう?」ということを考えながら過ごしてきて、実際10周年を迎えたときはみんなとこれまでを振り返ることをしてきました。で、今年の4月にソロデビュー11周年に突入したのですが、私はこの先のことを思い描いたんです。この先の10年を歩んでいくにあたって、ここから始まっていく未来を、みんなが挫けたり躓いたり、頑張ったり頑張れなかったりしながら、また進んでいけたらいいなと思って、この楽曲を作りました。そして、世界がこの2、3年で変わったことも、私自身がそのタイミングに10周年を迎えたことも含めて、”新しい私”の始まりだなと感じて、このタイトルを付けたんです。



ーそう考えると、アルバムタイトルの『LANDER』含めてすごく象徴的なワードですよね。

LiSA:そうですね。「NEW ME」を完成させてから、「ああ、アルバムタイトルは『LANDER』がいいな」と思ったくらいですから。

ーここからまた浮上して、新しい世界をどんどん見つけていく、その第一歩となる作品なんでしょうね。内容に関しては既存曲が半分近くあるものの、新曲と混ぜて並べることで新しい魅力が伝わるような、全体を通して物語性が強まったアルバムという印象があります。

LiSA:ありがとうございます。2年ぶりのアルバムとなりますが、この2年はいろいろ考えつつ、新しい活動をしながら進んできたので、シングルとして向き合ってきた楽曲たちの振り幅もすごく広がりましたし、かつその1曲1曲がすごく重たくて、アルバムの中の柱としてすでに組み上がっているんじゃないかと感じたんです。そこに「NEW ME」という曲が加わったことによって、『LANDER』というアルバムの全体像はきちんと出来上がっているような感覚もありました。なので、ある意味アルバムの新曲は自由に作れるなとも思ったんです。自分と素直に向き合ったうえで、自分自身が今必要としているもの、作りたいもの、11周年を迎えた私が歌っていきたいもの、やってみたいことを、自由度高くやってみようという心持ちで制作に臨みました。

ーそんなアルバムのオープニングを飾るのは「往け」。新たな始まりを告げる、象徴的な1曲です。

LiSA:「往け」は『劇場版ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア』の主題歌だったこともあって、アスナが暗闇を駆け抜けているような、閃光になっていくようなイメージで書いていたので、結果的に『LANDER』の最初の駆け出しとしてもぴったりな曲になったと思います。



ー今作は序盤に激しめの楽曲を並べ、中盤に「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」主題歌「炎」をはじめとした梶浦由記さんとの楽曲が並ぶブロック、後半にはバラエティ豊かな楽曲が顔を揃え、最後に「NEW ME」で締めくくるという、起承転結がすごくはっきりした構成ですよね。

LiSA:そうですね。ワクワクした旅をイメージして、自分が出発した地点からいろんな惑星を駆け巡って、新しい惑星にたどり着いていくような、そんな世界観が曲順でも表現できるといいなと考えた結果なんです。



ーと同時に、楽曲の振れ幅が大きいものの、全体の流れが今まで以上に滑らかでもある。

LiSA:ああ、そう感じていただけてうれしいです。やっぱり、中盤の梶浦(由記)さんゾーンの世界観がすごく強かったので、それを『LANDER』という大きな枠の中でどんな風に新しい気持ちで楽しんでもらおうかということは、一番考えたことかもしれません。


クリエイターとの出会いが新風を呼ぶ

ーアルバムは「往け」で軽やかにスタートしたあと、「一斉ノ喝采」や「dis/connect」、「シャンプーソング」といった攻めの楽曲がズラリと並びます。

LiSA:「次の10年でどんな新しいLiSAを見せてくれるんだろう?」と、恐る恐る蓋を開けたみんなが、いつの間にか「明け星」にたどり着いたみたいな、ワクワクとか疾走感に巻き込まれていくように段階を踏めたらいいなと、頭の4曲は駆け抜けるように構成しました。



ー「シャンプーソング」はa flood of circleの佐々木亮介さんが作詞・作曲を手がけ、アレンジをa flood of circleが担当。佐々木さんとは以前から面識があったんですか?

LiSA:私自身a flood of circleのファンなので、ライブにもよく行っていたんですけど、田淵センパイ(UNISON SQUARE GARDENの田淵智也)から佐々木さんに出会わせていただける機会をいただきました。佐々木さんの作る楽曲の信念とか哲学に私もすごく共感する部分が多くて、ライブで彼らの曲を聴くと自分の歌のように感じたり、一緒に手を上げたり声を上げたりしてきたので、今回楽曲提供をお願いする際も「佐々木さんに全部預けることで自分自身が失われることはない」と感じていました。

ーそれで、作曲のみならず作詞までお願いしたと。楽曲のテーマやイメージは事前に伝えていたんですか?

LiSA:a flood of circleのライブに行ったときに、バンドがストレートなロックをやり続けるなかでフロア側も安心して音楽に身を委ねている光景を見ていたので、そういう「自然と体を動かしたくなるような音楽」という相談をまずさせてもらいました。そのうえで、佐々木さんの誠実な想いがこもっている”I LOVE YOU”が聴きたいなと思ったので、恋愛ソングがいいですとお願いしたんです。

ーその楽曲に「シャンプーソング」というタイトルを付けるセンスがすごいですよね。

LiSA:佐々木さん曰く、私の声の鋭さがみんなのいろんな鬱憤を洗い流してくれる感じがしたから、そういう意味で「シャンプーソング」なんだと言っていました(笑)。

ータイトルだけだと、かなりポップ寄りの楽曲がくるのかと思いきや、かなりやられました。今作は佐々木さんもそうですけど、「一斉ノ喝采」の作曲を手がけた竹内羽瑠さん、「土曜日のわたしたちは」のマツムラユウスケさん(WOMCADOLE)、そして「逃飛行」の伊澤一葉さんなど、ソングライター陣からも新鮮な印象を受けます。そういう人選に関して、LiSAさんはどういう基準で選んでいるんですか?

LiSA:アルバムの中にある柱となる楽曲を踏まえて、そこに見合うような楽曲を作ってくれるであろう作家さんをいつも提案させてもらうんですが、そうやって自分がカッコいいと思う人たちと出会い続けることは、アーティスト活動のなかでもすごく大切なことだなと思っています。それこそ梶浦さんの楽曲があったからこそ伊澤さんにお願いしてみたいと思いましたし、田淵センパイがいたから佐々木さんともつながることができましたし。そうやってつないでもらった新しい絆と、新しい作家さんとご一緒することに対する前向きな気持ちは常に大切にしています。



ー言い方が正しいかわかりませんが、いまやLiSAさんが新しい作家さんをどんどんフックアップする側になったんじゃないかという気もしますが。

LiSA:いやいや。全然そんなつもりはないんですけど、自分が「カッコいい」と思う感覚には敏感でいたいなとは、常に思っています。そういう意味では、この先の出会いも貪欲にいきたいですね。

ーなるほど。そんな新たなソングライターがたくさん参加する中、ハイライトと言えるのが伊澤一葉さん作曲の「逃飛行」。かなりトリッキーな1曲で、伊澤さんらしいサウンドの中でLiSAさんがご自身の声を使って遊んでいる感じも伝わります。

LiSA:ふふふ。ありがとうございます。

ー1曲の中で幼さを感じさせたり艶っぽさを見せたりと、声の表情の付け方も以前とはまた違った魅力が感じられて、その曲調と相まってジェットコースター的なスリリングさもあります。

LiSA:確かにそうですね。伊澤さんが作られたメロディやアレンジが、1曲の中でいろんな景色につれていってくれるので、そこに自分の歌もすごく引っ張られて。声の変化もそうですが、言葉に関してもいろいろ遊ぶことができた気がします。


託された「言葉」の広がりと、今だからこそ書ける「言葉」

ー「明け星」「白銀」「炎」と重厚感の強い楽曲群のあとに、この曲が空気を一変させる流れも最高ですよね。今回はLiSAさんも3曲(「シフクノトキ」「悪女のオキテ」「NEW ME」)の作曲に関わっています。1作の中で3曲というのは、過去最多ですよね。

LiSA:既存のシングル曲がアルバムの大きな軸を作ってくれたからこそ、新曲に関しては今何が必要かということを、自分が信頼のおけるアーティスト……堀江晶太くんとかPRIMAGICさんとか、自分が音楽を出力する上でパワーを増強させてくれる相手と一緒に、気持ち先行で作っていくことに注力できたような気がします。

ーその中でも、特に「悪女のオキテ」は終盤のキモになりそうな1曲。ここでも攻めのモードは続いています。

LiSA:「悪女のオキテ」はアルバムが大まかに出来上がったあと、「もうちょっと攻めてもいいかな?」と思って入れてみました(笑)。歌詞もかなり攻めた内容ですが、すごく楽しみながら書けました。

ー言葉や表現など、大人になった今の等身大といいますか、いい意味での余裕が感じられる。そのへんも以前と比べて変化しているのかなと思いました。

LiSA:確かに。20代の頃は「どういう表現をしたら想いが伝わるか」ということに対して、パワーを全部押し付けることで伝わると思っていたふしがあって。それが少し大人になったときに、一歩引くことや下手に手を出さないことで表現できることがあると感じられるようになりました。

ーそれこそ以前はいろんな現実と対峙して、その中で葛藤しながらも前進しようとする姿勢が見えていたところ、大人になったことで若いリスナーに対して「大人もこんな感じなんだから、未来を不安がらなくても大丈夫だよ」みたいに、説得力が増しているのかなと。

LiSA:なるほど……そのへんは、まったく意識的ではありませんでした。でも、自分自身が素直に作っていった結果がそう見えているのであれば、私自身がきちんと大人として成長できている証拠なのかなと思います。

ー作詞の向き合い方に関しては、20代の頃と比べて最近変化を感じることはありますか?

LiSA:20代の頃は泣きながら歌詞を書いていることが多かったです。自分の中の消化しきれない気持ちを歌詞にしていくような感覚がありましたけど、少しずつですが前を向いた状態で、それを消化して理解した中で歌詞と向き合うことが今はできている気がします。

ーそこの違いが、聴いたときの「カッコいい大人」像につながっているのかもしれませんね。もちろん、若い頃ならではの表現もそのときならではの魅力があるわけで。

LiSA:そうですね。昔は「もっとわかってほしい!」と思いながら書いていた気がします。それこそ、強い筆圧で「愛してる!」と書いていたような(笑)。それが今は、筆圧よりも綺麗な字で書いたほうが愛が伝わるなと、表現の仕方が変わったのかもしれませんね。あと、最近は歌詞で表現することがどんどん楽しくなってきました。

ーそれは、どう楽しいんでしょう?

LiSA:自分から出てきた言葉に対して、自分でキュンとしたりグッときたりすることが増えたからかな。

ーもしかしたら、ご自身の書く歌詞を客観視できるようになったでしょうか。

LiSA:ああ、そうかもしれないですね。「ちゃんと」と言ったら変ですけど、思いの強さだけで勝負しないというか、作詞をするということに意識がしっかり向くようになったからだと思います。

ー言葉やメッセージに対する責任をより強く感じられるようになったり、聴き手に届けたあとのことにまで意識が向くようになったということでしょうか?

LiSA:そうですね。そのときの感情だけで書いたものというのは、そのときの感情でしか歌っていけないんですけど、ソロシンガーとしてここまで11年の経験を得て、いろんな表現を持った歌詞を書けるようになったことで、その楽曲を歌う気持ちが変化していくことにも面白みを感じられるようになったというのもあります。感情任せで書いたいびつな作品もそれはそれで好きだし、すごく大切なものだと思っているんですけど、ほかの作詞家さんとか田淵センパイとか自分が信頼する人たちが私に託してきてくれたものって、もっと自分に広い気持ちを歌わせてくれるし、年齢を重ねてもいろんな景色につれていってくれる。そういう人たちのすごさに、今になって実感するようになったんです。だから、私もそういう人になりたい、そういう言葉が書ける人になりたいと思うようになりました。


アルバムを完成させたことで見えた「指標」

ーなるほど。ちょうど5周年のタイミングにLiSAさんとお話したとき、「Rising Hope」のような曲を5年後、10年後にどう歌っていくかという話題がありました。あれから5年以上経ちましたが、例えば「Rising Hope」を今歌うときに湧き上がってくる感情に以前とは違いはあるんでしょうか?

LiSA:「Rising Hope」に関しては特にというか、歌詞を書いているときに願いを込めているような感覚があったんですけど、今は「Rising Hope」を歌うときは確かめるような感覚というか。それはみんなとの約束を確かめるとか、自分を確かめるとか、そういうものなのかな。



ー確かめた結果、何が見つけられるんでしょう?

LiSA:自分自身がLiSAという人の確認をすることによって、強みになっていることに気づけるといいますか。約束とか願いを込めて作ったものが、いつのまにか武器になっているといいますか……伝わりますか?

ー言わんとしていることはわかります。願いを込めて作ったものが歌い続けていくことで、いろんな人たちの気持ちも重なってどんどん大きなものとして成長していく。そんな大切な曲を歌うたびに「LiSAってこういう過程を経て、ここまでたどり着いたんだ」と、忘れちゃいけないことを教えてくれるような。

LiSA:そうですね、うん。だからこそ、「Rising Hope」を歌うといつだってその最高潮に、みんなと一緒に行ける感覚がありますし。ただ、「Rising Hope」を歌う意味は少し変わってきている気はします。最初はセットリストの中で、今における「往け」みたいな感覚で歌っていたんですけど、それがいつの間にか「それをやると確約された私たちの最高潮に行ける」という強いものへと進化していた。だからこそ、この間の『LiVE is Smile Always~Eve&Birth~』では「Rising Hope」をやらないで、そのスペシャルな球を使わなくても行ける最高潮を見てみたかったんです。



ーある意味では、4番バッターがいない状態で試合をするようなものですよね。

LiSA:エースがいない状態で野球をやるみたいな(笑)。でも、それだからこそほかの仲間たちが実力を発揮して、試合をつないでいくことで別の意味をもたらす。そんなライブをやりたくて、前回の『LiVE is Smile Always~Eve&Birth~』では「Rising Hope」を一度隠して挑んだんです。

ーでも、ないから全然不完全燃焼ということはなく、逆に「エース、こんなにもいるじゃない」という事実にも改めて気づかされた。ここ数年でLiSAが投げる球種がこんなにも増えているわけだから、むしろ安心したんですよ。

LiSA:そういうエースがこの10年でたくさん増えた感覚はとてもあります。最初は「oath sign」を絶対に外せなかったし、「crossing field」を外すこともできなかった。でも、そういうスペシャルな楽曲たちをちゃんと大切にしたうえで、いざというときには頼るという役割に変わってきたんでしょうね。





ーそれが10年の積み重ねであり、ちゃんといい方向にシフトできている証拠だと思いますよ。だからこそ、このアルバムではここまでやりきれたわけでしょうし。いろいろなことにチャレンジしているのに、不思議と統一感があるのもその表れなんだと思います。

LiSA:そう感じてもらえてよかったです。無理して奇抜な服を着るというよりは、ちゃんとLiSAとしての軸を持ったうえで、この振り幅の広い楽曲たちにLiSAという串を刺してあげられたんじゃないかと思います。

ーこれだけ自信に満ちた、”次の10年”へ向けた第一歩をこのアルバムに刻むことができたからこそ、この先ライブでどう表現していくのかも楽しみです。

LiSA:やっぱり楽曲が完成する瞬間って、みんながアクションしてくれたり楽曲の中で声を聴かせてくれたりすることで、初めて実感できると思うんです。でも、この2年間はその完成形を見れていない楽曲たちがたくさんある。このアルバムの曲たちもどんなふうになっていくのか、その予想外の完成形を早く見てみたいですね。

ーここから新しい旅が始まるわけですが、この先LiSAさんが目指すのはどういったものなんでしょう?

LiSA:まずは、目の前の15周年に向けてしっかり走り続けることをひとつの目標にしたいなと思っています。ここ数年で良くも悪くも新しい世界が始まったような気がしていますが、最初の10年で叶えたかったこと、叶えられなかったことがたくさんあって。それを今すぐに続きとして叶えられるかというと、新しい世界になってしまった以上、また作り直しだなと思っているんです。なので次の5年をかけて、最初の10年のうちにやりたかったことをもう一度作り直していく。で、15周年のときに「さあ、あのときの続きをしようか」って言えるぐらい、まずはこの5年間を大切に駆け抜けたいなと思います。

ー積み重ねてきたものがある安心感ももちろんあるとは思いますが、変わってしまったからこその不安もあるわけじゃないですか。だからこそ、先の想像がまだつかない部分も多い。でも、このアルバムを聴いたおかげで、目の前のもやが少し晴れてきたような気がしていて。きっとリスナー側もこのアルバムを通して、次にどういうアクションをすればいいのかがわかってくるんじゃないかという気がしています。

LiSA:そう言っていただけるとうれしいです。この2年はみんなのアクションを受け取れないからこそ、提示することや聴いてもらうこと、受け取ってもらうことを私から一方的に続けているような感覚がありましたが、このアルバムを完成させたことでこの先の戦い方が定まってきた、進み方がわかってきた気がしています。

【関連記事】LiSAが語る2010年代「10年貫いてきたからこそ、仲間に入れてもらえた」


『LANDER』
LiSA
SACRA MUSIC
発売中

1. 往け
2. 一斉ノ喝采
3. dis/connect
4. シャンプーソング
5. 明け星
6. 白銀
7. 炎
8. 逃飛行
9. HADASHi NO STEP
10. シフクノトキ
11. 土曜日のわたしたちは
12. 悪女のオキテ
13. dawn
14. NEW ME

https://lisa.lnk.to/ArtistPage





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