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今市隆二が語る、母との記憶、キャリアの伴走者に伝えたいこと

Rolling Stone Japan / 2022年11月22日 17時50分

今市隆二(Photo by Mitsuru Nishimura)

三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEの今市隆二が、通算4枚目のソロアルバム『GOOD OLD FUTURE』をリリースした。2022年は5月にデジタルシングル『RILYS NIGHT -百合演夜-』を発表、6月からソロツアー「RILYS NIGHT」に突入し、ツアーの合間にフェスやイベントなどにも多数出演。ソロツアーは追加公演が年内残っており、今回のアルバムも含め、2022年は精力的に活動した一年だった。

【写真を見る】今市隆二「Rolling Stone Japan LIVE」でのライブ写真

アルバムには、シングルで既発の「華金」「辛」「星屑のメモリーズ」にプラスして、新曲5曲とスキットが2曲収録されている。今市の流麗な声を堪能できる「Dont Give Up」、90年代R&Bのマナーを踏襲した「ROMEO+JULIET」、色気を湛えた「CASTLE OF SAND」、心温まる「Song For Mama」、真摯なメッセージソング「Star Seeker」など、アーティスト今市隆二の真骨頂が凝縮された一作に。「RILYS NIGHT」ツアー中の今市にインタビューを実施した。

—アルバムを通して聴いて、心穏やかに楽しめる作品だなと思いました。サウンドプロダクションやアレンジなどの細部へのこだわりも感じられて、今市さんが好きなものを突き詰めている印象があります。前回のデジタルシングルからこのアルバムに至るまで、どんな気持ちを経て制作したんでしょうか?

今市:まずは大きな軸として、自分のバックグラウンドでもある90年代のR&Bにフォーカスを当てて仕上げています。世界的にもそうですけど、今の日本の音楽シーンの移り変わりとして、サブスクがメインの聴き方になっていて、よりジャンルレスになってきてると感じるんです。これをやったら正解というのが、無くなってきている。いろんなことが変化しているなか、だったら一番シンプルに自分が好きなもの、R&Bをガッツリやるべきタイミングかなと思いました。

—LDHの原点でもある、90年代テイストのR&Bやブラックミュージックを堪能できるのが、またいいなと思いました。

今市:自分がリアルに聴いてきた時代でもありますし、やっぱり好きなんです。R&Bっていうジャンルがすごくしっくり来る。今のR&Bは垣根がないじゃないですか。トラップの要素も入ってきたりしますし、でも今回は自分の中にある「これぞ90年代王道のR&B」って思えるものを入れられたかなと思ってます。

—歌詞の部分ではどうですか?

今市:R&Bはラブソングがメインになってくるので、そういうマナーもしっかり踏襲しました。逆に「Dont Give Up」はR&Bにはあまりないテーマの曲なので、そういった面白さもあると思います。「Song For Mama」や「Star Seeker」に関しては、メッセージの部分に重きを置いている自分ならではの想いをしっかり入れられたかなという感じがします。

—「Song For Mama」は今市さんにとって、とてもパーソナルな一曲ですね。

今市:そうですね。よりパーソナルな部分が出ている曲でもありますし、元々書きたかったテーマでもあるんですよ。R&Bって”For Mama”をテーマにした曲がよくあるから、そういう背景も踏まえて書こうと思いました。あと自分が今年36歳になって、周りに結婚した人や子どもが生まれた人もたくさんいたので、これまで以上に母の偉大さを感じたというか。あとは最近自分の祖父が亡くなって、その時に祖母の気持ちがすごくわかったし、そういうタイミングも重なって書きました。



—ホームビデオの映像を見返したんですよね?

今市:はい。実家にあったホームビデオをこのタイミングで見返そうと思って、お母さんに連絡して。運動会とか発表会とか、いろんな映像を見ました。見返したのは、小〜中学生ぶりぐらいです。大人になってからは初めてで。いろいろすごかったですよ(笑)。例えば、俺ってこんなにうるさくてふざけてた子どもだったんだとか、兄貴とすごく仲良かったんだなとか、意外と親父がちゃんと”親父”をしてくれてたなとか、自分の記憶とは違った部分も知ることができて。映像に残っているお母さんが当時34歳くらいだったんですけど、俺が今36歳なので、その点でも感慨深かったです。お母さんが撮りながら一人で喋っている感じとか、こういう気持ちで俺のことを見てたんだと思うとエモかったです。

—そういう映像を見た感情が、この曲のヴァイブスになっているんですね。

今市:繋がってますね。基本的にはホームビデオを見た自分の記憶と感覚でバーって書いたんですけど、2番の歌詞は特に反映されているかもしれないです。家族で箱根か熱海に旅行に行った時、アスレチックみたいな遊具があって、そこで遊んでいる様子をお母さんがビデオカメラで撮っていたんです。お母さんからちょっと離れた場所にアスレチックがあって、お母さんが遠くの方にいる俺に向かって名前を呼ぶんです。それでなんとも言えない感情になって。そのシーンも歌詞に入ってる部分です。

—家族に感謝するような曲は初めてですか?

今市:初めてですね。親父にもないし、兄弟にもないので。

—じゃあいいタイミングで、このアルバムでやりたかったこととも重なったんですね。

今市:はい。自分の想いと自分の好きなものがうまく融合した感じです。


ツアーのおかげで「マインド的にもレベルが高い状態でいられた」

—アルバムの冒頭を飾る「Dont Give Up」は、今市さんからファンに向けたメッセージでもあるのかなと思いました。前作に収録されていた「星屑のメモリーズ」もファンに向けた楽曲でしたよね。

今市:「星屑のメモリーズ」は、ファンの皆さんに向けて書いた曲です。星のようにあなたたちは美しく光輝いてるよということを伝えたくて書きました。「Dont Give Up」は、自分の生き様を改めて伝えている感覚の方が強いかもしれないです。それに加えて、T.Kuraさんとmichicoさんっていう、三代目と密接な関係で、(三代目の)ライブのオープニング曲とか、キーになるポイントで一緒に制作していた方と今回ご一緒できたことが大きかったです。これまでスーパーボーカリストであるmichicoさんのデモを聴いて歌ったり、ディレクションしてもらったりするなかで鍛えられてきた部分があって。千本ノックじゃないですけど、EXILE ATSUSHIさん含め、LDHの歴史的にもそれで成長してきたボーカリストは多いと思います。そんななかで、今回ソロとしては初めてこのコンビと一緒にやることができた。T.KuraさんとJAYEDさんという組み合わせはあったのですが、T.Kuraさんとmichicoさんは初だったんです。michicoさんの歌詞も独特で、初めて歌詞を見させてもらった時に、michicoさんから俺へのメッセージにも思えて、心が奮い立たされましたし、これからもここぞって時に歌っていきたい曲だなと思います。



—歌詞には力強さがありつつ、曲はすごく美メロで、そのギャップもいいですよね。

今市:そうですね。R&Bには「Dont Give Up」ってテーマはあまりないので、面白いかなと思います。

—ライブでの刺激が曲作りに役立つこともあると思いますが、「RILYS NIGHT」のツアーをこれまで駆け抜けてきた感想は?

今市:今年の6月からやっていて12月までやるので36公演あるんですが、本当に充実しています。ホール規模で細かく全国を回るツアーは元々自分のやりたかったことですし、コロナ禍でいろいろあったなかで、直接会うことの大切さとか、ライブがいかにパワーを持っているかを伝えたくてやっていて、実際にそれができている。自分自身も改めてライブや音楽って最高だよなって実感してます。3日に1回のペースでライブをやったり、大変な部分もありますが、お客さんもそれぞれの想いを持って集まってきてくれるから、特別なエネルギーの交換が生まれるんです。そうやって何千人の方と向き合わせてもらって、自分のマインド的にもレベルが高い状態でいられた。そのなかで並行してアルバムの制作ができたということは、クリエイティブ的にもいいことしかなかったです。

—ボーカリストとしてはどんな点でレベルアップしたと思いますか?

今市:3日に1回ペースだったので、コンディションの調整が少し難しくて、人間だからツアー中にも波があるじゃないですか。でもお客さんはそういうところは全く知らないし、知らなくてもいい。今日はちょっと体力的にきついかもなと思った時でも、そのなかでベストを尽くす、想いを届けることが、今回はこれまで以上にできたかなと思います。そこはレベルアップというか、表現者としてよかったところかなって。今回の「RILYS NIGHT」は、元々自分がやりたかったことだったんです。キャリア12周年を迎えたなかで、皆さんへの感謝の気持ちがめちゃくちゃ強くなっていて、デビューから12年経って自分を応援してくださる人がいることは、本当に感謝していますし、それを伝えられたツアーでもあったと思います。さらに自然体でもいられた。だからこそ、どんな状況でも想いを届けられたのかなって思います。12年やってきた結果かもしれないです。

—そういう流れを経てのアルバムだから、今回のアルバムはある種集大成的なものになっているのかもしれないですね。

今市:自分の好きなものや伝えたいメッセージを今回のアルバムには入れられたので、満足いく形になってます。

—R&Bのマナー的には「LOVE=愛」が本作の大事な要素にもなっていて、だからこそ聴いていると平和な気持ちになります。

今市:今回のツアーのMCでも言っていたんですけど、愛を伝えることは自分のアーティストとしての大きなテーマで。自分自身、生きていくなかで愛が一番重要だと思いますし、それを感じてもらえてるんだったら最高です。


Photo by Mitsuru Nishimura



「古き良き未来」の真意

—メッセージ性の部分で言うと、最後に収録されている「Star Seeker」も、今市さんが今思うことが投影されているんですよね。

今市:はい。コロナ禍や戦争なんて、誰も想像していなかったじゃないですか。それでも日本はありがたいことにまだ平和を実感できる国だと思いますし、当たり前の日常を大切にしていきたいと感じたので、その気持ちを歌にしました。誕生日、クリスマス、ライブもそうかもしれないですけど、年に数回しかないイベントを楽しめるのは、日常があるからだと想うんです。歌詞にも書いたんですが、大きな夢を達成しても、大切な人が幸せじゃなきゃ意味がないと思うんです。よくあるじゃないですか。仕事を成し得るために家族を犠牲にして……みたいな話が。それが悪いわけではないんですけど、かけがえのない平凡な日常を大切にしてほしいなって想いがすごくあります。



—曲の前にスキット(「Good Future Skit」)で語りを入れているのもいいですよね。

今市:スキットがあることで、よりメッセージが届くと思うんです。「Song For Mama」で自分が小さい頃の思い出を入れているので、バランス的にもいいかなと。過去、現在、未来の自分を表すという意味で(スキットを)入れさせてもらいました。あと、R&Bのアルバムってインタールードが結構多いじゃないですか。電話のダイヤル音や呼び出し音とか、喋ってる声とか、そういうのも入れたかったんですけど、結果的にこういう形になりました。インタールードって配信がメインになってから必要性が薄れてしまった感じはありましたけど、自分はアルバム一つで作品だと思ってるので、曲に入る前の序章でコーラスワークがあったりピアノがあったりして、その間にインタールードがあるようなものが好きです。最近だとトレイ・ソングスも、そういうアプローチで作品を出したりしていて、シンプルにいいなと思います。

—アルバムの流れという意味で言うと、「華金」「辛」「星屑のメモリーズ」の3曲が、この場所に入っているのはすごく収まりがいいですよね。

今市:80sリバイバルの曲なので難しい部分はあるのかなと思ったんですけど、意外とハマったのでよかったです。







—アルバム・タイトルの『GOOD OLD FUTURE』にはどういう意味がありますか?

今市:これは造語なんですけど、「古き良き未来」っていう意味で、現在の今市隆二にハマるなと思っている言葉です。元々自分はオールドスクールなものに惹かれるタイプではあったし、時代の流れ的にも、新しいものを生み出すには過去のリバイバルしかないなって前から思っていて、それは音楽のみならずファッションも含めて。だからこそ今回、R&Bの原点に立ち返った部分もあります。「RILYS NIGHT」のツアーも、自分から全国に出向いて会いに行くってテーマでやっているので、そこはめちゃくちゃアナログですよね。今だったらZOOMやライブ配信という方法もあるけど、便利さだけじゃないものを大事にしたいなと。例えば、自分と同じくらいの世代の人からすると、新譜のCDが発売される前からうずうずして、実際にお店に買いに行って手に取って、封を開けるのも大切にやっていたし、歌詞カードやライナーノーツを見ながら聴いたり……。便利になった分、そういったものが失われてる気もするんです。だからこそ「古き良き未来」ってタイトルは、一度過去に立ち返ることで、より進化した未来に繋がるんじゃないかなって想いを込めてつけました。

—今市さんの描く曲の世界観って、パーソナルな一方で、今の時代を見て自分がどう感じるかってことも曲に反映されていますよね。

今市:12年もアーティスト活動をしていると、ファンの方やライブに来てくださる方たちの人生に関わらせてもらっているので、世の中で起きてることに対して、どう感じているのかを伝えるのは自然なことだと思いますし、アーティストとしてやるべきことをやってる感覚です。自分のライブで言うと、病気がちだった人がライブに来て元気になりましたとか、そういうことができるのってすごいと思いますし、やりがいしかないです。アーティストだからやれることを、という意識で今は活動してます。

—残りの「RILYS NIGHT」はどういうツアーにしたいですか?

今市:それこそ一昨日、アルバムリリース前なのに新曲を3曲ほど披露しました。第2章となるので、『GOOD OLD FUTURE』の曲をやります。

—ライブで新曲をやってみて、手応えはどうでしたか?

今市:いいです。「RILYS NIGHT」第1章はどちらかというとファンク/ソウルの雰囲気だったんですが、今回はR&Bなので。ありがたいことに36公演のなかで、ここでがっつりマイナーチェンジできることは、1ツアーのあとにもう1回別のツアーをやるぐらいのモチベーションでいられる。ダンスリーダーのタイチがいるんですけど、タイチにも無理言って、すごい短い期間で振りを作ってもらったんです。で、またその振りが良くて。ライブでのパフォーマンスって、歌とダンスが交わったり、アルバムでは出せない部分を表現できると思うんですけど、こないだのステージはそういう意味でもめちゃくちゃ楽しかったです。今までのLDHだと一つのツアーのなかでマイナーチェンジするといったら、1曲か2曲ぐらいだったのでそんなに変えられなかったんです。アリーナやドームだと映像込みの作り込んだエンターテインメントなので。でも今回はホールで映像がないから、そういう意味では物理的にも自由に動けました。

—2022年、現場でたたき上げてきた成果がここに。

今市:ほんとに(笑)。現役はやれるまでやりたいという気持ちもあるので。ライブを常にやってることは、自分のあるべき姿なのかなって思います。

【関連記事】今市隆二が語る、心に寄り添う「歌」を

<INFORMATION>


ALBUM
『GOOD OLD FUTURE』
今市隆二
発売中

01. Dont Give Up
02. ROMEO + JULIET
03. CASTLE OF SAND
04. Song For Mama
05. Good Old Skit
06. 華金
07. 辛
08. 星屑のメモリーズ
09. Good Future Skit
10. Star Seeker

配信リンク
https://ryujiimaichi.lnk.to/20221102_gof_digital



DVD&Blu-ray
『RYUJI IMAICHI CONCEPT LIVE 2022 "RILYS NIGHT" & "RILYS NIGHT"〜Rock With You〜』
今市隆二
2023年3月1日発売

RYUJI IMAICHI CONCEPT LIVE 2022 "RILYS NIGHT”

11月26日(土)沖縄・沖縄コンベンションセンター劇場
キョードー西日本
TEL:0570-09-2424(11:00~17:00 / 日曜日、祝日休み)

11月30日(水)長野・ホクト文化ホール(長野県県民文化会館)
キョードー北陸チケットセンター
TEL:025-245-5100
(火~金曜 12:00~16:00/土曜 10:00~15:00)

12月5日(月)岡山・倉敷市民会館
YUMEBANCHI(岡山)
TEL:086-231-3531(平日 12:00~17:00)

12月7日(水)神奈川・神奈川県民ホール 大ホール
DISK GARAGE
https://info.diskgarage.com/
TEL:050-5533-0888(平日 12:00~15:00)

12月22日(木)兵庫・神戸国際会館こくさいホール
サウンドクリエーター
TEL:06-6357-4400(平日 12:00~15:00 ※祝日を除く)
https://www.ldh-liveschedule.jp/sys/tour/14249/

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