米銃乱射事件、トランプ氏の元弁護士が性的少数者の犠牲者を揶揄「彼らは罪人」
Rolling Stone Japan / 2022年11月29日 6時50分
現地時間19日、米コロラド州コロラドスプリングスで発生した銃乱射事件。現場はLGBTQ(性的マイノリティ)の人々が集まるクラブ「Club Q」で、少なくとも5人が死亡し、25人以上が負傷した。警察は店内でアンダーソン・リー・アルドリッチ容疑者を拘束。コロラドスプリングス市のジョン・サザーズ市長は今回の事件が「ヘイトクライムの特徴をすべて備えている」と述べたものの、公式な動機は「いまだ捜査中だ」と付け加えた。
【動画を見る】銃撃犯と犠牲者たち
乱射事件の余波を受け、保守派たちは反LGBTQ発言をふたたび持ち出した。ドナルド・トランプ前大統領の元弁護士、ジェナ・エリス氏もその1人だ。22日に公開された同氏のPodcast『The Jenna Ellis Show』の番組紹介文には、「キリスト教徒がホモセクシャルやトランスジェンダーを忌み嫌い、そうした『憎悪』が乱射事件にかりたてた」とする「左派の言説」にエリス氏が物申す、と書かれている。その後には、コロラド州の乱射事件を中絶問題と並列させる理不尽な記述と、「なぜ左派はLGBTQの人々が殺された時と同じように、出生前の赤ん坊が殺されることには怒らないのか?」という問いが続いていた。
さらにエリス氏は番組内で、事件当夜殺害された5人の犠牲者が「キリスト教徒だったという証拠はひとつもない」と指摘し、「彼らは永遠の罪人として当然の報いを受けている」と発言した。「こうした話題を取り上げるべきです、身体的な悲劇だけではなく、魂の悲劇について、彼らが永遠に神である救世主、イエス・キリストから未来永劫引き離されてしまったという事実について語るべきです」と、エリス氏は続けた。
トランプ氏をはじめとする人々が2020年大統領選挙の結果に違法に介入しようとした件の捜査で、エリス氏も先ごろ大陪審に召喚されていたが、ほとんどの時間をソーシャルメディアでのLGBTQコミュニティ叩きに費やしていた。ゲイの男性をサル痘と同等扱いするような投稿をしたこともあった。
トランプ氏の元弁護士の発言は、コロラドスプリング銃撃事件の前後に見られたLGBTQコミュニティに対する扇動的な発言を反映している。21日にはFOXニュースの司会者タッカー・カールソン氏が、14分にわたる独白で事件を糾弾したものの、4分を経過したところで「子どもの早熟反対」という見出しが画面に表示され、左派が子どもの身体に「メスを入れて」「早熟化している」という非難が始まった。
Twitterで140万人のフォロワーを誇る保守系YouTuber兼Podcast司会者のティム・プール氏は、銃乱射事件の犯行現場に非難の矛先を向けたようだ。「子どもをかどかわす小児性愛者を看過してはならない」とプール氏はツイートした。「Club Qでは子どもを手なずけるグルーミングイベントが行われていた。どうすれば暴力を回避し、グルーミングを阻止できるのか?」。ここでプール氏が言及しているのは、20日の午後にClub Qが年齢制限なしで主催したドラァグショーだと思われる。
190万人の購読者を抱える有名保守系YouTuber、マット・ウォルシュ氏が22日に投稿した動画には、『なぜ左派はこれほど躍起になって、子どもをドラァグクイーンに会わせたがるのか』というタイトルがついていた。「これほどの混乱と暴力を引き起こしているのに、なぜそこまでして続けようとするのか?」と、同氏は動画の中で語っている。「子どもの前で女装せずにいるのはそんなに難しいことなのか? 堪えきれないほどの衝動なのか?」
極右系の保守派がLGBTQコミュニティを悪者扱いし、コロラドスプリング市で起きた恐怖の責任を転嫁し続ける一方、市のほうは犠牲者や遺族の支援に注力している。サザーズ市長は記者会見で、コロラドスプリング市は「喪に服しつつ」、「コミュニティ全体が、たった1人の銃撃犯の行動で判断されることのないようにしていく」と付け加えた。
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from Rolling Stone US
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