1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 音楽

極上の音楽が混ざり合い、感動と一体感を生んだ新イベント「MAGIC HOUR VOL.01」

Rolling Stone Japan / 2022年12月9日 17時30分

BIM(Photo by Yuna Yoshimori)

日没前後、空の色がグラデーションになり一帯を美しく包み込む時間帯、マジックアワー。そんな名前の新イベント『MAGIC HOUR VOL.01』が、2022年11月12日、大阪・なんばHatchで行なわれた。

【写真を見る】『MAGIC HOUR VOL.01』

本イベントは、マジックアワーの絶妙な混ざり合いのように、ヒップホップやR&B、ジャズやロックなどのジャンルをクロスオーバーさせ、ライブならではの体験とグルーヴ、音楽を楽しめる場として新しくスタートした。記念すべき初回の出演者はiri、(sic)boy、BIM(BAND SET)、Mega Shinnosuke、Yogee New Waves(50音順)。そしてオープニングアクトにSUMMER SNOWMANが登場した。イベント名通り、ステージとフロアが魔法のように溶け合う音楽に魅了された、最高の一夜となった。

定刻を少し過ぎて開場すると、めいめいグッズやタオルを身に纏ったオーディエンスが、前方からフロアを埋めていった。1Fフロア後方に設けられたDJブースでは、オープニングDJとして大阪堀江のレコードショップ・FLAKE RECORDSのDAWAがヒップホップやR&B中心の選曲で、チルからグルーヴィに会場の雰囲気をじわじわと高めていく。

オープニングアクトはEASTAとKVGGLVによるユニット・SUMMER SNOWMAN。「MAGIC HOUR遊んでいこうぜ! よろしくお願いします!」と一声放ち、「サマスノEverywhere」を軽快にかっ飛ばす。続けてEASTAが「今日は長いので楽しんでいってください!どんな楽しみ方するかといったら、汗かいて楽しんで!」と「アセアセ」をドロップ。キャッチーなライムにオーディエンスはのっけから手を挙げて体を揺らす。曲の後半はラップの勢いが増し、「飛び跳ねろ!」の合図でジャンプ。チルな雰囲気から始まった「黄昏時グッドスメル」では、フロウをダイナミックに交互に繰り出して盛り上げる。最後は「MAGIC HOUR始まったばっかやから、暴れられる奴は手ェ上げろ~!」と「I NEEDA」を投下。2人でステージを歩き回りながら見事なライミングを披露し、「ヤバい人いっぱい出てくるから楽しんでってくれ! ピース!」としっかり会場を温めてステージを後にした。


SUMMER SNOWMAN(Photo by Yuna Yoshimori)

そしてオープニングMCをつとめるFM802 DJの板東さえかが元気に登場。既に盛り上がった会場を嬉しそうに見つめ、客席とコミュニケーションを取る。今回が初回ということで「今日は皆さんは目撃者です!」と笑顔。「土曜の晩こと”土晩”を楽しんでいきましょう! あとは皆さんにこのフロアはお任せします! 続いてのステージはMega Shinnosuke!」と高らかに開会を宣言し、トップバッターのMega Shinnosukeを呼び込んだ。

Mega Shinnosuke

この日はサポートメンバーにサトウカツシロ(Gt / BREIMEN)、永井隆泰(Ba)、いけだゆうた(Key / BREIMEN)、山下賢(Dr)、DJマスク(DJ)を迎えたMega Shinnosuke。暗転したステージに先にサポートメンバーが登場し、いけだが「盛り上がっていこうぜ~!!!」と地声で叫ぶとフロアが一気に湧き上がった(いけだのツイートを見るにMega Shinnosukeからの要望?だった様子)。1曲目は「Thinking Boyz!!!」。ギターとドラムが火を吹き、ライブ前に射的でゲットしたというライオンのぬいぐるみを持って颯爽と登場したMega Shinnosukeが「盛り上がっていけんだろ大阪!」と煽る。バンドサウンドが明るくポップに響き、サビでは一斉に手が挙がる。続く「桃源郷とタクシー」ではギターソロが気持ち良く突き抜ける。


Mega Shinnosuke(Photo by Yuna Yoshimori)

MCでは「今日のお客さんはめちゃくちゃ調子が良さそうで、最高ですありがとう」と述べ、「大阪は毎回超熱くて。なのにこんなん(ダウンベスト)を着てきちゃってミスったなと思ったけど、俺にこれを脱がせるくらい熱くしてくれるかな、皆さん。 Lets go!」と「SHIBUYA BOY⭐︎★⭐︎★」へ。疾走感のあるビートを飛ばして会場を牽引する。アーバンかつグルーヴィにフロアを揺らせた「Sweet Dream feat.Jinmenusagi」を経て、シンセリフが印象的な「O.W.A.」ではついにダウンベストを脱ぎ捨て、より身軽になってステージを縦横無尽に動き回る。その様子にオーディエンスも興奮し、フロアは早くも沸騰状態に。いけだは終始テンション高くジャンプしながら演奏しており、かけていたメガネを吹っ飛ばしていた。

2度目のMCで「今日初めて見るよって人どのくらいいる?」と質問し、手を上げた方々に向けて「初めての人多くてこんだけ盛り上がってんのはラッキー。てか初めて見れてる君たちの方がラッキー。俺を知れたから」と自信たっぷりの発言で会場を湧かせ、ラストソングの「甲州街道をとばしてalternative ver.」へ。センチメンタルなメロディと高音の歌声が情緒的なサウンドスケープを描き出す。最高の余韻を残してトップバッターの役目を終えた。

(sic)boy

グルーヴィな波を作り出して一体感を見せたのは(sic)boy。DJがトラックを流し「Akuma Emoji」からライブをスタートすると、フロアは手を挙げて大盛り上がり。ラウドな要素もありながらキャッチーな歌メロがノリやすく、いつの間にか独自の世界観に連れていかれるパワーがある。続く「living dead!!」では加速したビートと照明が呼応して激しさを増し、さらに「Ghost of You」、「落雷」、「未発表の新曲」とエッジーかつパワフルな楽曲を連投。ビジュアル系バンドを彷彿とさせるルックスと魂のこもったラップ、時折差し込まれるデスボイスはまさにヒップホップとメタル、そしてロックの融合だ。唯一無二のステージングで魅了し、会場を圧倒した。MCでは「東京から来ました(sic)boyといいます。楽しんでますか?」と挨拶し、「さっきの曲も新曲なんですけど、次の曲も今月出す新曲です」と「Afraid??」を披露。切なげなメロディが美しく会場を満たし、フロアはゆらゆらと身を任せていた。ヒップホップ色強めの「(stress)」では滑らかにフロウを紡ぎ出す。ホーン隊が入ったジャジーなサンプリングから流れるように繋がれた「Kill this」ではループするラインにグルーヴが生まれ、情緒を揺さぶった。


(sic)boi(Photo by Yuna Yoshimori)

そして「気づけば11月も中盤に入ってるじゃないですか。1年あっという間だったなと思って」と1年の早さを口にし、「2022年今日が一番良いライブだったと言えるように本気で来てます」と力強く語り後半戦へ。どこか儚さを纏いながらも湧き上がるものを感じた「no.13 ghost」、<渋谷で酒飲みたい>と歌う「Last Dance」を経て、最後は「Heavens Drive」を投下。フロアは一斉にプチョヘンザ 。斜陽を思わせるドラマチックな照明と没入する音の波にどっぷりと浸かることができた。35分で12曲を披露した(sic)boy。1階席も2階席も漏れなく巻き込み、身ひとつで会場を盛り上げた様子はさすがだった。


Yogee New Waves

続いてはYogee New Waves。サポートベースに森夏彦を迎えてのライブ。BILLY WOOTENの「WEVE ONLY JUST BEGUN」が流れると、ステージ上にはお馴染みのバンドロゴのネオンが灯る。大歓声に迎えられ、角舘健悟(Vo.Gt)が「どうぞよろしくお願いしまーす!」と笑顔で一言。アンセム「Ride On Wave」を豊かに歌い上げる。彼らの放つサウンドには繊細さと丁寧さが感じられる。角舘自身もサーフするように足元を揺らして歌う姿に合わせ、客席も心地良く体を揺らしていた。続く「Megumi no Amen」ではミラーボールに光が集まり、角舘の伸びやかな歌声と麗しく豊穣なサウンドをキラキラと彩った。溶けそうな音とシャキッとしたバンドサウンドが変則的に混ざり合う様は至福としか言えなかった。そしてアーバンな「Good Night Station」ではさらに会場の空気を柔らかく昇華させた。


Yogee New Waves(Photo by Yuna Yoshimori)

MCでは角舘が「どうもこんにちは、なんばHatch。今日はすごい久しぶりに大阪に戻ってこれてとても嬉しいです」と挨拶し、新曲を挟み夜の帳が下りた時間帯にぴったりの「to the moon」を披露。最上級のアンサンブルで没入体験した後の名曲「Climax Night」では、極上の音の刺繍が空間に施されていくようだ。角舘は<そんな夜さ そうだろう?なんばHatch>とニコリ。竹村のコーラスも美しく活きる。ラストはこちらも大名曲の「How do you feel?」でライブを締めた。ジャムパートでは大らかな海に包まれているような、自然の風に吹かれているような感覚で、うっとりするほど素晴らしいサウンドスケープを描き出した。少しノイズの混じったギターが本当に気持ち良い。Yogee New Wavesの作り出す世界観はいつでも最高だ。鳴り止まない拍手と大喝采がそのことを証明していた。

冒頭の挨拶で板東が「今日は音楽は止まりません」と言っていたが、転換中は板東とDAWAが2人で音を鳴らし続けてフロアを高めてゆく。

iri

サポートメンバーに村岡夏彦(Key)、BENCH.(Ba)、堀正輝(Dr)、George(MP, Syn)を迎えた編成で登場したiri。「ナイトグルーヴ」のイントロが鳴り響くと大歓声が沸き起こった。少しスモーキーでハッキリとした歌声とグルーヴィなサウンドで会場をひとつにする。Georgeのシンセが高らかに響きわたる。ベースの低音から始まった「Sparkle」ではハンドマイクでクールな歌唱。フロアとしっかり目を合わせて力強く歌いかける様子は堪らなくカッコ良い。紫と赤の絡まるライトが楽曲のアーバンさを引き立てた「摩天楼」では、低い声のラップ調ボーカルとともにリズム隊の重たいビートが大迫力で迫り、会場を完全に掌握する。筆者は2階席で見ていたが、1階フロアの熱気が上まであがってきた。


iri(Photo by Yuna Yoshimori)

MCでは「大阪着いてすごい暑くてびっくりしたんだけど、最近こんな感じですか?」と笑顔。「時間がないからどんどんやってくね」と短い挨拶をし、「会いたいわ」を披露。底力のあるパワフルな歌声が空間を突き抜け、シンセ2台で楽曲の世界観を高めていった。続く「friends」では早口でフロウを滑らかに紡ぎ出し、さらに迫力を増して会場を盛り上げた。疾走感のある「STARLIGHT」を経て、「24-25」では同期のホーン隊が加わることでサウンドの厚みをまたひとつ引き上げ、最高潮にグルーヴィンにフロアを踊らせる。2度目のMCでは「今日の出演アーティストさん、すごくない!?良いイベントだなと思って。しかも私が出る前にDJさんが『Rollin Rollin』(七尾旅人×やけのはら)をかけてくれて、フーッ! てなった! 最高!」とテンション高く喜びを語った。ラストソングは「Wonderland」。ステージから放たれるダンサブルなうねりにフロアは体を揺らし、一体となって手を挙げる。ステージを端から端まで移動して、ブレない歌声で語りかけるように歌いながら客席と絆を結び、最後まで力強く痺れるサウンドで魅了した。

BIM

大トリはBIM(BAND SET)。客席からは待ってましたといわんばかりの大歓声。全身黒スーツでキメたBIMが「Skippin Rock」を勢いよくドロップ。DJ doooo、DJ ZAI、竹村郁哉(Gt / Yogee New Waves)、Shingo Suzuki(Ba)、村岡夏彦(Key)、So Kanno(Dr / BREIMEN)という豪華サポートメンバーによる分厚いバンドサウンドに支えられ、いつ息継ぎをしているかわからないほどの見事なラップをまくしたてる。ステージを右へ左へダッシュし、全身を大きく使ってフロウを繰り出した。ボサノバ調で始まった「Veranda」ではDJのスクラッチが炸裂し、「飛び跳ねろ!」の合図でオーディエンスはジャンプ! ものすごい一体感が会場を満たす。ポップでキャッチーな「Yearn」ではDJの2人が賑やかに楽曲を盛り上げる。続き「俺らはいつか死にますけども、皆さんは今日は生きてますので、最後まで思いっきり楽しんで帰ってください。MAGIC HOUR!」と叫び全力で「Starlight Travel」へ。


BIM(Photo by Yuna Yoshimori)

MCでは「俺、緊張しないと良いライブあんまできないからわざと自分の失敗とか考えて袖で緊張して待機するんですけど、俺が一回手を振るだけで揺れちゃうような会場なら、する緊張もしねえじゃんって。最高のお客さんがいて助かってます。ありがとう!」とオーディエンスに賞賛を送る。地元・川崎市への愛を歌った「KIRARI Deck」に続き「One Love」、さらに「Runnin」を投下し、親友について歌った「BUDDY」では盛大なプチョヘンザ 。さらにアンセム「Bonita」で会場がひとつに。誰もが笑顔になってしまうお茶目なトークを繰り広げた後は、「いつもなら大名曲をやってライブを終わることが多いんだけど……今日のイベント名は?」「MAGIC HOUR!」と客席からのレスポンスを待って、イベントタイトルと同名の「マジックアワー」を披露。STUTS、RYO-Zとのコラボ曲であるサマーチューンだ。夕暮れを思わせるメロウなギターリフがうなり、その素晴らしさに会場からは指笛や拍手が飛び交った。

「さっき袖でエゴサしたら(マジックアワーは)”どうせやるべ”ってツイートあったんですけど、正解だよ。あ、あなたですか。正解! 名探偵具合! 飲みに行きたいですね」と人懐っこさを発揮。ラストは「NOT BUSYっていうタオル持ってくれてる人いるけど、このEPに入ってる俺のすごい気に入ってる曲で、色んなことあるけど未来に向かって皆で頑張りましょう的な曲ですけど、バンドでやったらさらにカッコ良くなるから、揺れて帰ってください」と「WANTED」でライブを締め括った。メンバー紹介のパートではそれぞれのソロ回しで会場を最高潮に湧かせ、大団円を迎えた。初見の人も確実に巻き込むパフォーマンス力の高さ、楽曲のキャッチーさ、人懐っこい人柄、そして人々を熱狂させるカリスマ性。そのどれもをしっかりと提示した素晴らしいステージだった。

全てのライブが終了した後は、DAWAと板東さえかがクロージングDJでお見送り。たっぷりの余韻を残し、記念すべき初回の『MAGIC HOUR VOL.01』は幕を閉じた。色んなアーティストのファンが集まっていたはずだが、オープニングアクトから大トリまでずっと盛り上がっていたオーディエンスから、音楽に対する愛情とリスペクトを感じた。最高の音楽のグラデーションを見せてくれた『MAGIC HOUR』。次回の開催を楽しみにしていよう。


DAWA(Photo by Yuna Yoshimori)


板東さえか(Photo by Yuna Yoshimori)

【セットリスト】

SUMMER SNOWMAN
1.サマスノEverywhere
2.アセアセ
3.黄昏時グッドスメル
4.I NEEDA

Mega Shinnosuke
1.Thinking Boyz!!!
2.桃源郷とタクシー
3.SHIBUYA BOY⭐︎★⭐︎★
4.Sweet Dream feat.Jinmenusagi
5.O.W.A.
6.甲州街道をとばしてalternative ver.

(sic)boy
1.Akuma Emoji
2.living dead!!
3.Ghost of You
4.落雷
5.新曲
6.Afraid??
7.眠くない街
8.(stress)
9.Kill this
10.no.13 ghost
11.Last Dance
12.Heavens Drive

Yogee New Waves
1.Ride On Wave
2.Megumi no Amen
3.Good Night Station
4.未発表曲
5.to the moon
6.Climax Night
7.How Do You Feel?

iri
1.ナイトグルーヴ
2.Sparkle
3.摩天楼
4.会いたいわ
5.friends
6.STARLIGHT
7.24-25
8.Wonderland

BIM
1.Skippin Rock
2.Veranda
3.Yearn
4.Starlight Travel
5.KIRARI Deck
6.One Love
7.Runnin
8.BUDDY
9.Bonita
10.マジックアワー
11.WANTED

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください