1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 音楽

RIP SLYMEが語る、5作連続リリースの裏側、活動再開後の日常

Rolling Stone Japan / 2022年12月30日 12時0分

RIP SLYME:左からILMARI、FUMIYA、RYO-Z

2MC+1DJ体制での活動再開を発表し、2022年4月に第一弾シングル「Human Nature」をリリースしたRIP SLYME。そこから5作連続で届いたシングル楽曲は、変化を柔軟に受け止めながらRIP SLYME節を守り続ける姿勢が強く感じられるものだった。

【写真を見る】RIP SLYMEのライブ写真

今回のインタビューでは5作の制作背景をリリース順に徹底深掘り。リスタートが2022年になった事情や、当初の5カ月連続リリースにならなかった理由、RIP SLYMEの内側に起きた変化や、今後RIP SLYMEが求めるモノなど、「(笑)」多めで語ってもらった(編註:聞き手はメンバーと親交の深いライターの猪又孝)。

―4月に活動再開を発表して約8カ月が経ちました。ここまでの動きをどう感じていますか?

FUMIYA 慌ただしかったですね。活動再開後の体感スピードがかなり早くて。リスタートを発表しちゃった手前、曲を作らないとまずいぞって。でも、5カ月連続とか言ってなかったら作業が進まなかったんだろうなとも思います。

ILMARI 曲のストックはいろいろあったんですよ。だけど、3曲目くらいから「次、どうしよう?」となって(笑)。当初の予定通り、5カ月連続にはならなかったですけど、5作連続リリースにはなったので良かったです。

RYO-Z RIP SLYMEで久しぶりに作品をリリースできることはもちろん、活動再開を発表したら、すぐにフェスも決まって嬉しかったですね。僕とILMARIはTERIYAKI BOYZ®も同時に再開したので、たまに何やってるのかわからなくなるくらいでした。ステージ上で歌詞が丸飛びするくらい。「あれ? 何歌ってたっけな?」みたいな(笑)。

ILMARI  今、WISEが、RIP SLYMEのライブのサポートをやってくれているので、TERIYAKI BOYZ®でも3人一緒じゃないですか。なので、時々、なんだかわからなくなるっていうのはありました。FUMIYAと(おかもと)えみちゃんがいたらRIP SLYME。VERBALがいたらTERIYAKI BOYZ®。横を見て確認してました(笑)。

―再開後1発目のライブが6月の「やついフェス2022」でした。

ILMARI サポート2人を入れたステージを一回もやってないから、お客さんの反応がまったく読めなくて、正直ちょっとドキドキしました。でも、そこで掴めた感じがあって、そのあとは安心して、えみちゃんとWISEのサポートでライブができるようになりましたね。



―新体制第一弾シングル「Human Nature」は、2019年12月に内輪の仲間を集めた忘年会パーティで披露していた曲ですよね?

FUMIYA そうです。ほぼ、そのときに出来てました。作ったのは2018年くらい。活動が止まってからデモを作り始めた中の1曲でした。

RYO-Z 歌詞もそのときから直してないですね。

ILMARI だから本番のレコーディングも早かったです。これと「Gentleman」は結構前からできてたんです。

―「Human Nature」は、どのようなイメージでビートを作ったんですか?

FUMIYA ヒップホップ精神というか、RIP SLYMEでやってきたような雰囲気を振り返ろうという意識がありました。1発目はサンプリングしてチョップしまくる曲でいきたいと思っていたんです。女性コーラスとか入れず、MC2人の声だけでラップしてもらう曲。シンプルにヒップホップな曲をイメージして作りました。

―ULTRA MAGNETIC MCsやPoor Righteous Teachersを意識したそうですが、80年代末から90年代初頭のファンキーなヒップホップの雰囲気を取り入れたかったんですか?

FUMIYA そうです。ヒップホップの王道。ダンサーが好きそうなヒップホップというか(笑)。

ILMARI 言われればそうかも(笑)。



―「Human Nature」の歌詞はどのように書き進めたんですか?

RYO-Z 仮タイトルは「Brother & Sister」で、まずは俺がぶわーっと叩きを作って、みんなで直していきました。テーマは活動休止期間の日常ですね。本当に何にもやることがなかったから(笑)。でも、腐っていてもしょうがないから楽しいことを想像しながら、どうにかなるよ精神でやっていかないとなって。それが人間だから、みたいな。そこからタイトルが「Human Nature」になるんです。なにか面白いことをちゃんと考えていこう、そういうワクワク感を書きたいなって。特に僕が好きなストレートなヒップホップトラックだったんで、書くときに迷いはなかったですね。

―とても楽観的ですよね。どうにかなるさ精神だもの。

RYO-Z それが僕らっぽいかなと。頑張っていこうぜっ!っていうタイプでもないし。

ILMARI それを2019年のパーティで初披露して、そのあとにイベントもやっていこうと考えていたらコロナ禍に突入しちゃったんです。

RYO-Z 当初は2020年春にライブを再開させていこうというプランだったんです。実際、出演の話もあったんですけど、コロナでサッとなくなって、このタイミングになったんです。

―「Human Nature」を復活1発目の楽曲にした決め手は?

RYO-Z スタッフも含めて、僕らのデモの中で一番初めに「あ、できた」と思えた曲だったんです。一番僕ららしく仕上がってるねって思いは3人共通してた。だから2019年の時点でも歌おうとなったわけで。活動再開のときには迷いなくこれが第一弾という空気でした。

―そもそもトラックにFUMIYA節が炸裂していますよね。イントロからSEがてんこ盛りで、サンプリングした音源をチョップしまくってる。

RYO-Z いかにもFUMIYAっていう感じですよね。終わり方も変だし。「あれ、終わった?」みたいな。

FUMIYA ♪ひょょょ〜ん♪って。おもちゃ箱みたいな感じの曲にしたかったんですよ。


「Gentleman」について

―第二弾「Gentleman」は、50年代のロックンロールとスウィングジャズを掛け合わせたようなサウンドが印象的でした。これもFUMIYAが持ってる音作りパターンのひとつですね。

FUMIYA 今までRIP SLYMEでやってきた遊び方で作りたかったんです。オールディーズ感というか、ロックンロール感というか、音は古くさい感じにしたくて。これも休止期間に作ったトラックです。ヒップホップな曲を作ったから、ちょっと方向を変えたいなって。



―リリックは、酔っ払ってるんだけど酔ってないフリをする人の歌だとか。

ILMARI RYO-Zくんのテーマソングだと思ってます。三軒茶屋を歩いているRYO-Zくんが目に浮かぶ。

RYO-Z そうです。僕の歌です(笑)。通りの名前は変えてラップしてますけど、聞く人が聞いたらすぐわかる。本当はぐっちゃぐちゃに酔ってるんだけど平気な顔をするのがジェントルマン。そう思ってるんです、僕は。

―これもリリックの叩きはRYO-Zが全部作ったんですか?

RYO-Z 僕が書きました。ガイ・リッチーの監督作品みたいなムードをイメージしていたんです。イギリス映画に出てくるような、酔っ払っていくとだんだん喋りがスピーディーになっていくんだけど「別に大丈夫だぜ」っていうフリをする男みたいな。そしたら歌詞を作ったあとに、『ジェントルメン』っていうイギリス映画が去年、公開されたんですよ。しかも、ガイ・リッチー監督で、コリン・ファレルとかが出ていて。

―「やられた!」みたいな?

RYO-Z 逆に「やった!」と思って。いい被り方をしたなと。

―リリースの時系列だとRIP SLYMEの方が後手になりますよ。

RYO-Z だからこそ、こういうインタビューのときに声高に叫んでおきたいんですよ。「俺らの方が先です!」って。

―ILMARIはリリックを見たとき、俺にも当てはまるなと思いましたか?

ILMARI 僕はジェントルマンじゃないと思いますね。普通に酔いますから。

RYO-Z むしろ無敵になる(笑)。

―気持ちが大きくなるというか。

ILMARI 僕は、これ以上飲んだらヤバいなと思ったら抑えることはできるんですけど、酔っちゃったら抑えることは無理。でも前ほどひどくないよね?(笑)

RYO-Z うん。

―コロナ禍で酒の飲み方は変わりましたか?

ILMARI 変わりましたね。家に帰って子供がいると思うとブレーキがかかるし。本当に開放的な場所で、気心が知れた友達で、つぶれても大丈夫っていうお墨付きがあったら酔うまで飲むかもしれない。

―酒量は減りましたか?

ILMARI 減りました。そもそも飲む機会が減った。クラブで飲むとかもまずないですし。

RYO-Z 俺はアベレージが変わらないです。大概飲んでます。

FUMIYA 俺は毎日飲まないですけど、飲むときにバコーンと飲むんです。

―昔からFUMIYAはそのタイプですよね?

ILMARI そうなんですよ。

RYO-Z 先日、TERIYAKI BOYZ®でComplexConに行ったときに「Rightnow!」のリリースもあったんで3人で現地からインスタライブをやろうということになったんです。現地時間で夜中12時スタート。日本時間は夕方5時。時間になったから始めようと思ったら、FUMIYAが全然電話に出ない。「寝てた」っていうんですよ。

FUMIYA 潰れちゃったんですよ(笑)。

―前の晩に飲み過ぎた?

FUMIYA いや、その日の昼に、「大丈夫だろ、ちょこっとなら」と思って飲み始めたら進んじゃって。30分前までちゃんと用意してたんですよ、カメラの前で。「よーし!」と思ってたらそのまま寝ちゃって。起きたら2時間後でした(笑)。

ILMARI 俺らも俺らで、その場に知り合いがたくさんいたし、強い酒も飲んじゃってたから、結局ぐちゃぐちゃだったんですけどね(笑)。これならやらない方が良かったんじゃないかっていうくらい。

RYO-Z 20分くらい僕とILMARIが話してるだけでグズグズになってましたから(笑)。


「After the rain (feat. Amiide)」について

―話題を変えましょう。続く「After the rain (feat. Amiide)」はトラック、テーマ、ゲスト、どれを先行で作っていったんですか?

FUMIYA トラックです。

RYO-Z 同時にキャスティングも動いてました。

FUMIYA 俺が「povo」のCM(「povo、登場」篇)でAmiideちゃんと一緒に仕事をしたんです。そのあとにこのトラックができて、テンポ感も全体的な雰囲気もAmiideちゃんに合うんじゃないかということで、そこから始まりました。ちょっと可愛らしいトラックだったから。

―トラックはどのようなイメージで作ったんですか?

FUMIYA RIP SLYMEの「STEPPERS DELIGHT」を意識しました。ああいう倍テンにはなってないですけど、「STEPPERS DELIGHT」の半分のテンポ感で、ほがらかでっていう。



―歌詞のテーマは、「やまない雨はない」という感じでしょうか。

RYO-Z そうです。Amiideちゃんと実際に会ってテーマも一緒に考えましょうということで打ち合わせをすることにしたんです。その日、僕はミーティングの場所までバスで向かったんですけど、前日が嵐のような雨だったんです。でも、朝起きたら晴れててすげえ気持ちよくて。会ってそんな世間話をしたんですよ。そしたら、Amiideちゃんが「いいですね。After the stormみたいな感じですか?」って。うわ、英語でズバッと来たなと思って。

―英語に弱いのか(笑)。

RYO-Z 英語で言われると、大体かっこいいと思っちゃう(笑)。バイリンガルの子はやっぱり違うなって。そこからあれよあれよという間に、そのテーマで進めることになったんです。Amiideちゃんはゴリゴリにラップしていく方なんで、爽やかになりすぎない感じもいいなと思ってサクッと決まったんですよね。

ILMARI ちょうど梅雨の時期だったんですよね。だから、梅雨明けが楽しみになるような曲がいいんじゃないかなと思って。ジメジメしてるときに聴いて夏を待つ、みたいなのがいいなと思ってたんですよ。そしたら、むちゃくちゃ梅雨が短かったっていう(笑)。

RYO-Z 今年は記録的な短さだったから(笑)。

―Amiideさんは歌もラップも両方こなします。当初からフックもお願いしようと考えていたんですか?

RYO-Z そこまで考えてなかったんですけど、すぐにイメージを掴んでくれてメロディーのアイデアを送ってくれたんです。それを聴いたときに「いいじゃん、これ」と。じゃあ、これを活かしたラップをお願いしようとなりました。

―歪んだギターのサウンドが嵐の感じを出していますが、ラップを録ったあとにトラックを作り直すこともしているんですか?

FUMIYA 毎回、基本的にやります。「After the rain」はふわふわした終わり方にしてるんですけど、あの音はラップができてから作りました。あと間奏部分のブレイクのところとか。

―急にブルースハープみたいな音が入ってくるところ。

FUMIYA あれはレコードから録ったんです。ハープの音だけが入ってるレコードからスクラッチで入れてたんです。

―え!? あれ、サンプリングなんですか? 手が込んでる!

FUMIYA そうなんですよ。誰かに吹いてもらったんじゃないんです。

―つまり、嵐の後に晴れというコンセプトに合わせて音を変えていったと。

FUMIYA 曇りになったり晴れになったりっていうのを繰り返しる感じ。最後は明るくなってっていうイメージで作りました。

―サウンドにそういう物語性を感じたんですよね。

RYO-Z 物語といえば、この曲にはエピソードがあって。茨城で「LuckyFM Green Festival 22」に出たときにものすごい嵐がきて、一回イベントが中断したんです。嵐がやんで、僕たちが出て行ったんですけど、そのライブでこの曲を初披露だったから、すごいハマったなと思って。

―持ってますね(笑)。

RYO-Z 「ぴったりの曲を持ってきましたー!」とか言って(笑)。しかも、その後、また土砂降りになって、そこからの出番の人たちは半端なく大変だったんですよ。運も味方にしました(笑)。


「サヨナラSunset (feat.おかもとえみ)」について

―続いては、第四弾「サヨナラSunset (feat.おかもとえみ)」の話を。冒頭でこの辺りから曲のストックがなくなってきたと話していましたが、どのように作っていったんですか?

ILMARI トラックだけは先にあったんです。ただ、テーマがなかなか決まらなくて。

RYO-Z ざっくりと「アジアな夜」みたいなイメージだけがあって。

ILMARI テーマはいろいろ出していた記憶があるけど、なかなかはまらなくて。どうして最後に「サヨナラSunset」に落ち着いたんだろ?

RYO-Z リリース日が決まったときに、夏だから、夏の終わりの曲みたいになったらいいんじゃない?ってことになったんだと思う。トラックにそういう寂寥感もあるしって。そこから歌詞の方向性が見えてきて、さらにえみちゃんも入るからっていうことで、どんどん決まっていったんです。



ーおかもとえみさんを迎えることにした理由は?

ILMARI えみちゃんはライブにサポートで入ってもらっていたから一緒に歌う新曲があってもいいだろうと。FUMIYAがそう話してたんです。

FUMIYA ライブで一緒に回ってるわけだし、えみちゃんと作ってみたいなとずっと思ってて。

RYO-Z 僕は以前に、Osteoleucoというユニットで、えみちゃんと曲もやっていたので(「MANTLE feat. RYO-Z & おかもとえみ」)。歌声がすごくいいと思っていたので、バチバチにハマるんじゃないかと思ってたんです。

―とにかくサビが素晴らしい曲ですよね。あのメロディはFUMIYAが作ったんですか?

FUMIYA そうです。トラックの段階からあのメロディは入ってた。

ILMARI そこに何をはめようか?っていうところで、フィーチャリングも考えていたんです。そこにえみちゃんがバッチリはまった。このメロはいいなって最初から思ってました。

―もともとトラックはどんなイメージで作ったんですか?

FUMIYA ミドルテンポで、ハウスまでも行かず、ソウルミュージックとかの感じ。あと、リフで引っ張る曲を作りたかったんです。 たとえばABBAの「Gimme! Gimme! Gimme!」とか。リフで思いっきり印象に残る曲っていうところから始めて行ったんです。

―歌モノを作ろうという意識は?

FUMIYA サビは歌メロが欲しいと思ってました。そういう曲はまだ再始動のRIP SLYMEでやってなかったから。

―歌詞はどのように書き進めたんですか?

RYO-Z サビを作るところから始めました。えみちゃんが書いてくれた叩きに3人でアイデアを出していって。ヴァースは僕が叩きを書いていて、えみちゃんのパートも僕が書いてます。それをそのままえみちゃんがやってくれたんです。しかも、しっかりラップができちゃうっていう。一発で決めてくれました。

―夏の恋の幻想を描いた切ない物語ですね。

RYO-Z 以前、ライブでアジアに行ったときに、現地でパーティーがあって、そのときにフロアで知り合った女の子との体験談がベースになってるんです。別にどうこうあったわけじゃないし、さよならするんだけど、その切ない感じが軸になってる。

FUMIYA カーキのジャケットとか出てくるけど?

RYO-Z もう、まんまです。本当にカーキのジャケットを着てる女の子だったから(笑)。夏の終わりの歌にしたいっていうことと、最初のアジアというイメージが、そこでガッチャンコしたんですよね。そのイメージを崩さないよう歌詞を書いていきました。


「Rightnow! (feat. SAMI-T)」について

―最新曲「Rightnow! (feat. SAMI-T)」は11月19日にリリース。ここでついに5カ月連続リリースが崩れました(笑)。

RYO-Z 「サヨナラSunset」のときに、もう思ってました。だって「サヨナラSunset」が7月30日リリースでしょ。どうやっても8月は無理だと(笑)。

ILMARI 88risingのフェスに出るためにTERIYAKI BOYZ®で一週間くらいLAに行っちゃったし。

RYO-Z 再始動発表が4月15日だったから、9月の中旬までは大丈夫じゃないか?とかいろいろ言い訳を考えてたんですけど、それにすら間に合いませんでした。



―だったら一回仕切り直そうみたいな空気もあったんですか?

RYO-Z ありました。FUMIYAの中に新しく作ったトラックでいきたいという思いもあったから。

FUMIYA トラックは結構いろんなパターンをイチから作ったんですけど、どうにもしっくりこなくて。「いや、違うな。5作目じゃないな」って。最後の5作目はアゲて終わりたいと思ってたんですけど、何でどうやってアゲようか迷ってて。

RYO-Z 珍しくFUMIYAが事前に何曲か聴かせてくれましたから。「どれがいいと思う?」って言ってくるくらいFUMIYAはFUMIYAで悩んでたんです。

―それまでの4曲の流れも踏まえたいし。

FUMIYA そう。そのときにライブのことを考えると、今までやってきた「JOINT」とか「HOTTER THAN JULY」とか、ドラムンベースの流れの3人バージョンが欲しいと思ったんです。ちゃんとドラムンベースを真正面から作ろうと思って、イチから作っていきました。

―そこまで決まった段階でSAMI-Tの名前が出たんですか?

RYO-Z そうです。トラックが決まったときに、ラガマフィンの人を呼んだらハマるよねって。誰にするかというところで、紆余曲折があったんですけど、FUMIYAが「SAMI-Tくんはどうかな?」って出してきたんです。僕らからするとそれがちょっと意外で。

―確かに、FUMIYAとSAMI-Tはあまり繋がらない印象があります。交流はあったんですか?

FUMIYA 1〜2回会って、ちょっと話してるくらいです。CHOZEN LEEさんから紹介してもらってフェスで会ったんです。

RYO-Z ただ、SAMI-Tに声を掛けるのは恐れ多いところがあったんですよ。世界のMIGHTY CROWNだし、「どうかな、やってくれるかな?」って。前に会った時はグッドヴァイブスだったのでRIP SLYMEにアレルギーはないのかなと思って、思い切って連絡してみたら「全然。行く、行く」って。向こうは横浜が拠点だからデータのやりとりで終わるかなと思ってたら「いつ、やるの? スタジオ行くから」って。本当に来てくれてスタジオで一発でビシッと決めてもらいました。

―歌詞のテーマは「今しかねぇ!」ですが、各自の自己紹介から入る歌詞のアイデアは誰が?

RYO-Z 僕ですね。おっさんたちが今しかねぇ!みたいなことを言うときにどういう角度がいいかなと思って。そしたら、こないだヤバい発見をしてしまって。改めてスチャダラパーからのライムスター「Forever Young」を聴いてみたんですよ。「いまだ現役だ」みたいなテーマは同じだし、先輩たちはどういうふうにやってるんだろう?と思って。そしたら、まさに我々と同じことをやっていて。

―後半で各自が生まれ年などを言ってマイクリレーしていきますから。

RYO-Z そう。何年生まれの何座でA型です、みたいな。まったく俺はそれを忘れてて。おもくそヤッてんなって(笑)。

ILMARI パクったつもりはないけど結果パクってしまった(笑)。

RYO-Z そういうつもりはまったくなかったのに、知らず知らずのうちにすり込まれてたんだと思う。だから、こういう書き出しになっていったんだよね。そこは2大先輩へのNUFF RESPECTということでご容赦頂きたい(笑)。


新生RIP SLYMEの楽しみ方

―5曲はすでにフェスで披露していますが、どんな反応が返ってきますか?

RYO-Z 「Rightnow!」は、この前、KEN THE 390主催の「CITY GARDEN -超ライブフェスティバル-」で歌ったんですけど、ヴァイブスがバチバチに伝わったと思いました。ただ、俺が歌詞を間違えたのが悔やまれます。

ILMARI 確かにRYO-Zくんが歌詞飛んじゃったけど、「Rightnow!」は「箔が付くな、この曲」って思いましたね。

―新体制でのライブにはどんな手応えを感じていますか?

ILMARI WISEは慣れてるっていうのもあるんですけど、えみちゃんもすんなりラップパートをやってくれていて、ライブは割と評判がいいですね。



―お客さんの顔ぶれはどうですか? 世代交代もありますか?

ILMARI 基本フェスは、ファンが来ているというより、いろんな人たちがいるから。初見の人たちもいっぱいいると思うけど、盛り上がってくれますね。

―FUMIYAはサウンド作りの司令塔として現体制のライブをどう感じていますか?

FUMIYA 面白いですね。旧譜もやるので。

RYO-Z 新曲を2〜3曲。あとは旧譜みたいなバランスが多いんです。

―今、旧譜で必ずと言っていいほどパフォーマンスする楽曲は?

ILMARI 「楽園ベイベー」のRemix。これまでにライブだけでやっていたバージョンがあるんです。それと「JUMP」「熱帯夜」「JOINT」ですね。

FUMIYA フェス仕様ですから。そこに新曲を混ぜていく構成。

―新曲もちゃんと馴染んでいる印象ですか?

FUMIYA 馴染みますね。それはたぶんWISEとえみちゃんがいるから。うまく混じる。

―旧譜と新曲が馴染んでいるということは、過去のRIP SLYMEの曲をリファレンスにして新曲を作っているところもあるんじゃないでしょうか。

FUMIYA そうだと思います。3人になってもリップでしょ?って。リップはリップなんだよって安心して欲しい気持ちがあったんです。だからこそ、これまでにやってきた曲の作り方をそこまで変えずに作ったんです。いきなり突拍子もない新しいことをやるんじゃないっていう。

―急にニューヨークドリルをやったりとか(笑)。

FUMIYA ボーカルの無いテクノになっちゃったとか(笑)。そういうんじゃなくて、これまでのRIP SLYMEの流れを汲んだ音作り。今回の5曲はそういう意識で作っていたから。ただ、今後は音楽的にちょっと新しいことに挑戦したいと思いますね。

―新体制で2MCになったことで作詞作業にはどのような変化がありますか? これまではテーマを決めて4者4様に書いたモノを持ち寄るスタイルが多かったと思います。

ILMARI そこは休止期間にミーティングして、誰か一人が軸を決めて書いてもいいじゃん、という話になったんです。過去の曲を聴くと、言ってることがバラバラだったりして、それはそれで面白かったりするんですけど、1曲通してどういう曲かっていうのがわかりづらかった部分もあったので。今は誰か一人が書くというやり方でもいいし、僕らの中ではフレッシュなやり方だと思ってます。

ー他人の言葉やフロウで書かれたリリックは歌いづらい、みたいなことは?

RYO-Z 僕のピッチに合わせて書いてるから、ILMARIは合わせるのが大変だったりするけど、逆にILMARIがざっと書いてるデモもたくさんあって。確かに難しい。でも、自分でアレンジして良しということにしているので。

ILMARI 今回の5作に関しては、RIP SLYMEでそういう作り方をしてみようということでデモを作ってきたから、ここまではそれでいいと思ってます。今後は、これを踏まえて、またちょっと違うやり方をしてみるのも面白いのかなって。以前のように、自分のパートは自分で書いてくるんだけど、内容はしっかり決めてお互いに寄せていくとか。以前はテーマどころか、タイトルだけ決めて各々の解釈で持ち寄るということもあったので。

FUMIYA それでサビで辻褄を合わせるっていう。

ILMARI それをアルバム10枚、さんざんやってきたんで。以前、いしわたり淳治くんと「気持ちいい for Men」を作ったときにみんなで1曲を作って良かったんですよ。最近はK-POPとか作詞作曲に何人もクレジットされてるじゃないですか。だから、誰がどこそこを書いたというよりは、良いものをつくるというところに重点を置いて、完成形のクオリティをめざす。俺たちの時代のヒップホップは自分のところは自分で書いて自分アピールっていうのが基本だったけど、そうじゃないやり方をトライするのもアリだなと思ってます。

―ラップの声が2つになったことは、トラックメイクの観点からどう受け止めていますか?

FUMIYA 単純に薄くなっているんで、声の積み方を工夫してます。でも、「Human Nature」は2本しかないんですよ。トラックもシンプルだったんで、逆にシンプルなままで通してる。ライブをやるかのように、一回、素の3人を出しちゃえ!っていうところもあったんです。声が減ったことでフィーチャリングを選ぶ楽しさもありますし、5人のときとは違った曲作りができて新鮮ですね。「Rightnow!」はWISEにコーラスを歌ってもらったんですけど、やっぱり今までと違う。聞こえ方として新しいんですよ。

RYO-Z 5年前までだったら想像の範囲内だったコーラスのデザインが全然違うものになってるんです。俺がすごい高音域に積まれていて、「ん? 聞いたことない感じだ」って(笑)。俺の声、ファルセットみたいになってるけど、これはこれで面白いぞって。

FUMIYA 細かい部分だけど、そういう違いも新生RIP SLYMEの楽しみ方なんだと思います。

―2022年は5作品リリースで駆け抜けましたが、2023年はどんな活動をしていきたいですか?

RYO-Z その辺は、一度、ゆっくり話したいですね(笑)。

FUMIYA 遅っせ(笑)。

ILMARI とにかくこの5曲に必死だったし、TERIYAKI BOYZ®もあったし、本当、駆け抜けた感じなんですよ。ライブは3人+2人サポートという体制でやれることが掴めたので、この先、何をしていこうかっていうのは今後ゆっくり考えます(笑)。

FUMIYA でも、曲は作りたいですね。

―FUMIYAは、すでに新曲制作に入ってるんですか?

FUMIYA いつリリースするかは別にして、新しいトラックは作ってます。ストックもあるし。

RYO-Z 何十回このデモに向き合ってるんだ?っていう曲もあるよね。メロディーとトラックはあるんだけど、歌詞が永遠とハマらないとか。

ーそうこうしてるうちに、FUMIYAがそのトラックに飽きて来ちゃったり?

FUMIYA 飽きるというか、いろいろやって形が変わりすぎちゃって、どれが最新形なのかわからなくなってきちゃうんです。あと、作ってから時間が空くとどうしても新しいモノを作りたくなる。だから、曲は常に作っていきたいし、今後ワンマンもやりたいです。

RYO-Z うん。ワンマンやりたいですね。

ILMARI 5年前は日本武道館やってましたから。

<INFORMATION>
Spotify Music+Talkにて、メンバー解説付き楽曲視聴コンテンツを配信中
https://open.spotify.com/episode/38vcjylEjbnAIMde0rGcY8

「Rightnow! (feat. SAMI-T)」
https://linkco.re/umECBUs8

「サヨナラSunset (feat.おかもとえみ)」
https://linkco.re/vhder72U

「After the rain (feat. Amiide)」
https://linkco.re/Hgv4XC2M

「Gentleman」
https://linkco.re/U5G7P7Gq

「Human Nature」
https://linkco.re/e5QPyy26

RIP SLYME 公式YouTubeチャンネル
「リップチャンネル」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください