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「お父さんは連続殺人鬼」タレコミは真っ赤な嘘、娘の狂言か 米

Rolling Stone Japan / 2023年1月12日 6時45分

アイオワ州警察当局いわく、捜査官はスターディ一家の元地所を掘り返したが、証拠となる遺体は発見されなかった(GETTY IMAGES/ISTOCKPHOTO)

ルーシー・スターディさんが父親のドナルド・ディーン・スターディ氏が30年以上にわたり70人もの人々を手にかけ米・アイオワ南西部グリーン・ホロウ地区の所有地に埋めたに違いないと、2022年10月にニューズウィーク誌に掲載されたインタビューで語り、警察当局は彼女の主張を信じて捜査を開始。死体捜索犬を使った最初の全域捜査では、人間の遺体が存在する可能性が示された。

父親がシリアルキラーだったという妹ルーシー・スターディさんの主張がニュースになってからというもの、姉のスーザン・スターディさんは父親の名誉挽回を望んできた。「私には最初からずっと嘘だとわかっていました」と、スーザンさんはローリングストーン誌に語った。

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保安官事務所の面々は当時、ルーシーさんが示した場所に人間の遺体が埋まっていると思うとマスコミに語っていた。「あそこに遺体があるという彼女の主張を100%信じます」と、フレモント郡のケヴィン・アイストロープ保安官はニューズウィーク誌に語った。「2匹の捜索犬が同じ場所を示しているのに、間違っているとは私には信じがたい。真相は分かりません。かつてあの場所には入植者もいましたし、先住民の土地でもありました。ですが、私はルーシーさんを信じたい」。さらにマイケル・ウェイク副保安官も、子どもの頃に「井戸に遺体がある」という話を聞いたことがあるので、ルーシーさんの主張は「捜査に値する」と思う、と地元TV局KMTVに語った。

警察当局が遺体捜索の準備を進めるうちに、話が広まった。2013年に他界したドナルド・スターディ氏が、突然インターネット中に現れたのだ。捜査と捜索犬の話をシェアした実録犯罪系アカウントから火がついて、TikTokでは#donalddeanstudeyというハッシュタグのついた動画が320万回も閲覧された。スーザンさんは妹が話をでっちあげているとニューズウィーク誌に語ったが、話はすでに拡散し、捜査に対する保安官事務所の自信が裏付けとされた。現在、警察当局では遺体が発見されなかったと宣言している。現在55歳のスーザンさんは、ローリングストーン誌との独占インタビューであえて旧姓のスターディを名乗り、妹の主張に反論した。



アイオワ州の刑事捜査局は12月8日に声明を発表し、3日間にわたってスターディ一家の所有地を掘り起こして土壌を検査したが、捜査官は証拠となる遺体を発見できなかったと述べた。9日、ルーシーさんは自らの主張を繰り返し、「何らかの形で遺体は出てきます……助けがあろうとなかろうと」と、地元紙のデモイン・レジスター紙に語った。12日朝、姉のスーザンさんがローリングストーン誌にルーシーさん個人のFacebookアカウントの投稿を送ってきた。そこには自分を信じてくれたニューズウィーク誌に感謝しつつ、警察当局に対しては「くたばれ」という一言に続いて、「朝にはひとつ死体が増えているでしょう。私の死体がね」と書かれていた。投稿についてルーシーさんにコメントを求めたところ、「私は大丈夫です」という返答が返ってきた。

捜査について尋ねると、ルーシーさんは近いうちに刑事捜査局から「大きな知らせ」があるだろうと述べた。だが刑事捜査局のミッチ・モートフェット主任補は12日、事件は終了したとローリングストーン誌に語った。「ルーシーさんが警察当局を案内した所有地や場所を2度にわたって操作しましたが、何も発見されませんでした。ですので捜査は終了しました」と主任補は語った。13日にも捜査は終了したと念を押し、当局からは「何も発表することはない」と述べた。

スーザンさんは、ドナルド氏がシリアルキラーだという疑惑はルーシーさんの「でっちあげ」だと主張している。妹がそうした話を持ち出したのはこれが初めてではないそうだ。2007年、ドナルド氏はルーシーさんから1万6000ドルを盗まれたと保安官に通報したが、これに対してルーシーさんは父親が所有地に遺体を埋めていると訴えた。保安官補は最近のニュース報道で、ドナルド氏に対するそうした容疑を耳にしたのはその時が初めてだったと語ったが、ルーシーさん本人の主張によれば、子どもの頃から警察や教師、聖職者にこうした話を繰り返していたという。スーザンさんも、父親がこの時のことを話していたのを覚えていた。「父は『ルーシーが保安官に電話して、私がシリアルキラーだと責めたんだよ』と言いました」とスーザンさん。「私は『あらそう』と言って、2人で笑い飛ばしました」 父親が盗難届を出した直後には、ルーシーさんがスーザンさん宅の車寄せに乗り付けて、言いがかりをつけられたと泣きながら主張したという。「妹はひたすら泣きわめいて、『真っ裸になるわよ、車も調べりゃいいわ、絶対持ってないから』」と言ったそうだ。ルーシーさんは父親を傷つけたくて金を取ったとニューズウィーク誌に告白し、ローリングストーン誌にも同じように語った。スーザンさんは、ニュースで知らされるまで本当かどうか分からなかったという。



最近の報道を総合すると、ドナルド氏は世捨て人として有名で、周りを不安にさせていたようだ。生涯を通じて警察のお世話になったことも度々だった。ローリングストーン誌がアイオワ州裁判所の記録を調べたところ、逮捕歴はほとんどが軽罪で、1994年には重傷目的での暴行罪で起訴された(ドナルド氏は有罪を認め、器物破損罪に軽減された)。デモイン・レジスター紙の報道によれば、保安官事務所の記録には長年にわたって同棲中の恋人を含む複数の人間を脅していたとあり、時には自殺の傾向もあったそうだ。一度など保安官補の目の前で、銃で自分を撃ったこともあった。1950年代には軽窃盗で服役し、1989年には飲酒運転で逮捕されたとニューズウィーク誌は報じている。

スーザンさんも、父親が人々を威嚇するタイプだったことを認めた――だが、それは家族に危険が迫ったと感じた時だけだという。スーザンさんの話では、70年代にヒッピーの若者を乗せた車が田舎道を飛ばし、彼らの家を通り過ぎて、あやうく兄を轢きそうになったことがあったそうだ。怒り狂った父親は、釘の刺さった板を並べたそうだ。車が引き返して通り過ぎると、釘のせいでタイヤは全部パンクした。震えあがった若者が家のほうを振り返る間、父親は予備の板を手に構え、玄関に仁王立ちになっていたという。別の時には「兵士のように」銃を構えて立っていたこともあったそうだ。それでも、父親は「優しくて」子ども思いだったという。「思いやりのある人でした」とスーザンさん。「聖人君子だったとは言いません。ですがルーシーも含め、私たち4人の子どもを愛していました。生涯ずっと、私たちのためにとことん尽くしてくれました」(兄のゲイリーさんは2004年に自ら命を絶っている。もう1人の姉妹にもインタビューを要請したが、返答はなかった)

当初は事件に乗り気だった警察当局も、捜査が終了してからはほとんど口を閉ざしたままだ。保安官事務所からの声明発表もない。ローリングストーン氏が12日に保安官事務所に電話したところ、電話口のスタッフは刑事捜査局に直接問い合わせるよう指示した。スーザンさんは保安官事務所から正式な謝罪を望んでいる。「彼らは妹を100%信じると言い切りました」とスーザンさん。「妹は父のイメージを台無しにしました。私はこんな結果を望んでいなかったのに」

from Rolling Stone US



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