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INIアリーナライブツアー完遂、11人の「才能」が生み出したケミストリーを体感

Rolling Stone Japan / 2023年1月11日 12時7分

INI(©LAPONE Entertainment)

4都市にわたって13公演行われた『2022 INI 1ST AREANA LIVE TOUR[BREAK THE CODE]』が、1月8日に武道館にて千秋楽を迎えた。2021年11月3日にデビューを飾り、『A』『I』『M』『Awakening』とリリースを重ねてきたINI。その先にある本公演は、”もう新人アーティストではないのだ”と、グループや個人の覚醒を大いに感じさせるものだった。

【写真を見る】メンバーの撮り下ろしソロカット

セットリストは、楽曲のテンションを大切にしながらもリリース順に沿った構成。それにより、[BREAK THE CODE]の「コードを解読するためにINIが奔走する」というライブのコンセプトと「お互いの強みを活かして高めあい、慣例や規則を打ち壊す存在としてINIが覚醒した」という事実を両軸で描いてみせたのである。

デビューソングの「Rocketeer」で幕開けを飾り、ライブは華々しくスタート。一瞬たりとも油断を見せない彼らの表情は、それぞれがしっかりと曲に没入していることを感じさせる。レーザービームと呼吸しながら広がっていった”Now Im going up”と歌う髙塚大夢の声は、そのまま世界中を染め上げてしまいそうなほど力強くブライトだ。一瞬の静寂を味方につけ「Cardio」「BOMBARDA」と投下すると、オープニングを全力で駆け抜けていった。


©LAPONE Entertainment

このままハードな楽曲が続くのかと思われた矢先、導かれたのは『PRODUCE 101 JAPAN SEASON2』最終審査の課題曲。「RUNWAY(INI Ver.)」では一つひとつ丁寧に想いを届け、「ONE(INI Ver.)」ではめくるめくフォーメーションで個々の魅力を開花させる。ステージに11人以上の人が立っているような錯覚に陥ったのは、それぞれが仲間たちの面影を感じていたからなのだろう。オーディション時よりそれぞれが洗練されたと同時に、血の通った温かいステージングとなった。

INIがスクリーン越しのキミと友達になる方法を模索するVCRを経て、ライブはポップな楽曲を集めたセクションへと突入。「Do What You Like」でじゃれあいながら歌う姿や視線を交えながらラインダンスをしている様からは仲の良さが伝わってきて、思わずほっこりしてしまう。「KILLING PART」では許豊凡が”好きすぎて”で自分の体をギュッと抱きしめ、「AMAZE ME」では佐野雄大を筆頭にみんなでうさちゃんジャンプ。愛嬌たっぷりのスイートな一面を覗かせた。


©LAPONE Entertainment


©LAPONE Entertainment

そして、”MINIのみんなのための曲”である「Brighter」へ繋がれる。ペンライトの青い光が煌めく観客席は、一面に埋め尽くされたサファイアが絶え間なく月光を反射しているよう。一つひとつの力強い輝きに呼応するように、11人の歌声もしっかりと重みを乗せて広がっていく。松田迅の視線は切ない色に揺らめき、楽曲の持つ神秘的なイメージを底上げしていた。前半を締めくくる「STRIDE」をパフォーマンスする頃には、すっかりメンバーもフルスロットル。それもあってか、各々の”強み”とされてきた以外のスキルもより一層際立つ。佐野の放つ自信満々なオーラ、尾崎匠海のこだわりを詰めこんだステップ、木村柾哉の曇りない生命力に溢れた歌声。自身の得意なことを突き詰めるだけに飽き足らず、さらなる才能を磨きあげるべく尽力してきたことを一挙一動が物語る。彼らの始まりをなぞるとともに、最高クラスの『A』を目指し努力してきた11人の軌跡を最初のセクションで描いてみせたのだった。


©LAPONE Entertainment


自分と向き合い続けたからこその進化

”TO FIND REAL ME I”のメッセージが表示されるVCRを挟み、ユニット曲を中心とした『I』のセクションへ。木村・後藤威尊・松田が「DANCE#1」のダンスパフォーマンスで気高い色気を香らせれば、池﨑理人・田島将吾・西洸人は「How are you」でビートを捕らえた心地よいフロウを披露。尾崎・佐野・許・髙塚・藤牧京介は、『INI WORKSPACE』とは曲を変え「Mirror」で美しいハーモニーを響かせる。


©LAPONE Entertainment


©LAPONE Entertainment


©LAPONE Entertainment

なんとも粋だったのは、この流れに「Runaway」を乗せたことだ。INIの2nd EP『I』は”自分”を表すだけでなく、僕が”愛”するものという意味もこめられている。わざわざ追加公演のために1曲仕上げたこと、そしてこのタイミングに差しこんだということは、一緒に歩みを進めてきたMINI(INIのファン呼称)への愛情表現に他ならないだろう。バックステージには、MINIからの愛がこめられた11文字が映し出され、椅子に腰をかけて歌うメンバーは愛おしそうにメッセージを眺めていた。


©LAPONE Entertainment

”UNKNOWN AREA M”と打ち出すVCRを経て、いよいよライブは終盤である『M』のターンだ。「Password」で繰り広げられた圧巻のダンスブレイクは、ここからさらに会場がヒートアップしていくと予期させるには十分だ。”119”のハンドサインを丁寧に追っていく「CALL 119」のカメラワークも印象的で、ダンスや歌といったパフォーマンスだけでなく演出にもこだわったライブエンターテインメントを作り上げる意志を感じさせる。それだけに飽き足らず、後藤が振り付けに合わせてジャケットをずらし攻撃的な色気を漂わせたり、藤牧が荒々しい視線を投げかけたりと個々の解釈で楽曲の世界観を表現していた。「Shooting Star」では”飛び上がる”のフレーズに合わせて、メンバー全員が美しくジャンプ。微細なニュアンスを揃え、ダイナミックさのなかに繊細さが光るステージングを成し遂げた。

クルクルと変わるビートを器用に乗りこなしていく「Dramatic」、炎を背負ってのシンクロダンスがダイナミックな「BAD BOYZ」と進み、いよいよライブはラストスパート。結びの曲となったのは、『Awakening』のタイトルソングである「SPECTRA」だ。田島の妖しげな空気で惹きつけ、西から池﨑へとパスが回る出だしの時点で、現在の最高を魅せるという気概を感じさせる。様々な色がとめどなく流れ出てくる映像は、自分と向き合い続けた末に覚醒し、新たな才能を溢れさせ始めた11人を想起。『A』から始まったINIが、この1年をかけて”新人アーティスト”の域から脱し、次のフェーズに進む覚醒を迎えたのだとライブを通して誇示したのだった。


次のフェーズに向けて

アンコールになると、ツアーのグッズを身に着けたメンバーが登場。INIという物語を封切った「Let Me Fly~その未来へ~(INI Ver.)」をリラックスした雰囲気でパフォーマンスする。それでいて視線やモーションの一つひとつは洗練され、あの頃の彼らではないことを謳っていた。

最後のトークでは、ここまでの道のりに想いを馳せながら、一人ひとりが胸の奥に秘めていた言葉を口にしていく。潤んだ瞳や震えた声、淀みなく伝わるように紡がれたメッセージ。その一挙手一投足は、自分自身と向き合い愚直に努力を続けてきた人のみが持つ重みを宿す。最後は笑顔で「We are」をパフォーマンスし、初となるアリーナライブツアーを終えたのだった。

INIのデビューからの歩みを描くと共に、彼らが慣例を打ち壊していく存在になりうると提示してみせた『2022 INI 1ST AREANA LIVE TOUR[BREAK THE CODE]』。ステージに立つメンバーの姿は、デビューしたばかりの新人ではなく堂々たるアーティストそのものだった。これからも11人は、それぞれの才能を掛け合わせながら、羽ばたいていくことだろう。ここから次のフェーズに向かっていく彼らが楽しみでならない。


©LAPONE Entertainment

【関連記事】INIが語る、世界を見据えた「覚醒」の背景、マインドの変化

SET LIST

M01.Rocketeer
M02.Cardio
M03.BOMBARDA
M04.RUNWAY(INI Ver.)
M05.ONE(INI Ver.)
M06.Do What You Like
M07.KILLING PART
M08.AMAZE ME
M09.Brighter
M10.STRIDE
M11.DANCE #1(木村・後藤・松田)
M12.How are you(池﨑・田島・西)
M13.Mirror(尾崎・佐野・許・髙塚・藤牧)
M14.Runaway
M15.Password
M16.CALL 119
M17.Shooting Star
M18.Dramatic
M19.BAD BOYZ
M20.SPECTRA
EC1/M21.♪Let Me Fly~その未来へ~
EC2/M22. ♪We Are

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